insungholic-インソンホリック

チョ・インソン中毒な日々を綴っています

東京国際映画祭「親切なクムジャさん」

2005-10-31 11:42:55 | 韓国映画


「親切なクムジャさん」

↓下にむちゃくちゃ追い詰められてる・・とかいいながら、ちゃんとクムジャさんは観にいってきました。いや~見逃すわけにはいかんでしょう。しかも、こんな長いレビュー書いてるし(>おいっ!)

『最後の復讐が、一番哀しく、美しい』というキャッチコピーの『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く「復讐3部作」の最終章。

結局、この日までに前の2作品観る暇がなかったのが、とっても残念。
いや、素晴らしいの一言。何がって監督とイ・ヨンエ。もう大満足。良かったよ~。もう一度観たいもん。

●パク・チャヌク監督の映像美学
もうオープニングからやられたって感じ。美しい。
<真っ白に深紅>という色だけでこのストーリーがちゃんと表現されている。
コンセプトや伝えたいことを映像で表現するってたいへんなことです。

この監督の映像美というか、美的感覚がものすご~くスタイリッシュで好き。
クムジャさんが着ていたレトロでクラシックな水玉のワンピース。
ありえないようなオレンジ色の刑務所の部屋。
クムジャさんの部屋も何だか赤と黒を基調にしたコケッシュな部屋。
そうそう、クムジャさんの真っ黒な革のコートとブーツもかっこいい。
クムジャさんの赤いシャドー、赤いろうそく、きっと意味があったんだろう。
繊細なケーキや夜の雪といった色の使い方、そういう空間美というか、美学というか、そういうのを見ているだけでも十分楽しい。もっと、他にもあったかもしれない・・一度じゃね、忘れちゃうんだけど。
そういう空間の映像美やファッション、小物のひとつひとつに登場人物の心情が反映されてるんだろう~な~と思う。



●イ・ヨンエ。
4年ぶりのスクリーンだったんだ。チャングムなんて長いドラマ撮ってたからね。関係ない?いや、ご本人もジャンルの限界を感じて、作品性、芸術性のある作品に出たかったとおっしゃてるし。チャングムよりずっと素敵だったよ、イ・ヨンエ。清純なイメージよりずっといい。ちょっと年を取ったなぁ~とも思ったけど、芝居がよかったなぁ。泣きの演技もそんなに美しい顔をくしゃくしゃにしちゃっていいの?というくらい・・良かったし、とにかく、親切で冷酷なクムジャさんはかっこよかったよ。そもそも美人には冷酷な役ははまるのよね。ちょっと、謎な人物設定が良かったのかな。

●カメオ出演
今回はキャストも良かったです。ネタバレできませんが、復讐3部作に出演している俳優総出?って感じで脇役も固められてるそうです。私はこれから前2作を観るので、どの人がどの役で出てたのか見てみます。

楽しいのがカメオ出演。
ユ・ジテ、ソン・ガンホ、シン・ハギュンはばっちりわかった(誰でもわかります)。やっぱり、シン・ハギュンいいわぁ~。あんなちょっとしか出なくても、存在感あり。でも、あの組み合わせは、あまりにお馴染みで笑えるわ。

わからなかったのが、カン・ヘギョン。ニュース・キャスター役だったんだって。気づかなかった!悔しい。

カメオ出演について、パク・チャヌク監督は「関連性があまりない復讐シリーズに連続性を持たせるため、最終作である本作で前2作の出演俳優たちにカメオ出演を依頼した。映画の宣伝には利用しない約束の上、ノーギャラでこころよく出演してくれたんだ」と語ってる。

こういうの大好き。探すだけでも楽しいものね。

●舞台挨拶なし
結局、監督とイ・ヨンエが来日するとか言って来なかった。いや、最初から来る予定なんてなかったのかも。決まってもないのに、舞台挨拶なんて書いちゃって、結局無理だったって感じかな。んで、映画の前に『カメラに向かって、「イ・ヨンエさ~~ん、日本に来てくださ~~~い」とお願いしましょう』とか司会者が言って、客立たせて、しかも手を口に添えて叫ばせてました(もちろん、韓国語で)。幼稚園児じゃないんだから。・・そんなのいいから早く上映してくださいって感じだったわ。監督とイ・ヨンエを呼べなかったことをごまかしてるようで・・ちょっと気分悪かった。

