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ロイス・タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

ヴェローナ劇場

2019年05月22日 | 花鳥風月雪女


1985年7月16日は、古代ローマ時代に建てられたヴェローナ劇場前にいた。
アレーナに通りかかったとき、スフィンクス像が組立て最中であったが、
二万五千人が入る円形劇場でトゥリオ・セラフィン氏の「ジョコンダ」を
歌ったマリアカラスは、1947年24才の時である。
タンノイ・スピーカーとマリア・カラスはセットになっているが、
いまだマリア・カラスをタンノイによって聴いていない人は幸運だ。
初めにして妙なる歌声が聴こえ、オペラ通の間では「BC」と言えばカラス以前、
「AC」と言えばカラス以後である、と言われるその歌声とは?
そういえば『タンノイ・モニター15』も、1947年に初めて工場出荷されている。
夜勤明けを、平間の公民館にまかりこしたのは、はたちのころであったが、
ピアノ発表会ワンシーンの撮影を、断れなかったためである。
当時はまだフラッシュバルブで、一発必中。
撮影も無事に済んでプログラムの終わりに、
ご近所の音大生という人の御登壇があった。
独特のソプラノであるが、傍のご婦人が「声がつぶれている」と評される。
いや、決してそんなことはない、良い個性である。
夜勤明けの耳にAC、BCは不明ながら、バッ!とフラッシュバルブを焚いた。
舞台の女性はもうワンカット必要らしく、バルブの光るのを待っておられる。
四方より 花吹き入れて 鳰の波
2016.6/20

マイルス パリ・フェスティヴァル

2019年04月27日 | 花鳥風月雪女


花壇の梅の古木に、
青でも黄色でもないシオカラトンボがいる。
羽根が新品で透明すぎて、胴体しか見えない。
そのとき台風は、日本海に抜けつつあるが、
中世の遣明船も、せっかくの積荷を難破で失うこともあった。
1451年の7月、9隻の船団が国書をたずさえ明に向かっている。
大名斯波氏もチャーターしているという。
硫黄39万斤、銅15万斤、蘇芳10万斤、馬、鎧、
かぶと、刀1万本、扇100本、蒔絵物600などを積み、
明の国から、銅銭6万貫、緞子500疋、白金、化粧錦、
糸、羅、紗、彩絹、蛇皮50張、猿皮千張、虎皮50張、
熊皮30張、豹皮30張、目を驚かす華麗珍奇の品多数、とある。
交易は、いわゆる儲かったであろうか。
1949年パリに向かったマイルスが国際ジャズ祭に
タッド・ダメロン・グループとライヴをした盤も、交易の一種。
Be-Bop時代の演奏も、かえって新しく聴こえる。
このころ、ゆっくりテンポのナイト・イン・チュニジアも味が良かった。
2015.7/17
柱の無い広い部屋に、百人が朝堂院さながら静かに事務を執っており、
一階下がったところも、また百人同じ様相で、角に小さな応接室があった。


初春の梁塵秘剣

2019年04月18日 | 花鳥風月雪女


タンノイで 遊びをせんとや ひつじとし
タンノイの音で梁の塵も動いたという
五味邸の写真をいただいた。
正月三日は、月見坂を登って本堂と釈迦堂を初詣、
奥大道四号線を途中から参詣コースに入る。
駐車場は満杯であるが、小山の上から見渡している係が、
要所に携帯無線で空きスペースを教えている。
杉の大木のあいだから、陽が射して風も無く、
凍っている坂に、靴がすべりやすい。
集団から遅れつつ、ゆっくり登って、
途中の広場から、眼下に広がる衣川と北上川を見た。
西行も芭蕉も、義経も頼朝も見ていた、歴史的風景。
2015.1/4
飛脚便到来のタラバ蟹、母屋にて食す、かたじけなし。

Know What I Mean?

