『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・11/30『鉈切り丸』前楽・千秋楽

2013年11月30日 | ・ロバみみの芝居小屋
とうとう「鉈切り丸」の幕が下りました。
剛くん、お疲れ様でした。

鉈切り丸は空を飛ぶことはできなかったけど、
剛くんは役者としてまた大きく羽ばたいてしまったなぁ…と、
成長して巣立っていく鳥を見送るような気持ちで客席にいました。
嬉しいような、そして、ちょっぴり淋しいような、そんな気持ち。

さて、マチネとソワレの連続観劇。
両部とも良席で観られたことに感謝、です。

なんかね、昼公演のラストシーンで、鉈切り丸が地獄の蓮池で立ち回っている時、
こぬか雨がライトに照らされて、鉈切り丸の頭の上に小さな虹を作っていたんです。

それを見た瞬間、なんか言いようもなく切なくなってしまって……。

「畜生だと思っていたが、お前もやっぱり人だったんだねぇ」

建礼門院がそう言っていましたが、
最期の時、蓮の花の前で最後の命の火を燃やす鉈切り丸に
観音様の慈悲の光が降り注いだように思えて、
少しの救いを見たような気がしてしまいました。

それをね、なんだかとっても剛くんに伝えたくなってしまって。
昼公演と夜公演の合間に、ロフトに走ってポストカードを購入。
簡単で短い文章ではありましたが、お手紙をしたためてみました。

突然現れたのか、ロバみみが気づかなかっただけなのか、
出演者宛のお手紙を預かってくれるコーナーが出現しているのを楽日に初めて知ったので。

まあ、楽日で撤収するんで荷物も多いだろうし、
剛くんの手元に届いても、マネージャーさんが持ち帰って
そのまま処分の運命かとも思ったんですけど、まあ、やるだけやってみました。

本当にね、あの虹。
鉈切り丸の使い果たした命を最後に優しく包んでいるように見えたんです。

光の加減なので、角度によって見える場所と見えない場所があると思うんですが、
もちろん剛くん本人には見えるはずもなかったと思ったので、
伝えたかったんですよね。

聞いたところで「あそ」って感じかもしれないですけどね(苦笑)

そういえばウィルヴィルの時も、色々手配して頂いてお世話になったスタッフの方に
差し入れしたついでに、剛くん宛のカードを託してみたんだった。今、思い出した!
届いたのかどうかは未だに不明。そんなものよね(笑)

さて、そんなこんなで色んな気持ちがあふれる楽日の観劇。

剛くんの演技のひとつひとつにゾクゾクしながら、観ていました。
好きなシーンやセリフ、表情、全部細部に至るまで目に焼き付けたかった。

不自由な右足に感情を持たせて歩き、走り、時に踊るような足取りで
鉈切り丸の心を雄弁に語る剛くん。

剣先を空に突き立てて、トビに天下を約束する範頼の輝く目。

頼朝が奥州を制圧して、「いざ! 鎌倉!」と叫んだ後、
振り向いて両手を広げる範頼の、まるで自分が鎌倉を手に入れたかのような
自信に満ちた表情。

「殿ねぇ…。悪くない」
と、冷静で冷徹な範頼が、ほだされる瞬間。

祝言の最中に舞を見ながら時折見せる満足げな微笑みと
征夷大将軍に就任した祝いの舞を見つめる静かな面持。

弁慶の呪いの言葉をあざ笑う毒のある目つき、
義経の自害を操る死神のような顔つき。

「穴があったことさえ忘れてしまうだろう」
と、心の影をつぶやく横顔。

殺陣は見るたびごとに、どんどん切れも迫力も増して、
泥臭い息遣いで多くの人間の命を蹴散らしていく。

「俺に羽をくれ。代わりに鎌倉をやる」

そう鳶に訴えかける鉈切り丸の最期は痛烈に悲しかった。

壮絶なラストシーンのあとの脱力感は半端じゃなかったです。
鉈切り丸は、本当に命を削って演じるほどのキャラクターだったのではないかと思います。

そんな張りつめた中、千秋楽は少しの遊び心もいっぱいでした。
生瀬さんは一段と弾けてましたね(笑)
御酒に酔いすぎでしょ(笑)

若村さんとの夫婦どつき漫才は、息かぴったりでした。
若村さん、「カリギュラ」の時にうーん、と思ってたんですが、
北条政子、よかったです。
ヒステリックで感情的なんだけど、うるさくなく、メリハリがあって、
母と妻の苦悩みたいなのも伝わって。時にチャーミングな面もあったりして。

生瀬さんに「オトちゃんかわいい。(若村さんをチラ見)断然、こっちがかわいい」と言われて
思わず呆れ顔で笑ってしまっていましたが(笑)

そして、剛ちゃんも!

