その日の夕方、紹介先の病院のDr.から直接電話があった。「先生、SAH(くも膜下出血)でした。これから検査・手術予定といたします。ご紹介ありがとうございました」と・・・。一気に冷汗がでた。鎮痛剤出して帰宅させなくてよかった。おそらく家に帰って血圧をきちんとコントロールしなかったら再出血してそのときは・・・。あぁ考えただけでも・・・。まあGrade1のSAHなので手術後の予後はいいだろう。それにしても、このような危機一髪の症例は開業後5例経験してきている。ということは1年に1回はこのような事例にぶちあたる確率なのである。日ごろは元気な患者さんがほとんどである。ぼや~っと昼行灯のような診療を続けていたら足元をすくわれるところであった。大学病院の救命センターでは緊急度や重症度の高い患者さんを何年も診療してきた。でも1回も「怖い」と思ったことはなかった。それは多くのスタッフとすぐに施行できる検査機器が充実していたからであろう。まさに護送船団での診療であったが、開業した今では手漕ぎボートで一人大海に出ているようなのである。年に1回は「大波」がくる勘定になるがこれからも果たして乗り切れるかどうか。開業医は辛いよ・・・(笑)。