「身の丈」経営,「身の程」人生

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大雪から連想 「原発ホワイトアウト」-その想定される事態・1

2014-02-20 23:25:50 | 持続可能な社会づくり

  ※ 軽井沢町 別荘地-通行不能の雪景色

   関東甲信を中心に降り続いた記録的な大雪。14日の降り始めから5日が経過した19日も,読売新聞の午後6時半現在のまとめでは,山梨、群馬、埼玉など7都県で少なくとも1174世帯2270人が孤立状態にある。

 長野県と東京を結ぶ国道18号線では,小諸市と軽井沢町間での大雪のため約400台の車が立ち往生し,自衛隊による除雪活動で,19日,63時間ぶりに開通した。

                       ◇                    ◇
◆なぜ,積雪が気象庁の予想を大きく超えたのか?
                     気象庁の言い分 --- 「予想より気温下がった」 --

 気象庁が14日早朝に発表した情報では、15日朝までの24時間に 甲府市を含む山梨県内の盆地の多い所で30センチの雪が降ると予想した。実際には甲府市で15日朝にかけて1メートル超の雪が積もり、3倍以上となった。東京都心でも同じく10センチの降雪を予想していたが,最大27センチの雪が積もった。

 甲府市では観測史上最多となる114センチの積雪を観測と,気象庁の予想を大きく超えた。気象庁は「予想より気温が下がり、降雪量が増えた。わずかな気温の違いで雪になったり雨になったりする」と釈明している。
 いわゆる,「想定外の出来事」と,言いたいのであろう。

 気象庁天気相談所によると、大雪の原因は先週と同じく列島の南を東寄りに進む「南岸低気圧」。14日夕に発表した東京都心の15日の予想最低気温は1度だったが,実際には氷点下0.2度で上空からの雪が解けず,雪量が増える一因となった。
 「雪になるか雨になるかや雪の量は,地上気温1度の違いで大きく変わる。降水によって気温も下がるため,正確に予測するのは現在の技術でも難しい」という。少しでも気温が上がっていれば,記録的な大雪にはならなかった可能性もあるというわけである。


◆「想定外の出来事」と片づけるのではなく・・・・
 東日本大震災を経験した今,人知を超えた事態を「想定外」とするのは,許されない。「人知を超えたものが起こった時にどうするか」を,あらためて問われているのである。
 
  今回のような過去に例のない歴史的な大雪が,原子力発電所の立地する,地域で降ったなら,どうなるか。地域は停電し,幹線道路が不通となり,ヘリコプターも飛べない悪天候2~3日,続いたら。まさに,「原発ホワイトアウト」・・・・・・・・。

 

 現役のキャリア官僚 若杉冽著のベストセラー著『原発ホワイトアウト』。この小説の終章における,大雪に端を発する日本の終末を予感される出来事,『原発ホワイトアウトのストーリー展開は,現実味を持ち,思わず背筋が寒くなる。その一部を抜粋する。

    
    **************原発ホワイトアト』 *******************************

▼(45)
 年の瀬は典型的な冬型の気圧配置となった。爆弾低気圧ともいわれる急激な天候の変化が日本列島を襲った。
一二月二八日の仕事納めから三日連続で激しり降雪が続き、日本海側の山沿いでは、一気に五メートル超の積雪となった。海沿いは積雪量が少ないと一般的には言われるが、平野部でも積雪は二メートル、海岸線沿いでも積雪は五〇センチメートルを超えた。                               
 仕事納めが終わり、発電所の人員も最小限の態勢となった。大晦日の三一日、昼時は一時暖かくなり、雪が雨に変わったが、夕方に再び冷え込みが厳しくなると、根雪の上に降った雨の水分が雪を凍らせていった。・・・・・・・(略)
                           原発ホワイトアウト   286~ 287ページ

 

 (47)
 「関東地方で大規模な停電が発生、原因は調査中」とのテロップがNHKの「ゆく年くる年」の放送の途中に流れたのは、新年を迎える数分前だった。

  停電が起きたのは関東地方の50万世帯だったが、停電を食らった世帯ではテレビでテロップを確認することもできず、不意の停電に不吉な予感を覚えてはいた が、多くの人間はそのまま床についた。たいていの場合、大雪のせいによる停電なのだろう、くらいにしか受けとめられていなかった。

