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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.027 禁断の愛の行方

2013-07-10 10:22:09 | 梗概/兄妹の秘密


この日から屋敷の中でも両手を動かす事が出来るようになっていたが、指の感覚はなく指を延ばしたまま。
執事やメイドも銀河の変化に驚いていた。
食事の介助をする聖子、いらないものに対して拒否する銀河。
そう、銀河に何かの感覚が戻りつつあった時である。
聖子が銀河に付き添い、介助を始めて一年と半年が経過した。
聖子は海都に連絡を取り、今後の銀河の人生に何かが出来る事はないかと相談を始める。
海都も銀河の変化に驚いた様子であり、海都自身も何か出来る事を考えるようになる。
海都は銀河の全てを知り尽くしている、銀河にとって芸術から離れる事は出来ないはず。
屋敷内で空いている部屋でアトリエをつくり、毎日アトリエの中へ入ることで、何かまた変化が起きるかもしれないと海都は聖子に伝えた。
海都は銀河が過去に使用していた画材を揃え、アトリエの部屋を作り、イーゼルにキャンパスを立て掛け、様子を見るよう聖子と話す。
聖子は散歩に食事介助、そしてアトリエの部屋で銀河をキャンパスの前に居させた。
銀河は何時しかキャンパスに触れようと手を伸ばすようになり、指は動かないが聖子は油絵の具をキャンパス前に置くと指で絵の具を付け、キャンパスに色を付け始めた。
半年後、銀河は指だけで一枚の絵画を創作し、聖子は海都のアトリエへ行き、銀河の油絵を見せた。
「本当に銀河が描いたのか?」
「ええ、本当です、時間はかかりましたが」
海都の絵画は、相手に合わせビジネスをするが、銀河は自分のイメージを膨らませ自由な色彩感覚の芸術家であった。
銀河の第二の人生が、聖子によって動き始めたのかもしれないと思う海都。
しかし、銀河は死んでしまっているという問題がある。
この問題を解決できなければ、第二の人生を歩いていく事は出来ない。
聖子は海都に「どうすれば良いか」と相談を重ねていく。
この時、聖子は銀河への思いは単なる兄と妹ではなく、異性として恋おしく愛する気持ちを銀河に抱いていたのである。
海都は考えに考えた末、聖子にある提案を持ちかけた。
「ゴエモンだ、ゴエモンしかいない」
ゴエモンはイタリアのトリノで店を持っているが、パリにも人に任せ店を持っていた。
そしてゴエモンはイタリア国籍ではなくフランス国籍、銀河は名前を変えゴエモンの養子とすればいいかもしれない。
そうする事によって銀河は芸術活動が出来るはず。
「でも、どうしたら名前を変えられるの?」
モンティヴィリエの日本人孤児院に頼み、新しい孤児申請をしてもらい、里親申請をする。
但し、銀河は表の人生を歩く事は出来ない、ずっと静かなアルトーヴィルの屋敷で生きて行くしかない。
「施設とゴエモンに頼んでみるよ、君は銀河の別の名前を考えてくれ」
聖子は名付け親になる事が嫌な気もしたが、愛する銀河の為、今の銀河が描けるもののイメージから名前を考えた。
銀河の別名は「輝矢(こうや)」と名付ける事にした。
銀河の描いた油絵は、太陽のように輝き、矢のように人の心に突き刺さるイメージが聖子の心の中にあり、人の心を引きつける油絵だった。
海都は施設とゴエモンに頼み込み承諾を得て、ゴエモンは、銀河が生き返る事に快く賛同してくれた。
輝矢は半年に一枚の油絵を描き、聖子が商人として輝矢の絵画だけでなく他の古美術品を取り扱う事になり、三年後、輝矢の絵画は顧客に恵まれ、海都の絵画の価値と同じようになる。

「もう銀河兄さんは死んでしまった、私は生涯、輝矢だけを愛して生きて行こうと思う」

短い道のりか、それとも長い道のりだったのか。
銀河は幻の者となったのだが。
聖子の持っていた懐中時計は壊れてしまったが、神の導きにより聖子には輝矢という人生の歯車を与えられた。
聖子と輝矢の間には男の子が産まれ、その子の名前は「銀河(あきら)」と名付けられる。

聖子の子、銀河(アキラ)は、父と同じように、人類に希望を与えていく。
そして、銀河の死後の未来には、銀河の子、双子の姉妹が人類の光となる。

ヨルズの女神が聖子への夢の導きは終わりを告げた。
大地の女神ヨルズは、聖子の夢により9つの地球を復活させるだろう。
しかし、禁断の愛が現実となる事はあるのだろうか。
僕らは夢の世界から、現実の世界へ向かい、ある事を知る事になる。