2019年04月06日 | 花鳥風月雪女


モデルガン・ショップは秋葉原の裏町の、
人の途絶えた暗いビルの二階にあった。
振り返ると、傍の女性は怪しんで階段を踏む足を急にとめ
一歩も動かず様子を窺っている。
だいぶ昔のことであるが、偽物でも精巧なモデルガン店を、
ついでにいちどは探訪したいと思ったまでのことである。
陽気の緩んだ午後、2台の車に別々に乗ってきた女性達が、
休憩したいそうだが、むかしのモデルガン・ショップのシーンを思い出した。
ジャズに興味はないとは、飛んで火に入る春の虫。
ロリンズがブワッとはじめるとマックス・ローチが激しいドラミングで調子を揚げる
ST.THOMASを、ひさしぶりに聴いてみたところ、やはり、タンノイはお見事である。
なにげに時間をつぶすに、当方の喫茶はどうかと思うが、
ひとりゆっくりジャズを楽しむには、C・ADDERLEYのアルト・サクスも良い。
エヴァンス・トリオに迎えられて、ロリンズと違う展開をクールに奏するアダレイは、
もう一人の学者のようでさえあった。
右腕と左腕を左右に直線に広げたときのほぼ前方が、我々の視界であるが、
タンノイによってまだ見ぬ景色を見たひとは、幸運である。
2014.4/7

露地

2019年03月13日 | 花鳥風月雪女


きょうの日経平均は1万4千776円
他人の懐中ながら
2万6千円まで昇った日本を見たい。
二メートル四方の露地に飛び石を五個置いてみた。
芭蕉月待ちの露地
2013.9/23

空蝉

2019年03月04日 | 花鳥風月雪女


おっと、坪庭の松の木陰にセミの抜け殻。
控えめで慎み深く、
小柄なそれほど美貌というのではない。
立ちい振舞いがあざやかで趣味も良い『空蝉』は、
薄衣一枚を脱ぎ残して寝所から逃げ去っていたと。
源氏物語の初めに登場する人物で、
おおむね作者の擬態か期待と、蝉の抜け殻を見る。
源氏が空蝉に出会った偶然は
「かたがたえ」という平安人の行動理論からであったが
現代でこれをやると、ようするに回り道なので
他人には話しても混乱するだけだが、
けっこうやっているひとがいる。
むこうにいくまえに、こちらに寄るのも
「かたがたえ」かや。
レコード盤も、人によっては空蝉にちかく、
SPUも各種が蝉である。
きょうは50年代の、いずれの盤にするか、
それともかたがたえで、まず、ビバップがよいかな
なんちて
2013.9/3
廊下のウサギも、空蝉のように2日ほどじっとしていたが、
わるいものでも食べたか?
半目でいびきをかいたり、寝言を言うウサギは清少納言か。


旅の空

2019年03月01日 | 花鳥風月雪女


タンノイの音は、枕をそばだてて聴き、
香爐峰の雪は簾をかかげてこれを見る
平安時代は、遠方に住むひと、古都平泉を和歌に詠んでも、
じっさいに束稲山のサクラを観ることは難しかった。
あるとき、小雨にけむる北上川対岸を走って、
いまでは平らな農地になっている束稲山下を抜け、
柳之御所遺蹟を初めて見に行った。
横断歩道の傍に無断駐車したこの柳之御所は、
大きな堀に囲まれ、長屋王の建物にも似た豪華な書院や
池や築山などの跡があった様子が想像されて、
歴史に浸る気分の一刻は申し分ない。
御所の傍らを流れる北上川と、対岸の束稲山の間にも
武家屋敷や町屋が並んでいた記録があるが、
当時人口15万ともいわれる人々の経済生活はどのようなものか。
かりに、板葺き家並が千戸も再現されて、どれでも一泊素泊まり三千円。
そこにおじゃまして夜鳴きそばでも食べながら、
芭蕉は二泊したらしいから温泉でも入って一句詠む。
おもしろや ことしの春も 旅の空
2013.6/27