 翌、元日の早 朝六時から、官房長官の緊急記者会見が官邸で行われた。「昨夜二一時前、関東電力の高圧送電線の鉄塔が倒壊する事故があり、新崎原発が緊急停止いたしました・…・・現在、原子炉を非常用電源で冷却中であります。   ・・・・・・・・・  

 周辺住民の方々は、冷静に対応願います。この事態によりまして、関東電力の供給区域内で、現在、五〇万世帯に停電が起きておりますが、順次復旧する見込みであります」 。
 緊張した両持ちで官房長官がこう述べる。

            ・・・・・・・・・・・

p295)

 新崎原発では、午前七時の段階で、原子炉を冷却中のバッテリー電源の残量がほとんどなくなりかけていた。そのため、非常用のディーゼル発電機を始動させようと、現場の当直の作業員が努力していた。
 前日夕方からの冷え込みは非常に厳しく、気温は、氷点下九・五度に達していた。キンキンに冷え込んでいるためか、ディーゼルl・エンジンがかからない。軽油に含まれる成分が気温の低下によって流動性が低くなり、フィルター部で燃料を詰まらせていたのだ。燃料が詰まると、当然、エンジンには燃料がいかない。
                  
 作業員は、エンジンをかけようと焦る。ただ、原子炉についての知識はあるが、ディーゼル・エンジンについての基礎知識は欠落していた。作業員にはディーゼル・エンジンが始動しない理由がわかっていなかった。
 新崎原発の所長は、正月休みをとって、東京へ帰省していた。作業員が昨夜から中央制御室に詰めている所長代理に無線電話で連絡を入れる。
「ディーゼル・エンジンがかかりません!」
 所長代理が怒鳴る。
「そんなことあるか、馬鹿野郎!」
 午前七時半にバッテリー電源が切れたあと原子炉の圧は急速に上昇し始めた。俄然,中央制御室の緊張が、、原子炉の圧の上昇に比例して、ぐんぐんと上り詰めていった。
 所長代理は、外部電源車の出動を命じた。

 外部電源車は、フクシマの事故の反省から、原子炉のある海岸線から少し離れた高台の車庫棟のなかに格納されていた。作業員が外部電源車の車庫棟に向かおうとするが、そこに行く道は、五〇センチメートル以上の深い根雪に覆われていた……吹雪も強まっていた。
「車では近づけません!」
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

            

                                原発ホワイトアウト   292~ 293ページ 

 


原発ホワイトアウト
若杉冽著
 ・現役キャリア官僚による
告発の書
 講談社刊

内容紹介


キャリア官僚による、リアル告発ノベル! 『三本の矢』を超える問題作、現る!!

再稼働が着々と進む原発……しかし日本の原発には、国民が知らされていない致命的な欠陥があった!
この事実を知らせようと動き始めた著者に迫り来る、尾行、嫌がらせ、脅迫……包囲網をかいくぐって国民に原発の危険性を知らせるには、ノンフィクション・ノベルを書くしかなかった!


目次


第1章 選挙の深奥部
第2章 幹事長の予行演習
第3章 フクシマの死
第4章 落選議員回り
第5章 官僚と大衆
第6章 ハニー・トラップ
第7章 嵌められた知事
第8章 商工族のドン
第9章 盗聴
第10章 謎の新聞記事
第11章 総理と検事総長
第12章 スクープの裏側
第13章 日本電力連盟広報部
第14章 エネルギー基本計画の罠
第15章 デモ崩し
第16章 知事逮捕
第17章 再稼働
第18章 国家公務員法違反
終章 爆弾低気圧

 

  

大雪孤立、10都県最大2万人超 1週間迎え、なお千人

 

 、各自治体のまとめによると,関東甲信と東北の記録的大雪で、道路の通行止めなどにより孤立状態に陥ったのは、1都9県で最大2万人以上に 上っていた。大雪の降り始めから21日で1週間。被害が大きかった山梨県などでは、状況把握が難しかったことか ら、実態はさらに多かったとみられる。

 各地で積雪量が観測史上最多を更新した大雪について「想定外だった」と話す自治体の担当者が目立った。宮城、長野、静岡各県内の孤立は20日ですべて解消。山梨県などでも大幅に減少したが、依然として4都県の約千人が孤立したままとなっている。


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