■ 幻の日本代表とザックJAPAN |
◆ 最悪3連敗もある
ザックJAPANがブラジルW杯の初戦を迎える。
W杯メンバー23人発表会見で、ザックは選手選考の理由を以下のような発言をしていた。
ブラジルで、主導権を握りながら日本のサッカーをするためには、このメンバーが正しいと考えている。 ザック監督「日本の成長を世界に示す」(スポーツナビ) - ブラジルワールドカップ スポーツナビ |
ザックの理想は、昨年のコンフェデのイタリア戦と欧州遠征(オランダ、ベルギー)のような戦い方だろう。
しかし、この3試合で勝利出来たのはベルギー戦の1試合(3-2)。イタリアには3-4と逆転負け。オランダにも2-2の引き分けだった。美しい得点もするが失点もする。まるでクライフが好むようなチームをカルチョの国のイタリア人が作り上げた、というのは言い過ぎだろうか。
個人的には、この3試合はザックJAPANのベストゲームだと思っている。結果は十分ではなかったが、繰り広げたサッカーのスタイルに、ファンやサポーターは歓喜した。日本らしいテクニックとアジリティ、そして、献身的な組織力が表現されていた。ザックが言うインテンシティも十分だった。
しかし、ブラジルW杯でのザックJAPANは、最悪3連敗もあると思っている。南アフリカW杯の第2次岡田JAPANの時ですら、勝ち点1は獲得できるだろうと思っていた(以下、岡田JAPAN)。ワールドカップで自分たちの理想とするスタイルで優勝したチームは、ごく僅かしかいない。私の感覚では、2010年のスペイン、1998年のフランス、1986年のアルゼンチンくらいか。1990年の西ドイツもドイツらしいという意味では当てはまる。
◆ 最悪、3連敗したとしても
ザックJAPANが、3連敗をするとすれば、以下の2点が考えられる。
1.コンディションをベストの状態に持って行けなかった
2.純粋にザックJAPANのスタイルが、W杯では通用しなかった
個人的には、ザックが会見で語った「主導権を握りながら日本のサッカー」をした結果として、3連敗したとしても評価したいと思っている。なぜならば、ザックJAPANが掲げたスタイルは、今後の日本サッカーにおいて大きな分岐点となると確信しているからである。何よりも4年前の第2次岡田JAPANのような守備的なスタイルで戦うべきではないと思う。
◆「日本化」と「幻の日本代表」
ちょっと時を遡ろう…。
ドイツW杯で惨敗したジーコJAPANを引き継いだのは、当時、ジェフ千葉で監督をしていたイビチャ・オシムだった。オシムは、「人もボールも動くサッカー」、「考えて走るサッカー」を掲げ、日本人の特性に合ったスタイルで戦う事を推し進めた。
オシムJAPANのアイコンと言うべき「日本化」。これは、「ブラジル化」されたジーコJAPANへのアンチテーゼだった。
しかし、2007年11月16日、オシム監督が脳梗塞で倒れてしまう。その後、岡田武史がチームを引き継いだ。オシムJAPANは、W杯の舞台に立つことなかった、人もボールも動くサッカー」、「考えて走るサッカー」、「日本化」は、ワールドカップのピッチで披露することが出来なかった。ある意味「幻の日本代表」となった。
■ 日本サッカーの分岐点となる大会 |
◆ 直前での大幅な守備的な戦術への変更
岡田JAPANは、南アフリカW杯でベスト16という結果を残した。自国開催以外での、初のベスト16であった。その結果は十分に評価していいと思っている。
南アフリカW杯本大会前、岡田JAPANは、直前の4試合で戦績は、「0勝、1得点、9失点」と結果も内容も最悪だった。当時の自分のブログを読んでみたが、「試合内容について語ることがない。」、「そもそもチームのベースとなる戦術が整備されていない。」という酷評だった。
岡田JAPANが勝ち上がれた理由は、直前の大幅な戦術の変更である。岡田監督は、4-1-5-0(4-1-4-1)のようなフォーメーションで、本田をワントップに配置した。いわゆる偽9番・ゼロトップシステムである。結果を求めた岡田監督は、戦術をシンプルに整備した。
・阿部をアンカーに配置
・守備ブロックを後方に設定
・ボールを奪ったら、ワントップの本田に預けてタメを作り後方の押し上げる時間を作る
・大久保(左SH)、松井(右SH)でサイドから縦への攻撃を行う
極論、戦術的には、高校サッカー選手権に出場するチームとなんら変わらないものだった。