頼朝の兄上とのシーン。

頼朝「政子が私の右腕なら、範頼は私の、左腕だっ…!」
範頼「……」
頼朝「もう一回! 政子が、」
範頼「大丈夫ですから!」
頼朝「…(まだ粘ろうとする生瀬さん)」
範頼「大丈夫ですからっっ!」

と、有無を言わせぬ「大丈夫ですから」二連発(笑)

頼朝が範頼を抱きすくめるシーンも、セットから落っこちないように
振り向いて二度見して後ろを確認する剛くんが可愛くって、
客席の笑いを誘っていました。

この抱きすくめられる時の剛くんのなんとも言えないこそばゆい顔が何度見てもツボでした。

そして、流鏑馬のシーンでは、義盛殿の追っかけに混ざったホモ男さんに
今までは義盛が蹴りを入れていたんですが、
千秋楽は剛つんの「必殺・鉈切りキック」が炸裂~(笑)

ああもう、こーゆーとこ、森田剛だっ! って思いました(笑)

(注)剛くんは劇中「鉈切りキック」とは言っていません。

カーテンコールも満場のスタンディングオベーション。

そして、座長である剛くんのご挨拶。

「今日を迎えられてとても嬉しく思っています。
 明日から12月です。寒くなりますので、皆さん、風邪などひかないように気をつけて下さい。
 よいお年を!」

も、もう?(笑)
でも、クリスマスもすっとばして、いきなり年末の挨拶をかますあたりが森田剛だわ…って感じで、
本当に「おかえり。剛くん。お疲れ様でした」って思いました。

そして鳴り止まない拍手の中、最後に上手の竹藪の前にひょこっと再登場。
昼公演でもこの場所にご登場賜った範頼様でしたが、
その時は、王子様がお姫様にダンスを申し込むかのようなお辞儀でご挨拶。
もう、その瞬間、ロバみみ、溶けそうでしたが
夜公演では、客席に向かって剛ちゃんスマイルで手をいっぱい振ってくれました。

だめだー。
あんなに険しい顔で残酷だった男に、こんなハニカミ笑顔を見せられたら……。
…やっぱり、剛くんが大好きです(涙)

楽は健ちゃんも、ご来場していましたが、
他にも高岡蒼甫くんや萩原聖人さん(多分)とすれ違いました。
どんどん演劇関係者に「森田剛のすごさは、たかがジャニーズレベルではない」ことを
その目で確かめに来て欲しいです。

今回の作品は、あまりにもすごすぎて、
次回の剛くんの仕事のハードルがかなり上がってしまったような気がします。

他の演出家の方にとっても、森田剛をキャスティングしようとしても、
これを超えなきゃいけないというプレッシャーと戦うことになるんじゃないかと
思ってしまいました。

まさに「鉈切り丸」は演劇界への挑戦状ともいえる作品になったのではないかと思います。

でも、剛くんは、そんなことはお構いなしに、
ずっと上を向いて、どんどん進んで行って欲しいと思います。

そんな剛くんに、絶対ついていくからね。

個人的には、今度はコメディなんかにも挑戦して欲しいです。
多分、ヒール役より難しいジャンルだと思うし、
また違った引き出しが剛くんを高みにつれて行ってくれると信じてる。

でも、まずはリセットする時間が必要かもしれないですね。

剛くん。本当にお疲れ様でした。
そして、心揺さぶる作品をどうもありがとうございました。

ロバみみより愛をこめて。



・11/22『鉈切り丸』

2013年11月22日 | ・ロバみみの芝居小屋
「鉈切り丸」の観劇も、いよいよ3回目。
ファンじゃない一般の人は「同じもの、なんで?」の域に突入です。

が!