現実の世界で聖子は夢を勇気に変えるが、銀河は聖子の思い以外に希望を持ってしまう事だ。
希望は期待を持たせ、自分だけではなく、全ての人類からの期待に応えなければならない。
期待に応える銀河にとっては、生と死の選択の道のみであった。

しかし、サイレントバイブルによって聖書の内容は、予想外に書きかえられていく。

僕らや君達の生きる道も……神によって導かれるのではなく、闇によって宿命として定められていくのだ。
人類は滅亡し、新たな人類が興隆する。
君達には実感というものはない、僕らは未来の人類の為に戦うしかない永久に。

夢幻の導きが終わると、次は現実の姿、イタリアと、フランスで僕らの人生は導かれていた。

この物語は、夢幻→現実→無限 →さらなる世界の未来へと向かうのだ。

ブログでは、あくまでも単なる(地図メモ)梗概ストーリーです。
この梗概小説は、ここまでで終了します。
今後は、このストーリーを含めて、新たな内容で制作予定となります。
新たな内容はブログでは載せる事はありません。
かなりの時間がかかるかと思いますが、無理せずに頑張って行こうと思います。
あ~でも、色々と忙しくなりそうなので~~~。

梗概ストーリーをお読みになられた方々には、感謝申し上げます。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.026 銀河の生存

2013-07-05 10:19:43 | 梗概/兄妹の秘密
いよいよ、アルトーヴィルへ向かう時が来た。
アルトーヴィルへは、ル・カトリエからは近い場所にあり、ブロトンタの森とセーヌ川が左右にあり、空気も澄んだ場所であった。
アルトーヴィルの屋敷は、それほど大きくもなく、シンメトリックの石作りでもなく、ただの山小屋のような三棟の建物があった。
三棟あるうちの中央に銀河は暮らし、左右にある屋敷は執事とメイドの住まいになっていた。
銀河が暮らす建物に聖子は入ろうとすると、海都は一緒に入ろうとはしなかった。

「トントン、トントン」

聖子は木の扉を叩くと、扉は開くと銀河ではなく執事と最初に会い銀河の元へ案内をされた。
銀河は車椅子に座り、両手の手首には包帯を巻き、ただ窓の外を眺めているだけであった。
執事は聖子が銀河に逢うと何も言わず部屋の扉を閉じ別室へ離れていく。
聖子はゆっくり銀河の目の前に歩き、銀河の顔を見つめるが、銀河の瞳は外の一点を見つめるだけであった。

「銀河兄さん、聖子です、解りますか?」

聖子は銀河に声を掛けるが、銀河からの返事はなく、銀河の両方の手に聖子は優しく手を触れる。
銀河は出血が多すぎて脳や体への障害が残り、いつも車椅子に座る人形のように建物からは出る事のない暮らしが続いていた。
涙ぐむ聖子を見ても銀河は何も感じる事もなく動く事もなく、ただ外を見つめているだけの銀河であった。
しばらくすると海都は扉を開け銀河の部屋へ入って来る。

「海都さん、私はこれからは兄の元で暮らし、私は出来る事をしてみます」

海都は何が出来るのか?と思いながらも、聖子には好きにすればいいと声を掛け部屋を出て行った。
聖子の頭の中にあるのは大学に通っていた時、ボランティアで介護に携わった事でリハビリを始めようと考えていた。
アルトーヴィルの屋敷の周辺は自然に囲まれた場所で、リハビリには最適な環境であった。
銀河は充分生きたと言われても、聖子の気持ちは変わる事はなかった。
海都は、その日のうちに、ル・アーブルのアトリエに戻った。
聖子は、時間を決めて毎日毎日、晴れた日には銀河が乗る車椅子を押して自然の中を散歩するようになった。
半年を過ぎても、状況は変わらない生活ぶり。
執事やメイドは、聖子と銀河の姿を見ながら、哀れみを感じ同情の気持ちを持ち始める。
聖子が銀河を連れて散歩を始めて一年が過ぎた頃、銀河にある変化が見られた。
セーヌ川が見える場所で休憩していた時、銀河は両手を動かし両手を前に上げたのだ。
聖子は銀河の正面に立ち両手に触れ、顔を近づけてみると、銀河は聖子の顔を見ながら聖子の頬に両手で触れる事が出来た。

