『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹・蜷川Ver.』大千秋楽

2013年02月23日 | ・ロバみみの芝居小屋
もうかれこれ一週間程たちますが、「祈りと怪物」の大千秋楽のお話。
いつもは行かないんですが、今回は特別。
コンサートがなかったからと、ずっと、友達が遊びにおいでと言ってくれていたから。

さて、大千秋楽の剛くん。

「昨日、夜更かししちゃいました?」

と思ってしまいました。目の下に小さなクマちゃんが二頭(汗)
もう、勝村さん、剛くんを昨日の夜ひっぱりまわしたりしたんじゃないでしょうね!?
と、一人、心の中でいいかがり的ないちゃもんを(笑)

それでも、無理して笑うシーンの剛くんは、
目を見開いたままひきつり笑いをする不二家のポコちゃんみたいで
「磨きがかかってる(笑)」と思いました。

ついでに言うと、広場で手品(?)を披露するシーンでのダンダブールのあのダンスは?(笑)
いやいや、橋本さん、イケてました!
コクーンでもやって欲しかったなー。

えー、大千秋楽も、町の独裁者ドン・ガラスとその娘たちを取り巻く人々の物語は、
最後まで横暴かつ理不尽で悲しく進んで行きました。

登場人物たちが、エイモス家とかかわることで、人生の歯車がきしみ始めて行く。
望んでいたこととは別の悲しい最後に向かって。

ロバみみはトビーアスの

「目の見えないカメレオンって色が変わらないんだ」

というセリフがとても好きです。
(差別用語が含まれますので、まんまじゃないですけど)

周りの色に同調することで身を守るカメレオンが、
目が見えなくなると、自分本来の色でその人生を全うする。

この「祈りと怪物」の物語になぞらえて考えてみると、
皆、それぞれの理由でエイモス家と関わりをもって、そして破滅していくわけで、
ある意味、エイモス家色に染められた人生を送ることになる。

でも、目の見えなくなったパブロだけは、
権力を笠に着て、虚勢を張って生きる自分を捨てて、
若者らしい潔さで、レティーシャと一緒に町を出ようとする。

そこには自分の本当の望みがあるだけ。

このカメレオンのセリフとパブロの顛末は、ケラさん的に意図した伏線なのかはわかりませんが、
単純に、カメレオンみたいに周りに合わせて自分を塗り替えて生きていないか、
そんな風に自分を振り返ってしまう奥深いセリフでした。

あと、ジャムジャムジャーラのセリフも感慨深いものがありました。

「幸せでなかったというと申し訳ないような気がして、
 かと言って、幸せだったというと無理をしているような気がしてね」

なんか、わかる。
恵まれた毎日に感謝しているし、文句を言っちゃいけないとは思うんだけど、
満たされてるかと訊かれたら、自信を持って頷けない自分がいたりする。

働く場所があって、お給料がもらえて、雨風しのげる家があり、ご飯に困ることもない。
でも、自分の思い描く通りに生きられているかと訊かれたら、
即答はできない哀しい独身OLにはしみるセリフでした。

あと、トビーアスの家にペラーヨ先生が脅しに来るシーンも好きでした。

トビーアスが家に帰ると、暗転の中にタバコの火がポツンと灯る。

この演出がね、すごくいい。

もう、これだけで伝わってくる静かな緊張感。

そして、先生を撃ち殺した後、
毒づきながら缶詰をむさぼるおばあちゃんを見るトビーアスの表情がとてもいいんです!

疲弊していくトビーアスの心が手に取るようにわかる。

恩師をためらいなく殺した直後に、
食べること、すなわち生きることに執着するおばあちゃんの世話をする。
なんともいえなくトビーアスのやるせなさが伝わってくる。

本当は動物園で動物の世話をしながら、
静かに小さな幸せに笑っていられたはずのトビーアス。
どうしてこんな風になってしまったのか。
でも、もう後戻りはできない絶望感。

トビーアスだけでなく、この物語の登場人物たちは、
誰しもがそんな感情を抱きながら、ウィルヴィルの街で暮らしていました。

根底にあるものが暗いので、ロバみみはどちらかというと、
ブラックジョーク満載のケラさんバージョンの方が好きかなー。
好みの問題です。本当に(汗)