飽きないです。「鉈切り丸」。すごい。
ロバみみ、案外、時代劇好きなんだな。

実は今回、手元にあるのは実質10列以内ではあるものの、
良くもなければ悪くもない、みたいな席ばかりで
ちょっとビミョーだったもので、前列で観たいと思いチケット確保に乗り出しました。

おかげさまで下手サイド前方でガン見の果てに、ラブビーム出まくりで、

「剛ちゃんを照らす照明がピンクになったらどうしよう…」

と、我ながら心配するほどでした(笑)

冗談はさておき、前だと見えることは見えるんですが、
他の演者さんにかぶってしまい、鉈切りくんが皆既日食状態になることも。
これはどうにもならないことですが、ちょっともどかしい時間帯です。

でも、セリフを言い放ったあと、照明が絞られるのと同時にはけて行く前の
範頼の一瞬の表情がいいでので、すごくよく見えて嬉しかったです。

それに、今回、剛くんのセリフ回しの声にやられてます。
いのうえさん、すごいと思った。
こんなこと剛くんに要求しちゃうんだって思って。

そして、こんな風にちゃんと鉈切り丸になれちゃう剛くんの柔軟性にも脱帽。

全編を通して、いつもと違うチューニングで声を出していると思うんだけど、
その上でさらに、シーンごと、セリフごとにテンポもテンションもトーンも違う。

ゾクゾクします。

そして、あの身のこなし。
顔の動き。目線。手の使い方。

小賢しさがにじみ出ていて、そして人を虫けら同然に扱う非人道的な男の所作。
演じていて、心が擦り切れてしまわないか心配になるほどです。

でも、範頼が「この鉈切りの支配下になる」って言ったあとの場面転換かな?
とにかく最初の方。
竹藪の前で下手に移動するときの剛くんの足取りがすっごく好き。

悪事がどんどん成功することを確信して、踊るような足取りの鉈切り丸。

まさに「愉快極まりない」、そう雄弁に語りかけてくる。

逆に見ていられないのは、巴を惨殺するシーン。
ここだけは双眼鏡を使えずに、いつも下ろしてしまう。
身重の女性を蹴るって、見るに堪えないんですよ。やっぱり。お芝居でもね。

DVシーンがひと段落してから、やっと気を取り直して観ることができます。

汚いものでも触るかのように巴の舌をつまみ、投げ捨てる鉈切り丸。
そのあとに手を払う仕草が実に子供じみていて、
人として成熟していない、不完全な悲しい男という印象を受けます。

そんな動作ひとつとっても鉈切り丸という人間への想像を掻き立てられる。
観客に残された余白を楽しめるこの幸福感。

森田剛。お見事です。

そうだ。手で思い出したんですけど、
剛くん、左手の小指。どうしたんだろう?
前回観た時から気になっていたんだけど、なんかテーピング?みたいなのが
ぐるっと巻いてある。

立ち回りの時に痛めちゃったのかな?
大丈夫だといいんたけど……。

公演もいよいよあと一週間かぁ…。
淋しいなぁ。

待っている時間は長いのに、始まるとあっという間だな(涙)

怪我もなく、剛くんが笑顔で千秋楽を迎えられますように。

・『鉈切り丸』

2013年11月20日 | ・ロバみみの芝居小屋
今週、剛くんのケッパリを再び観て参りました。
食い込むように、いや違う、食い入るように観てるうちに
ハッと気づいたらカーテンコール。

なんかもう、集中してんだか、散漫なのか、自分でもよくわからない。

剛くんがいつになく汗なんてかいて熱演してると、
「もしかして、今日、具合が悪いんじゃ。熱でもあるんじゃ…?」
とか、思っちゃうし。

でも、そんな姿がまた色気があって、
「ごめん。剛くん。こんな時になんだけど、やっぱりやっぱり、大好きです」
とか、思っちゃうし。

もう、自分でもわけわかんなくなってる。

でもこの日の公演は、最後まで、こと切れなかった剛くんの冷静さと底力に、
なでおろした胸をつかまれて、また惚れ直しちゃったといった感じ。

だー、もー!
剛くんはロバみみの頭上、空高く舞っている鷲です。
鳶じゃなく。

手を伸ばしても、まぁるで届かない。
いつもずっと遠くから、剛くんを見上げてる。
でも、それは果てしもなく幸せな気持ちでなんだけど。

そして、この舞台の生演奏の笛の音がとても素敵なんです。
鳶の鳴き声です。まるで。
物悲しい音色が、鉈切り丸に話しかけているみたい。

人間らしい心持ちで周りの人間たちとの関係性を築けなかった範頼の唯一の話し相手。
本当は誰かに聞いてもらいかったんだよね。
同じ目線で話をしたかったんだよね。

って、言ってあげたくなる。あんなに嫌な奴なのに…。

情が湧くって、そういうこと。
許しがたい卑劣なヤツなのに、わかってあげたくなってしまう。
心が葛藤するって、そういうことじゃない?

