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茶道と仕事力~千利休とスティーブ・ジョブズに魅せられて

茶の湯の心と茶道の基本、出会った言葉やその日の出来事から、気付いた事をつづります

お茶のいただき方(お茶碗の拝見)

2010-02-22 23:49:50 | お茶のはなし
 前回のお茶をいただくところまでで、3回の挨拶と2回のお茶碗を回す場面があり
ました。今回はつづきのお茶碗を拝見するところです。

 飲み終わったお茶碗は正面を自分の前に戻して縁外(へりそと)正面に置きます。
膝前に両手をついて、まず全体の形を拝見します。茶碗を手にとって細部を拝見す
る時は、両肘を膝の上に載せて両手で茶碗を持って拝見します。拝見がすむと縁外
に置き、もう一度全体を拝見して、道具に一礼をします。
 どの程度、入念に拝見すべきなのかという問題ですが、これはTPO(茶碗のグ
レードや茶会の質など)に併せて、臨機応変にと考えています。
見た事もなかった珍しい品であれば、手にとってその重量感を感じ、再度全体を
眺めたうえで、ありがたい道具を拝見させていただいたという感謝の礼として深々
と頭を下げることもありましょう。そうでない場合は、手に取る事もそこそこに、
挨拶もそれなりにということも (^ ^)

 拝見が終わったお茶碗は、小間であればにじり出て返します。(お茶碗を右手で
自分より先に送り、にじって進むを何回か繰り返す。)お茶碗が最初に出された場所
に返すのですが、その時に亭主に茶碗正面が来るように、茶碗を左手のひらにのせ、
右手で時計回りに(90度×2回若しくは60度×3回)回してから、右手で置きます。
 半東さんがいる時は、拝見が終わったお茶碗は、正面を半東に向くように回して
縁外に置いておけばいいです。茶碗をさげに来た半東さんに対してしっかり手をつ
いて挨拶をします。

 ということで、お茶を飲み終わったあとは、茶碗に対する(そういう道具を用意
してくれた亭主の心配りに対する)挨拶と、茶碗を回転させるのは正面を相手に向
ける時にということです。

直心是道場

2010-02-18 22:42:25 | お茶のはなし

今日のお茶のお稽古は

床軸「直心是道場」じきしんこれどうじょう にしました。

 季節にしばりのない禅語ですが、なんだか予備校の教室にでも張ってありそうな言葉で、考えようによっては、受験シーズンの雪の日にぴったりと思いこれにしました。

筒茶碗のお手前で、花はあおもじと藪椿でした。


お茶のいただき方

2010-02-14 23:21:40 | お茶のはなし
茶道って、お茶を飲むだけのときでも何回も挨拶して茶碗をぐるぐる回して、
どうして面倒なルールがあるの?

そんな質問にお答えしました。

 千利休も「茶は渇を医するに止まる」と言っているように、お茶とはただ渇き
をとり除くためのもの飲料です。ただ、“この渇きをとり除く”ために、現代語で
言えば、癒しや禅の心理効果などのある種のパワーも含んだ形でもてなされるの
が茶の湯かもしれません。お客様はそれを礼を持って受けることになります。

ということで、お茶のいただき方の復習です。

 正客はにじり出て茶碗をとりに行き自席にもどったら、しっかり自分の席に着い
たところで、茶碗を縁内の次客との間に右手で置いて「お先に」と両手(指先)
を膝前の畳に着けて挨拶をして下さい(これは次の人に対する配慮の挨拶)。
 次客が会釈を返したのを確認してから、右手で縁内膝前に茶碗を置き両手を畳に
着けて、亭主に向かって「お手前頂戴いたします」と挨拶をして下さい(これは亭
主に対する挨拶)。
 右手で茶碗を持ち上げ、左手の掌に乗せ、右手を茶碗に添え直してから、おしい
ただくくようにお茶に一礼をして下さい(これは、“いただきます”の挨拶)。
 右手で茶碗を時計回りに軽く(45度前後を)2回動かし、茶碗の正面を左に外して
下さい(亭主のお茶碗の正面をよけることで、亭主に対して謙って敬意を表するた
め)(時計回りは、右利きの人がやりやすい方向のため。水道の蛇口も同じ時計回り)。
 お茶は良く味わって全部飲みきります。最後の一口は音をたててすい切ります。
茶碗を左手に乗せたまま、自分の口をつけた部分を右手の親指と人差し指で挟む様に
して飲み跡を軽く拭いて下さい(エチケット)。拭いた指は懐紙などで拭って下さい。
 右手で茶碗を反時計回りに2回まわして正面を元に戻します(お茶碗を正面から
拝見するため。右利きだとやりにくいから3回になってもよい)。
 そして縁外に茶碗を置き茶碗を拝見します。

お茶をいただくだけで3回の挨拶と2回のお茶碗を回す場面がありあました。
このように礼を尽くして挨拶をしています。昔は当たり前のことだったのかもしれませんね。

職場での挨拶は、心をこめてやり取りされてますか?

畳の縁(へり)のはなし

2010-02-12 23:16:26 | お茶のはなし
なぜ、畳の縁は踏んではいけないの? そんな質問に答えます

  茶道は安土桃山時代に千利休によって文化として大成されましたが、日本古来の常識的な礼儀の立ち居振る舞いが基本になっています。お辞儀にしても同様で、日本古来の常識を起源とした立ち居振る舞いは、剣道や柔道などの武道にも共通するものです。
 ”畳の縁は踏まない”は昔からの躾でしょうか。失礼のないように畳の縁を出来るだけ踏まないように気をつけて。 自分の歩幅が自然になじんでくれば、畳の縁を踏むことなく歩けます。

 裏千家では茶室に入る時は右足から、出る時は左足からです。半畳を2歩で歩くことになります。inとoutが交錯するところは三歩使うと右左の順を入れ替えることが出来ます。 客として茶室に入る時は、膝前に扇子を置いて席中の様子をうかがい、右足から立ち上がって歩いて席入りします。(広間の場合、小間の時はまた別の機会に) 最初に床の間の前に座って掛け軸、花、花入れ、を拝見します。そこから左足から立って下がってから、右足からお手前をする場所に進みすわり、炉の炭などを拝見します。それから左足から立って下がってから、右足で進んで自分の席に座ります。文字にするとかなりややこしいですが、茶室に対してinの動作か、 outの動作か、in・outを入れ替える場所かで足さばきが決定されます。

 では茶室での畳の縁に意味はあるのかというと、茶席では亭主のフィールドと客人のフィールドの境界線の意味があります。お菓子はどこに出されるかというと亭主のフィールドである畳の縁外(へりそと)ですね。それを懐紙にとるのは、客人のフィールドの縁内(へりうち)でします。お茶を頂戴する時は、縁内に置きお隣に「お先に」の挨拶をし、縁内の自分の膝前に置き「お手前頂戴いたします」と亭主に挨拶をする。いただき終わった茶碗は亭主のものですので、亭主のフィールドである縁外に置き拝見する。こんな具合です。  

畳の縁は、亭主と客人の相互が思いやって調和する時の和室の中での小さな約束ごとかもしれません。