舞台劇の映像使用にはアンチな方なんで、蜷川さんのやり方の方が好きなんですが、
とにかく「おとぎ話感」が、ケラさんは抜群に素敵だった。
蜷川ver.では、エレミアさんが用をたすシーンとか、不必要に露出した男の人とか、
人間の下世話な現実感みたいなのを見せられてしまって、
ちょっと苦しかったりしたので。

蜷川さんの作品は「タイタス・アンドロニカス」みたいな、
残酷な話なのに幻想的で引き込まれちゃう、みたいなキレイな演出が好きです。

でも、どちらも蝶々のシーンはとっても素敵でした。

カーテンコールに話を移すと、勝村さんと古谷さんにつつかれて、
一歩前に出たトビーアスくんがご挨拶!

「渋谷から始まったこの舞台も、皆さんのおかげで無事、千秋楽を迎えることができました!
 ありがとうございました!(ペコリ&スマイル)」

皆で手をつないでバンザイからのお辞儀とか、
蝶々が大量にヒラヒラ舞ったり、
大千秋楽っぽい雰囲気の中、笑顔の剛くんはみんなに手を振りながら舞台袖に消えて行きました。

そんなこんなで大千秋楽を無事に終え、大役を果たした剛くん。
お疲れ様! そしてありがとう。

今度はまた、どんな世界に連れて行ってもらえるか楽しみです!

・『祈りと怪物』おまけ~ロバみみVer.

2013年02月23日 | ・ロバみみの芝居小屋
いやいや、ずっとやりたくてウズウズしてました。
ケラさんと蜷川さん、すごい演出家です。
そこに畏れ多くもロバみみが参戦(笑)

もちろん、演出なんて才能はないわけなので、
ロバみみに決定権があったら、どんなキャスティングでやりたいかを
勝手に想像して楽しもうという超個人的企画です☆

スケジュール、ギャラ、共演NG等、様々な大人の事情は度外視しての、
「祈りと怪物」ロバみみVer.、いってみます!

【内気な青年トビーアス…佐藤健くん】
ブーイングが聞こえてきそうですが、剛くん、小出くんときたら、
やっぱりここはキレイどころで揃えないと(笑)
心もとない青年から、色気のある冷たい男。どちらの顔も楽しみなので健くんで決まりです。

【ドン・ガラス…高橋克実さん】
もう、なんの迷いもなく、高橋さんしかいないと思いました。
ふてぶてしさも、お茶目さも高橋さんなら文句なく出し切ってくれそうです。

【長女バララ…秋山奈津子さん】
お上品なのに、弾けた三枚目まで大真面目にやり遂げる思い切りのいい秋山さん。
長女ならではの要領の悪さとか、まじめで間抜けな「年増」のかわいさを
あますところなく演じてくれそう!

【次女テン…松雪泰子さん】
理由いります? ピッタリじゃないですか?
姉妹の中で一番父親ガラスを心酔するテン。色恋に生きていきそうで、結局その手で恋人を殺す
ある意味、息子の立ち位置である男勝りな面を持つ。
松雪さんに決まりです。

【三女マチケ…戸田恵梨香さん】
傍若無人なワガママ三女マチケ。
ワーワー泣いたり、殺してやると騒いだり、いろんな表情を見せるマチケは
戸田恵梨香さんに思い切りチャーミングに演じて欲しいです。

【トビーアスの友人パブロ…勝地涼くん】
この役も勝地くんしかいないと思いました。
テレビとか映画だと弾けた役をあまり見たことがないんですが、
新感線とかで見た、あの客席を味方につける茶目っ気は、パブロの役で活きる気がする。

【ジャムジャムダーラ・ドンドンダーラ…銀粉蝶さん】
超見たい。銀粉蝶さんの老女二役。考えただけでワクワクします。
実は、キムラ緑子さんと悩んだんですがちょっとお若いかな…と。
なので、銀粉蝶さんの演技力と存在感に期待値マックスです。

【司祭グンナル…段田安則さん】
段田さんじゃちょっと若いかなーと思ったんですが、やっぱり、酒飲みでトボけた感じとか
不器用だけど結局バララが大好きな感じとか、段田さんの芸達者な感じでやって欲しいです。

【メイド長メメ…戸田恵子さん】
いい! イイと思うのー。戸田さんのメメ。
「パキオテ!」「メメさん!」「パキオテ!」の掛け合いをぜひとも観たい(笑)
見えない我が子に翻弄されるこの役は、是非、戸田さんにお願いしたいです。

【メメの夫アリスト…大泉洋さん】
押し込み強盗の仕事をやらされているけど、元はコックという設定なので、
銃よりフライ返しの似合いそうな役者さん…と思って(笑)
戸田恵子さんとどんな夫婦になるのか、想像しただけで期待が膨らみます!

