茶道と仕事力~千利休とスティーブ・ジョブズに魅せられて

茶の湯の心と茶道の基本、出会った言葉やその日の出来事から、気付いた事をつづります

お抹茶につきまして

2010-05-14 00:13:38 | お茶のはなし
さあお茶を点てましょう。その前にお抹茶についてのレクチャーです。

▼お抹茶の製造販売プロセス

夏も近付く八十八夜、野にも山にも若葉が茂る。と歌にもあるように、
立春から数えて八十八日目あたり、つまり4月下旬から5月初旬が、
茶の新芽を摘んで新茶とするのに最適な時期です。
抹茶は、簡単に言うと茶葉を蒸してすぐ乾燥させたものを粉砕したものです。
ちなみに煎茶は、茶葉を蒸したのちに揉んでから乾燥させたもので、
中国茶、紅茶などは、この揉む過程で茶葉中の酸化酵素を促し、酸化発酵を
進めたものとなります。

抹茶は、蒸して乾燥させた茶葉の品質でグレード分けされ、上質のものを
濃茶用、その他を薄茶用として流通販売されます。
流通用のコンテナとして、茶壷に詰められています。
昔は使う時に石臼で挽いて抹茶にしていたそうです。

濃茶のお手前では、正客と亭主との会話で、正客が、
「たいへんおいしく頂戴しましたが、お茶銘は?」「お詰めは?」と
伺う場面があります。
お茶銘とは、お茶の銘柄つまりブランドの事。お詰めとは
詰められたところは何処かという問い合わせで、つまり製造元の事です。
「茶銘は福昔(ふくむかし)でございます。」
「お詰めは一保堂(いっぽうどう)でございます。」
という返答になります。

お手前で、”壺かざり”というのがあり、封印したままの茶壷をお見せする儀式
もあります。この場合の茶壷は、儀式用でそれなりに立派なものです。

なお、“一保堂”の“福昔”はお稽古でつかっているもので、淡々斎(2代前の
家元)のお好みのものです。40g、1050円。


▼水屋の準備
水屋の準備として、お抹茶篩で、抹茶が凝集して塊りにならないように篩って
おきます。それを棗に入れる時は、漏斗を使って山盛りに入れるようにします。
棗に対して8割ほどの高さになるほど山盛りに入れるのが本当のようです。
ここで、冬時季にこまるのが静電気。漏斗をつかうとそこここに飛び散って、
大変ですが、それなりに工夫してください。

残ったお抹茶ですが、できるだけ密封して冷蔵保存しています。
酸化劣化を防ぐためです。


▼お茶を点てる
お茶を点てる時、どのくらいお抹茶を入れるのか?
お茶は、茶杓で一杯半。約1.7g~2.0gです。
そこにお湯を約80mlを注いで。(柄杓の合(ごう)の半分くらい。茶碗の3割程度)
茶筅で点ててください。
濃さは、ご自分のorお客様の好みに合わせてご自由に。

上述は薄茶の話。濃茶は全く違った分量となります。

道具の名前(その2)

2010-04-19 23:37:21 | お茶のはなし
前回からの続きです。

Question
4.お茶碗を拭いている白い小さい布はなんていう名前?
5.お湯をすくっているものは何?
6.それを置いたり、釜の蓋を置いたりする、竹でできた直径5cm高さ7cm
くらいのものは何っていうもの?
7.お茶を点てる時に使う竹製の泡立て器みたいなのはなんていう名前?
8.お手前ですすいだお湯を捨ててる廃液入れはなんていう名前?

Answer
4.茶巾(ちゃきん)
点前中に茶碗を拭き清めたりする白い麻布のことです。
寸法は、大体長さ一尺(30.3cm)幅五寸(15.2cm)ぐらいです。
「茶巾と茶筅は新しきがよい」と利休以来言われており、新品を用意するのがもてなし。
お稽古では、毎回きれいに洗って使うこと。

5.柄杓(ひしゃく)
釜や水指から湯水をくむために使います。竹製です。風炉(5月~10月)用は合
(ごう・水の入る部分)が小型で、 切止(きりどめ・柄の端の部分)は身を斜めに
切ります。炉(11月~4月)用は合が大きく、切止は皮目を斜めに切ります。

6.蓋置(ふたおき)
釜の蓋を置く台にしたり、柄杓(ひしゃく)をひくときに使います。
唐銅(からかね)、陶磁器、竹等があります。
竹製のものは炉用は節の位置が真ん中あたり、風炉用は節の位置が高くと
区別があります。