だから、巴御前、物足りない。
子供すぎるんだよなー…。観ていて。

もっと母性があったり、肝が据わっててもいい気がする。

女だてらに甲冑を身にまとい、女武将として勇ましくも、
夫に操をたてる一途さと芯の強さ。

それが、次々とやってくる悲劇と屈辱にねじ伏せられるわけだから、
やっぱりファーストシーンより、変化していってくれないと。
3時間、ずっと一本調子はツライ。正直。

もし、私が巴の立場だったら、
範頼の子供を身ごもって、その子の誕生を心待ちにしている範頼を見て、

「この人は愛情に飢えていたのかもしれない。
もしかしたら、子供だけは愛する父親になるかもしれない」

と、小さな情と淡い期待を抱く自分に気づきながら、
憎しみを消すことは断じてできない、みたいな葛藤に心がちぎれると思う。

若くて美しく勇猛果敢な女性。
いいと思いますよ。巴御前なんですから。

でも、憎いのはわかるけど、キーキーわめいててもダメでしょ。って思っちゃうんです。
どうせ一人じゃ食うにも困るありさまじゃないさって。
あれじゃ、女子高生のヒステリーレベルに見えてしまう。

いつ範頼の寝首をかいてもおかしくない、したたかさと緊迫感が欲しいところ。
男なら誰しもが一夜を共にしたいと思わせる「いい女感」も垣間見せて欲しかった。

……あー、なんか、熱入っちゃった……。

毒でてますか……? 出てたら、申し訳ないです。

これは個人的な感想であって、さらっと流して頂ければ……。
もちろん、ロバみみ目線の巴御前でしかないですし。

作家さんが何を意図して書いたのか、演出家がどう見せたかったのか、
そして役者がどう演じるのか。

受け取り側のロバみみのところに来るまでに、
かなり作品自体が色を変え、形を変えしていると思います。
感じ方は人それぞそれだし。

たださ、やっぱりさ、鉈切り丸が主役なわけだから、
どんな悪党でも真ん中に立ってるわけだから、
そこにむかって感情移入して観ちゃうのね。特に演者が剛くんだし。

そうすると、
「ああ、この鉈切り丸を見て、この登場人物はこういう気持ちかな」
とか、他のキャラクターの角度から範頼を見てる瞬間とかがある。

巴御前は範頼の奥さんだから、やっぱり、一番気持ちが入ってしまう。

「ああ、私が巴御前だったら、こうだな」

みたいなね。

というわけで、なんか、剛くんの感想というより、
別な感想になっちゃったけど、次回は剛くんを含め、
もっと全体的に舞台をしっかり観て来るつもり。

剛くんの演技に振り落とされないように、
最後は鉈切り丸と一緒に、空を見上げて来ようと思います。

・野田地図『MIWA』

2013年11月14日 | ・ロバみみの芝居小屋
「鉈切り丸」の余韻も冷めやらぬ中、野田さんの「MIWA」を観て来ました。

やっぱり野田さん、天才だなー。

この「MIWA」は、ご存じ美輪明宏さんのこと。
美輪さんの誕生からシャンソン歌手として脚光を浴びるまで。
スピーディーにストーリーは展開します。

もう、冒頭のシーンから、くぎ付けでした。
あまりネタバレしてもなぁと思いますので、書きませんが、
こんな風に性別を選んで生まれてくることもあるかもしれないって思いました。

美輪さんの生まれ育った長崎という土地。
隠れキリシタンと同性愛者。
そして原爆。歌。愛。生と死。

次から次へと運ばれてくる食材が、目の前であれよあれよという間に
刻まれて、フライパンに入れられて、
ジャカジャカ火を通されて、みるみる皿に盛りつけられるように芝居が進んでいく。

