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観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『キッズ・オールライト』(2010) / アメリカ

2011-05-03 | 洋画(か行)




原題: THE KIDS ARE ALL RIGHT
監督: リサ・チェンデンコ
出演: アネット・ベニング 、ジュリアン・ムーア 、ミア・ワシコウスカ 、マーク・ラファロ 、ジョシュ・ハッチャーソン
鑑賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ

公式サイトはこちら。


まず、設定自体が日本ではほとんど見かけないものだけに、
(私などはそうなんですが)
ふぅぅん・・・ と、そういうものなんだと、思うことしきり。
レズビアンカップルが、それこそ何の迷いもなくその形式を選択できるということは、
まだまだ日本では難しい中、こんな風に家族を作ってるんだなあ・・・ と、
改めて勉強になりました。
家族を作ること、その行為自体は、
男女であろうがそうでなかろうが、一緒であるということ。
将来自分たちの遺伝子を受け継ぐ子どもがほしいと思うのも当然のこと。
当然のことを実現させるためには、立ちはだかる壁を1つずつ乗り越えていかないといけない訳ですし、
そして1つずつ乗り越えてきた歴史と自信があって、彼らは当然の権利として存在している。


ですが作った家族をどのように維持していくか、
これはレズビアンカップルでなくても本当に頭が痛いところです。 万国共通の問題。
子どもたちは親の背を見て育つ。
その親の背中は果たして子どもに正々堂々と見せられる類のものなんだろうか?
後ろめたいことはないか?
などと考えることしきりです。


子どもにしてみれば、物ごころついた頃から、自分の親は他の家とはちょっと違うぞ、ということを
考えながら育ちます。
だから自分たちのルーツに興味があったとしてもそれは極々自然のことだと思う。
それはだれも責められないことだから、親としては子どものその興味にきちんと答えてあげる必要はある。
そしてルーツを突き止めることで派生してくる様々な出来事にも、逃げないで対峙しないといけない訳です。
それは例えば、家族の根本を揺るがす問題かもしれない。
親の愛情を試されることかもしれない。
子が親に対して持つべき畏敬の念がなくなる話かもしれない。
何があったとしても大丈夫、"All right!"って言えなければ、家族としての形がなくなっていきます。
私たちは日々試されている訳です。


その中で1つ注目した点がある(ここから若干ネタばれ)。



ここから(PCでは白文字です。ドラッグしてください。携帯では反転しないのでよろしくー) ↓

アネット・ベニング演じるニックは、ジュリアン・ムーア演じるジュールズとのレズビアンカップルの関係の中では、
明らかに「父さん」的存在。
収入も十分にあるし、社会的な窓口として意見を言ったり、
この家のことはほぼ彼女の思い通りになってきた。
ですが、それがジュールズにとっては、家に押し込められているようだったんですね。
「男は外、女は内」という暗黙の了解があった社会なのに、
同性愛カップルでさえ、そういう風に仕切ってしまうこと、
すなわち「同性だから対等のはず」という、私たちが持ちがちな感覚を、この映画では見事に覆してくれる。
同性カップルなのにちゃんと「光と影」の役割を持たせていること。
それはかなりな驚きでした。
何もしてない、できなかった・・・ とジュールズが思ってしまうのも無理はありません。
私の言うことを聞いてればいいの、と言われたところで、自分の役割が軽んぜられていたら、
そりゃ面白くないでしょうね。
こういう部分は本当に男女のカップルと何ら変わりない訳です。


↑ ここまで



ただでさえ世間から不思議に思われている同性愛カップルの中で、
その愛情が揺らいだら一体どうなるのか・・・。
家族を継続させるためには、
長年培ってきた、自分の習慣を見直さないといけないだろうし、
相手に対して自分は果たしてきちんと応えてあげてただろうかと自問自答してみてもいいと思う。
心が揺らいだとしても、自分の居場所はここしかないとわかった時、
人は真っすぐに相手に対して向き合えるんだろうなーと、改めて感じました。