唐銅のものは、唐の時代の文房具をモチーフにしたらしく、いろいろな変わった形
のものが定番として知られています。

7.茶筅(ちゃせん)
抹茶を点てるための竹製の道具です。裏千家では白竹を用いますが、使用する会や
流派によっても 使う竹の種類や形状が違います。
薄茶は穂が細く仕立てられたもの(100本立て)を使い、濃茶は荒穂を使います。
茶箱の点前用には、全体が細い茶筅(箱の中にコンパクトに収めるため)もあります。

茶筅は、お湯に抹茶を溶かすための道具ではなく、お湯に抹茶を分散させる道具です。
抹茶は茶葉を乾燥し擂り潰して粉にしたものなので、インスタントコーヒーの様に溶解
しないので、茶筅をミキサー・ホイッパー的な道具として抹茶を撹拌分散させます。

8.建水(けんすい)
茶碗を清めた湯や水を入れるもので「こぼし」ともいいます。唐銅、砂張(さはり)、
陶磁器、木地物などがあります。

廃液入れなどと邪見に扱いがちですが、お茶に近い道具として必須アイテムであるため、
さりげない存在でありながら、取り合わせが難しい道具のひとつでもあります。
(いつも無難に銅製のものを使ってしまいますが。本当はいろいろあります。)

道具の名前(その1)

2010-04-19 23:35:41 | お茶のはなし
▼今回の話題:道具の名前

道具の名前、覚えてますか?そこで問題です。

1.茶室の隣の部屋で準備・仕度をする場所はなんていう場所?
2.お茶をすくっている竹でできたスプーンってなんていう名前?
3.お茶が入っている塗り物の器はなんていう名前?
4.お茶碗を拭いている白い小さい布はなんていう名前?
5.お湯をすくっているものは何?
6.それを置いたり、釜の蓋を置いたりする、竹でできた直径5cm高さ7cm
くらいのものは何っていうもの?
7.お茶を点てる時に使う竹製の泡立て器みたいなのはなんていう名前?
8.お手前ですすいだお湯を捨ててる廃液入れはなんていう名前?
9.水が入っているボトルはなんていう名前?
10.床の間に、軸と花と、もう一つ小さい焼き物が置いてある時があるけど、
あれはなんていう名前?

10問全部わかりましたでしょうか?

1.水屋(みずや)
本来の茶室の設計の時には、水道、流し、すのこなど、水屋も茶室と同時に設計されます。
お手前の道具の仕度をする場所ですが、茶室と同様、種々の稽古(水屋での仕度の作法を学ぶ)
をする場となります。(堅いことを言えばの話ですが)

2.茶杓(ちゃしゃく)
主に竹で作られ、まれに、象牙(ぞうげ)や梅・松・桜 などの木も使われています。
竹の筒に納められて銘(めい)が付けられていることが多く、茶人が自身で削るため
好みや人柄までうかがえ、茶道具のなかでも重んじられている道具のひとつです。
水は厳禁です。ティッシュで拭いてしまってください。

作者が、その茶杓に込めて付けるものが「銘」です。
その結果、俳句のように季語を用いることが多いですが、「和敬」、「無事」、などの
銘をつけることもよくあります。
今年の正月にお家元が削られた茶杓には「剣光」という銘をつけられたそうです。

3.棗(なつめ)
お茶を入れているものは茶器といいます。濃茶で使うものを「茶入れ」
薄茶で使うものを「薄茶器」といいます。その代表がよく見る棗になります。
棗も、利休型中棗以外にもあり、大ぶりな平棗では ちょっとだけ清めるときの扱いが違います。
薄茶器は棗(なつめ・形が棗の実ににている)をはじめとして、中次(なかつぎ)、
雪吹(ふぶき)など種類はいろいろあります。塗り物で蒔絵(まきえ)などで
装飾されているものもあります。

4.茶巾(ちゃきん)
5.柄杓(ひしゃく)
6.蓋置(ふたおき)
7.茶筅(ちゃせん)
8.建水(けんすい)

4~8は次回詳細を加えます。なお、柄杓と蓋置は、4月までと5月以降で型が
変わりますのでよく観察してみてください。

9と10は以下のとおり。(裏千家HPより)

9.水指(みずさし)
 釜のそばに置き、茶席で必要な水を入れておく器で、金属、陶磁器、木、
漆器(しっき)、 ガラスなど素材も、形も豊富です。また産地も中国、朝鮮半島、
日本のほかに東南アジアの国々や ヨーロッパで作られたものもあります。

10.香合(こうごう)
香合は香をいれるための小さな器です。香は風炉や炉の中で焚(た)いて、
香りを楽しむとともに、 部屋に清浄感(せいじょうかん)を与えます。炭手前
(すみでまえ)のときに、 炭斗(すみとり)に入れて席中に持ち出しますが、
炭手前がない場合は床の間に花入(はないれ)とともに 飾ります。
 風炉の季節には木地(きじ)、塗物(ぬりもの)等の香合を使い、白檀(びゃくだん)
などの 木製の香を入れ、炉の季節には陶磁器のものを使い、練った香を入れます。