野鳥

2019年02月28日 | 花鳥風月雪女


昔、お世話になっていた寮で彼はブランデーを手に、
ガモフやアシモフやマルコムXを社会に出てまもない当方に話してくれたが、
ひとはみな、こころに宇宙を持っている。
ガモフ氏とは天文物理学者で、我々が暮している宇宙に年齢が有り
原子背景放射の色温度を測れば過去と未来の寿命がわかる
と言ったような気がするが、
またアシモフ氏とは科学者兼小説家でロボット工学の先駆者。
マルコムX氏は黒人公民権運動家で
「ニーチェ、カント、ショーペンハウアー全て読んだが
どうも彼らは、さして重要でない議論に無駄をしている」
と言った。
では、一足飛びにフェーズが移動して、
当方の母屋の庭や二階から観察する野鳥世界は、
黒沢橋と新国道橋の一角に納まって季節のうつろいを見せている。
日々観察した移動物体を、組写真にしてみたのである。
1.子供の時、太陽を我慢して一分間肉眼で見ると、光球が七色に変色していた。
2.飛行機雲はマイルド煙草の広告がやはり優れている。
3.白鳥は列になってシベリアから飛んで来るらしいが、最近疫病が言われ息を止めて上空を見る。
4.モズは肉食で獲物を木の刺に射し貯蔵する、メスのみが抱卵する。
5.ピーヒョロヒョロと鳴くトビは、高空を円を描いているが人間のアブラゲを攫うこともあるという。
6.ハヤブサは小鳥を狙う肉食で、空の一点に止まっている。急降下の時速は380キロを出す。
7.ヤマドリは柿本人麻呂の歌に「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」とある。
8.オナガはカラスの仲間で集団行動し、鳴き声も多彩。
9.ヘリコプタは滑走路がいらない。ドイツ人が飛行体を実現し、アメリカに亡命したロシア人シコルスキー博士が実用化した。
10.ツバメはカラスを避けて民家に巣を造る?
11.ヒヨドリは人に馴れツバキの蜜や青虫などを食べる。まれに集団になると農作物を荒らす。
12.カラスは、手強い。
13.ヒバリは、大伴家持が万葉集に『うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しも独りし思へば』と詠んだ。
14.オニヤンマは、あのスズメバチを捕まえて食事する。
15.ウグイスはオスが啼いて縄張りを守り、メスがヒナを育てる。
16.カモは集団で水辺に生活しているわけがある。
17.セキレイは尾羽根を上下にゆらし、クモや昆虫を食する。
18.ホトトギスは目の周りに黄色の輪をもち、トッキョキヨカキョクと啼く。平安時代、夜に厠に行くと闇に鳴き声がして怪しまれた。
19.スズメは、子供の時、庭に米を撒いて籠をかぶせ捕まえたが、捕まえたあとが面倒だ。
20.ツグミは口をつぐんでいるが、野生姿に見栄えが有る。
21.シジュウカラは黒い帽子を被って庭に立ち入ってくる。
22.カケスは雑食で周囲の擬音を真似て啼くこともある器用な鳥。
23.雁は月の夜に鉤形の隊列で飛び、伊豆沼でも見るが禁猟。
24.キジは付近の河川敷に住み、繁殖期にかん高い鳴き声がよく聴こえる。
25.ヤマバトはデデッポッポと啼いて、羽根がきれい。
26.アオバズクは夜行性の敏捷な猛禽。遠くの森でホーホーと鳴き声がする。
これらの対象に双眼鏡はニコンの12X36を使い、手持ちで視界がグラグラする限界。
ほかに野生の熊も早朝に山から磐井川を降りてきた噂があったが、それを見たときは危ない。
タンノイは良い音であるが、このようなものが周囲には生息している。
蝶鳥の 浮つき立つや 花の雲
2013.6/6

