烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

スタンプショウ2019(1)

2019-05-01 | 切手


若葉を潤す春雨の降る中、浅草へ。
今年もいよいよスタンプショウの時期がやってきた!「今年は休日に開催なのだなあ」と漠然とした印象しか持たずに会場へ向かう。が、しかしである。
予想だにしなかった大誤算がここで明らかになるのだ。

行列!!
かつてないほどの行列ができているではないか・・・。なぜだ?なぜこんなに駐車場にまで何列にもなる行列ができているのか!?
ここでもまだ私は薄ぼんやりとした思考しか働いておらず、列が進むにまかせて前進する。

「『おそまつさん』グッズ販売の最後尾はこちらです!!」
「宮内庁押印の方はこちらにお並び下さい!!」
あ・・・そういうことね。

そうだ、2日目の4月30日は「平成最後の日」であった・・・。
普段から押印にあまり食指の動かされない私は、この事態を全く想定していなかったのである。
切手収集の割と基本な部分、それが押印であると言っても過言ではない。
切手の発行日に押される「初日印」、有名な観光地で押してもらえる「風景印」、そして特別な日に押される「記念印」。
そう、この日は結構な特別な日であったのだ。
むしろ、通常は切手を収集しなくても「この日は特別だから」ということで、記念印に人々が殺到することぐらい、予想できたものを。甘い。推測の詰めが甘すぎる私であった。

いつものように4階の会場にご挨拶をして、つまりはぐるっと回ってから、5階のディーラーズブースへと向かおうと思っていたが、とんでもない事態になっていた。
「すみません、『公式ガイドブック』ください」
「申し訳ありません、ガイドブックは売り切れてしまって。スタンプラリーの用紙ならございます」
「・・・あ、いいです」
なんとなんと、「公式ガイドブック」が売り切れていたのである!!
これは緊急事態発生である。
楽しみにしていた「切手つかみ取り」ができない・・・。公式ガイドブックを持っている人の特典が、100g切手つかみ取りなのである。とほほ。
これはどうやら今年のキャラクター「おそまつさん」の仕業であるらしいことが後ほど分かるのである。


さて、気を取り直して5階へと向かう。
「きっと5階も大変な騒ぎだろうな・・・。やれやれ」
と思いきや、割と落ち着いた雰囲気である。ほっ。
人混みに若干酔い気味の私が、いささか朦朧として吸い寄せられたのが「中川スタンプ商会」さんのブース。「恐竜・古生物」のファイルが目にとまったのである。最初に捕獲したのがこちら!



面白いものが目にとまった。ちょっとコレクションに斜めな視点というか、変化を持たせてくれるような切手もたくさんあって、いきなり大漁である!!



「チェコ恐竜切手1994年3種完」は、前から欲しかったものだったのでかなり嬉しい。
三角形の恐竜切手や、カラフルな古生物切手のシリーズも面白い。
中でも「英領南極」の6枚組のシリーズは、南極大陸が2億8千万年前から現在に至るまでどのように移動したかを描いた、大変興味深い切手だ。
こちらのお店、クラシカルなものがそろっている上にどれも美品なので必ずチェックしているのだ。今年も美品の揃いが捕獲できて大満足である。


続いて5階会場をぐるぐると回る。
目を皿のようにして「恐竜・古生物」のバインダーを探す。と、なんとバインダー①~④と豊富に取りそろえてらっしゃるブースが!!
はるばる京都からいらっしゃった「フジスタンプ」さんである。実はこちらのホームページ、いつも拝見しながら「いいなあ」と思っていたのだ。ネットでも恐竜切手が大充実。
ブースでも4冊もバインダーをご用意下さっていた!!
早速机に向かって椅子に座り、じっくりページを繰る。
これもいいな、あれもいいな、と迷いながらも大興奮である。
おそらく外から見ればただバインダーをむっつり眺めているようにしか見えないだろう。
しかしである。その実、心は躍り上がらんばかりに興奮し、無数の恐竜切手からせいぜいその1割以下の枚数に絞り込まなければならないという重圧に押しつぶされ、頭は大パニックなのである。
「ああ、きっと皆さんもそうなのかな」
と、周りを見回し、ふとそんなことを思う。落ち着いてバインダーに向かっていらっしゃるように見えるおじ様方も、内心はうきうきわくわくなのであろう。
さて、私が苦しみにもだえながら絞り込んだのは、こちら!!