【ペラーヨ先生…渡辺いっけいさん】
善と悪の顔、両方を魅力的にやってくれそうなんですよね~。
意外と人間臭い役なので、いっけいさんに是非!

【ガラスの後妻エレミア…石田ゆり子さん】
お嬢様育ちでありながら、今となっては幸薄く、どこかふしだらで、
人生を達観しつつも不倫から破滅へと転落していく悲劇的で可憐な美女。
品と色気を兼ね備えたかわいらしいアラフォー・石田ゆり子さんに是非お願いしたいです。

【執事長ヤルゲン…浅野和之さん】
満を持して浅野さん(笑)
大好きな浅野さんには、バララに片想いするヤルゲンを是非!
「バラララ」の置き手紙、浅野さんの味でやって欲しいです。
あの暇乞いをするシーンはきっと笑えるに違いないです!

【道化パキオテ…荒川良々さん】
この役は、もう反則技を使わざるを得ない。
サダヲちゃんと悩んだんですが、「ふくすけ」でキワモノ役をもう既に観ているので。
荒川良々さんのパキオテ、おもしろそうじゃないですか? 
実はビュアで悲しい子っていうのも上手くやってくれそうです。

【錬金術師ダンダブール…石井正則さん(アリtoキリギリス)】
ちょっとおもしろいと思うんですよね。パキオテを見上げながらお小言を言う石井さんの図。
キャラ的にもスローな感じと神経質そうな感じでコントラストがいい感じ。
是非、観てみたいコンビです。

【仕立て屋ローケ…千葉哲也さん】
人生をあきらめた、くたびれた感と、娘を守るために命を投げ出す無鉄砲さ。
そして最後は娘を失いながらも、穏やかな神父の顔に。
なんて難しそうな役なんでしょう…。
でも、トップドック・アンダードックの哀愁漂う千葉さんの演技がとても素敵だったので
どんなローケにしてくれるのか、観たいんですよね~。

【ローケの娘レティーシャ…桐谷美玲さん】
ここは桐谷美玲ちゃんで。
美しく勝気な娘。向こう見ずな感じを若さ全開でやって欲しい感じ。
気の強さと瑞々しさのある若い女子と思ったら、パッと顔が浮かびました。

【流れ者ヤン…長谷川博己さん】
やっぱりオマエも時流に流されるのか…と、皮肉めいた声が聞こえそうですが、
何をおっしゃいますか。
セカンド・バージンよりも前から、はせひろさんの舞台は拝見しているロバみみです!
貴公子役にはサワヤカすぎて思わずめまいを覚えましたが、
怪しい流れ者で、腹違いの姉と恋に落ち、最後はその手で撃たれて死ぬ悲しい若者は、
悩んだ結果、長谷川さんで。(ちなみに他の候補は、斎藤工さんとか、林遣都くんとかです)


いやー、こうやって見ると、登場人物が多いですね。やはり。
とにかく、ロバみみの好き勝手に、キャスティングさせて頂きました。
結果、「叔母との旅」のキャストから三人も選出してしまいました。
いぶし銀のおやじ役者に弱いロバみみ(笑)
でも、このラインナップを見たら、是が非でもロバみみはチケット取ります(笑)(←自画自賛?)

