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中国大陸が選んだ最も影響ある文化人 テレサ・テン

2009年09月15日 21時49分50秒 | 台湾ニュース

 日本でも言わずと知れた、台湾出身のアジアの歌姫、テレサ・テンさん(本名・麗君)。1960年代から80年代にかけて、アジア中を魅了したトップスターでした。
 1953年、台湾中部の雲林県に生まれたテレサ・テンさん。そのずば抜けた歌唱力は幼い頃から広く知られ、10代のうちから、台湾と香港を中心に華々しく活躍、1970年代に日本の歌謡界でもデビューを果たし、80年代には、押しも押されぬ大スターの地位を不動のものにしました。
 1995年、持病の喘息のため、42歳という若さでこの世を去りましたが、彼女が残した歌は今なお、国境を越えて多くの人に愛され続けています。

 テレサさんは今、台湾最北端にほど近い、台北県・金山の小高い山の上に眠っています。墓石の前には、永遠の歌姫、テレサ・テンさんを象徴するような、大きなビアノをかたどったオブジェがあります。

※上の写真。鍵盤の上に乗ると(かなり大きいので!)、実際に音が鳴る!

  
 さきごろ、北京当局の国務院新聞弁公室がインターネット上で、中共の中華人民共和国成立以降、最も影響力のある文化人を選ぶアンケートを行いました。
 これは、今年が中華人民共和国成立から60年目に当たるため、お祝いムードを盛り上げる活動の一環だったようなのですが、一ヶ月以上にも渡る受付期間中、合計2400万票近い投票を経て一位に選ばれたのは、なんと、ハリウッドで活躍する中国大陸の俳優でも、国際的に知られる中国大陸の作家でもなく、既に亡くなっている台湾の歌手、テレサ・テンさんだったのです。

 テレサさんは、二位の王菲(フェイ・ウォン、中国大陸の人気女性シンガー)に100万票以上もの差をつけて、堂々のトップとなりました。


アンケート結果を大きく伝える台湾の新聞(2009年9月3日 中国時報)

 両岸対立がまだ激しかった時代、テレサ・テンさんは、中華民国国軍の慰問や、中国大陸向け宣伝活動に積極的に参加していました。
 また、テレサさんの歌は、海外の情報や表現の自由が厳しく制限されていた改革解放以前の北京当局に、「人民を惑わす退廃的でみだらな歌」とみなされ、中国大陸内での放送はもちろん、カセットテープの販売や所持なども禁止されていました。
 ですが、中国大陸の人々は、台湾から放送されるラジオを聴いたり、当局の目を逃れてカセットテープなどを入手してテレサさんの歌を聴き続け、多くの人々が、テレサ・テンさんの、自由で美しく、モダンな歌に熱狂したと言います。

 1989年に天安門事件が発生した際には、テレサさんは、周囲の反対を押し切り、香港で行われた講義集会に参加。アジアの大スターで中国大陸にも多くのファンを持つテレサさんのこの行動は、国際的にも大きく注目されました。
 いつか、両親の生まれ故郷である中国大陸でコンサートを開きたい、と願っていたテレサさんにとって、天安門事件は、人生を一変させるほどの大きな衝撃だったと言います。

 そういう意味では、北京当局にとってテレサ・テンさんは最後まで、「歓迎されざる」文化人だったのかも知れません。
 しかしそれはまさに、一度も中国大陸の地を踏んだ事もなく、死後10年以上も経っていながら、今日の中国大陸の人々に「最も影響力のある文化人」に選ばれるという、その絶大な魅力と影響力ゆえでもあったのでしょう。

 テレサ・テンさんのお墓には今も連日、多くのファンが訪れています。海外からの参拝者も多く、守衛さんの話によると、日本からが最多、次が香港、たまに東南アジアからやってくるファンもいるそうです。また最近では、中国大陸からの団体ツアーがコースで回ってくる事も増えたんだとか。

 テレサ・テンさんの眠る場所からは、日本へと繋がる美しい日本海を一望する事ができます。
 波乱万丈の人生を送ってきた歌姫、テレサ・テンさん。きっと、生まれ故郷のここ台湾から、思い出のつまった日本を海の向こうに臨みながら、安らかに、愛する歌を歌い、過ごしている事でしょう。(華)


墓地からのぞむ美しい風景


テレサ・テンの眠る場所は、「テレサ・テン(麗君)記念公園」となっている



休日に記念公園を訪れた家族。
「筠園」とは、テレサ・テンさんが「麗君」と改名する前の一番初めの名前「麗筠」に由来する。
(中華社会では名前を変える事は珍しくない)

 

9月15日の台湾ソフトパワーでは、中国大陸でのアンケート結果にちなんだテレサ・テンの話題をご紹介しています。
台湾ソフトパワーの放送は毎週火曜日の30分目から10分間。
9月15日の放送はオンデマンドで9月22日まで聴取できます。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
テレサ・テンさん (万太郎)
2009-09-16 17:57:02
はい、私もテレサ・テンさんの歌が好きでした。
楽神ミューズと多くのアジア人から愛された人でしたね。
亡くなってからもYouTubeなどに動画のアップは続いており今でも根強い人気があります。

その後、台湾からシンガーは出ていますか。
F4とかアー・メイさんとか名前は聞こえてきます、後に続く彼ら・彼女らも日本でもブレークする日を待ってます。
映画スターでは金城武さん、大人気ですよ。
韓流(?)といいますが『台流』もブームになってほしい。

ところで88水災被害者達の生活は着実に復興しているのでしょうか?
情報が少なくなりました、継続してフォローして欲しい。

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テレサ・テンさんと88水災 ()
2009-09-16 20:42:02
万太郎様

コメントありがとうございます。
日本の芸能界で活躍したり、日本にも多くのファンを持つ台湾の芸能人は少なくありませんが、テレサ・テンさんのように「日本の国民的スター」にまでなっている人は、残念ながらまだ出てきていない気がしますよね。
やはりテレサ・テンさんは別格、数十年に一人の逸材、という事なんでしょうか。

88水災の件、日本からこうして気にかけて下さっている方がいるという事、大変嬉しく心強いです。
一般のニュースなどでは、衝撃的な時期が過ぎてしまうとあまり報道されなくなってしまうんですよね。
休日を利用して何度か被災地を見に行っていますので、近いうちに、避難生活者の状況や現在の復興状況について番組にまとめたいと考えています。

ちなみに、先に少しだけお話しますと、当初公民館などで生活していた避難者の大部分は国軍の宿舎などに移り、また損壊した道路や橋、鉄道も9割以上が再度開通しています。

ですがそれはあくまで数字の上での事。
交通インフラは、鉄道を除いたほとんどが、応急措置によって「とりあえずは通れる」という状況です。
また避難生活者からも、「よそ様の所にごやっかいになっている」という申し訳なさと、今後の生活への不安を抱え、不自由な日々を送っているという話を聞きました。

国内外の関心も次第に薄れていくと、被災者の不安や孤独感はより大きなものになるでしょう。
これからも被災地の状況に関心を払い、被災者の声に耳を傾けて行きたいと思っています。
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