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ロイス・タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

ポルシェ・デザイン

2016年06月04日 | 巡礼者の記帳

コンタックスRTSは、現在も棚の上に鎮座している。

デザイン本家のポルシェ博士は、ドイツの

タイガー戦車のコンペに応札したことがある。

駆動装置に電動モーターを使用する電気式を採用し、

50トンの過大な負荷を受けるトランスミッションが不要の新機軸であった。

コンタックスRTSも電動シャッターが新機軸で、

手振れピンボケを軽減するのは良かったが、

電池が切れるとまったく動かなくなるのには、本当にまいった。

最近のデジタルカメラの様相について、

爆発的に一斉風靡のデザインを待っているような気がする。

そうこうしているとスズメの囀りが静かになり、

目鼻立ちが初期のゴルゴに似ているお客が現れて、

『フェーズメーション』という最新のカートリッジによって

タンノイを鳴らしておられるそうである。

札幌から仙台の野球場に、遊覧においでになったついでに、

一関にも足を伸ばされたわけである。


謎のりつげん寺

2016年06月04日 | 巡礼者の記帳

長年の懸案、古刹栗原寺を訪れる事が出来た。
奥州街道からすこし入った山懐にひっそりとあり、地図上で沢辺宿場町に定規を当て南に三倍伸ばした線上にあった。

栗原寺は587年の開山と記録にあるが、767年造営の律令伊治城柵からわずかに3キロ、平泉柳之御所まで24キロの位置である。

義経が弁慶衆と安宅の関を越え栗原寺に着いた知らせが、早馬で平泉に知らされ、二日間で身支度を整えると、当時千人の僧侶が修行していたといわれる七堂伽藍から、五十人の僧兵の隊列で義経一行が奥大道を平泉に『東下り行列』した起点の所であった。

ところで、以前この地は上品寺と言われていたところ、碩学集団五百人で発掘調査され、歴史からいちど消えていた『昔の栗原寺』であると突き止められた凄いところである。

したがって、千人の僧侶の修行去来した寺院堂塔群を、小山の斜面各所にあてはめて想像し、倦きることの無いパノラマ風景が五月の風に揺れている。

『日本書紀』によれば、580年代に、百済から寺工や鑪盤博士、瓦博士等が来て本格的伽藍、飛鳥寺を着工したそうであるが、飛鳥時代に着工された寺院は東海から山陽にかけ40寺ほどあるらしい。

流石の芭蕉翁も、西行法師が立ち寄ったであろうこの寺院を見逃しましたね、とニッコリである。

岐阜からお見えになった客人と真空管の話になると、仙台のスターリングの御仁が「では、わたしはこれで」と立ち去った。

田一枚 植えて立去る 柳かな

サバンナにて

2016年05月19日 | 巡礼者の記帳

そういえば、タンノイ・オートグラフを

RF297とSPU-Aで鳴らしていると申される

申し分のない客人が、

つかのまの休息をとった。

ここから遠いところに、お住まいのようである。

目下震動中の熊本城の石垣について、

すべてに番号が彫って有るらしい。

当方のレコード盤も、

落ちる前にそうすべきであったのか。

 鐘撞かぬ 里は何をか 春の暮

道また道

2016年05月18日 | 巡礼者の記帳
タオ、とは道である。

関が丘の哲人が、

近況を話されるなかで、

休日の夜に、職場の点滅するランプについて、

巡回警備をする人から通報があったお話。

ああして、こうして、

と言うわけにもまいらず、

『コンバット!』のサンダース軍曹をストップ画面にして、

ご自分が偵察に出かけたのであった。

呑みあけて 花生けにせん 二升樽


日光写真は月光印画紙か

2016年05月18日 | 巡礼者の記帳

JBL2セットとアルテックを楽しむ客人が、

お仕事も満貫、あるいは満願関西からジャズの旅。

レコードは3千枚を越え、数えることを止められたそうである。

新旧のアート・ペッパーの、いったい何がどうなのか?

当方は気になっているので質問した。

タンノイを聴きながら、とても良いお答えがあった。

翌日、昼休み

月光印画紙メーカーの幹部3人がお見えになった。

新聞と、インクジェット・プリンターなど、

業界用語をのぞかせて、ジャズのようなお話を伺った。

子供の頃、そういえば、

種紙をガラスと印画紙に挟んで、

じっと焼き具合を待っている、

日光写真にいそしんだ時代もあったなあ。


伊豆沼ウオッチング

2016年04月04日 | 巡礼者の記帳

滝沢のお客から、オーデイオのくさぐさを

実感 ♀ 論の比喩にて講釈をさずかり、

ベンツの座席にてウイントンケリーを盛大に聴かせていただき、

クラクラした。

伊治柵から東南に9キロ行ったところに伊豆沼がある。



梅白し 昨日やサギと とろろ汁



春の旅

2016年04月04日 | 巡礼者の記帳

空から発掘遺跡の地形を眺めると、

地上では見えなかったものが見えてくる。

それを、航空考古学というのであろうか。

アンプリファイアーも、音を聴くだけでなく、

平面や側面のくさぐさを味わうのはたのしい。

ビートルズの次の世代の3人の客人は、

子供の時から遊び友達と申されて、

――ではお互いに、秘密はありませんね?