岡田JAPANは、攻撃的に戦い失点するリスクを避け、負けなければ、勝ち点1は入るという戦法を取った。そして、3戦の中で、どっかで勝ち点3を拾う戦法、つまり「負けないサッカーを目指した」。ある意味、岡田監督が98年W杯に語った「1勝1敗1分(勝ち点4)」を南アフリカW杯でリロード(再現)し、グループリーグを勝ち点6(2勝1敗)という結果を残した。
◆ 6年の時を経て
話をザックJAPANに戻す。
ザッケローニは、極めて現代のトレンドに忠実であり、さらに、日本人選手の特性、特徴を掴んでいる監督だと思う。それはまるで、志半ばで終わったオシムJAPANを継承しているかのようである。ザッケローニが、岡田JAPANが行ったスタイルを踏襲することは可能であったろう。むしろ、カルチョの国の監督である。いわゆる「カテナチオ」という戦術に関しては、守備的に戦った岡田JAPANよりも高いレベルの守備的な戦術を構築出来たと思う。
しかし、ザッケローニ監督は、守備的に戦うことよりも、日本人の特性を活かし攻撃的なチームを構築し、本大会でもスタイルを変えることなく戦うことを選んだ。ブラジルワールドカップは、オシム監督が推し進めようとした「日本化」を約6年の時を経て披露する大会である。
オシムとザックでは、多少攻守のバランスでは異なるが、日本人の特徴、可能性を最大限に活かして、攻撃的に立ち向かおうというスタイルでは、同じ系譜だと思っている。勿論、最悪の3連敗もあり得ると思うし、現状では「神風」スタイルと言っても過言ではないくらい、守備力に問題を抱えている。
しかし、それでも、「前へ進むべきである」。それでも、ワールドカップの舞台で行わなければ、日本サッカーに未来はない。ブラジルもアルゼンチンもドイツもイタリアも、そして、スペインもイングランドもフランスもメキシコも…ワールドカップ常連国の全てが通って来た道の入り口に日本がやっとたどり着いたのである。
そして、ブラジルワールドカップは、日本サッカーの分岐点となる。これだけは、断言出来る。
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<追記>
あとは、選手のコンディションだけである。何度も言っているが、ザックJAPANは、コンディションに大きく影響されやすいチームである。一方で、ザンビア戦でみせたように、最後まで諦めずに戦いさえすれば、結果を出せるチームだとも思う。もう守備の問題には目をつぶろう(笑)
■ 関連記事 スタイルと結果(目標)
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決定力不足という課題の克服法と、日本のスタイルの形を示してくれたという点でザックの功績は大きいと思います。
オシムや岡田さんは一対一ベースの守り方なので、守備には逞しさがありました。
オシムはピッチを広く使った大きなサッカーでしたがザックはコンパクトに連動して助け合う小さなサッカーです。
和を重んじ助け合う日本人の良さを引き出してくれたと思います。
ロシアで周りを使うことと走ることを覚えたホンダを中心に据えたのも日本らしさにつながっていると思います。彼は岡崎や香川とも遠藤ともポジションチェンジをする献身的なアタッカーです。イメージとは対照的にとても日本的です。
長友や柿谷、香川や大久保といった個で勝負できるタイプの選手も出てきたので興味深いチームができました。
こんばんは、いよいよ明日です。
興味深いチームという意味では、
進化している日本代表は面白いです。
弱いですよ。世界のトップレベルと比較すれば。
でも、スタイルはあります。
やっと、メキシコとかW杯常連と並べるレベルになってきたかなと。
コートジボワール戦は、みんなで応援しましょう!
日本は遠藤を入れてから、相手はドログバを入れてから攻める采配でした。
先制してしまって狂いました。
遠藤入れて守りきるわけにも行きません。
逆転されてポスト役をこなしていた大迫を変えてしまっていつもと違う並べ方をしたので、連動した攻撃もできません。
遠藤でなく青山入れて、裏狙いまくるほうがよかった気もします。
残念です。
でも、2006年ほど悔しくない。
慣れなのかなんなのか。
本田のゴールがなかったらもっと感情的には違ったかも(苦笑)
青山入れて、柿谷、大久保で裏突きまくる。
それはそれでありだったかもですね。
ザックには選択肢がなかっただろうけど(苦笑)