「兄さんは私を見てる、私の頬に触れている」

聖子は心の中で思うと、もしかしたら銀河はもう一度何かをするために生きていたのではないのかと思うようになる。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.025 第二の人生

2013-07-03 10:17:23 | 梗概/兄妹の秘密
聖子は海都の横に立ち、海都の傍を離れようとはしなかった。
「海都さん、本当の真実を私は知りたいの、知らなければ私は先に進めないし生きてる意味がないの」
聖子は涙ながらに、この旅が聖子にとってどういう事なのか、海都に伝えていく。
海都は聖子に考えてみると言い、数日の間、筆を手にする事はなかった。
おそらく海都は銀河の気持ちを考えている、もし再び聖子と銀河が出逢ってしまう時、銀河の気持ちはどうなってしまうのかを考えているのだ。
育ち方や生き方は違うものの、原点はゴエモンの店から始まっている。
ゴエモンの店では銀河と海都は一つ違いの兄弟のように過ごし、芸術とビジネスを学んだ仲である。
海都が師と仰ぐのはゴエモンであり、父と仰ぐのはブロックである。
海都は自分では決める事が出来ず、師であるゴエモンか父であるブロックか、どちらかに答えを導き出してもらおうとする。
海都が出した答えはゴエモンであった、そしてゴエモンに手紙を書き、答えを導き出してもらおうと考えた。
ゴエモンから返って来た言葉は「ありのままに」とだけである。
海都は聖子をリビングに呼び、ゴエモンの店での事から話を始める。
「え?兄は生きているのですか?」
「ああ、フランスに墓を作ったのは僕だ」
海都はセーヌ川沿いの街、ルーアンに銀河の墓を作り、セーヌ川とブロトンタの森の間の街、アルトーヴィルに屋敷を作り、その屋敷に銀河は住み生きている事を聖子に明かした。
自然のある場所で銀河を住ませてあげる事が海都には銀河への最大の出来る事だった。
銀河は両方の手首を切り、自分の血液を使いミシェルのアトリエで最後の油絵を描き、それは言葉では言い表せない感情に包まれていた。
自分の人生への憎しみか怒りか、それとも母への思いなのか、それは解らない。
手首を切り最後の力で、ゴエモンの店に行き、その時ゴエモンの店には海都が偶然立ち寄り、命は助けたが二度と筆を持ち描く事が出来なくなった。
その頃の銀河には数十億という財産があり、その財を使い生き延びていると海都は聖子へ伝えた。
そして、アルトーヴィルの屋敷には執事やメイドが銀河の世話をし、時には海都も銀河に会いに行っていた。
「なぜ、フランスに兄のお墓を立てたの?」
「もう銀河の人生は終わっている、今は第二の人生にする為に墓を立てたんだ」
銀河は聖子に謝罪をし、ルーアンの墓へ行き、その後、銀河に会いに行く事を約束をした。
聖子は海都を責める事はしなかった。
実の母が実の兄を捨てた事や兄に愛情を与えなかった事、そしてビジネスに関わらせた事を考えれば海都を責める事は出来なかった。
海都は、アルトーヴィルの屋敷へ連絡をし、銀河の体調を聞き、会いに行く日を決めた。
二日後、聖子は自分の荷物をまとめ、海都と共に銀河に会いに行く。
まずは、ルーアンの墓へ行くと多くの花束が置かれていた。
聖子は誰が管理をしているのかと海都に聞くとアルトーヴィルとルーアンの間にある街、ル・カトリエの銀河のファン達が毎日のように花束を持ち銀河の墓を飾ってくれていた。
銀河は過去に、ル・カトリエとルーアンに住む貧しい生活をする子供達に絵画いや芸術というものを教える事があり、心のゆとりというものを与えていた。
その事で、ル・カトリエやルーアンの貧しさには笑顔があり、貧しくも前を向いて生きていく事を教えていたのだ。
「こんな事があっていいの?」
聖子は愛情を知らない兄、銀河の優しさを知った時だった。
墓の周りで遊ぶ子供達に、海都は聖子を銀河の妹である事を話し紹介をすると、そこには絶えない笑顔があった。
兄銀河の過去を知っていく聖子。
ナポリでたった一度だけのダンスと銀河の笑顔を聖子は思い出し、しばらく子供達と笑顔を見せ合い、その中には銀河の姿が浮かんでくる。
銀河の墓参りを済ませると、次に行く場所は、アルトーヴィルの屋敷である。
「銀河に逢える」
聖子の心の中にある言葉は、この言葉以外なかった。
この聖子の旅をするにあたり、聖子の胸につかえていたものが徐々に減っていく。
聖子と海都は、ル・カトリエやルーアンに一泊ずつして二人は過去の銀河の事を考えるようになり、聖子は涙ぐみ海都は聖子の傍に寄り添う。
「君は強い女性なんだね」
海都は聖子に声を掛けると、聖子は手で涙をふき、笑顔で海都を見つめている。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.024 銀河の生と死

