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南部・高雄で開催中のワールドゲームズ。オリンピック非採用のスポーツを集めた世界的なスポーツ大会だ。16日夜に行われた開幕式はその特色豊かな演出で内外から絶賛された。この中で外国人はもちろん、台湾の人たちをも驚かせたのが「電音三太子」だ。第二部『全ての人の祈り』で照明の落ちた会場の四方八方から50人の「電音三太子」がスクーターに乗って現れると、台湾の人たちは「世界中の人たちが見ているこの場でここまでやるか!」と半ばあきれながらも、「これこそ台湾!」といかにも痛快だという笑顔を見せた。(上の写真は開幕イベントに登場した電音三太子。衣装にはこれも台湾の専売特許、LEDランプがちりばめられている。 写真:CNA)
スクーターを下りた「電音三太子」たちはテクノ調の音楽にあわせてクネクネと踊りだし、観客を大喜びさせた。では、この「電音三太子」とは一体何者?
まず、「三太子」とは中華民族の伝説上の人物、哪吒(ナージャ、ナタとも)のこと。ナージャは神の兵を率いる少年神で、二つの車輪がつながった乗り物(風火二輪)を駆り、移動が素早いのが特徴。このため、タクシーやトラック、観光バスの運転手たちに信仰されている。台湾における道教の神様の誕生日を祝ったりする「廟会」(縁日のようなもの)では、大きなお面をかぶり衣装を着て「三太子」に扮した人が大股で練り歩くことがある。あくまでも伝統的な活動であり威厳の漂う行進なのだが、頭でっかちの扮装は何だか可愛らしい。そのためか、数年前から新たな「三太子」、「電音三太子」があちこちに出没するようになった。
ここでいう「電音」とはテクノっぽくダンスミュージックにリミックスされた楽曲。「電音三太子」はそんな、いわばディスコ調の曲に合わせて激しく踊りまくる「三太子」なのだ。数人で現れてそれぞれが異なるステップで踊っていたかと思えば、要所要所で動きをピタリと合わせてくるユーモラスなダンスで伝統的な「廟会」に新風を吹き込んだ。頭が大きいのでダイナミックな動きは苦手、チマチマしながらも(セコい?)、スピーディーでキレのあるダンスが特徴だ。顔の色は白、肌色、金、黒、赤などいろいろ。背中には五本の旗を扇状に立てているが、別の神様も加わっているようで全く異なるデザインも。
(9月開催の台北デフリンピックに向けてのパレード。真ん中のカエルはデフリンピックのマスコット。スターウォーズのキャラクターと共に、後ろ両側には電音三太子も。写真:CNA)
そして彼らは「廟会」を抜け出し、さまざまなイベントに呼ばれては自慢のステップを披露するようになった。こうなるともうちょっとした「獅子舞」の状態だ。当初は伝統的な風習を壊すものと眉をひそめる者もいたが、とにかくみなが一体になってその場が盛り上がる。伝統と宗教、青少年のサブカルチャーが結合したものとして広く社会に受け入れられているのだ。今では台湾全域に「電音三太子」を組織する企業や団体が数多くあり、特に子供が扮するものは「ミニ版・三太子」として各地に笑いと活気をもたらしている。本気か冗談かわからないような台湾のきわめてローカルな文化の一つ、「電音三太子」はこれまでにも10月10日の中華民国双十国慶節、元宵節のランタンフェスティバルなどに登場してきたが、このほどついにワールドゲームズという国際的な舞台に登場、世界の人たちの目を「点にした」のだ!
(留学生たちのドラゴンボートレース・チームと写真におさまる電音三太子 写真:CNA)
台湾を旅行中、「廟会」に出くわしたり、何かのイベントを見物したりしたならば、「電音三太子」たちに会えるかもしれない。その時は恥ずかしがらないで一緒に踊ってあげよう!(U)
「神様を冒涜する」と意見がある一方「神様はフレンドリー」という意見があるのも事実。
思えば、日本神様「天皇陛下」もフレンドリー。
日本と台湾が一心同体である事がわかります。