「それが、一生懸命、隠していることがありまして」

そのとき、松本英彦バンドの『ペイパー・ムーン』が

一徹の正確なスイングで盛大に終章を迎える。

生活人の秘密とは何なのか、

吉田兼好の見た世の流れとは

酔っ払ったうえに夢を見ているようなものだとか、

「六時までに花巻温泉に着きたいのですが」

都会の日常から離脱をされた旅人に、

時間は追いかけて、春がきた。


8ビートでアンダンテ・カンタービレ

2016年03月26日 | 巡礼者の記帳

342号線を走ると、たまに自転車姿の山谷仙人を見かけたものであるが、

いま、それは無い。

コルトレーンが、

「きょうは、8ビート・バップで、アンダンテ・カンタービレをやろう」

と言ったら、

マッコイ・タイナーも

エルヴィン・ジョーンズも

ジミー・ギャリソンも

なるほどと、すぐにサウンドフォーメーションを組んで

どんな音楽になったか、想像する。

以前、仙人のお宅に乗り込んで

「このへん、撮らせてもらって良いですか?」

「ウーム、まあ、どうぞ」

パチリ、パチリ撮ったなかに

傑作アンプがあるので、コピーしてみた。

「江戸川から、高速を5時間で来ましたが、

いつもはホンダの1200に乗っています」

客人は、一関は初めて、と申されて

タンノイで春の空気に浸っている。


プロイセンのベルリンの音

2016年01月12日 | 巡礼者の記帳
母屋のうさぎのなまえは、ハルである。
「If Winter comes, can Spring be far behind?」
ハルさんよ、冬さんの後に控えているんだろ。
昨日は雪が降ったが、築山の芽吹きが遥かに遅れるなんて、ないよね?
SPU-Aを、ドライヤーで温めて、
ベートーヴェンの『皇帝』を
W・ケンプ氏のピアノ、F・ライトナー氏の指揮、ベルリン・フィルで聴いた。
あまり、期待していなかったが、途中で呼吸が苦しくなった。
とんでもないタンノイである。
斜めに突っ込んで来た車から長身の若者が
「珈琲を呑ませてください」
と言っている。
寒いから、と断ったが、
「父親が柵の瀬橋の近くの生まれです、自分は東京ですが」
と申される。

2016年 元日

2016年01月01日 | 巡礼者の記帳
2016年1月1日謹賀新年
おもやにて、将棋1勝5敗のあとおせちを賞味した。
御雑煮が目の前にどうぞと置かれたので
「岩手ではアンコ餅汁が最初である」と述べた。
そこに届いた年賀状を拝見する。
正月、寒くてオーディオどころではない喫茶に、
テープでスペンドールの音を聴いていると、
晴れ上がった街路から、
胡錦濤氏に良く似た客人が登場された。
そこでテープとはまいらず、極寒の中をSPU-Aはグワーッと、
漆黒の円盤をトレースしてみせるのが壮観。
わび茶に道具立ては無用といえども道具はたのしい。
この読書中の、
モジリアニの贋作のことを書いたH水氏とは仮称なのか、
書いてあることにギョッとする。