2013-06-30 09:11:12 | 梗概/兄妹の秘密
忙しい日々は半年がすると、海都の仕事はゆっくりなものになり余裕が出来たのか、海都は聖子と話せる機会が訪れると、聖子は銀河の事を話せるチャンスが来たと思った。
海都が絵画を描く姿を扉越しに見ていると、兄銀河の姿を思い出す聖子。
言葉少なく静かで姿を見ているだけで安心感を与えてくれる、聖子はたった一日しか銀河の笑顔を見た事はない。
海都は絵を描く事しかしない、食事を作る人、ベッドメイキングをする人等が分けられ、海都の身の回りの世話をしていた。
銀河と海都は同じ、食事を一緒に摂っていても言葉はなく、瞳を合わせる事もなく、聖子は声を掛ける事が出来なかった。
聖子は話せるチャンスと思っていたが、そのチャンスはなさそうだと思い始めた時、ある訪問者によって話の出来るチャンスが来る。
「おーい!海都!ブロックだ、ブロックが来てやったぞ、お前の父ちゃんだ!」
時期を見計らってかブロックが海都のアトリエへ何処からともなくやって来た。
海都は嬉しがったり喜んだりはせず、淡々とブロックに対応している。
海都とブロックはリビングの部屋へ入り、ビジネスの話をしていた。
「おーい、お嬢ちゃん、どこにいるんだ?」
海都は義理の父ブロックに封筒を渡し、ビジネスの話が終わると、ブロックは聖子を呼んだ。
このチャンスを見逃したら、海都と話す事は出来ないと考えた聖子はウィスキーを持ち、リビングの部屋へ入っていく。
「海都!使えるお嬢ちゃんだろ、ゴエモンからの紹介だ、若いのに古美術商人だぞ」
「君は闇商人をしてるのか?」
「いいえ、普通の商人です」
海都が初めて普通に聖子に声を掛けた時であり、ゴエモンの紹介であるという事を聞いた海都の表情は無表情だが安心したような顔つきを聖子に見せた。
海都は多くの商人と白紙の契約をし、一時だけ共に仕事をするという。
商人が顧客を紹介し収益の一割が商人へ渡されるが、ブロックに対しては収益の三割が渡される。
海都は芸術家でありビジネスマンでもあった。
「お嬢ちゃんは結婚はしねえのか?結婚して子供を作れば幸せだろうよ、商人なんてなるもんじゃねえだろ、なあ海都」
「私がもし結婚して子供を作ったら、子供に銀河とつけるけどね(あきら)なら男でも女でも使えるしね」
ブロックと聖子の会話を聞いていた海都はブロックに返事をする聖子の表情を見て不思議な思いを抱くようになる。
しばらくするとブロックは海都の元を離れて行った。
ブロックが帰ると、いつもの海都ならアトリエに入るのだが、この時は窓の外を静かに眺めていた。
「何を考えてるのですか?」
聖子から海都に声を掛けると、海都は振り向きながら。
「何故?銀河(あきら)なんだ?ただの思い付きか?」
海都は聖子に声をけると、聖子は海都の横に立ち、銀河は自分の兄である事を海都に打ち明ける。
「銀河はもう死んでしまったのでは?」
「イタリアで三十日間だけ一緒に過ごしたけど、その後一枚の絵画を残して死んじゃった」
「そうか、墓参りはしたのか?」
「イタリアで、お墓参りはしてきました」
「そうか、イタリアか、それじゃ、ナポリだね」
聖子は海都との会話で銀河には、秘密があるような気がしていた。
誰もが銀河は死んでしまったと思っているはずが、海都は、まるで銀河の全てを知り、秘密を持っているように思う聖子だった。
しかし、聖子は、海都に自分が感じる思いを海都に問いかけることはなかった。
「僕はイタリアにはいかないよ、フランスにも銀河の墓はあるから」
聖子は海都の言葉を考えるとフランスにも銀河を崇拝するファンがいて、お墓を作ったのか?それとも海都が作ったのか、そう思うようになっていた。
「銀河の妹か、もし銀河が生きていたらどうする?」
海都の言葉に鳥肌を立てる聖子、生きていたら?ってどういう事?聖子は、やはり海都は銀河の秘密を持っている事を確信した。
「兄が生きていたら、兄と一緒に芸術家と古美術商をやるわ」
聖子の言葉に海都は晴れた空を眺めながら、聖子に真実を伝えるべきか考えていた。

