
5月1日に中国大陸・上海で開幕した上海万博も、今月末で閉幕となります。
情報も交通も高度に発達した21世紀のこんにち、特に先進国では万博への関心は昔ほど高くはなくなってきていますが、それでも、万博がなくなる事はありません。
万博は、普段はメディアを通してしか触れる事のできない各国や各都市、企業などの文化や技術の真髄を、一般の人々がいちどきに直接目にし共有できる貴重なチャンスとして、また、世界中の人が共に楽しむ事のできるグローバルな娯楽として、受け継がれています。
台湾は今回、1970年の大阪万博に出展した中華民国パビリオン以来、実に40年ぶりに、万博に参加する事となりました。
その背景には、1971年の国連脱退、そして、それと前後して、世界の多くの国々との外交関係がなくなっていったという政治的な事情がありました。
今回の上海万博への参加は、両岸関係の改善を反映した一つの結果でもあると受け止められています。
上の写真:
40年ぶりの万博で台湾をアピールした台湾館。球体に映っているのは電音三太子
台湾館は、国家・地域・組織エリアの入口のすぐ近くに位置しています。
広い会場内に200を超えるパビリオンがひしめく上海万博、一日で3館程度参観できれば十分だと言われています。
という事は、万博会場まで足を運んだものの、その外観すら目にせず、存在さえ気づかないパビリオンの方がおそらく多い、という事になります。
そんな中で、「入口近く」の台湾館は、かなりお得なポジションです。
入口からアジアエリアに向かうとすぐ目に入る台湾館
球体オーロラビジョンには常に台湾の紹介映像が流されている
これは台湾名物、台湾バナナ
21世紀の万博というだけあって、各パビリオンはどれもかなり趣向をこらした設計になっていますが、このように、中に入らなくても外から十分楽しむ事ができるパビリオンというのはそう多くないはずです。
途切れる事無く映し出される躍動感溢れる球体上の映像に、道行く人はみな、足を止め見入り、熱心にビデオやカメラに収めていました。
台湾館自体はとても小さく、一度に収容できる人数に限りがあるため、入場はかなり困難です。
ですが、その分、できるだけ多くの人に台湾をアピールできるようにと、とてもよく考えられた設計ではないかと思います。
やっぱり台湾と言えばグルメ?
こちらは屋台料理の代表格、担仔麺
ところで、この台湾館の形、ちょっと変わっていると思いませんか?
これは、台湾の小正月に願い事を書き込んで空に飛ばす「天灯」を象ったデザインなのです。
天灯が一斉に空に放たれる様子
夜になるとひときわ輝くこの美しい映像にあちこちからため息が
幸運にも台湾館に入場できた参観者は、3Dのバーチャル天灯を飛ばす事もできます。
また、720度の球体劇場に入っての、まるでタイムスリップしたかのようなリアルな映像は、台湾館の一番人気のアトラクションです。
さて、万博まで行ったけれど残念ながら台湾館に入れなかった、という方、また、上海まで行く予定はないけれど、台湾館にはちょっと興味がある、という方、ご安心ください。
万博終了後、台湾館は、台湾の北部・新竹市に移設される事が決まっています。
移設にはまだしばらく時間がかかりますが、将来的には、周辺にホテルや国際会議場なども備えた一大観光地として、新竹の新しいランドマークになる事が期待されています。
万博の行列を避けて、台湾に帰ってきた台湾館をゆっくり楽しむ、というのも一興です。
40年ぶりの万博参加で世界中の人を魅了した台湾館が、台湾の地に根を下ろす日を楽しみに待ちたいと思います。(華)
主催者である中国大陸の巨大な「中国館」
中国館と同じ敷地内には、香港館・マカオ館が小さく並ぶ
(右隣、うっすらと白いウサギの頭のように見えるのがマカオ館)
台湾館の位置はすったもんだの末、通りを隔てて向かい側となった
華やかな万博の影にもやはり政治が垣間見える
10/6の「ようこそT.room」では、蔡依林の歌う台湾館の主題歌と共に、台湾館や万博の様子について詳しくご紹介しています。
↓10/6の日付からどうぞ!