夢夢散歩♪

自然の写真を中心に、日々の出来事を綴ります。

上方歌舞伎会

2005年08月21日 | 歌舞伎・演劇.・映画
昨日、国立文楽劇場へ「第15回 上方歌舞伎会」を見に行ってきました。私にとって初めての「上方歌舞伎会」。たまたまポスターが目につき、値段も手頃なので行ってみることにしました。

上方歌舞伎会とは、上方歌舞伎の伝統を受け継ごうと志す、日頃の舞台では脇から支えている役者さん達が会員になっています。その役者さん達が、普段演じることのない大きな役に挑むことで、伝統を実感し、その経験が演技に役立つことを目的としているそうです。毎年1回行われており、今年は昨日と今日でした。

開演前にプログラムを見ると、名前も顔も見たことがあるような、ないような(すいません)若手の役者さんが多く、役者さんのこの会に出演するにあたっての意気込みを読んでいると、すごく楽しみになってきました

以下、演目と感想です。印象に残った役者さんのみの感想です。役、顔、名前があやふやなので、間違えていたら、ごめんなさい。

今回、①の車引以外、私は初めて見る演目でした。


①菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
  車引の場

藤原時平によって左遷された菅原道真(菅丞相)の悲劇を中心に描かれた作品の三段目。
全編に渡って、三つ子の梅王丸、松王丸、桜丸が活躍します。

〔あらすじ〕
梅王丸と桜丸は、失脚した菅丞相や斎世親王の家臣。松王丸は左大臣時平に仕える身です。梅王丸と桜丸は現在の身の上を嘆きあいますが、憎い敵、時平公が吉田神社へ参内すると聞き、行く手を阻もうとします。そこへ松王丸があらわれ、二人を制します。
参詣に際して血のけがれを避けたいという時平の言葉に争いは鎮まり、三兄弟は父の「賀の祝い」で再会することを約束して別れます。

梅王丸の片岡千次郎さんは、なかなか思いっきりが良かったのですが、少し固かったような…
でも行儀良く演じられていて、好感が持てました。
ただ、桜丸と一緒に笠をを取る前に、笠が落ちかけてしまいヒヤッとしましたが、ガッと手で押さえて、何とか顔が見えずにすみました。生のお芝居は役者さんもドキドキしたでしょうが、お客の私もドキドキでした。


②芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
  安倍野機屋の場、安倍野奥座敷の場

通称「葛の葉子別れ」と呼ばれています。初めて見ましたが、本当に感動して涙が出ました

〔あらすじ〕
宮中の陰陽博士であった安倍保名に命を救われた狐は、保名の許嫁の葛の葉姫に化け、夫婦となって一人の男の子(後の安倍晴明)をもうけています。そこへ本物の葛の葉姫と両親が保名のもとを訪れます。保名は6年間付き添った女房の素性がただならぬ事を感じます。そんな中、狐の葛の葉は「正体が知れる上は、もはや自分が去らねばならない」と悟り、夫へ歌を書き残し、我が子との別れを深く悲しみ、古巣へ去っていきます。様子を窺っていた保名は童子を抱き、女房の跡を追っていきます。

葛の葉(中村鴈乃助さん)の心情が手に取るように分かり、涙を流さずにはいられませんでした。狐の葛の葉と本物の葛の葉姫との二役早替わりや、家を去る時、葛の葉が障子に「恋しくば 尋ねきてみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」の歌を書き残す演出など、見ごたえがありました。


③伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
  油屋の場、奥庭の場

〔あらすじ〕
伊勢の御師(神官)の福岡 貢は、今田家に恩を受けた身で、家老の息子万次郎のために、紛失した刀を探し求め、何とか手に入れました。一方、今田家の横領を企む阿波の侍も同様に探索していて、こちらは折紙(鑑定書)を持っています。刀は折紙がないと、ただのナマクラなのです。
貢が刀を万次郎に渡すため油屋で待っていると、大勢の客の前で、意地の悪い仲居の万野に身に覚えのないことを言い立てられ窮地に立ちます。さらに、恋仲の遊女 お紺に愛想づかしをされ、怒ってその場を立ち去ります。実は、この愛想づかしは阿波の侍が持つ折紙を手に入れるための、お紺の芝居だったのです。
そうとは知らない貢は怒り心頭。さらに、刀まですり替えられていることに逆上した貢は、油屋の中を駆けめぐり、次々と人々を斬りつけていきます。実は、福岡家に恩のある油屋の料理人 喜助が、本物の刀を貢に持たせていたのです。

うぅん、このお話、人を次々と殺しておきながら、喜助のおかげで本物の刀も手に入り、お紺のおかげで折紙も手に入り、「めでたし、めでたし」という理解でいいのでしょうか?

福岡貢(片岡松次郎さん)は、すっきり2枚目で、仲居の万野の仕打ちにも辛抱辛抱

油屋お紺の片岡當史弥さんは素顔は可愛らしい感じなのに、お化粧をすると美人… ちょっと気の弱さが感じられました。

この演目で貢の演技をもり立てていたのが、仲居の万野。片岡松之亟さんです。根性の悪い、とっても憎々しい役ですが、色気が見え隠れしていて、上手い役者さんだなぁと思いました。

お多福のようなお鹿ちゃん(坂東竹朗さん)も「純」さ全開で、かわいらしかったです。

控えめながら光ってたのが、お岸役の上村純弥さん
貢を思いやる表情が印象的でした。油屋を去る貢に羽織を渡す場面、すごく気持ちが感じられました。
 

④春霞歌舞伎草紙
〔あらすじ〕
阿国たち女歌舞伎の面々は艶やかな踊りを繰り広げています。するといつしか阿国と恋仲であり先頃亡くなった名古屋山三の霊が現れます。阿国と山三は踊ることでかつての仲睦まじい日々を偲びます。

踊りはちょっと苦手なので、あまり分からなかったのですが、華やかな舞台の中で、阿国(片岡和之介さん)の時々見せる悲しい表情が心に残っています。


今回の会では、役者さん達の一生懸命さがすごく伝わってきました。今まであまり目の届いていなかった脇役の役者さん達。この会を機会に、たくさんの方の顔と名前を覚えたので、これからこの方達が、どんな舞台を見せてくれているのかを見るのが楽しみになりました。

隣に座っていたおじさんが、「こういう若い役者さんは元気があっていいし、成長を見るのが楽しみ」とおっしゃっていました。私も同感です。

また一つ、歌舞伎の楽しみが増えました
コメント (6)
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