原題: Fish Tank
監督・脚本: アンドレア・アーノルド
出演: ケイティ・ジャーヴィス、マイケル・ファスベンダー、キルストン・ウェアリング
観賞劇場: ヒューマントラストシネマ渋谷
【三大映画祭2012】『フィッシュ・タンク』 ページはこちら。
今年も8月4日から三大映画祭が始まりました。
ラインナップを見る限り、去年よりも私好みの作品が多そうでかなり期待してます。
さて本作。 あらすじだけ読んでチケット買ったんですが、何とこれマイケル・ファスベンダーご出演じゃじゃないですか。
ミアを取り巻く環境は劣悪だ。労働者階級のアパートに住み、粗暴な隣人たち、昼間から酒を飲む母親と口汚く罵ることを早くも覚えた妹。彼女自身もやり場のないフラストレーションから、常に周囲とトラブルばかりを起こしている。ダンスだけが彼女が自分を表現できる手段だ。ある日、ミアは、台所で上半身裸でうろつき回る母親の友人のコナーと出会う。コナーはミアたちの生意気さを意に介する風もなく、自然と一家に入り込んでくる。初めて自分をまともに扱ってくれる大人の男にミアは引かれてゆく。一方、彼女は「女性ダンサー募集」の広告を見つけ、コナーの応援もあり、挑戦しようと思いつく。(三大映画祭サイトより)
労働者階級に住むからこその生々しさと現実が突き付けられる。綺麗事ばかりでは這い上がれない現実。ミアは常に現状に不満を持ち、自分はここに暮らしている人たちとは絶対に違う何かを持ってるんじゃないかというプライドだけは一人前、そして出会う人全てにとんがらずにはいられない15歳。
そして彼女の家族も友人も住んでる街もこれまた荒みきっている訳で、この状況がさらに映像の全体的に閉塞感を醸し出す原因となっている。母親はコナーという男と交際中で娘たちの目の前で女モード丸出しで平気でイチャつく。妹は妹でミアに悪態を突き、小学生?中学生?なのに自宅リビングで堂々と喫煙し退学寸前。友人は友人でチャラチャラと過ごすことしか頭にない。どっちを向いても面白くない上に、ダンサーになりたいという自分の夢も今一つ実現には遠い。
近くの空き地に繋がれている白馬に、ミアは彼女自身を重ね合わせる。目的や理由がないのにどこにも行けないように繋がれて、そこで一生を終えるべくじっとしているのなんて絶対に嫌、可哀想。追い払われても邪険にされても必死に白馬を逃がすことを諦めないミアは、自分もどこかに何かを求めているのに思うようにならないことを知っている。
そんなどっちつかずの宙ぶらりん状態の中で、次第にミアの中で存在が大きくなっていくコナー。しかしミアがコナーに夢見たものもまた幻想だった。しかも自分以外の人にまで幻想を押しつけていた、けしからんコナーにミアはキレます。やり場のない気持ちをコナーにぶつけるのに、形をとっさに変えたのも観客の予想外でなかなか面白い。
人の一番の弱点を突く。そのことに瞬間に気がついてしまうミアもまた、15歳ながらいっぱしの女なんですね。
しかしながらマイケルはこのコナーのダメダメっぷりを的確に演じてますね。 これはまさに彼ならではの役。 虜にしておいて実はとんでもない奴とか、そういうのが彼は実に似合う(笑)
そして新鋭ケイティ・ジャーヴィスのとんがり具合も秀逸なんですよね。
ここに出てくる人たちははっきり言って全員「ビッチ」と呼ばれてもおかしくはない。やってることも中途半端だし(ミアの家族とかコナーとか)、偉そうなこと言ってるけど何一つ実現していないじゃないかと言われても仕方がない。
そんな自分も周囲も嫌で、何とかもがいてもがいて、どうにかして見つけて行く先に果たしてミアの幸せは、成功はあるのだろうか。それはわからないけど、区切りをつけて新しい世界に旅立つミア、どうかもうビッチは抜け出してほしいな。心からそう思ったラストシーンでした。今までの自分に見切りをつけない限り、先には進めないから。
★★★★☆ 4.5/5点
何と2回も行ってしまってました。
突き放した感じが最高でした。
マイケルもやっぱりいいですね。
マイケル・ファスベンダーは上手いです。演技派ですね。
それはよかった。滅多に見られない傾向の作品なので、機会があればぜひおすすめしたいです。
あとの2本は『我らの生活』と、何かな?
さて本作。大変好きです。
この、「やっちまった感」がもう大好きです(苦笑)
しょーもない話なんだけど教訓もあってほろ苦く・・・。
>傷ついた彼女が悟った人生
傷ついて初めてわかることがあるもんね。
見た3本はどれもあたりなような気がします。
>今までの自分に見切りをつけない限り、先には進めないから。
本当にラストがそんな感じに見えました。
傷ついた彼女が悟った人生って感じしましたね。
マイケル・ファスベンダーは素敵でしたね。
個人的な好みで当たり外れはあるかもですが、それも勉強で、ツボにくる作品を探し当てた時の喜びはひとしおですから。
うまくまとめられなくて時間かかっちゃいました。
観てる時よりも観終わって時間がたつほどにいいなーと思えてくる作品で観て良かったです♪
マイケル・ファスベンダーのダメダメっぷりがほんと似合いますよね(笑)
映画祭に行く機会がなかったのですが一般的な大作とはまた違った味があっていいですね。