こちらは個性的な切手が充実しているブースで、去年も「おもしろ恐竜切手」(スティラコサウルス)を捕獲したお店である。
そして、今回も、去年に劣らず個性的で面白い切手が大量に発掘できたのだ!!是非とも一つ一つをご紹介していきたいのだが、今回の「スタンプショウ2019」の白眉はこちら!!



「恐竜切手の切手」である!!
一瞬見過ごしてしまうかと思う位、控えめな、落ち着いたデザインの切手である。
ところが、よくよく見てみるとなんと興味深い一枚であろうか!

過去に発行された各国の恐竜切手を図案化しているのである。通常の「切手の切手」、つまり、やはり過去に発行された有名な切手を図案化した切手というのは、結構人気のあるトピックなのだ。「切手の切手」を専門に集める方も少なくない。例えば外国でいうなら「ペニーブラック」というイギリスの超有名な切手を図案化したものが発行されているし、日本でいうなら「龍文切手」という日本で最初の切手を図案化した物などが発行されている。
つまり、切手の中に図案化されている切手は、オマージュを捧げられるような存在なのであり、つまりは重要な切手と言うことである。

この「恐竜切手の切手」も、そんな有名どころへのオマージュを捧げた一枚であるのだ。
恐竜切手収集家としてはこれは大発見の一枚であるといっても過言ではない。
「いや、こりゃいいもの見つけたじゃないの」
と、帰宅後にやつくこと、しきりであるのだ。


少しお昼には早いのだけれど、結構お腹が空いてきた。
今年こそは「神谷バー」へ!!と思っていたのだが、会場の人の多さに圧倒され、やや疲れてしまったので、11時半頃早々にお昼休憩を取ることにする。
4階の会場には、お弁当屋さんやお菓子屋さん、酒屋さんのブースが並んでいるのだ。ちょっと気になっていたお弁当屋さんへ。



普通のお弁当だとちょっと私には多いかな、というボリュームだったので、こちらのおにぎり弁当にする。
お弁当屋さんの前にテーブルと椅子が置かれているのでそこで休憩することに。
おじいさんが助六寿司を召し上がっている。お隣には別の人の荷物があったので、前の席に座る。
「こちら、よろしいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ」
紳士は快く席を勧めて下さる。
梅のおにぎりをほおばりながら、会場の熱気を観察する。梅干しの酸っぱさが疲れを癒してくれ、気分をさっぱりさせてくれる。
女子達が「おそまつさん」のスタンプラリーに長蛇の列。
斜め向かいにも老紳士が席を取り、同じおにぎり弁当を開いていた。
何となく、会話が始まる。
「今年はすごい人数だね」
「そうですね、驚きます」
と言うところから始まり、3人でお弁当をたべつつ、静かに会話。会場の騒ぎはBGMである。
やはり今年は元号の切り替わりということもあり、例年以上に盛り上がっているのだそうだ。「宮内庁」の出張押印には長蛇の列で、10:45の時点で締め切っているとのこと。
「押してあるものを販売するのもあるけど、自分で用意した紙に押印する人もいるから。スタンプ1個じゃどうしたって押す数に限界があるからね。それで締め切ったんでしょう」
と、助六寿司の紳士が仰っていた。
「今年の記念品もすごい行列だね。12時半頃、ダメ元で並んでみようか」
とおにぎり弁当の紳士。
「私は早々に諦めちゃいました」
と、頭を掻く私。
「平成最後の押印」は手に入らなかったけれど、会場の騒然とする熱気の中で、こんな素敵な出会いがあったことが、なんだかとっても嬉しかった。大先輩の収集家さん達とお話しできたことが、私にとっては「平成最後の」記念だったような気がする。
助六寿司の紳士が、
「私は植物切手の部会に入っていて、上でやってるから、良かったら見にいらして下さい。無料で切手差し上げてますから」
と誘って下さった。なんと、切手部会のブースの方にお会いするなんて、これはラッキー!! 各部会のブース、興味はあったもののどうアプローチしていいのか分からなかったので、千載一遇の好機である!