うっかりしてると振り落とされて、味わえなくなっちゃう。
文字通り「食らいつく」勢いで観ていました。

そして一貫して出てくる「踏絵」というキーワード。
もう、素晴らしすぎる。

興奮気味で書いてることが意味わからなくなってますが、
野田ワールド炸裂でした。

んでもって、とにかく笑いました。
もー、ゲラゲラ笑いました。
あははーって、のけぞって笑いました。
いいツボついてくる。マジで。

古田新太さんが、あのトウモロコシの毛みたいな金髪で現れた瞬間から、
もうダメでした。

あ、もちろん美輪さん役は宮沢りえちゃんなんだけど、
りえちゃんの心に棲むバケモノって設定ね。
アンドロギュヌス、だけど、安藤牛乳(笑)

それに、池田成志さんさぁー、飛び道具すぎるよっ(笑)
一人で観てたら、多分、その辺、転げまわって笑ってたよ。ロバみみは。
あの汚いオカマっぷり、いや、失礼、個性的な女装家っぷりは最高。

浦井健治さん、思わず、「シャルルー!」と叫びそうになりましたよ。
五右衛門は美輪さんもどきに変装中(笑)

井上真央ちゃんは、なんか肝が据わってる感じ。
よく通る声で貫禄すら感じた。

でも、笑ってばかりはいられんとよ。(長崎弁のつもり)

あの原爆投下のシーンは、心がザワザワしました。
静かに音もなく黒く透明な布が、ふうわりと倒れた人たちの上に舞い降りて行く。

原爆の黒い煙が、放射能が、街を人を抱きかかえるように包んでいく。

悲しくて怖かったです。

生まれながらにして二つの性に悩み、原爆の焼野原を歩き、
偏見の中、歌手として成功しながらも、直面する愛や死に打ちのめされる。

試練と呼ぶにはあまりにも残酷で過酷。

でも、涙をぬぐい、背筋を伸ばして凛と立つりえちゃんの姿に、
あっぱれと言いたくなりました。

とにかく、あっという間の2時間。

心は前のめりの観劇でした。

やっぱり野田さん、天才すぎる。
いろんなことが、いろんな人が、どんどんラストに向かって集まっていく感じ。
いつも「うわぁ…」って思う。

そしてたくさんの言葉たちが、今回もキラキラしていました。

本当に大満足な素敵な2時間でした。


・『鉈切り丸』東京初日

2013年11月08日 | ・ロバみみの芝居小屋
剛くんの舞台を観ると、いつも心がヒリヒリする。

「鉈切り丸」、東京初日。

もう、何をどうやって書いたらいいだろう。
今もまだ心がヒリヒリ、ヒリヒリ……。

今日ほど、剛くんのファンをやめたいと思ったことはありません。
だって、剛くん演じる源範頼って、相当なヒール役なんですよ。

なのに、どうしても、どうしても、キライになれない……(涙)

剛くんを好きな気持ちを全部なくして、この作品を観れたら、
どんなに幸せだっただろう?
そしていったい森田剛とは、ロバみみの目にどんな役者として映るんだろう。

悔しい。まっさらな気持ちで観れないことが。

だって、多分、今回の剛くんも相当にスゴイ。
それを純粋にジャッジできない悲しみを今日、改めて感じました。

いつも、ファンのひいき目で観ないように気をつけていたつもりだけど、
こんなに悪い男を憎み切れないとは、自分で思うよりずっと、
それは難しいことだったんだなぁと実感しました。
我ながら情けないです。

でも、大好きな剛くんが、今回もやっぱりロバみみの期待をあっさり超えて、
舞台の上で悪役として生きていることが、嬉しくて誇らしくもありました。

つい見ちゃうんですよね。他の役者さんたちが芝居を進めている間も。
低い姿勢で周りをジッと見ながら、たくらみ顔している剛くんを。

でもって、「うきぃぃぃぃっ」と叫びたい衝動にかられるわけですよ。
剛くんのあの目を見たら、本当にもうダメなんです。
心臓がギューってなるんです。

ギブミー・さるぐつわ!!

って心の中で何度叫んだか……(涙)

俺が歴史を書き換える!

