Green Mind

音楽の感想や日記なんかをね

Lars Horntveth / Pooka

2008年01月31日 | 雑記
僕が弦フェチであることはこのブログでもさんざん書いてきてますが、他にもナショナル・ヘルスやヘンリー・カウを中高生の時に浴びるように聴いていたせいで、木管楽器も大好きだったりします。あっでもサックスはそうでもないので、クラリネット、オーボエ、バスーンなどなどに萌えるといってもいいかも。で、弦&木管好きにはたまらないアルバムがこのLars Horntvethの「Pooka」であります。このラーシュ・ホーントヴェットという人は日本でも人気があるノルウェージャズの代表格バンド、ヤーガ・ヤシスト(Jaga Jazzistのことだけどジャガ・ジャジストって言ったほうが馴染みがあるのか?)の元ソングライターであり、バスクラリネット奏者でありながら、このアルバムではサックスにベース、ギター、キーボード、ヴァイオリンまで演奏してるというマルチプレイヤーです。

グリッチノイズがプチプチ鳴りだすイントロを経て、ストリングスのピッチカートに誘われるようにバスクラリネットがメインテーマを奏でる「Pooka」を聴いた瞬間にあーこれは一生ものだと確信出来てしまうくらいツボな音でした。全編に渡り耳に優しい木管楽器類と時に壮絶なストリングスの音色に彩られた品々はライトなビートと隠し味程度のエレクトロニカ風味に彩られていますが、新種のクラシックであるような気品の良さとダイナミズムを備えています。そこは映画のサントラ用に作られただけあって、きちんと起承転結があって聴きやすいです。僕はJaga Jazzistは新種のプログレ(コテコテのやつね)と思っているのだけど、このアルバムはカンタベリー、レコメン系のバンドを例えに出したくなるね。ということでGilgameshやHatfield & The North好きな人、近年のヴァン・ダイク・パークスのストリングスアレンジは自己模倣になっててつまんないと思う人も是非!  あーもう聴いてると「えっ、俺を死なせたいんですか?」ってくらいだわ、このアルバムはw

Neil Michael Hagerty / Plays That Good Old...

2008年01月30日 | 雑記
これはいいねぇ。最高すぎてニヤニヤしてしまうねぇ。元Royal Trux、現The Howling Hexの中心人物Neil Michael Hagertyのセカンドソロアルバム「Plays That Good Old Rock And Roll」。ワウギターが終止だらしなくウネウネ響き渡るヨレヨレのファンクナンバー「The Strom Song」から突然、華麗なストリングスが宙を舞う「Sayonara」の流れでまずノックアウト。ドラムスとベースはスライを意識したかのような、謎めいたファンクを鳴らし続けニールのギターはワウを呼吸のようにくねらせる。統制されているアンサンブルなのか統制されてないように聞こえる統制されたアンサンブルなのか判別し難いのがスリリングです。そして一番最高なのがこのニールのワウギター。こんな風にニールがギターをかき鳴らす気持ちがわかるよ。友達の家でちょこっと使ったことがある程度で俺はワウペダルは持ってないけど、ワウギターって単純に凄い面白いから、使い方が分からないというのもあったけど、ただ意味なくワウワウさせたくなるもんだよな。そんなワウ童貞の気持ちを持ち続けて、こうやって録音してしまうなんて素晴らしすぎる。技術的にはザッパやジミヘンの足下にも及ばないけど、心意気は同じくらいだぜ! それにしてもまたもやワウが効きまくったヨレヨレのロックロール「Shaved Cunt」からカントリーソング「Rockslide」、そしてまたジャンクでヨレヨレのロックンロール「Louisa La Ray」という流れが絶妙に頭おかしくて最高だね。「Louisa La Ray」なんて微妙にスケールとキーからズレたギターソロがちんこ丸出しでカッコいい。


