2016年、初観劇は“漂流劇 ひょっこりひょうたん島”
過去にNHKで放送されていた人形劇の“ひょっこりひょうたん島”の舞台版
人形劇の“ひょっこりひょうたん島”は、こども向けの作品ですが、舞台版は、大人向けの作品といった印象でした。
舞台上には、島?を想像させるシンプルなセットがあるのみ。その島に乗って、出演者は、ひょうたん島で繰り広げられる物語を演じていきます。
これまでのこまつ座の作品をすべて観劇したわけではありませんが、今までの作品は、井上ひさしの戯曲の巧みさに面白さを感じてきました。たとえば、とても辛くて悲しい話を面白く描いたり、逆に、面白い話なのに悲しく聞こえたり。客席も、先ほどまで、大笑いをしていたかと思うと、次の瞬間は、すすり泣く音が聞こえたりと、感情のジェットコースターを味わいましたが、正直、今回は、この感情を味わうことが出来ませんでした。
そのかわりに、身体表現を駆使した舞台といった印象を受けました。セリフがないシーンでは、身体表現でどこまで物語を語ることが出来るのか…といった感じが見受けられました。その点では、今回の作品は、個性的な役者が揃っていたので、この実験的な舞台を表現できたのではと思いました。
今回は、人形劇がオリジナルですが、原作がある作品だと、役者はどれだけオリジナルに近いのかも楽しみの1つ。博士やドン・ガバチョは女性が演じていましたが、そっくりではないのに、“博士”や“ガバチョ”に見えました。“とらひげ”は、オリジナルとは、全く異なっていましたが、小松政夫が登場するだけで、舞台が面白くなる、もしくは、面白くなりそうな予感を感じさせてくれました。1番、オリジナルに近いのは、“サンデー先生”。しかも、動きが人形みたいで、“ひょっこり”は、やっぱり人形劇ということを思い出させてもらいました。宇田川先生でおなじみの山田真歩は、あの印象があったので、子供にしか見えない“プリン”を演じていて、女優さんは、大人も子供も演じられるんだと~と改めて感心しました。
何かと評価がわかれる作品だとは思いますが、人形劇の舞台化という試みは面白かったように思いました。もう少し、オリジナルの曲が劇中の中で使われると当時の人形劇を知っている人には懐かしさも出たのかな~と思いました。“な~みをチャプチャプ”もラストだけだったし…。
ただ、どうでもいいことを心配し過ぎる自分に“今日がだめならあしたにしましょ。どこまで行っても明日がある”と楽天的になりたいと思い、逆に、今、しなければならないことには、「明日がある」といって、先延ばしにして、後で後悔する自分をなんとかしたいと思いました。