みたいな決めゼリフを言い放った時の、剛くんのゆるぎない表情に
心が引き裂かれそうでした。

鳶のように両手を広げる姿も、弱い動物が自分を大きく見せるかのごとく
どこか淋しくて哀れに思えてしまうものの、
でもやっぱり、とても魅力的で、目が離せない。

嘘と裏切りと残酷を心に秘めながら立ち回る時の剛くんの声と、
本音をぶちまけて毒づく時の剛くんの声。

全然違います。

不自由な足。
なのに歩き方はいつも同じじゃない。
範頼の心情と一体となって、ひとつの意志をもっているような右足。

時に機敏にひるがえり、時に愚鈍を演じている。

この醜い男が、自分の筋書き通りに天下を獲ろうとし、上り詰めて行く話は、
リチャード三世同様、結局、身を滅ぼすに至るわけですが、
生きていちゃだめなんですよね。やっぱり。

そして、渡辺いっけいさんは武士魂を最後に取り戻すいい役でしたね。
そうでなくちゃ。悪は善に倒されなくちゃいけない。

どこまで上りつめたって、きっと彼は幸せにはなれない。
というか、幸せの感じ方を多分知らない。
土になりたくないとほざいても、それが一番心安らぐ場所なんだろうと思う。

この世に産み落とされた邪悪な命。

「殺してあげなくては」

そう思わずにはいられませんでした。

「鉈切り丸」のネタ元、「リチャードⅢ世」はぶっちゃけ好きじゃないし、
新感線でやった時は、まったく感情移入できずに途中で寝てしまい、
戯曲も読み始めてすぐに挫折してしまいましたが、
「鉈切り丸」は、あっという間の3時間でした。

役者さんたちも豪華でした。
驚くほど軽薄な頼朝は、いーんだろうか?と思いましたが(笑)

秋山さんはロバみみ的には北条政子のイメージだったんですよね。
美人なのに突き抜けたコメディセンス、今回の舞台で観れなかったのが残念。

で、驚いたのは木村了くん。

もう、正直、ロバみみは剛くんから目が離せなくて、
「いいのか、それで! 芝居、進んでるけど?
 剛くん見てばっかじゃもったいないよ」
という、心の声と戦いながら、その声を終始ねじ伏せまくっていたんですが、
ふと剛くんがいない奥州攻めのシーンで、

「あら、なんか美しい立ち回りの役者が一人いる」

と、目を引いたのが木村了くんでした。

すごい殺陣が軽やかでキレイ。
刀さばきもポーズも角度も決まってて素敵でした。

最後のカーテンコールは、麻美れいさんよりも前に立たせて頂いている剛くんを見て、
なんかもう、感激してしまいました。

こんなにたくさんの役者さんたちの真ん中に立つ重責たるや
大変なものだろうと……。

それでも剛くんは、誠実に役を身にまとい、そこにいる。
すごいです。

本当に初日って、たくさんの気持ちがあふれてしまって、
書きたいこともとっちらかってしまうのですが、
回を追うごとに、深く作品を味わえたらと思っています。

でも、何回観ようとも、一番最初の気持ちには勝てないけどね。
どんなにまとまっていなくても、最初の感動と感想がやっぱりベスト。
 
今回は何回劇場に足を運ぶことになるかわかりませんが、
剛くんの気迫に負けない意気込みで
客席で爛々と目を輝かせていようと思います。


・『Some Girl(s)』

2013年11月07日 | ・ロバみみの芝居小屋
健ちゃん主演、「Some Girl(s)」を観て参りました。
生でメンバーに会うのはコンサート以来だから半年ぶりくらい?
もー、長かった……。

ムショにお勤め中の極道の姐さんのところにだって、
もっと頻繁に若い衆は顔出すよ?
こんなに長いこと面会謝絶なんて、これぞ本当の拷問(涙)

さてさて、久々のグローブ座。
客席も変形に配置されている今回の舞台。
ロバみみは、その変形部分、つまりは前列におりました。

ここで、まずは一言叫んでもいいかな?

健ちゃん、かわいいぃぃぃぃ!!!!!!

なになになに!?
あのクルクルパーマネントはっ?

あああ、私の目の前に、成人男子に化けたトイプードルがいる……!!
やばい、頭をなでくりまわしたい……!