Bonnie"Prince"Billy / The Letting Go

2008年01月28日 | 雑記
くるりの「ワルツを踊れ」には一部の曲を除いてガッカリさせられたんだけれど、そんな傷心(?)をそっと癒してくれる素晴らしいオーケストーレションがあしらわれたアルバムが今から2年前にリリースされていたとはね。というわけでBonnie"Prince"Billyの「The Letting Go」です。この人と言えば、名義を代え様々なレーベルから録音物をリリースしまくるアメリカきっての怪人ではありますが、今作はアイスランド録音でレコーディングとミキシングにはビョークとの活動で知られているらしいヴァルゲイル・シグルドソンが担当しています。音はというと基本的にいつもと変わらず、ボソボソと淡々にシンプルな編成で歌われる曲ばかりですが、いくつかの曲で大胆なストリングスが導入されており、いやーこれが素晴らしい。いきなりですが俺が萌えるストリングスの要素にまず、リズムがあります。うすーく鳴っているだけのストリングスなら萌えません。ビートルズ「Eleanor Rigby」を最高峰として、モロコ「I Want You」、Grapevine「Everyman, Everywhere」, Ian Brown「F.E.A.R」, Fiona Apple「Extraordinary Machine」....数挙げたらきりがないですがどれも鋭い、ギターやリズムと拮抗するだけの強いリズムが備わっています。まぁこのアルバムでのストリングスは、合わせる方、つまりボニーの歌が淡々としているのであまり強すぎるリズムを当ててしまうと歌をオミットしてしまうので、そこそこにされていますがやはり流れるようなリズムが根底にあります。それが歌とあわさったときの快感は筆舌に尽くしがたい!w  弦フェチは言わずもがな、ウィル・オールダム好きも最高傑作に近い出来なので是非どうぞ。

Rose Hill Drive / Rose Hill Drive

2008年01月27日 | 雑記
リフで曲を作っていく場合どうしても多くの場合メロディがリフに引っ張られてしまい、コードで作曲するのと比べリフで使ってる音と同じような、もしくは近いメロディラインになってしまいがち。要するに鼻歌の域を出ないというか。別にそれが悪いと思わないし、ロックンロールなんてそんなもんだからそれでもいいけど、最近だとYou Am Iの「Convicts」を聞いた時はソングライティングにリフとコードの長所がどちらも凄いレベルで発揮させられていてスゲースゲー、ティム・ロジャース天才!と思ったのです。リフで曲を作るのは(もちろんコードでも同じことだけど)、如何に基礎的なソングライティングが出来るかにかかってると思います。ブルーズやカントリー由来のロックの場合でいうと、いわゆるスリーコード進行というやつです。理由はシンプルなコード進行だから凄いメロディが出来ないというわけでは全く無いから。逆にコードやコード進行にこだわりすぎるあまりに、メロディがぎこちなくなってる曲も沢山知ってるし、スリーコード、ワンコードだろうが良いメロディの曲も沢山ある。もう何が言いたいのか分からなくなってきたけどw、スリーコードの可能性は無限大ってことでいいかw C→Amの進行は指を一本離して、ちょっと移動させるだけの単純きわまりない物だけど、これで何百、何千という素晴らしいメロディを生んでるのですからね。

えっと何の話だっけな。あっそうそうこんなことを書いたのはRose Hill Driveのファーストアルバムを買って聞いたら、まさにそんな「Convicts」で得た感動、つまりリフとコード進行の長所が遺憾なく発揮されたソングライティングの素晴らしさがあったからです。ライナーによると(ライナーを書いているのはThe Muffs' Fanpage In Japanのぴかおさん!)、彼らはコロラドの高校で結成された3人組で、フーのピートが主催するネットテレビ「TheWhoLive.TV」にも出演経験があるらしい。他にもRobert Randolph, Wilco, Van Halen, Queen Of The Stone Ageなどのバンドの前座経験もあるそうで、実際音もハードなギターがリードするロックンロールになっています。けどこのバンドはただの古くさいハードロックバンドじゃないんですよ。これはぴかおさんも書かれていることだけど、このバンドのリズム隊はハードロックに相応しいような思いリズムではあるけれど、リズムが多彩よね。それにはLittle Barrieにも同じようなことを感じたけれどこの時代の黒人音楽で欠かすことが出来ない、ヒップホップの影響があるのかもしれません(直接的、間接的にしろ)。そういうことでドラムだけでいったらArctic Monkeysでも活動出来そうなくらい、ビート自体は現代的なところもあるのだけれど、アルバムの中間に歌心ある土着的なフォークナンバーが意味するのはルーツに忠実でありながらコンテンポラリーな視線も忘れないという姿勢であり、爆音で突っ走るだけじゃないロックンロールを心得ているということです。ちゃんとメロディも書けてるし、言うことなしです。冒頭で飛ばして、中間に落ち着かせ、ラストでまた飛ばすという分かりやすいアルバム構成もグッド。サイコーのロックンロール!