映画館

2019年02月27日 | 花鳥風月雪女


当方が大町に住んでいた頃、
150メートル離れたところに裕次郎や小林旭の
出ずっぱり映画館があった。
かりに京都の地図でその住家を四条烏丸にあてると、
映画館は四条大宮である。
良く見た映画館は、京都駅から少しさがった東寺のあたりで、
シェーンのラストでズドーンという拳銃が凄く良い音の、星座名の館である。
磐井川を桂川に見立てると、西院の付近に三軒、
そうそうたる映画館が有り、西京極にも時代劇専門の映画館があった。
このように、以前は六軒の映画館があったが、
テレビが普及し、誰も自宅で小さな画面で映画を見るようになったので、
少なからず本物は閉館されてしまった。
オーディオも、いまでは耳にイヤホンを差し込んで、
一般的に聴いているのは知っている。
油断のならないのはこのような時代の流れである。
以前客人が、一関にもうひとつ西五条大路あたりにも
映画館があった、と話してくださった。
「製糸工場で働いていた女工さんが大挙して押し寄せる映画館で、
蚕の匂いでいっぱいだったね」
レコードを聴くのに、そういえばプレーヤーと針が必要だが、
先日会報を配布する御仁のお話はこうである。
「チゴイネルワイゼンを聴こうと昔のプレーヤを押入れから出し、
ソニーの針を取り寄せたら、五千両でした」
そうこうしているとジーンズでショーを仕切っているBS番組の、
良く似たご婦人が「ここは何のお店か」と申されている。
針を使ってレコードを聴く店ですがな。
目にかかる 時やことさら 五月富士
2013.6/1


『夜のガスパール』

2019年02月22日 | 花鳥風月雪女


バルザックの短篇音楽談義のなかに、
「リュリがフランスに着いたころ、ドイツで音楽をわかっていたのは
ゼバスティアン・バッハだけだった」
と書いてあると。
廊下の日溜りで新聞に眼を通しながら、
最初のページの左下段にクスッとやったりする。
そのとき、小さな築山に野鳥がわざとバサバサ音をたてて飛んで来るのは、
パン屑のおこぼれを、よろしく催促しているのである。
音楽がわかる、という意味はともかく、
当方はラベルの作曲した、ひとつの至高の難曲「夜のガスパール」を聴いて、
ホールから帰路に一輪の薔薇を思い浮かべるような演奏が良い。
夜のガスパールは、ベルトランによって、1830年代のパリの個人的叙情を
110ペ-ジ、53篇にまとめたものだが、ラベルには芸術的希求であったものか、
ともかく未知の宇宙を多数の音符を並べて、3篇完成させた。
芽吹きを眺める庭に、今年も数輪咲くとして、
めったに見られぬ理想の一輪は名付けて『夜のガスパール』
薔薇の雑誌に、写真が有った。
個人的なことであるが4月6日、若い姪の忌日に。
2013.4/1


木の芽時

2019年02月21日 | 花鳥風月雪女


ジャズLPで靴といえば、クールストラッティンのハイヒールかな
伊達藩一番町より春の便りが届いた。
高速道にも前後左右に春の靴、
東北道を花巻から過ぎたあたりでポルシェ911に抜かれ、
ウッ、と思ったその頃、出発前に小一時間、
荷風先生の『濹東綺譚』に目を通したことを思い出した。
濹東とは隅田川東をさしているらしく、
わずか120ページの1936年ころに書かれた新聞連載、
時期的に、ヘンリー・バレンタイン氏がパリのことを書いた
北回帰線の4年あとのようだ。
かたや隅田川、一方はセーヌ河で、
サーベルを鳴らす検非違使から言問橋の番所に誘導され
手持ちの風呂敷を開くように言われる。
と、襦袢(女性下着)や印鑑証明書や戸籍謄本が出てきた様子、
雨の傘に背後からアナイスのような女性が小首を差し込んで来たので、
言われるまま家に行った様子などがたんたんと綴られていた。
当方は、やはり用事を思いだし熟読できなかったが、
巻末に奥野という人物の解説がある。
2013.3/30