すんなり選べた登場人物と、うーん、と悩んでしまった登場人物。
難しかったのはやはりローケですね。
何気に肝ですから。最後の転身は。
ラストシーンは「祈りと怪物」なわけですからね。

こんな役やりたくないとか、このギャラじゃできませんとか、
あの役者と同じ舞台には立てませんとか、実際は色々あるのかもしれませんが、
ロバみみの独りよがりのドリーム・キャスト。
あくまで個人的な楽しみですので、あしからず。

あー、楽しかった♪



・『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹(蜷川ver.)』東京楽

2013年02月03日 | ・ロバみみの芝居小屋
鬼は~外~! 福は内~!
剛くんに、そして皆に福よ来い~♪

はい、というわけで(どんなわけで?)、「祈りと怪物」無事に東京楽を迎えました!
初日の幕が開いてから、東京楽まであっという間だった気がします。

今日のトビーアスくんもキュートすぎて目が離せませんでした。
パブロのお手紙の場面、暗転の中、勝村さんに肩を抱かれながらはけていく
トビーアスくんの後ろ姿までガン見してしまいました。

ロバみみは、トビーアスくんが「うんっ!」と返事をすると
心臓がキュッてなります。
かわいい……。

好きなシーンとかセリフとか、書きたいけど、やっぱりちょっと我慢してみよう。
まだ公演は続くし。

書きたいことは、大千秋楽のあとに書こうかな。
ロバみみ、珍しく今回、行く予定だったりするので。

いやー、東京楽だったからでしょうか?
勝村さんのもがきっぷりが一段と激しかった(汗)

失礼を承知で例えさせて頂くと、以下のように思いながら
ロバみみは客席で拝見しております。
(これからご覧になられる方は、悪影響を及ぼしかねませんので、
 観劇後にお読みください)

ロバみみの心の声
  ↓
「このシーン見ると、どーしても、どーしても、
 ゴキジェットくらったゴキブリが苦しんでいる姿と重なる……」

勝村さん、熱演をこんなふうに表現してゴメンナサイ。
さぞかし気分を害されるとは思いますが、でも正直だけがロバみみのとりえ(汗)

いやね、ガラスって、憎々しくて生命力が強くて、最後までしぶといじゃないですか。
だからたぶん、ドン・ガラスのキャラと重なって、
そんな風に見えちゃうわけで、グッジョブってことだと思うんです。
言い訳させて頂ければ(汗)

そしてパブロ役の満島くんも、ますます弾けてましたね。
客席の呼吸を読むのが上手なんだろうな。
ウケを狙いにいってる感もなきにしもあらずなんだけど、
不思議と嫌味なく観客を味方につけられる感じ。
今後も楽しみな人です。

ちゃんとセリフと演技を追っていないと、物語を見失っちゃう可能性もあるんですが、
セリフを言っている役者さんから離れた場所で
静かに顔色ひとつひとつを変化させている剛くんにも
是非、注目して欲しいところです。

内向的な子だから、トビーアスくん。
パブロの感情の起伏の表現とは対照的です。

静かに、なだらかに坂を下っていく心の動きを
繊細に体現している剛くん。

群像劇だから、一人一人のストーリーが細かく掘り下げられることはないので、
その心情やバックストーリーは観客の想像にゆだねられるところが大きい。

トビーアスくんは、殺しても死なないようなおばあちゃんに
何故、あんなにも尽くすのか。

お父さんとお母さんはどんな人で、どうしていなくなったのか。

パブロとは正反対の性格なのに、何がきっかけで
二人は友人同士になったのか。

ロバみみは客席で、トビーアス物語を想像しながら
物語を楽しんでいます。

そして、お待ちかねのカーテンコール!!
トビーアスくんったら、もう、満面の笑顔でー!!!!!

剛つんの、あのご満悦の笑顔を見ながら、

「んもー! あんた、かわいいっっっ!」

と、マチケのセリフ、10回くらい心の中で叫びました。

勝村さんと古谷さんはさまれて、
とらえられた宇宙人みたく両手でバンザイさせられちゃって、
くふーって笑ってる顔見た瞬間、体が溶けてなくなりそうでした。

笑顔とお手振りを振りまきながら、深々とお辞儀をする剛くん。

幸せだなぁ…。剛くんに会えて。

次の舞台ではどんな風にロバみみを切なくさせてくれちゃうんだろう。
青木豪さんの脚本、超・楽しみ!

おっと、気持ち飛びましたが、
まだ剛くんはウィルヴィル市民でした。

ロバみみの観劇は残すところあと一回。
初めての劇場にドキドキしつつ(劇場好きなんです)、
登場人物の裏ストーリーを想像しつつ、
ケラ&蜷川ワールドに浸りたいと思います。