●映画全体について

前作を見ていないので、この1作品で語るのは、ちょっと間違っている気もしますが、とりあえず、思ったことを。

心の傷は身体的な痛みよりもずっとずっと深く、憎しみや恨みとなり、人間性を破壊していくのかもしれない。長い年月かけて、その痛みは熟成され、絶望や怨念に姿を変えていく。それを感じたときの人間の冷酷な冷静さ。そのあたりが丁寧に描かれていたのは、さすがという感じ。イ・ヨンエの清純なイメージとのギャップがまた良かったのだと思う。そして、恐ろしく残酷な作業をしているときでさえ、人は笑ったり、食べたり、計算したりできてしまう。その人間のおかしさ、おろかさ。また、一人ではできないことも集団になるとできてしまう。その連帯感による罪の意識が分散される錯覚。それらは残酷な作業そのものよりもずっと背筋がぞっとする光景でもある。

どうしようもない人間の愚かさ、悲哀、未熟さ。
その人間の影の部分をしっかり描くことで人間の光の部分を照らしたかったのか・・というエンディング。

監督いわく、
「復讐とは相手を殺せば全て解決するという誤った考えから生じるものです。
そうした誤りを認識し、受け入れるまでの葛藤を乗り越えねばなりません。
この映画のラストは三部作すべての総決算と言えるでしょう。」

この言葉とおりなのだけど、完璧じゃない、いびつな人間だからこそ、愛すべき存在。どんな人間にも救いの手が差し伸べられるというメッセージは伝わったけれど、クムジャさんが<受け入れて葛藤を乗り越える>部分はあまり詳しく描かれてなかったように思う。ただ、そこに救いはあると手を差し伸べられて終わり?という気もする。そこのところは観たものにゆだねたクムジャさんの未来なのかな。

でも、ホントいい映画だった。満足。

パク・チャヌク動画・来日記者会見

●謎
とはいえ、謎がいっぱいあって(笑)、韓国映画は本当に監督の思いいれが深くて、簡単には理解できるもんじゃ~ございません。
映画が終わってから、一緒に行ったHさんと長い時間、あれはどういうこと?これは何だったの?と語り合っても解決しなかったこと・・いくつもありました。
でも、Hさんがちゃんと後で調べてくれて、ちょっとすっきり。

でも、まだわからないことがあるよ。
全体通して、ナレーションのように語っていたあのおばさん声は誰?天使にしては・・老けてる声だったし。わからん。

ラストの方の部屋の煙は何だったの?何でもなかったのか。

あと子役がなぜに、あそこまで冷静だったのか・・やっぱり不思議。
存在自体が人間じゃないような・・空気を持たせてたのはわざと?
子ども=天使ってイメージだったの?これもわからん。

●また新人の男優が
イ・ヨンエの相手役

まだ10代の若い男の子がイ・ヨンエの相手役。
う~ん、またこれが不思議キャラだったけど、なかなか可愛い子だった。


●オススメ?
痛いの苦手な私でも大丈夫だったので、大丈夫かと思う。
けど、基本的に<人を殺める>ことを目的に描かれている映画なので、
好き嫌いはあると思うな。。でも、このイ・ヨンエとこの映像美は
オススメだなぁ~。


なんか、久しぶりに熱く語ってしまった・・。ぜぇ、ぜぇ。
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監督:パク・チャヌク
キャスト:イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、イ・スンシン、キム・ブソン、ラ・ミラン、ソ・ヨンジュ、キム・シフ他

2005年11月12日~シネマスクエアとうきゅうシャンテシネ、アミューズCQNほか全国にて公開


↓こんな3部作を夜中通して一気に観たら、どんな心境になるんでしょうね・・。
●『親切なクムジャさん』公開前夜祭
パク・チャヌク監督”復讐三部作”一挙上映!
11月12日公開に先駆け、オールナイトイベントの開催が決定!!

『親切なクムジャさん』を誰よりも早く、そして一夜限り、
『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』の"復讐三部作”を一挙に上映する、
超プレミア・オールナイト・イベント。

◆日時: 2005年11月11日(金) 開場21:30 開演22:00 終映05:00
◆会場: 新宿東急
◆内容: 『親切なクムジャさん』特別プレミア上映
『復讐者に憐れみを』特別上映
『オールド・ボーイ』特別上映

◆チケット: 3,000円(全席指定/税込)
10月15日(土)よりexiteチケットより先行発売開始!
10月22日(土)よりチケットぴあからも発売開始!




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