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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー29話

2022-12-26 11:59:13 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


向かってくる電車を見ながら直也と真一は歩きはじめます。2人は一番すいている電車の一番前の車両へ乗り、なんだかんだと、ちょっかいを出しあいながら。その時の2人は、まるで昔の子供の頃のようでした。直也と真一の出会いは海辺でライバル意識むき出しで波乗り(サーフィン)で競い合ったものです。よく海で遊び競い合ったことで初めての出会いなど色々なことを思い出しては何だかんだと言い合います。中学では真一は半年で転校してしまい、あまり遊ぶことはありませんでした。真一は転校する前に海で直也の前で涙を見せました。
今ここにいる真一は、その涙の意味を知り心の壁を乗り越えています。直也は、そんな真一の姿を見ていると怒りや憎しみの心が癒されるのです。2人は、その頃を思い出しながら電車の中で子供のようになっていたのでした。この電車に乗った時間は午前11時12分です。2つ先、下りの駅で降りると約15分のところに2人の通う尊王寺学園があります。金森は授業前のホームルームに来ない直也を気にかけていたが信じることにして待ちます。教員室ではE組みの担任の先生から加藤真一も来ていないことを聞かされていました。
「あいつら、まさか?」
直也をいつもの通りに受け入れる体制はあったが処分を不服とする退学処分を望んだ教師もいて金森はイライラしながら困っていました。尊王寺学園の理事は「チャレンジ精神とチャンス」を与えることを理念としてもっていたおかげであったため停学処分で済んでいたのです。金森も必死に理事長に訴えかけていました。そうとは知らず直也と真一は到着した駅ホームの椅子に座り、しばらく話をしています。真一は学校での典子の行動を直也に話すことはなく自然体で直也のペースにあわせてます。直也のペースに合わせているのは転校ばかりの真一も同じように助けられたことがあったのです。暴力(喧嘩)の中で知り合い自分を仲間として信じられる友達を見つけることができていました。学校は、すでに昼食時間になっています。
「そろそろ行こうか、真一」
「あぁ、覚悟を決めたようだな、直也」
2人は階段を上り改札口を出て学校へ向かっていきます。溜まり場にしていた店の前を通ると店内を懐かしさを感じながら歩るって行きます。15分の間に激辛カレー専門店やゲームセンター小さな喫茶店、この通り道に3つもあることに直也は1人苦笑い。特に学校が見える場所にある喫茶店の前で一時足を止める直也。綺麗なお姉さんが2人で働いている姿を見ていると一人のお姉さんが店を出て声をかけます。
「大変だったね。心配しちゃったよ。直也君も伝説入りだね」
この声かけに不思議な顔をする直也に真一は直也の手を引き店の前から学校へ向かいます。
もう1人のお姉さんは、じっと直也を見つめているだけでした。
「真一!お前何か隠してねぇか?」
真一は何も言わず「やばい!」と思い首を横に振り学校の正門の前まで早足に直也を連れていきます。突然正門前で直也は足を止めます。
「どうした、直也!」
「騒がしい学校だな。なぁ真一」
直也は、そう言いながら正門を入り、その後を真一がついていきます。下駄箱で靴を履き替えますが直也の下駄箱には、一通の手紙が入っていました。その手紙には直也にとって心強い言葉が書かれていたのです。
「委員長、おかえりなさい、クラスのみんなが待ってます」
その手紙は副委員長の須藤典子が書いた手紙でした。真一も直也のとなりで一緒に手紙を読んでいます。
「のりこって、あの須藤典子かー?いいラブレターもらったなぁ、うらやましいぜ、喫茶店の姉ちゃんも気にしてたしよ、たっく、もてるねぇ直也君は!」
昼食が終わった生徒は廊下に出て仲良くなった友達同士が色々な会話をしながら笑ったり怒ったり追いかけあったりしています。その中を直也と真一は堂々とした態度で廊下の中央を歩いていくのです。2人が歩きはじめると廊下の雰囲気が一変します。真正面を見ながら歩くと会話は小さな声になり、うるさくザワザワしたものがなくなり廊下は静かにA組の前から歩く直也に声をかける生徒は誰もいません。でも直也のクラスD組みの前に顔を出すと真っ先に声をかけてきたのは典子でした。
「おかえりー。委員長」
「委員長!お勤めご苦労さんです!」
「死んじゃったかと思ったよ」
典子をはじめとしてクラスの同級生、真一のクラス組の生徒たちが一声に声をかけてきたのです。直也は、どういうことかわからず驚くばかりでした。真一や典子が仲が良くなっていた友達が直也のことを考えあることを思い出した答えであったのです。直也が戻ってきたことで食堂や体育館にいた生徒たちも直也を心よく受け入れてくれます。直也は初めて照れくさそうな顔をみんなに見せています。その姿を見たほかの生徒たちは直也の本当の姿を見ていたのでしょう。直也のまわりに集まる生徒たちの間を通ってくる金森がいました。金森は直也を取り囲む生徒の前で右の拳(こぶし)で一発殴ります。辺りは静かになり金森は目を赤くしながらこう言ったのです。
「どうして遅刻した!お前は人の気持ちがわからないのか、お前一人のために何人の仲間が心配していたか、わかるかぁー!」
副委員長の典子は毎朝の10分の時間を15分にしてもらいホームルームで直也のことをクラスのみんなと話し合っていたのです。喧嘩という暴力、一人が悪いことではないこと皆が同じ思いを持つことでもっと平和になること直也一人が悪いわけじゃないことなどを典子は話していたのです。金森は教壇には立たず出入り口の場所で、その姿を毎日みているだけでした。その日のホームルームの15分間は全員が無言のまま直也を待ち続けていました。それゆえに金森は直也を殴ったのです。午後の授業時間が始まっていましたが一階フロアーのクラスの生徒たちの殆どは廊下に出て直也が殴られたのをみていました。教師が生徒を殴れば普通なら問題視されるだろうが一階フロアーのクラスの生徒たちは誰も問題視するものはいません。教員室では直也に退学を進めた教師数人以外は問題視することはありません。
「金森!教師が生徒を殴ってどうすんのさ!馬鹿教師!」
典子は大きな声で叫ぶと誰もが典子のことを見つめていたが拍手が巻き起こった。直也を守ろうと典子はちょっと強くなっていたようでした。
「須藤!悪かったな」
この日から直也の歪んだ怒りと憎しみは完全になくなることはなかったが心の中に生まれてきたのは、真(まこと)の強さであったのです。この強さは1人の強さではなく仲間たちとの間でつくられた強さでした。直也を怖がるもの直也を慕うもの直也と友達になるもの人それぞれです。久美子がいた頃の直也に戻った?いや本当の強さの意味を直也は見つけかけてるのかもしれませんでした。そんな直也を陰で見つめる生徒もいます。生徒の中には条件付で入学をした生徒もいたのです。条件付の生徒たちは直也の行動と周囲との関係を知ることで何かを学んでいきます。


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