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東電福島第1原発事故 検証委員会中間報告(委員長・畑村洋太郎)-1

2012-01-06 14:00:49 | 持続可能な社会づくり

 政府の東電福島第1原発事故 検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)が中間報告を公表した。

 中間報告では,稼働中の1―3号機は緊急停止し,原子炉を冷却する機能が失われるという緊急事態の中で、首相官邸は、監督官庁の経済産業省原子力安全・保安院は、東電本店は、福島第1原発内では、誰がどう行動したのか。同委員会は関係者456人に概算900時間かけて聞き取り調査を行った。

 焦点は福島第1原発内でどんな動きがあったか、その詳細を調査、検証することだ。もう一つ、事故の被害拡大を防止するためにどうしたかも検証された。         

        (この稿-明日に続く 東電福島原発事故 検証委員会 中間報告-2 )

◆畑村氏語る--「津波の立場で考えなさい」と指摘

 東日本大震災では「想定外」という言葉が,東電関係者や地震学者などから発せられた。予想を超えた大津波は、三陸海岸の町や村、漁港をのみ込み、福島第1原福島を破壊した。

 失敗学会理事長・畑村洋太郎氏は,産経新聞で「津波の立場で考えなさい」と指摘している。

 明治三陸地震(1896年)、昭和三陸地震(1933年)と、三陸の大津波は繰り返し起きてきた。被害に遭った人は石碑でそれを伝えようとした。
 石碑は津波が押し寄せてきた高さの場所に建てられ、「ここより下に家を建てるな」と警告が記されている。しかし漁村では海に近くないと生活しにくいので石碑のすぐ下に家を建ててしまう。後世の人は石碑の教訓に従わない。どうしてなのか。何十年に一度とか、百年に一度起きるようなことは自分の周りでは起きないと考えてしまうからだ。

 大事なのは起こってから考えるのではなく、起こる前に考えることだ。想像力を働かせることが重要だ。

◆想定外を失敗学の視点から捉えるとどうなるか
 起こると困ることは考えようとしない。(考えないから)それが想定外になる。
 --そうすると、災害対策における重要なことは
(1)自分の目で見る(2)自分で考える(3)自分で決める(4)自分で行動する。この4つが重要である。第三者が決めたことに従って失敗すると、「自分は悪くない」と言い訳をする。

 三陸海岸では小学校で津波に対する教育や訓練を日ごろから実施していた。しかし、あらかじめ町や村が決めた避難所に逃げたのに津波にのみ込まれるという惨事がおきた。その一方で、決められた避難所よりもっと高い場所に逃げないと危険だと自分たちで早く判断して逃げて助かった小学校もあった。

--人間は想定だけでは生きられない。現実を見て判断することが大切だ。

  出典:「産経新聞 2011/04/20~21」
       http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/647.html
       http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042103130002-n1.htm

▼畑村洋太郎氏(はたむら・ようたろう )

 失敗学の提唱者で、失敗学会理事長。昭和16年1月18日、東京生まれ。70歳。東大大学院修了後、日立製作所に勤務。その後、東大工学部教授を経て平成13年から工学院大教授。同年に畑村創造工学研究所を設立して代表となる。JR福知山線の脱線事故や六本木ヒルズの自動回転ドア事故など多くの事故を調査してきた。専門は機械設計。

 

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「未曾有」と「想定外」、二つの言葉に隠れてしまった本質的な問題とは? 3月11日から原発事故調査委員会・委員長に就任するまでに、失敗学の視点から考えた大津波と原発事故。311後の日本を考えるヒント。
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