キャラヴァンの中じゃ一番地味なアルバムですね。デイヴ”出たり入ったり"シンクレアが一旦抜け、スティーヴ・ミラー加入。リチャード・シンクレア君のジャズ志向とパイ・ヘイスティングス君のポップなプログレ指向という方向性の違いが明確に出たアルバム。その方向性の違いが聞ける2曲に尽きると思われがちな今作ですが、僕の場合最終曲「The World Is Yours」、これに尽きます。今一番聞きたくない音楽がギターポップモードのくせにこんなにホロリとくるポップ曲を取り上げる自分の矛盾さに大きな疑問符が中空に舞うようですが、そんなの気にしてたらこの先生きていけないと思うので無視することにします。
カルピスのCMで使われそうなくらい甘酸っぱいギターのカッティングで曲は始まり(俺だったら使うよ、カルピスのCMに)、するとヘタレ全開切なさ満開のメロディをミスター・パイ・ヘイスティングスが細い声でホロロン、サラリンと歌い上げる。まさにカルピス。けれども「The World Is Yours」を幾ら褒めようともこのアルバムの核となっているのは大曲2曲だということに変わりはなく、つまりこの出来が悪かったら価値は薄れてしまうということにもなってしまうのが、プログレバンドゆえの悲しい立ち位置。イエスほどの緊張と弛緩があるわけではないですが、適度な緊張、適度な弛緩、と中途半端に思える音作りながらも中途半端とは思わせないのは歌心ある演奏と歌メロの良さ。特に新加入スティーヴ・ミラーのエレピを中心とした渋旨なキーボードはリチャード・シンクレアとの近づきすぎず、離れすぎずな絡みは絶妙の味を生み出している(ロル・コクスヒルとの共演盤の再発を早く!)。オーケストラと共演した「The Love In Your Eyes」のキャラヴァンの大曲シリーズの中でも質が高くキャラヴァン流「緊張と弛緩」が聞ける一曲となっています。
ジャケの通り灰色で地味ーなアルバムですが、じっくり聞けばいつか好きになるはず。
カルピスのCMで使われそうなくらい甘酸っぱいギターのカッティングで曲は始まり(俺だったら使うよ、カルピスのCMに)、するとヘタレ全開切なさ満開のメロディをミスター・パイ・ヘイスティングスが細い声でホロロン、サラリンと歌い上げる。まさにカルピス。けれども「The World Is Yours」を幾ら褒めようともこのアルバムの核となっているのは大曲2曲だということに変わりはなく、つまりこの出来が悪かったら価値は薄れてしまうということにもなってしまうのが、プログレバンドゆえの悲しい立ち位置。イエスほどの緊張と弛緩があるわけではないですが、適度な緊張、適度な弛緩、と中途半端に思える音作りながらも中途半端とは思わせないのは歌心ある演奏と歌メロの良さ。特に新加入スティーヴ・ミラーのエレピを中心とした渋旨なキーボードはリチャード・シンクレアとの近づきすぎず、離れすぎずな絡みは絶妙の味を生み出している(ロル・コクスヒルとの共演盤の再発を早く!)。オーケストラと共演した「The Love In Your Eyes」のキャラヴァンの大曲シリーズの中でも質が高くキャラヴァン流「緊張と弛緩」が聞ける一曲となっています。
ジャケの通り灰色で地味ーなアルバムですが、じっくり聞けばいつか好きになるはず。