銀行が農業融資を本格化 20兆円めぐり競争激化
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2005年に三井住友銀行が農業生産法人向けに無担保融資を開始、メガバンクなど銀行の農業分野向けの融資が本格化した。これまで20兆円に上る農業向け投融資の多くは,農林中央金庫(農林中金)など農協系が占めてきたが、大手行の本格参入で農業を巡る競争は激化している。
こうしたメガバンクの動きを見据えて,地方銀行も農業支援ビジネスを拡大している。地銀の法人向け貸し出しが伸び悩む中、新たな収益源につなげようと金利を優遇した農家向けローンや農産物を担保にした融資などに力を入れている。“地元産業”である農業支援を通じて、地域経済の活性化につなげる狙いもある。
鹿児島でも同様の動きが起きている。それは,鹿児島県を地盤とする鹿児島銀行と南日本銀行の経営計画から読み取れる。
▼鹿児島銀行,農業へのシフトを強める
○鹿児島銀融資、農業関連3割増 次期3カ年計画
鹿児島銀行は3カ年の新中期経営計画で,農業の安全,自給率への懸念から農業は今後の成長分野だとして農業産業への支援拡大を表明している。
鹿児島銀行は、2009年度から3年間の新しい中期経営計画を発表した。それによると農業関連分野への融資を3割以上増やすなどしている。
計画では、農業・医療・環境を成長分野と想定。11年度末の融資残高について農業関連分野は3割増の855億円(08年度末見込み比225億円増)、医療関連分野は1600億円(同160億円増)との目標を掲げた。同行の地盤である鹿児島、宮崎両県の法人への融資は3年間で700億円増やす。
▼南日本銀行 経営強化計画
150億円の公的資本受け入れが決まった南日本銀行は13日,店舗再編や人員削減,農業分野の取引拡大などが柱となる資本注入に伴う経営強化計画を発表した。
県の基幹産業であり,食品加工業や運輸業などへの波及効果が期待できる農業分野について「安定した資金需要が見込める」と判断。家畜や作物を担保にする「ABL融資」などを積極的に進める。
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県内地銀の農業への積極支援の動きは,農業ビジネスにとって心強いところであるが,喜んでばかりもいられない。それは県議会と行政の動きにある。
(次回に続く)
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