二人の紳士とお別れして、4階を何とかしてめぐろうとする。どうしても行きたかった「外国郵政」のブースへやっとの事で辿り着いた。


ということで、この続きは是非とも次回ゆっくりご紹介したい。

世界初の古生物切手:インド 1951年 「地質調査100年」

2019-04-14 | 切手


体の半分の長さはあろうかと思われる、巨大な牙。現生のアフリカ象よりも長く伸びた牙である。
学名は「ステゴドン・ガネサ(ガネーシャ)」。「ガネサ」、つまり「ガネーシャ」は、ヒンドゥー教の象頭の神の名前である。
牙と牙の間が狭いために、鼻は左右どちらかに垂れ下がっていたのではないか、という復元に基づく図案である。
「自然界において、そんな左右非対称のアンバランスを常態とする生物がいるもんだろうか?」という疑問が沸いてくる。もしかしたら、もっと短くて平たい鼻が牙の上にきちんと乗っかっていた、なんていう想像だってできるはずだ。なんせ、鼻は柔らかいから化石に残らないのだ。



それはそうと、学名に「ガネーシャ」を入れた辺り、素敵なネーミングセンスを感じてしまう。ちなみにガネーシャは、シヴァ神の妻、パールヴァティが自らの垢と香油で作ったとされているが、「リグ・ヴェーダ」などの叙事詩には登場しないので、比較的新しい信仰だとされている。なんせ、20世紀になって映画の世界から生まれた女神様もいる位だから、歴史と共に新しい神様が生まれてきたとしても全然不思議ではないのが、インドのヒンドゥー教である。大変興味深い。


さて、肝心の1851年に行われたとされる地質調査についてであるが、情報を得ることができなかった。今後の課題である。
その代わりにと言っては何だが、ステゴドン科についての興味深い記事が見つかったのでご紹介したい。

第2回 実はゾウの楽園だった日本列島(ナショナルジオグラフィック)
さて、日本列島が、意外にも「ゾウの楽園」だったかもしれない話。

 まだ、今の形の「列島」になっていなかった多島海時代の1800万年から1600万年前には、ステゴロフォドンというゾウがいて、時代が下るに従って小型化していったという。

 そこから先、日本のゾウはどうなったのか。

 実は、よく分からないのだそうだ。なぜなら、1600万年前から600万年前までの間、ゾウに限らず陸の生き物の化石記録がほとんどないからだ。



「とにかく化石記録がないのでそこはすっ飛ばしまして、600万年ぐらい前になるとツダンスキーゾウというのが見つかります。アジア大陸に当時いたでっかいゾウなんですがそれが日本に渡ってきている。渡ってきた時点では、大陸と日本がつながっていたのかもしれないんですが、その後、しばらくまた切り離されて交流がない状態が続きます。それで、何百万年かにわたって日本で独自に進化していくんです。ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウという系列。ハチオウジゾウは2010年に命名されたばかりです。原始的なアケボノゾウという位置づけで別種にする必要はないという説もあるんですが」

この系列は、ゾウの系統でいうと、ステゴドンというアジアに広く分布していたグループだ。長く前に突きだした牙が特徴。牙と牙の間が狭くて、鼻が間を通らなかったのでは、と言われるものもある。前に出てきたゴンフォテリウムやステゴロフォドンよりは、現生のゾウに近いが、分類学的に言うと「ステゴドン科」として、「ゾウ科」と区別されるようだ。しかし、ここではほかにもいろいろな種類が出てくるので、分岐図を見て系統関係を理解した方がいいだろう。

「日本のゾウ」として関係してくるものとしては、まず原始的なゾウの先祖から、ゴンフォテリウムが分かれて、その後、ステゴロフォドンや、さらにステゴドンが出る。さらに、アジアゾウ類が分岐して、その先にマンモスの仲間と現生アジアゾウの仲間が分かれる。現生アジアゾウとナウマンゾウは、ほとんど「きょうだい」のような近縁だ。


ステゴドン科は、アジアに広く分布していた象の仲間であり、実は、あのマンモスよりも古い時代の生き物だということが分かり、結構驚いた。
正直、私はこの時代の生物達については、全く知識があいまいなのだ。
この奇妙な象の仲間をきっかけに、新生代の古生物についてももっと調べてみようと思った次第である。


【参考サイト・文献】
・ナショナルジオグラフィック「第2回 実はゾウの楽園だった日本列島」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140710/407028/
・『インド神話の謎』丸山勇・写真、佐藤和彦・文(学研、1998年1月26日)

スピノサウルスとティラノサウルス:グレナダ・グレナディーン 恐竜切手 1994年

2019-03-16 | 切手


今まさに、2大肉食恐竜が激突する! 果たして勝者はスピノサウルスか、それともティラノサウルスか! 両者の咆吼が荒野に轟き渡り、空ではプテラノドンがその激闘を見守る!