冬牡丹 千鳥も雪の ほととぎす

静岡のタンノイ・シルバー氏

2015年12月15日 | 巡礼者の記帳
冬の日射しに、タンノイのドグマは輝いている。
ズービンメータ、ギレリス、ニューヨーク・フィルの、
チャイコフスキーピアノコンチェルト第一番を、初めて聴いた。
2楽章まで、ほとんど異存はござらぬ、すばらしい!
3楽章で、オーケストラとピアノがスラブの岩壁をナダレをうって崩壊する
例の後半の爆発であるが、
奏者群が一番力の入る姿勢をとって足の先にまで力を込め、
バリバリダダダーッ!と。
当方、このときばかりは集中し、かたずをのんで呼吸をとめているが、
ちょいと。
指揮棒をもっと、床が抜けるくらいにお願いしたい。
崖から蒸気機関車が転げ落ちるような、
最強音から音楽のふもとまで一気に。
だが、指揮者には十分にそう聴こえている。
そういえば、マリア・カラス嬢も、
オペラ・ノルマの強烈なソプラノで大切なノドを摩耗してしまった。
楽器や、タンノイのボイスコイルを壊して聴くチャイコフスキーではどうか。
勝見洋一氏は、申されている。
「真空管の特徴を言えば、まず音のスピードが目茶速い。バイオリンの弓の返しがモタモタしない」
「ドラムのスネアが見事にシャッシャッと決まる。」
「残響の成分が色濃い。楽器と楽器とが織りなすハーモニーを正確に増幅し、倍音を豊かに表現する」
くさぐさを承知のうえ、このうえはマランツ7の12AX7を『ムラード』にし、かつ「英国Mitcham工場製以外のムラードはいまだしである」と五味さんは言うであろうから。
そのとき、
静岡から、タンノイ・シルバーをお使いの御仁がおみえになった。
こちらが一言しゃべるとき、御仁はもうすでに言葉の先をみきわめ二言にして返してくださる。
タンノイを聴いているときの、音楽の起承転結のふしめに御仁は、
ぐっと体に力を入れ、演奏の結句を一緒に踏んでいる。
はてな。
演奏の持ち場はバス・トロンボーンであると教えてくださった。
富嶽の風景を背景に鳴っている、このような人物の調教した
タンノイ・シルバーの音響をしばし想像した。

桑名の客

2015年11月26日 | 巡礼者の記帳
神社の大銀杏が窓の外に見えて、
頂辺から一葉がゆっくり舞い落ちてくる。
ジョージ・ムラーツのベースが、ボーカリストの歌唱の背後で
ゆっくりボーイングを高みからすべらせ、
次第に弦の響きが低く太くたゆたって終わった。
桑名からお見えになった客は、
「これで三重まで帰ります」と申されている。
2組のタンノイを、カウンター・ポイントによって
聴いて居られるそうであった。


奥入瀬の客

2015年11月22日 | 巡礼者の記帳
奥入瀬からお見えになる謹厳な御仁は、
タンノイ・ロイヤルを鳴らしている。
合唱の指導もされながら、聴いておられるのはジャズであった。
入ってくるなり云った。
「いま、Bに寄ってきました」
ふむ、それで?
電話で、何時までやっているか、尋ねたところ
「あなたの体力の続くまで、」
初めて川向こうのJBLを聴いて、どのような?ウフ
こちらには何度かお見えになっていたが、
新しい物差しを、探して居られるご様子である。
当方が2度も英国で聴いたタンノイはいったいどうであったか、
質問は核心に迫ってきた。
仕方がないので、工場で使われている電源トランスの物体をお見せした。
音楽も、いわば空気の振動で、燻銀とかそれ以上ではない、と
カントもショウペンハウアーも云うはずだが、
原理原則が宇宙軌道で一瞬交差した。

水先案内人

2015年11月16日 | 巡礼者の記帳
DJ小林克也氏に似ている作務衣の客は、
ソフアの中央で音に聴き入っている。
傍で、スマップの香取某に似た客が「このさいSMEのプリを買いましょう」
などと、内緒話が聴こえる。
SMEといえば『SME SPL-2HE \730,000』のことであろうか。
ご自宅には、GRFメモリーやアルテック500などが並んでいるらしい。
音響製品について、百科全書を調べても、最後は個人の心の浸透であり、
聴いて初めてわかる音質や臨場感である。
だが、なぜか延々とおもしろいのは、
ひとの噂や評論記事であるから困ってしまう。
すでにそこに音が鳴っているのに、判断の定まらないスピーカーもあり、
音は人なりと云われる所以だ。
音も人も、10年経っても解らないことがあるので。
ところが、そういえば昨日の宇都宮の客は、
こちらがレコードを間違えて盤にちょいと針を置いた瞬間の、
半端なビャーッという音を、「凄い!良い!」と申されて、
その1秒の音を解析判定したらしい。
長い旅で、良い音を聴けるとはかぎらない人生であるが、
軒先をめぐる風の松の香のような、
香取某氏のような水先案内人が、貴重になるわけであった。

宇都宮の客

2015年11月16日 | 巡礼者の記帳
宇都宮からお見えになった御仁は、
中学のころより、ジャズを楽しまれているそうである。
最近、思うところ有って、
10年来聴いてきた300Bのプッシュプルに
ついにアルテックA5を接続されたのが素晴らしい。
浮世の塵を払った御室で、
50年代のジャズは鳴っている。
励滋型のウーハーのことや、
蘊蓄のかたまりのようなご友人にかこまれて、
しあわせな日々をすごされているが、
本宅のほうに、A5スピーカーのことは知らせておられない。
単身赴任の花、大型装置で豪快にジャズを楽む。
テレビで見る養老先生に、雰囲気が似ておられました。

松風や 軒をめぐって 秋暮れぬ