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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.023 新たな導き

2013-06-28 08:37:21 | 梗概/兄妹の秘密
パリのセーヌ川河岸から、ナンテール、ラ・ヴォア、ベルノン、モン・ロティ……ブロトンタの森沿いとセーヌ川沿いを通り、河口付近にあるモンクレルの街に辿り着いた。
モンクレルからセーヌ川反対側に、ル・アーブルの街があるが、聖子はモンクレルで向かうのを一時足を止める。
聖子は兄銀河は聖子と出逢った事で死を選んでしまったのではないのか?そう考えると海都と逢う事が怖くなっていた。
聖子は海都の事をブロックから聞いているが、何かが胸につかえるものがあり、まず、ル・アーブルの上方、モンティヴィリエにある日本人孤児院を訪ねようと考えた。
ル・アーブルを素通りし日本人孤児院へ聖子は向かうが、ル・アーブルを通っている時、聖子は何かを感じ、それは誰にもわからない聖子だけが感じものだった。
モンティヴィリエの日本人孤児院へ着くと、そこで海都について話を聞くが施設の職員は、しばらく聖子の瞳を見つめたままであった。
「私は、銀河の妹です」
聖子は言葉を考え銀河の名前を言葉にすると安心したような表情で施設内に案内をされた。
銀河の収入の一部は、モンティヴィリエの日本人孤児院へ寄付されていて、銀河が死んでしまったにも関わらず寄付は続いていると言うのだ。
日本人孤児院の職員は銀河が死んでしまった事を知らないようだった。
「どうして?銀河はもういないのに、どうしてなの?」
聖子は誰かが銀河の代わりに銀河の名前で寄付をしているのではないのか?また一つの疑問がわいてきた。
銀河と海都の関係はとても深いもので、施設の人は聖子を信じ、海都のアトリエの住所をメモ用紙に書き渡してくれた。
聖子は渡されたメモ用紙を持ち、ル・アーブルの海都の家を訪ねていたが、住所は生活をするだけのアパートの様な家であった。
「アトリエじゃなかったの、どうしようか」
しばらく聖子は、その家の前で座って待つ事にしたが、その家の前で一夜を明かしてしまう。
太陽が昇ると静かな涼しい朝、一人の女性が聖子の前に現れ、聖子はその女性に海都のアトリエについて聞いてみた。
女性によれば海都のアトリエは家の前の道を歩いて三十分程の場所にあるとの事だった。
聖子は、女性の言う通り歩いて行くと、公園のような場所があり、公園の道を歩いて行くとナポリのミシェル邸のようなシンメトリックな石造りの豪邸があった。
大きな扉には「KAITO」とローマ字で書かれていた。
聖子は扉を叩くが誰も出て来る気配はなく、扉の前で待つ事にしたが、しばらくすると。
「何してる?バシャ、バシャ、バシャ、バシャ、バシャ」
聖子は何もしていないのに、頭から水を掛けてくる日本人男性がいた。
これが初めての聖子と海都との出逢いであった。
「何するのよ!」
「ここで何してる?君には関係はないだろ」
聖子は、モンティヴィリエの孤児院を訪ね住所を聞き、ブロックからの紹介である事を海都に説明をする。
「ブロックか?もう僕はブロックとは関係ないよ、水濡れしたのは申し訳ないが帰ってくれ」
「私は聖子、古美術商人だけど」
「そういうことか、マネージャーを探してるとでも聞いて来たか」
「そう、そうなの」
海都はブロックにマネージャーを探してる事を伝えてはいなかったが、アトリエの中に聖子を入れてくれた。
聖子は海都に銀河の事を話す機会を見つけようとしたが、それは先の話になる。
海都は銀河と同じ匂いがすると感じる聖子。海都は芸術の事以外の事は考えていないようだった。
海都は一人で、顧客管理をしていた。
パリ周辺には金持ちが多く、部屋ごとに季節ごとに絵画を飾る人種がいて、八十号から百号で部屋に似合った絵画を一人でビジネスをしていた。
海都は聖子に顧客の管理と顧客の家に出向き部屋の写真や要望を聞く役割となる。
毎日が忙しく、忙しい中で油絵を描いていた事を聖子は海都の一面を知る。

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