と、まるで『ジュラシック・パーク3』の手に汗握るあのシーンを思いうかべた方もいらっしゃるであろう。巨大な体躯と鋭い歯を持った肉食恐竜たちが戦うという姿は、誰もが想像したくなる魅力的な一場面と言えよう。



ところがである。ご存じの通り、両者とも白亜紀の恐竜であるのだが、生息していた時間と場所が全く異なるのである。
スピノサウルスはこれまでに、アフリカ、ヨーロッパ、南アメリカ、そしてアジアから見つかっている。一方ティラノサウルスは北アメリカからしか発見されていない。
前者はジュラ紀後期から白亜紀末期までの地層でその類縁種が発見されているが、後者は白亜紀最末期の6800万年~6600万年前の生息とされている。



というわけで、このグレナダ・グレナディーンの恐竜切手のように、スピノサウルスとティラノサウルスが対峙するという機会は皆無だったことが分かる。残念である。
しかし、1994年発行のこの切手、あの『ジュラシック・パーク3』の名シーンを7年も先取りしていたのだなあ。


この切手を手に入れて次の日の2月14日に、「朝日新聞」で「終わりなき恐竜研究 変わる復元図」という記事が掲載された。
スピノサウルスの復元図の変遷と、オビラプトルが抱卵していたという新事実について紹介されていた。ちょうど、この切手に関わる内容だったので、記事の中でも特にスピノサウルスに関する部分をご紹介しよう

陸で二足歩行→長く潜れて四足
映画「ジュラシックパーク3」(2001年)に登場した恐竜スピノサウルス。二足歩行で森を走り、ティラノサウルスと戦いを繰り広げた。だが、実際の生態は映画とは異なっていたかもしれない。
白亜紀に生息していたスピノサウルスは体長15メートル。1912年に初めて化石が発掘されたが、第2次世界大戦で失われ、長年「謎の恐竜」とされてきた。
米シカゴ大などは2014年、モロッコで発掘された化石から全身骨格を復元した。長い前足を使った四足歩行で、水生動物の特徴である思い骨を持ち、水中に長時間潜っていたという。そのような姿は、「肉食恐竜は陸上で二足歩行」というイメージを覆した。



図鑑に描かれる復元図も変わった。小学館の「図鑑NEO」では、14年までは魚をくわえながら陸上を二足歩行する姿だったが、15年から浅瀬で魚を追う姿に変わった。
このスピノサウルスを描いた東京工科大の伊藤丙雄(あきお)教授は「復元図は発掘された骨格や蓄積された科学的根拠から描く。数年後に、全く違った姿になることもある」と話す。
実際、18年にはカナダの研究チームがコンピューターシミュレーションから「水に潜るのは難しく、泳ぐには不安定だった」と発表している。日本古生物学会長を務める国立科学博物館の真鍋真さんは「首など未発見の部分もあり、今後の発見次第で、全身骨格を見直す必要が出てくる。『謎の恐竜』の探索は続ける必要がある」と話す。(朝日新聞 2月14日 朝刊)


2016年の恐竜博では、水生で四足というスピノサウルスの新しい復元図が新鮮だった。
実際の全身骨格を見上げると、その大きさに圧倒されたものだ。


恐竜研究とは、実際の存在していたものの、その姿を絶対に見ることはできない生物を想像し、復元し、その姿を生き生きと再現することにある、と思っている。しかも証拠は100%そろっている物の方が少ないのである。
おそらく、実際の研究者は、気の遠くなるような地道な作業を積み上げていくのであろう。我々の目に触れる研究成果というのは、そういった弛まない努力のほんの一握りの結晶なのかもしれない。
こうした、恐竜研究の変遷を目にするたび、そこに隠された長い道のりに思いを馳せたくなるのだ。



【参考・引用文献】
・『恐竜博2016』図録(朝日新聞)
・「朝日新聞2019年2月14日朝刊」
・『切手ミュージアム1 よみがえる恐竜たち』長谷川善和・白木靖美著、未来文化社(1994年7月25日)

郵政博物館:「THE STEAMPUNK -螺子巻奇譚-」

2019-03-12 | 切手


春の足音が近づきつつある、3月のとある日。芽吹きを促すような雨が降る中、郵政博物館に行ってきた。



「明治改元150年企画展『THE STEAMPUNK -螺子巻奇譚-』」が開催されていたのだ。「スチームパンク」という言葉に惹かれて興味を持ったのである。と言っても、私は根っからのスチームパンカーではないのだが。せいぜいジュール・ヴェルヌの小説を好み、歯車とか真空管とか、エジソンランプなんかにノスタルジーと魅力を感じる程度の愛好家である。
それに、郵政博物館へは一度も行ったことがないので、良い機会と思って訪ねた次第である。「東京スカイツリータウン・ソラマチ」の9階である。