ジュリアン・ムーアとアネット・ベニングのカップルでしたけど、
よくやりました・・・ というか。 よく頑張りました。
なかなかできないことです。
ジュリアンが特にとても魅力的。 年齢を重ねても色褪せてない感じがよかった。
そしてミア・ワシコウスカちゃんも、アリスというイメージを背負ってのご出演でしたけど、
自然体の、いい演技だったと思います。
そして、役どころ同様に、この家族の顔ぶれの中では異彩を放った雰囲気のマーク・ラファロですが、
彼もまた、飛び込んだ問題の重さを認識した演技だったと思います。 撹拌する役目ですよね。



★★★★ 4/5点







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10 Comments

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こんばんは (dai)
2011-05-10 21:55:38
TBありがとうございました。

ジュリアン・ムーアとアネット・ベニングは巧かったですね。話自体も特殊な家庭ながら一般家庭にも当てはまるようなない様なだけに良く出来ていたと思います。
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daiさん (rose_chocolat)
2011-05-10 22:12:08
そうそう、どこも同じだね、って思えるところがすごく驚きでもあったし、
ある意味当たり前なんでしょうね。
いい作品でした。
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ショックで頭が真っ白になるイメージって (ituka)
2011-05-10 22:37:33
ニックが毛髪を見つけた後のシーンの演出が上手かった。

これ、鑑賞前は「サザエさん」みたいな映画かな~なんて思ってたので
意外と刺激があって見応え有りました(笑)
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itukaさん (rose_chocolat)
2011-05-10 22:43:55
なーんか、わかっちゃう時って、そんな感じなんでしょうね。
ほんと無意識といいますか。。。

サザエさん、よりもかなり毒はあったように思います。
ですが観終わった後はすっきりしてたんで、これはこれでいいんじゃない??
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共同作業。 (BC)
2011-05-11 23:07:49
rose_chocolatさん、こんばんは。

傍から見たら一風変わった家庭であっても
暮らしている本人達にしてみればそれが普通だったりするんですよね。

家庭を築いて継続していくのは当たり前の事ではあるんだけど、
家族皆の共同作業なので大変な事ですよね。
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BC。さん (rose_chocolat)
2011-05-14 05:38:32
家庭というカテゴリの中では、
同性も異性も、何ら変わりはない訳ですよね。
維持していくのは大変な努力が必要です。
心もうつろわないようにしないといけませんしね(苦笑)
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どのうちも同じ (風子)
2011-05-17 14:51:40
困難にあったとき、それまでどんな絆を築いてきたかが、影響すると思います。家族って面倒な時もあるけれど、いいもんですよね。
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風子さん (rose_chocolat)
2011-05-18 20:34:47
家族はめんどくさいですが、
何故か欲しくなる。
いると鬱陶しいけど、ないとさみしい。
厄介なものですね。

難しいですが、それでも家族に囲まれて生きていることが、
当たり前ではないと言いますか。
どこでもそうですね。
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きっずろければすべてよし (かえる)
2011-05-21 09:46:49
これ、よかったですー。
私はL&G映画祭なんかにも行っているから、さほど目新しくは思わなかったんですが、こういう題材で一流女優が主演してカップルに扮してくれるのは素晴らしいなぁと思いましたー。
ミアちゃんがホントにかわいくて、この息子・娘たちが窮屈な思いなく、健やかに生きていけることができればいいというところが自分的には肝だったので、しっくり心温まる物語でしたー。
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かえるさん (rose_chocolat)
2011-05-22 06:03:54
どうもL&Gの時期っていつも予定が合わなくて、見送りが多く。
こんな感じでライトテイストなレズビアンカップル設定というのがとっても新鮮に感じました。

>こういう題材で一流女優が主演してカップルに扮してくれるのは素晴らしいなぁと思いましたー。
さすがはアメリカです。 日本じゃまず無理ですからね。
子どもたちも真っすぐに育ってて、こういうことが可能なのがアメリカ社会のいい点です。
まさに、diversity。
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