BGMは既に「SHODO」(笑)
止まらないその衝動が、壁に穴をぶち開けて、セット台無しになる勢いでした(汗)

おまけに、ほぼ会話劇なもので、セリフに表情を持たせるために、
手振り身振りと一緒にくるくると動く愛くるしい瞳。

もう、だめだ。
スタッフさん! 暴れ出さないようにバンドのついた
フランケンシュタイン用の椅子あります?
あったら、この○列○番の座席と交換してください。
私、今にも舞台に駆け上がりそうですー(涙)

と、劇場スタッフに泣きつきたかったです。

まあ、健ちゃんの衝撃のかわいさはこの辺にしておいて、肝心のお芝居。
一部ネタバレも含みますので、ご注意くださいませ。

あらすじは皆さん周知のとおり。
結婚が決まった男が元カノに会いに行く話。

ぶっちゃけ、ロバみみ、この主人公みたいな男の人、好きじゃありません。
自分のことしか考えてないから。
自分のために恋愛して、自分のために別れて、なのに自分の都合で呼び出す。
サラサラと吹く風のように恋愛の楽しいうわばみだけを味わって、消えて行く人。

つまりはそういうことが許されるモテる人ってことなんだけどね。
最後に会う元カノにも「顔だってそこそこいいし」ってセリフがありましたしね。

脱線しますが、この瞬間、
「そこそこ!? うちの健ちゃんつかまえて、ソコソコとは何?
 と・び・き・り、でしょっ?」
と、心の中でツッコミました。

まあ、さておき、女たちは皆、彼にフラれて振り回されて、傷ついたはずなのに、
のこのこと彼の誘いにのってやってくるわけですね。

だいたい、過去に深くかかわってしまった男の人が、久しぶりに連絡をよこす時って、
ろくな要件じゃないと思うんですよ。
なのに、です。

でも、きっとそれは、一番ドキドキして、
一番夢中になれた恋愛だったからなのかもしれません。
忘れられない恋っちゅーやつです。

今、みんな、ラブセンでメンバーと仮想恋愛中かもしれませんが、
もし、健ちゃんが一瞬でも彼氏になってくれたら、
間違いなく「自分史上・最高カレシ」なわけで、
惚れた弱みにつけ込まれたら、やっぱり行ってしまうばす。
そんなオトコ、さいてーだけどね。実際は。

だから、ロバみみは「健ちゃんはかわいーけど、こーゆー男はなぁ…」と思い、
「人様の恋愛のすったもんだを見せられても、ちょいとうんざりかなぁ…」と憂い、
最後まで自分の集中力が持つか心配でした。

でも、三番目の元カノで、年上の同僚講師が出てきて空気が変わりましたね。
理詰めで攻める、責める(笑)
客席の笑いもずい分誘っていました。
淡々とブラックで、いい感じでしたね。

押され気味で、しどろもどろの健ちゃんに

「あなた今、帰りたいって思ってるでしょ!?」

の一言は、Vファンとしては笑わずにいられませんよねぇ?(笑)

でも、「かわいい顔して、目をつぶったままでも人を傷つけることができる」って、
首が、もげるほどに頷きたくなるセリフでした。

そして、4人目の元カノで、あちゃーなラストを迎えるわけですが、
健ちゃんでなければ、「一生やってろ、ボケ」と吐いて捨てたい感じでした。

とりあえず、なぜ、小説を書くことに彼がこだわっていたのか、
そのバックストーリーがわからなかったので、
結局、ロバみみの感想は「ろくでもない男だったな」に落ち着いてしまう。

もし、彼の生い立ちとか、小説を書くことでのみ救われるトラウマとか、
心から人を愛せない哀しい過去とか、そんなんが見えたら、
もっと違う角度から作品に、そして主人公である彼に感情移入できたかもしれません。

とはいえ、健担は観劇必須でしょうね。
今回もセクスィなナイスバディを拝めますからね。
しかも、パンツに靴下という、ロバみみ的に
「男性の情けない恰好ベスト5」に入るレアなスタイルで(笑)

ロバみみの席からは、障害物が邪魔して、
思いっきり拝めなかったのが心残りではありますが、
剛担がぜいたく言ってはいけません。
心にしみる美ボディでございました。

ありがたやー(笑)

そして、健ちゃんのあまりのかわいさに酔いしれていた帰り道、
またロバみみ、またしてもやっちまいました。

山手線、逆回りー!!(涙)

前にも健ちゃん舞台の帰り、健ちゃんのかわいさを思い出してポーッとしてたら、
降りる駅を間違えた過去がありますが、今回もまた……(涙)
でも仕方ないですね。そんな失敗しちゃうくらいに、本当に可愛かったから。

さてさて、明日はいよいよ「鉈切り丸」東京初日!

「Some Girl(s)」とは、全然違うテイストの作品だと思うので、
また新たな気持ちで劇場に向かいたいと思います。

楽しみです!