男子新体操のブログ

男子新体操の普及と発展を願う人のためのブログ

ジャーナリスト椎名桂子さん インターハイ スポーツナビありがとうございます。 

2006年08月30日 | インターハイ
スポーツナビ

椎名桂子 スポーツナビ より

「男子新体操」その魅力とは?(1/2)

2006年08月13日

 男子新体操をご存知だろうか。
 新体操といえば、「技と美を競う女性のスポーツ」という印象が強いに違いないが、ここ数年、男子新体操への注目も徐々に集まってきている。男子新体操と聞くと「えー? 男が新体操?」と奇異のまなざしを向けられることも少なくないが、一度、男子新体操を見てみるとその先入観は覆されるに違いない。
 特に団体は、そのアクロバティックな動きが、観客の目をひきつけ大喝さいを浴びるようになってきている。ここ数年の全国高校総体では「女子をもしのぐ」と言われるほどの人気種目になってきているのだ。

女子との違い
 男子新体操の団体競技は、女子とは違い手具を使わず徒手で行う。女子が5人1チームなのに対して男子は6人と人数も違う。女子新体操の団体の場合は、体の動きと手具の交換などが織り成す複雑なコンビネーションが見どころとなるが、男子の場合は手具がない。すべて6人の体だけで表現することになる。
 そのため、6人の動きのそろい方は半端ではない。後方転回(いわゆるバック転)も跳び上がるタイミング、空中での体のそり具合、着地のタイミングすべてが「ぴたっ!」とそろうことが要求される。技術の高いチームの演技では二人、3人が並んで演技していても(横から見ると)一人にしか見えないことも。手具を持って動くことが必要な女子の新体操ではそこまでの同調を見せることは不可能に近いが、男子新体操にはそれがあるのだ。
 さらに、最近の男子新体操の団体では、人の上に人を乗せるアクロバティックな見せ場が増えてきた。運動会の組体操の「やぐら」を思い描いてほしい。あれに近い、いやそれ以上のことを演技の中でハイスピードで動きながらやってのける。チームよってはその大技を1回の演技(2分半~3分)の中に何回も入れているのだから迫力あることこの上ない。

椎名桂子 スポーツナビ

「男子新体操」その魅力とは?(2/2)

2006年08月13日

「美しい新体操」の青森山田
 惜しくも優勝を逃した青森山田の荒川栄監督は「減点される原因を作ったのは自分たちですから仕方ありません」と淡々と語った。しかし、青森山田特有の「美しい新体操」には、これからもこだわり続けたいと言う。青森山田の繊細な表現は、男子が取り組むには、照れや抵抗があるのでは? という質問には「ジュニアのころから新体操をやっている生徒も増えてきたので、高校でも続ける気持ちを持っている生徒は、そこはクリアしてきています」という答えだった。さらに、男子新体操の名門である青森大学にも近いことから、より美しい新体操、良い演技に触れる機会も多く、そこからたくさんのものを吸収するようにしているとのことだった。



コミカルな演技が人気の鹿児島実業
 また、今回は9位に終わった鹿児島実業も着実に力を付けてきている。これまでもピンクレディーやモーニング娘。の曲を使ったコミカルな演技で会場の一番人気だった鹿児島実業。樋口靖久監督に、あの独特な演技はいつからどんなきっかけで始めたのか聞いてみると「うちは強いチームではなかったのでインターハイも毎回は出られなかった。だから、たまに出たときくらい印象に残る演技をしたいと思って考えました」という答えが返ってきた。
 会場の笑いを誘うような選曲や振り付けに、当初部員たちは躊躇(ちゅうちょ)したという。しかし、いざ観客の前で演技したときの観客の反応に自信を付け、今では自分たちでもよりアピールできる動きを考え、提案してくるようになったのだそうだ。その一方で「鹿実で新体操をやりたい」という生徒も増え、それがレベルの向上にもつながってきた。「せっかく力のある選手たちがいるのに、あまり笑いに走るとちゃんとしたことをやっても点数もらえなくなるから今回は控えめです(笑)」と樋口監督は言った。確かに笑いに走らなくても十分印象に残る、レベルの高い演技をする力を今の鹿児島実業は持っていた。
 しかし、個性を捨てたわけではない。キューティーハニーに始まりキャッツアイで終わるアニメソングメドレーにのせた今年の演技も、やはり会場での人気は一番だった。会場を沸かせるコミカルな動きに加えて、さらに音をよく生かした細かいキレのいい動きと絶妙の間が素晴らしいパフォーマンスを生んでいた。「ビデオを早送りされない演技をしたかった」と言う樋口監督の思いは生徒たちにも浸透し、男子新体操をエンターテインメントの域に近づけてきたのだ。

 2008年度を最後に国体種目から姿を消すことが有力な男子新体操。大きな目標となっている大会が一つ減ることで競技全体が受けるダメージは大きい。しかし、その逆境がさまざまな個性を生み、この数年の男子新体操を飛躍的に進化させている。テレビ出演などでも、積極的に男子新体操メジャー化への熱意をアピールし、なによりも演技を通して男子新体操の素晴らしさを伝えようという思いが感じられる。
 エンターテインメント性と個性にあふれた男子新体操、これからぜひ注目してほしいスポーツである。

<了>

コピーさせていただきましたが、多くの人に読んでもらうためにリンクをはりましたのでそちらで見てください。ご迷惑あればすぐ削除します。

ダンシングヒーロー

2006年08月23日 | Weblog
ダンシングヒーローという映画がある。社交ダンス(現在ボールルームダンス)を舞台にした映画である。映画の出だしから、エピソードとして、今までの社交界ダンスに新しいステップやリフトで、観客を沸かせた。しかし、「あんなことをするなんて」という廻り(協会や審査員)からは認められない評価だった。主人公は新しいパートナーとともにあきらめず、新しいステップの開発を進める。終盤に最高の競技会で会場をあっといわせるステップを行い、会場を喝采で埋め尽くす。
今までの演技でいいのか。自分の演技を訴えかけるように踊る。
競技として、ルールがあり、採点されて得点を争うものである。
その主人公の演技構成に信念を見ることができる。

演技を評価し採点によって順位を決める競技のことを採点競技という。男子新体操もその採点競技である。
「井の中の蛙」という言葉がある。世間を知らずに、小さな井戸の中の世界だけしか見えないこと。
男子新体操は、まだ井の中の蛙であるが、どんどん違う世界を吸収し、世界に向けて発信してほしい。(方向性を間違えないでほしいが、それはルールや審判員の得点によって左右されることが多い。)

現役選手は、これから益々新しい男子新体操の方向性を生み出していくに違いない。それはルールや採点の評価があってのものだが、もっと個性を発揮してほしい。

一つの例として、荒川静香がオリンピックで優勝したように、ルールには難度としてとられないような『イナバウワー』という構成を演技に組み入れていた。また彼女はそれにこだわっていた。観客もその演技に見とれて拍手を送る。

この映画に限らず、ブレイクダンス、バレエ、エアロ、アクロ、ミュージカルなど演技作りのためのヒントが数多く存在すると思う。また、コーラスライン、ウエストサイド物語、フラッシュダンスなどのダンス映画にも個性的な演技作りのためのヒントが隠されている。
世の中にあるいいものはどんどん吸収して、更に進化した男子新体操にして世界に羽ばたこうではないか。