台北の有名観光地のひとつ、龍山寺がある萬華は、龍山寺と華西街観光夜市は有名ですが、地域としてはちょっと寂れた印象があります。でも、以前水運が主な輸送手段だった清朝の時代には、交通の要所で非常に栄えていました。
清朝の時代に作られた街並みは、日本統治時代になると近代的な都市計画のために、古い建物がなくなり、広くまっすぐな道ができて、建物も日本的な近代洋式建築に変わっていきました。しかし、その中で、小学校の建設用地として指定されたために、奇跡的に残った古い街並みがありました。それが、老松小学校の南側にある「剥皮寮」というところです。
剥皮寮の東側は先に修復、改装が終わり、2006年より「台北市郷土教育センター」としてオープンしています。古い建物をそのまま保存、補強する形で、伝統的な文化や生活に関する展示が見られるようになっています。
これはその「台北市郷土教育センター」になっている建物の前の通り。レンガと木がとても素敵な雰囲気をかもし出しています。元々ここは商店街で、一軒一軒別の家ですが、郷土教育センターとなった今は、中に入ると元の建物を活かしながらも全体がうまく繋げられています。
これは角にある元お医者さんの家だった建物の2階です。建物の構造がよくわかるように、鉄骨などで補強しながらも、元の梁などがよく見えるようになっています。
また、建物の傷んだ部分が、その建物の構造がわかるようにわざとそのままに保存されています。壁の構造はこのように竹と粘土をよく使っていました。竹はしなるため地震に強く、土は湿度を吸収するので、風土に合った合理的な建築でした。
台北市郷土教育センターの展示は、子供たちが楽しみながら郷土文化を学ぶことができるように工夫が凝らされています。台湾の伝統人形劇「布袋戲」の舞台もあり、自分で人形を操作してみることもできます。
一番上の写真は、今年修復が終わり、8月29日から一般公開された剥皮寮の西側部分です。清朝の頃の道は、このように狭く、曲がりくねっているのが特徴です。やはり古い街である鹿港などの道もこんな感じです。
今回新しく公開された剥皮寮の西側部分では、8月29日から11月1日まで「剝皮寮藝條通(Bopiarts—Old Street Cultural Festival」という展覧会が行われています。これは、台湾と海外のアーティストが、剥皮寮という古い街からインスピレーションを得て製作した作品を、剥皮寮で展示している、というものです。歴史建築と現代アートの不思議な共演を、ぜひ体験してください。(尾)
・剝皮寮藝條通 日―木10:00-17:00 金、土10:00-19:00 入場無料
(9/7, 9/14, 9/21, 9/28, 10/5休)
台北新交通システムMRT龍山寺駅下車、3番出口から康定路に沿って徒歩5分
http://www.bopiarts.tw/
・台北市郷土教育中心 火―土9:00-16:30(日、月、祝日は休館。ただし、「剝皮寮藝條通」開催中の日曜日は開館) 入館無料
http://hcec.tp.edu.tw
※9月4日(金)の番組「文化の台湾」では、剥皮寮についてご紹介しています。
RTI台湾国際放送の日本語番組は、毎日1時間放送です。「文化の台湾」は放送開始20分後から始まります。