さてさて、まずは常設展。



入り口には「俵谷式ポスト」(複製)がお出迎え。まずは郵便の歴史を学ぶコーナーである。
明治37年に俵谷高七により考案された「自動郵便切手葉書売下機」なるものまであった。こちらは実用には至らなかったとあったが、100年以上も昔に切手の自動販売機があったなんて驚きである。私は中学生位の時に自動販売機で売る「コイル切手」の存在を知り、わざわざ販売機から切手を買いに、街の大きな郵便局まで出かけた思い出がある。時代は全然違うけれど、なんだか懐かしい思い出を喚起された。

郵便に関する様々な資料が展示されている中、衝撃的な物が!



「郵便保護銃」である。明治6年とある。
「郵便物を守るために交付されたものです。当時の記録には、『郵便逓送脚夫護身用短銃(ゆうびんていそうきゃくふごしんようたんじゅう)』と記されており、6連発式のピストルでした。」
勉強不足なのだが、当時の郵便物は、強奪される危険性が高いものだったのだろうか。郵便屋さんが銃携帯である。大変興味深い。



投函口を回して開けるタイプのポストがあった。



「大賀式自動押印機」(手動)。大正13年には実用化されていた。こちら、葉書だけでなく封書にも対応可能で、1分間で葉書を500枚処理できたというのだ。
電気式ではなく、こういった手動の「自動機械」って、「どういう仕組みになっているのだろう」という興味が尽きない。なんというか、「こいつはすごいものだぞ」という感じが、どういうわけだか電子機器よりも強い気がするのだ。




続いてスチームパンクの世界へ。歯車のかみ合う音、モールス信号の音が鳴る中、企画展のコーナーへと入る。



電信機の数々が並ぶ!!例えば、ジュール・ヴェルヌの「ノーチラス号」なんかにこういった機械が装備されていそうだ!!





やっぱり逆説的だけど、スマートフォンよりなんだか「すごいじゃないか!」という気がしてくるから不思議である。
きっと、こういう機械の方が(知ろうと思えば)仕組みが分かる分、魅力的なんだろうか。ちょっと説明しがたいのだが、現代においては身近でありふれた素材で作り出せるのだが、その分、そのアイデアのすばらしさ、思いつきの鋭さが際だつというか。こういう発明の積み重ねに現代の技術が成り立っているのだなあ、と感心してしまうのだ。



こんな素敵な帽子が展示されている。これをかぶって「スチームパンク風」コスプレができるコーナーまで用意されている。



こちらは日本が開発した世界初の「TYK式無線電話機」である。もう完全にノーチラス号の世界だ。

木材と金属でできた機械の数々。かすかに木と金属の匂いが漂っているような気がした。


さて、お楽しみのミュージアムショップである。
外国の使用済み切手、FDC(初日印カバー)や使用済み封筒などがわんさか!!じっくり座って物色する。
なかなか恐竜切手が出てこない。と、恐竜ではないが「首長竜」のFDCを発見!!しかも素敵なデザインだ。マキシマムカードっぽくもあり、これは興味深い物をみつけた。
中央には、日本のちょっと古めの切手がシートごと山になっている!!しかも額面販売だったりするからお得である!!
小型シートから、「沖縄国際海洋博覧会」の小型シートと、2017年のお年玉切手シートを選んだ!



今回の漁獲はこちら!!それぞれ面白い切手なので、こちらも小出しにご紹介できればと思っている。

ちなみに、3月1日で郵政博物館は5周年を迎えたので、葉書をプレゼントされた!



左は今回の企画展のポストカードである。部屋の壁にでも飾ろうかと思っている。


じっくりたっぷり、郵政博物館を堪能したので、ちょっと休憩。ソラマチの1階にチョコレート専門店のカフェがあるのだ。「マックス・ブレナー・チョコレート・バー」である。
おすすめのホットチョコレート。ミルク味にした。



かわいらしいカップに入ってやってくる。「ハグマグ」というのだそうだ。両手で包み込むようにして、細くなっているところに口を付けて頂く。美味しい!疲れた体に染み渡る甘さである。思ったより甘めだったので、今度はビター味にしようと思う。