割り稽古

2010-04-12 21:52:00 | お茶のはなし
いろいろお稽古してきました。
割稽古としていろいろあったと思いますので、そのアウトラインを紹介します。

★お辞儀の仕方
大きく3つに分けられます「真」「行」「草」のおじぎ
座った姿勢と正しくすること、頭を下げる時は相手を敬う心持を忘れないこと。
「真」のおじぎは、総礼、客がお茶をいただくときにする、一番深い礼。
「行」のおじぎは、相客の軽い挨拶(つまり「お先に」の時)にします。
指の第二関節までが畳に着くようにします。
「草」のおじぎは、会釈で指先が軽く畳につく程度で上体を傾けます。
亭主が点前中に挨拶を受ける時に使います。

★立ち方
立ち上がる時は、まず両手を膝に軽くあてたまま両足を同時に爪立て、
かかとの上に腰をのせます(跪座)。この時、腰から上の姿勢を崩さないように
することがポイントで、姿勢が良く見えます。それから片足の膝をたてて立ち上がります。
しっかり立つまで手は膝の上(和服の時、裾が乱れないように)。立ち上がったら両
手は両脇へおろします。

★ふすまの開け閉め
襖の紙の部分に指をかけないように、必ず縁を持って開け閉めすることが注意点。
襖の正面に座り引き手に近いほうの手をかけて5cmくらい開けます。
その手を下から25cmくらいのところの縁にかけ中心まで開けて、次に反対の手で
同じ高さのところの縁に手をかけて、最後から少しだけ残して全開にします。


ここから先の項目は、文章で書けないし、書いても理解不能な文字の羅列になります
ので、実際に手を動かして体験してください。お稽古内容の項目だけ並べます。

★帛紗さばき
腰に付けるまで
棗の清め方
茶杓の清め方

★茶巾のたたみかた
★茶碗の拭き方
★茶筅通し


▼その他のお稽古
点て出しのお茶の運びかた:運び出し。古帛紗の扱い。茶碗の下げ方。

どこまでできたかな

茶花は何がいいの、どうしたらいいの?? 

2010-04-10 01:39:05 | お茶のはなし
▼今回の話題:茶花について

今回はいったい、お花は何がいいの、どうしたらいいの?? に対応する具体例の
紹介です。

★使わない花の紹介から
禁花というのがあるそうです。

(裏千家ホームページから引用)
南方録の覚書の内に
  花生(はないけ)にいけぬ花、狂哥(歌)に、
  花入に入さる花ハちんちやうけ(沈丁花)
  太山(みやま)しきミ(樒)にけいとう(鶏頭)の花
  女郎花さくろ(柘榴)かうほね(香骨)金銭花(金盞花)
  せんれいそう花をも嫌(きらう)也けり
と具体的な禁花が挙げられています。しかし、これは絶対的なものではなく、時代
により、また茶人の好みによって移り変わっていくものではないでしょうか。
花の名前、音の響きや文字、または四季のうつろいを感じさせないもの、強い香りが
あるとか、毒々しい色彩のあるものは避けましょうということです。

だそうです。
仏花の代表の菊もあまり使われないです。
香りが強い、毒々しい色彩につながる、洋花は使いません。
(ジャスミンとか、真っ赤なバラとか)


★よく使われる花
炉(冬春):椿
風炉(夏秋):ムクゲ
いろいろ応用が利く花であり、たくさんあって手に入りやすい。
花の寿命が短いので扱いが難しく、亭主の腕の見せ所でもあるからか。

★活ける花の数(種類)
元来は1種類
利休居士は四畳半になってはじめて2種でもよいと言われたそうです。
豪華絢爛を見せるのではなく、あくまでもわびしき自然の風体を写す。
自然を損なわぬよう、技巧を表にださぬようにというのが茶席の花の第一要点
だそうです。
広間では、3種、5種で。(奇数を重んじるのは陰陽の考え方)

★洋花は?
例えばクリスマスローズは炉の時期の代表的な洋花。うつむきかげんに開く花の
おもむきが茶席にあう。「寒芍薬」の和名で紹介されると外来種とは気がつかないかも。
茶席の花であるという本質から、調和がとれる花を考えると洋花は扱いにくい。


▼おまけトピック
お正月にのみ、「結び柳」が用いられる。1月の初回で使いました。
その日に参加できなかった人、覚えてない人は、来年の正月の「結び柳」を楽しみにお待ちください。