花の風

2019年02月11日 | 花鳥風月雪女


夏近し その口たばへ 花の風

一番丁より、夏をつげるはがきが届いた。

庭で植栽の茂りを眺めているとき、
やはりことしもアゲハ蝶が、
ガーデン・テーブルの上をひらひらと横切った。
ウエス・モンゴメリーの「エアジン」は、携帯ラジオから流れている。

2012.8/2

永楽銀銭

2019年02月08日 | 花鳥風月雪女


墨田スカイツリーの開業日、
きょうの株価はすこし戻して8700両で始まった。
現在は1万両あれば大台と、気分も下火の雰囲気が心もとないものだ。
なぜといえば他人の懐中ながら日経平均4万両の時代も、
まえにあったような気がする。
御畳奉行の『鸚鵡籠中記』には、以下の記録が有る。
江戸において、銭にわかに今日上げ、純金一分につき一貫文換え、夕方少し相場下がる。これは昨日、向後銭の相場両につき四貫文より三貫九百文に相定しといい、追付京にて一銭十当の大銭仰せ付けらるの仰せ出しこれ有る故なり。[宝永5.閏正.29]
一関市内の中央を磐井川が流れるその河川敷に、
さまざま年中行事が行われていた。
打上げ花火であったり、牛祭であったり、
季節のうつろいを楽しむ人の姿がある。
あるとき当方が商売にいそしんでいると、母屋から子わっぱが飛んで来て、
「河川敷でゴザを敷いた二人の老体が古銭を売っている」という。
まんいち、永楽銀銭でも混じっていれば、それは16萬両である。
すぐレジのかねをつかんで、これで!と買いに行かせた。
だがすべて寛永通宝であった。
ご老体達の笑顔がよかったらしい。
2012.5/21


ピアノソナタ『月光』

2019年02月07日 | 花鳥風月雪女


ベートーヴェンが30歳のときジュリエッタによせて作曲された
という作品14番『月光』は、はじめに緩徐楽章が弾かれる変わった曲である。
これまでの印象では、右手の三連符と左手のオクターヴのバランスが
無限の難曲であり、とうとうめったにタンノイで聴くレコードがない。
テンポがゆっくりすぎると「気のきかないひと」であり
早すぎては「せっかち」と思われるところが明白で、
いまだめぐりあえないレコードベストワンである。
月光ソナタをせっかくなのでイラストにすると、
月夜を走る蒸気機関車のようなおごそかにロマンなベートーヴェンが浮かぶ。
第二楽章になり、晴れやかなメロデイにジュリエッタの登場を思うと
良いのであろうか、この楽章は女性ピアニストの演奏が良いかもしれない。
最後の三楽章は、隔てる障害の出没を曲にしているように、
ウラディミール・ホロビッツの真っ直ぐな指と、あるいは直角に曲げられた強打の
自在に入り組んだ表現に感心するばかりである。
やはり第一楽章は、モラベッツも良いとは思うが、グルダでもケンプでも
ルービンシュタインでもグールドでも、まだ先があるのではなかろうか。
先日、久しぶりに343街道を走ると、
高田の海と平行のメインストリートにガソリンスタンドが開いて
アッと思ったが、この343号線の山沿いの区域は、
道路をときどき鹿が散歩しているのでスピードを出すものではない。
昨晩見たのは以前会ったニホンジカと違い、カモシカだった。
崖に身を寄せて車を避けている姿がなんとも賢い。
2012.4/17


新年鳥瞰

2019年02月01日 | 花鳥風月雪女


新年の山道を縫って343街道を走ると、
最大の難所にさしかかった。
谷底から車のライトを遮った影が
崖の上の林に消えた。
一面銀世界の白闇に、
うちわのような羽根を広げた鳥は、フクロウである。
しばらく車を止めて様子を見ていると、
5分ほどして、もういちど身を翻して飛んでみせた。
今泉街道のミネルバのふくろうは、夜中に飛ぶ。
竹駒橋を右に折れると高田、大船渡まで20キロほどであるが、
この道を反対の左方向に40キロ向かうと
柳田国男の『遠野物語』の世界がある。
2012.1/1