この魅力には抗えない!!マシュマロとチョコレートのピザである。こちらは期間限定で「アフマド・ティー」とコラボした、ミルクティーのホワイトチョコ味のピザである。
紅茶の茶葉が良い香り。ベリー類やきれいな花びらが添えられている。ぺろりといけるちょうど良い大きさだ。幸せである。


こうして、スチームパンクに切手とチョコという魅惑のひとときを過ごし、スカイツリーは見上げるだけにして、その場を後にしたのである。



あ、バスのナンバーも「634(ムサシ)」だ・・・。

切手の博物館:バレンタインの小型印(2019年2月)

2019-02-18 | 切手


駅からの坂を、白い息を吐きながら、心弾ませながら下る。
この日は切手の博物館で心を癒そうと思い、久しぶりに来館した。バレンタインデーの前日である。この期間、切手の博物館では、特設ポストを設けて「バレンタインデー小型印」の受付をしていた。こちらも楽しみだったのだが、まずは展示を見てからのお楽しみ。


現在の企画展示は「再結成!切手のオーケストラ」(2019年1月5日~3月31日)である。
実は昔、ピアノを習っていたこともあり、クラシック音楽にかなり興味があったので、ほんの少しだけ音楽関連の切手を集めていたことがあるのだ。

気になる展示内容は、
「オーケストラの記念切手」、「偉大なる指揮者」、「オーケストラと楽器」、「音を合わせて」、「神童モーツァルト1,2」、「楽聖ベートーヴェン1,2」、「オーケストラの大作曲家1,2,3,4」、「愛される民族楽器1,2,3,4」
その他に、「日本のコンサートホールと劇場」というコーナーでは、日本全国のコンサートホールの風景印を集めて展示してあった。

いつも、「とても勉強になるなあ」と感心するのだ。というのも、毎回、テーマと展開の仕方が、テーマティク収集のとても良いお手本となるからだ。
今回も「オーケストラ」というテーマで、そのものずばりのオーケストラ切手から指揮者の切手、音楽家、そして楽器と、発展の仕方が興味深くて大変楽しむことができたのだ。

私は「恐竜切手収集家」を名乗っているのだが、自分のコレクションをどのように発展させていくのか悩み中なので、こうした展示は大変参考になる。


さあ、お待ちかねのミュージアムショップコーナーである。
ここで私は何も考えずに、木で作られた「切手の形の葉書」を購入。もちろん、バレンタインの特別な消印を押してもらうためである。
それから、「フランスの自然」という切手セットの中に「アロサウルス」を発見!蝶やキリン、チューリップに混ざってなぜだか「アロサウルス」!これは気になるから購入する。後でなぜアロサウルスが含まれているのか調べてみることにしよう。


続いて「ロータスフィラテリックセンター」さんへ。ご無沙汰していたが、「ああ、恐竜だっけ?」と覚えてくださっていた。
テーマティク収集家のために、こちらでは箱を用意してくださり、リクエストのあったテーマを色々集めてくださるのだ。
そして恐竜が大量発見された!



面白いシートには目がない。じっくり眺めてると色んなストーリーが浮かんでくるのだ。それから、「これ、見てみて」と渡されたストックブックの中に、お宝発見!



世界初の古生物切手である!!こちらは後ほどじっくりご紹介することにしよう。


さてさて、気になる「バレンタインデー小型印」であるが、無事に届いた!!



と、色々反省すべき点はある。
投函してから気づいたのだが、「木でできた葉書であるから、インクのノリが心配」だったのだ。にじむかもしれないなあ、と覚悟していたのだが、そこは押印してくださった方の腕前が良かったのだ。きれいに押されている!



それと、もう一つ反省すべきなのは、この葉書、定形外なので120円切手が必要だったのだが、私はその時82円切手が数枚手元にあったために、2枚貼って投函してしまったことだ。
何が問題だったかというと、2枚を縦に並べて貼ったため、右側の宛名とのわずかなスペースにしか押印できなかったのである。
これは押印する係の方も「うーん、押しづらい」とおもわれたのではなかろうか、と届いてから気づいた次第である。
私は、小型印、風景印の類は押され慣れていないのだ。次回は「押す場所を考えて宛名を書き、切手は1枚貼りが原則」、と強く心に誓ったのである。
いやはや、係の方、お手数をおかけいたしました。


実はここのところちょっと忙しいというか、バタバタしていることもあり、こんな私でも心が疲れていたのだ。
こうやって切手に触れたり、見たり、囲まれたりすることで、こんなにも癒されるのだなあと、改めて気がついたのであった。