(高津投手、前期優勝を決める一戦で力投!テレビより)
台湾国際放送のリスナーからのお便りでも、台湾プロ野球における今年の関心事は日本のセーブ王、高津臣吾投手の加入だ。その高津投手、いきなりチームの前期優勝の「胴上げ投手」となった!(アウェーだったからか胴上げは無かったが)
11日までで前期優勝までマジックナンバー2としていた興農ブルズは12日、敵地である台南球場で、3連覇中の統一セブンイレブンライオンズと対戦した。ブルズではここ数年不調が続いていた陽建福・投手が先発、1回裏一死で1点を与える立ち上がりだったが、徐々に調子を上げて大舞台でエースの力を発揮、7回1/3イニングを被安打5、1失点に抑えてみせた。二人目のマイケルをはさみ、4対1とリードした9回裏には守護神の高津臣吾投手が登板した。
(ブルズの勝利の方程式。9回には高津臣吾投手がいよいよ登板!テレビより)
(百戦錬磨の高津投手、精悍な表情で打者に立ち向かう。テレビより)
(ブルズ応援のスタンド。左下の「75樹」というのは、背番号75、元日本ハムファイターズの正田樹投手の応援。この日は登板しなかった。テレビより)
(ベンチでは右からブルズを代表する打者、張泰山・選手、元楽天ゴールデンイーグルスのインチェ投手らが戦況を見つめる。6回表、この時点ではわずか1点のリードだが、後に高津投手が控えているからか余裕の表情だ。テレビより)
高津投手はいきなり二者連続安打で無死走者一塁三塁のピンチを招くが、続いて二者連続三振。次打者は幸運なヒットとなって1点献上するも最後はやはり三振で仕留め、さしずめ日本で言われた“走者をためてから後続を抑える”「高津劇場」を台湾で上演してブルズに2005年後期以来の優勝をもたらした。(二位のラニュー・ベアーズは少し前に兄弟エレファンツに敗れていた)
(ヤクルト時代と同じ背番号22番、最後の打者を三振に仕留めてガッツポーズ!テレビより)
(優勝請負人?の役目を果たして会心の笑み。テレビより)
高津投手はセーブ王争いのトップに並ぶ今季13セーブ目。20試合に登板、21回2/3イニングを投げて1勝1敗13セーブ。防御率は2.907に。興農ブルズは2004年と2005年に年間優勝を果たしているが、それ以降前後期とも優勝から見放されており、うれしい前期優勝だ。5年ぶりの年間優勝を目指して後期を戦うことになった。
ブルズの優勝について、多くのメディアは「予想どおり」と報道。と言うのも、台湾のプロ野球では昨年シーズンオフに発覚した野球賭博に伴う八百長事件で多くの選手が解雇・追放されたが、ブルズとライオンズは比較的影響が少なかったからだ。
ブルズは元本塁打王の謝佳賢・選手を失ったが、同じく左打ちで昨年までアマチュアだった呉宗俊・選手を獲得、呉・選手は打率三割と期待に応えたほか、昨年の新人王でMVPの林益全・選手も打率(.365)と安打数(81)でリーグトップの活躍。他選手の成長もあり、昨年と同様の攻撃力を維持した。チーム打率は.288でリーグトップ。
優勝のカギと指摘されているのは投手陣の大幅なパワーアップ。故障で昨シーズンを棒にふった林其緯・投手が完全復活してハーラーダービートップの7勝、また、東北楽天イーグルスを解雇されて台湾に戻って二年目のインチェ(林英傑)投手が全盛期(2004年と2005年には現在は解散した誠泰コブラズで奪三振王のタイトルを獲得)を彷彿とさせる活躍で5勝、昨年の最多勝で奪三振王の正田樹投手(元北海道日本ハムファイターズ)も6勝、前述の陽建福・投手も5勝して復活の兆しを見せるなど先発投手陣が充実した。
そして、リリーフも大幅に改善。沈傑・投手がホールド9としっかりと中継ぎの役目を果たし、今年加わった「守護神」、高津臣吾投手も日本、米大リーグ、韓国プロ野球で優れた成績を残した実力を見せ付けた。チーム防御率は3.05とこちらもリーグトップ、まさに「実至名帰(実績どおりに名がついてくる)」の前期優勝だった。
(スタンドから一気に投げ入れられる紙テープ!テレビより)
(徐生明・監督はベンチからゆっくりマウンドに向かう。久しぶりの優勝だ。テレビより)
徐生明・監督は、「最近、みなの士気が上がっており、処理の難しいボールも良く守った。チームの潜在力が発揮された。すごく感動している」と喜んだ。
少年野球の時代からスターだった徐・監督はプロでは4チームの監督を務めて600勝以上あげた名監督として知られ、中華民国台湾(チャイニーズ・タイペイ)の代表監督として国際大会で指揮をとったこともしばしば。2003年10月に日本の北海道札幌で行われたアジア野球選手権では松坂大輔投手率いる日本には大敗したものの韓国にサヨナラ勝ちしてアトランタ五輪への切符をもぎとり、野球ファンを大喜びさせた。
翌年のアトランタ五輪では惨敗、この時の心労がたたってか徐・監督は腎臓病を悪化させて人工透析をする羽目に。11月には弟からの腎臓移植を受けて「台湾プロ野球史上初の片方しか腎臓の無い監督」となった。プロ球団の監督としてはすでに解散した味全ドラゴンズ時代の1991年前期、1996年後期、1997~9年の年間王者三連覇などの優勝経験があるが、それ以降では初めてとなる久々の優勝だ。
(優勝の集合写真撮影でもうれしそうな高津投手。テレビより)
(グランドではシャンペンの掛け合いが。高津投手も当然逃げられない。テレビより)
徐・監督の言うように、ブルズのこのところの試合を見ていると守備でのファインプレーが多い。台湾プロ野球は今年、新規採用したボールの関係で本塁打が激減、昨年比で五割以上減っているという。しかし、派手な本塁打は減ってもナイスプレーがあれば観客は喜ぶ。さらに後期は「もう少し飛ぶ」ボールに変更されることに決まっており、本塁打の魅力も戻ってこよう。
八百長事件の暗雲から抜け出そうとしている台湾プロ野球。現在、日本人選手を擁する唯一のチーム、興農ブルズが中心となって新時代を切り開いてもらいたい。(U)
※ YouTubeに優勝決定の動画が公開されています。(熱心な人がいるものです!)
ぜひご覧ください!
0分51秒 高津投手と徐生明・監督が握手(高津投手の前は正田投手です)
1分08秒 高津投手のアップ
1分56秒 ベンチの奥にいったん戻る高津投手(後姿)
6分13秒 最後のバッターを三振に仕留めてガッツポーズ!
http://www.youtube.com/watch?v=pAuR0Y6KF7s
※ 今年2月、入団記者会見を報じた動画。期待通りの成績をあげていることに。
http://www.youtube.com/watch?v=bGdVrihGlrA
※ 6月6日の神がかったリリーフについての記事はこちら
http://blog.goo.ne.jp/rtijapaneseblog/e/f2a6322002ae1f4797653437dd11d9b0
高津投手は年齢面での不利、慣れない台湾での生活、日本に比べて劣る練習と試合の環境という苦しい条件の下で高いレベルのプレイを続けており、その奮闘振りには感動します。
後期も高津投手の動向には常に関心を払ってまいります。応援しましょう!
高津さんblogから飛んできました。詳細なレポありがとうございます!!
満面の笑みの高津っちゃん。。はぁ~いいですね~最高ですね~