Frank Zappa / Lather

2008年01月25日 | 雑記
1977年に四枚組としてリリースされるはずがオクラ入り。その音源は後に「Zappa in New York」、「Sleep Dirt」、「Studio Tan」、「Orchestral Favorites」としてリリースされることになりますが、1996年に本来の形プラスボートラで復活。それがこのCD三昧組の超大作「Lather」です(aの上にウムラウトがつく)。

正直、「Sleep Dirt」と「Studio Tan」はそれだけで超傑作なので、バラに聞いてくれてもいいと思いますが、この三枚組はそれ自身だけで重要なのです。下品なホーンセクションが頭おかしくなりそうな譜割と拍子でリードするジャズロック的な曲から「The Purple Lagoon」、鉄琴がメイン楽器となりアヴァンギャルドとポップの間を自在に行き交う超絶曲「The Black Page # 1」、濃密な交響曲「Greggery Peccary」、ギターソロの独壇場「RDNZL」など気味の悪い曲が一つのアルバムとしてリリースされようとしていた事実! 高度な技術に裏付けられた演奏の凄さもありますが、このアルバムで一番重要なのはザッパの編集技術だよね。スタジオテイクだと思ってたのが、ライヴテイクだったなんてのはザッパファンには当たり前なんだけど、音質とかミックスのバランスとか完璧にアルバムに合ってるんだもんなー。まぁアルバムとしての完成度など望むべくもありませんが、この時期のザッパがいかに乗っていたかを知るには最高のアルバム。「Sheik Yerbouti」かコレ聞いて一曲も好きになんなかったら、ザッパは縁がないと思ったほうがいいかも。

Lou Reed / The Blue Mask

2008年01月25日 | 雑記
シン・リジーが聞きたくて家中探してたんだけど、見つからずじゃあその代わりにと、言うのが侮辱にあたるくらいの82年の名盤「The Blue Mask」。ツインリードならぬツインリズムとも言える、左チャンネルのロバート・クワイン、右チャンネルのルー・リードのギターの絡みが実にスリリングで奥ゆかしい。どちらもディレイ気味の音で引っ掻くような、触れるような繊細なプレイをするかと思えば、ノイジーなプレイは徹底的にノイジーにと、ほぼ一発録りで取られたという状況が相乗効果で更に凄みを与えてます。静謐でありながらどこかそれであることを拒むような空気がこのアルバムにはあります。メンバーがロックンロールの鬼と化す表題曲のギターノイズはギター弾きにしては出したくても出せないノイズであり、ギター弾きでなくとも思わず息を飲むほど美しい「ノイズ」なのでした。

Larry Gold Presents Don Cello And Friends

2008年01月24日 | 雑記
フィリーソウルのシンボルともいえる存在であるMFSB(Mother Father Sister Brotherの略)のチェリスト、ラリー・ゴールドがプロデュースしたアルバム。全編に渡って流麗なストリングスがあしらわれたゴージャスなソウルポップアルバム。ビートとストリングスの絡め方なんて4heroっぽくもありますが、馬鹿の一つ覚えのようなアレンジが無いので安心して下さい。4heroで思い出したんですが、これってホントにクソですよね。馬鹿の一つ覚えみたいにテンションコードを繰り返して、適当なところでこれも馬鹿の一つ覚えみたいなストリングスをあしらい、16ビートを適当に鳴らしておけばいいや、みたいな安直さが漂うだらしのないリズム。3枚くらいしか4heroは持ってないけど、どれも同じで全く進歩が無いクソでした。こんなのを聞いてるのは通ぶりたいオシャレ野郎だけだと思う。話がずれましたが、このアルバムもスローなバラード曲になるとストリングスのアレンジがあまりに流れるようなので退屈になる嫌いもありますが、アップテンポの曲は総じて感動的なまでにグルーヴとストリングスのアレンジが合致しており、サイコーの一言。Musiq Soulchildでも感じたような、黄金の中庸、というと失礼ですがこれもその系譜といってもいいかな。というのはあまりにゲストシンガーが似通ってるから、ちょっと退屈してくる。もうちょい人選にこだわりがあれば、もっと良くなったはず。まぁこれもなんだかんだで愛聴中。ストリングスアレンジが弦フェチにはたまらないのですよ。

Plush / More You Becomes You

2008年01月18日 | 雑記
これは素晴らしいぜ。glenさんに教えてもらったアルバム。Drag Cityから出てるけど、音響系というわけではないです。いやこれは、ある意味究極の音響系か、というくらいシンプルな声とピアノの響きに酔える一枚。録音がスティーヴ・アルビニ。この裏声の出し方がジョン・ブライオンに似た、リアム・ヘイズという男がピアノと友に歌う歌は全編トッド・ラングレンの「Wailing Wall」の続きの風景を感じさせます。こういうアルバムって持ってなかっただけに、重宝しそう。ちょこっと使われている木管楽器もまた素晴らしくて、是非この人には木管楽器をもっとフィーチュアしたアルバムも作ってほしい。ジョン・レジェンド「Get Lifted」の後半が好きな人もおすすめ。うーんなんかピアノが弾きたくなってきた。

Ane Brun / A Temporary Dive

2008年01月06日 | 雑記
女性の弾き語り系はなんとなくの雰囲気で許せてしまうことが多いんだけれど、これは何の注釈無しに大好きです。ストイックなアレンジ、キリキリする歌声、ひっそりしたメロディが冷気のように刺さるアルバム。ノルウェーはストックホルムをベースに活動するシンガーソングライターのセカンドアルバム。北欧のこういう系の人だとまず思い浮かぶのはソフィー・セルマーニなんですが、どちらもまず売れないだろうというくらい地味なのに、評価はびっくりするくらい高くてしかも売れてたりするんですよね。

ラップスティール、マンドリン、ストリングス、エレピ、ハーモニウム、チェレスタ、ホーン...と思いのほか使われてる楽器が多いのにも関わらず、全く鳴っていないような「いつの間にかあるアレンジ」とでもいいましょうか、それがまず秀逸。なので、基本的にはアコギでひっそりと歌と言葉を綴っていくのですが、曲がまぁ地味でキャッチーじゃない。けどそれがノルウェーでゴールドディスク取ってしまうんだから、彼女の曲が持つのは表面的なキャッチーさじゃないということが分かります。実際キャッチーではないけど、印象的で濃密なメロディが飛び出してくるので、じっくり聞けばハマります。ロン・セクスミスが参加した「Song No.6」はカナダとノルウェー、北欧と北米ということで、カントリーっぽくもあってトラッドっぽくもあるけどどちらとも違う、どこか不思議な手触りを持つ曲になってます。

何べんでも死んだれ

2008年01月05日 | 雑記
最近入手して愛聴してるもの。

Bump Of Chicken / Orbital Period

前作「ユグドラシル」から3年。また全17曲70分越えの大作をこしらえて、戻ってきました。まぁ間にシングルが多くリリースされてるので、そこまで待たされた感じもしませんが。

音はというといつものバンプだけれど今作はリズムに凝った、ドラムスが頑張ってる曲多く「才悩人応援歌」なんかはアジカンの「ブルートレイン」みたい。藤原の歌声も囁くようなトーンが多いため、「ユグドラシル」と同じようにミドルテンポの曲が多いです。そのためかギターのアンサンブルは以前にも増して、カントリー、ブルーグラス、アイリッシュトラッド的な要素も目立つようになりましたが、ギリギリの所でそういう匂いが消されてるのが凄い。決してマイナーペンタの手癖弾きみたいのは繰り出さないし、開放弦の使い方が相変わらず上手いし綺麗。同じようにソングライティングや節回しにもそういう匂いがあるんだけれど、これもまたギリギリの所で回避してるんですよね。特に「花の名」は今まで書いてきたことが全て詰まったこのアルバムの中でも屈指の名曲。歌を歌いつづけるということの素晴らしさ、人が歌を歌う理由、皆誰でもそれぞれの歌を持っているということを教えてくれてる気がします。「Always」の主題歌なんてもったいない。自分自身の主題歌にしちゃいましょう。「かさぶたぶたぶ」が「Getting Better」だなーと思ったら、この曲はビートルズが使ってた楽器、アンプで録音したそう。やっぱりリッケンバッカーとヴォックスの組み合わせは鉄壁ですね。


Theピーズ / ゲロ犬ボウズ

あーあーあーあー、もう、ハルのベースが鳴ってればそれでいい気がしてしまうな。クリスマスイヴにタワレコ限定で発売されたTheピーズのニューシングル(ライヴ会場や通販でも買える)、「ゲロ犬ボウズ」。クリスマスイヴにこんなタイトルのシングルを出しちゃうなんて、これだけで救われます。音も下品で最高。曲はゆるゆるで、手癖ぽいっちゃぽいけど、俺はハルがベースを弾いて歌ってくれればそれでいいや。「ゲロ犬サーフ」のベースには失禁寸前。サイコー。

Freeheat / Don't Worry, Be Happy

ジザメリのジム・リードが結成したバンドFreeheatのEP(ウィリアム・リードはいません)。
音はジザメリの「Munki」あたりのギターロック路線を更にグズグズにしたようなものです。僕はあんまり「Psychocandy」に代表される初期ジザメリは好きじゃなく、後期の方が好きなのでこういう音は歓迎。しかしこのグズグズ感は何なんだろう。だけど骨格が「うた」のみなので、このグズグズ感もドラムスの張り切り具合に反比例するようなその他の演奏のグダグダ感が生み出す空虚感も気になりません。コアなファンが聞けばいいものだけど、ずっとずっとジム&ウィリアム・リードは同じ道を歩み続けてるのですね。それを考えると涙が出てきそうだ。