〜日々是好日~⭐ 三男三女、子育て日記

21歳長男、19歳次男、16歳三男、13歳長女、10歳次女、7歳三女、個性豊かな6人の子どもたちとのドタバタな日々😅

Fさんからの贈り物…

2019-02-22 | 日記
先日、2月20日(水)のこと。

その日の夕方、私は柔道部の次男の後輩の男の子の家に行きました。

次男より一つ年下のK君。彼のお母さんが2月9日の朝に亡くなられたことを聞き、
同じ柔道部の保護者の皆さん達と一緒に、ご挨拶に行ってきたのです…。

K君は中学2年生。
柔道部では一番小柄だけれど、とても素直で礼儀正しく、練習も誰よりも一生懸命な子です。

K君のお母さんのFさんと初めてお会いしたのは、K君が柔道部に入部したとき。

K君と同じく、とても礼儀正しく、朗らかで優しい印象のお母さまでした。

K君が入部してから夏休みが過ぎるくらいまで、よく練習を見にきたり、試合の応援にも来ていて、いつも真剣な眼差しで子どもたちの事を見ていたことを覚えています。

私はいつも練習や試合の応援に、下の妹達を連れて来ていたので、
まだ1歳だった三女がぐずったときは優しくあやして下さったり、お菓子を頂いたりしたこともありました。

K君は学区外から通っていて、電車で学校まで通っています。
Fさんに、
『地元の中学の柔道部ではなく、なぜこの中学に決めたんですか?』

と、聞いたら、

『Kは背が小さくて、柔道も強くないけど、やる気はものすごくあるんです。本人の希望もあって、柔道部が強いこの中学に通わせることにしました。』

と、仰っていました。
お子さんのために、とても一生懸命な方だと思いました。

その年の夏休みが過ぎ、秋以降、Fさんは練習や試合の応援にパタリと来なくなりました。

(お仕事が忙しいのかな…?)

と、思っていましたが、

(あんなに頻繁に来ていたのに、何かあったのかな…)

と不安に思い、

『最近Fさんを見かけないけれど、お仕事とかお忙しいんでしょうか…?』

と、柔道部の保護者代表のお母さんに聞いてみました。

すると、

『あぁ、Fさんね…
実は末期の癌なんだそうです…
今、あまり体調が良くないのかもしれないですね😞』

と言われました。

(えっ?!癌…?!末期…?!
そんな……嘘でしょ…?!)

と、最初は耳を疑いました。

私が夏前にお話ししたときのFさんは、
細身でスラリとした綺麗な方で、
身なりもキチッとしていて、
遠くの試合にも応援に駆けつけて子ども達を真剣に応援してくれて、
いつもにこやかにお話ししてくれて…

とてもどこか体調が悪いようには、見えなかったからです。

毎日、明るく練習に励んでいたK君…。
本当は人知れず、お母さんの体調を心配し、辛い思いを抱えていたかと思うと、とても切なくなりました。


柔道部の保護者連絡網はLINEで行っていて、Fさんは時々

『了解です』
『いつもありがとうございます』

などの返信を送って下さっていました。

それが去年の10月から、Fさんに代わり、Fさんのご主人が保護者のLINEに参加されることになりました。

(Fさん、体調大丈夫なのかな…)

と、ずっと心の片隅で思っていました。


そして、先日の2月9日。

次男が珍しく、とても深刻そうな顔をして部活から帰ってきて、

『お母さん…大変だよ。
Kのお母さん、亡くなったって…』

と、言いました。

保護者代表のお母さんに、翌日確認すると、

『2月9日の朝に亡くなられたそうです。お通夜と葬儀は御親族のみで行うそうなので、日を改めて、皆さんでご挨拶に行きましょう』

とのことでした。

そして20日の夕方、保護者の皆さんと一緒にFさんのお宅にご挨拶に伺いました。

玄関前でチャイムを押すと、Fさんのご主人とK君が出迎えてくれました。
地元の中学に通っている一つ上のお兄さんは、受験前で塾に行っているとのことでした。

リビングに通されると、沢山のお花とFさんの遺影が飾られていました。
私が知っている時よりも少し若く、素敵な笑顔を浮かべている写真でした。

10日前に最愛のお母さんを亡くしたばかりのK君…。
まだ深い悲しみの中にいるのに、いつものように礼儀正しく挨拶し、皆さんのコートをハンガーにかけてくれたり、お茶を出してくれたり…
てきぱきとした応対をしてくれました。

1人1人、お線香をあげてFさんにご挨拶をしたあと、
ご主人が、Fさんの病気が発覚してからのことを、少しずつお話ししてくれました。

・6年半前に卵巣癌が見つかり、その時点でステージ3だったこと。
・すぐに手術をしたけれど、1年後に再発し、それからずっと抗がん剤で治療をしていたこと…
・去年の10月、これ以上は本人の体力がもたないので、抗がん剤治療を打ち切ったこと。
・12月に44歳の誕生日を迎え、みんなでお祝いできたこと。
・本人の強い希望で入院はせず、自宅で過ごしたこと。
・激しい副作用に苦しんでいたこと…
歩行が困難になっても、家族に迷惑をかけないように最後まで頑張っていたこと。

私が最後に会ってからの1年半の間、Fさんは家族を思い、懸命に病気と闘ってきたことを知り、涙があとからあとから溢れてきました…

お話が終わったあとに、ご主人が、

『よかったら妻の遺品があるので、持っていってもらえませんか。
うちは息子2人なので、ハンカチやポーチも持っていても使えないので…』

と言って、K君が小物が入っているカゴを持ってきてくれました。

一緒に来ていた保護者の皆さんが、どうしようかと躊躇っていたので、
私が一番最初に、

『じゃあ、このポーチを頂いてもいいでしょうか…?』

とレースが付いているポーチを手に取りました。

すると、中に何かが入っているのを手触りで感じました。

(何が入っているんだろう…?)

と思って開けてみると、


Fさんの使いかけのハンドクリームでした。

そのハンドクリームを見て、とてもビックリしました。
私が普段愛用している物と全く同じ物だったからです。

あまり市販で売っているのを見たことがなくて、同じものを使っている人も今まで会ったことがなかったので、本当に驚きました。

『このクリーム、私が使ってる物と一緒です!
本当に頂いてもいいんでしょうか…?』

と言うと、

『それはよかったです。
このまま家にあっても捨ててしまうことになるので、どうぞ使ってください。
その方が妻も喜びます。』

と、ご主人から言われました。

そのあとに、保護者の皆さんもそれぞれハンカチなどを頂き、

改めてご主人とK君に

『これからも一緒に頑張っていきましょう。』

と挨拶をしてから、みんなでFさんのお宅をあとにしました。


自宅に戻ったあと、主人にFさんのお宅での出来事を話しました。

そして、頂いたポーチの中から同じハンドクリームが出てきたことも話すと、

『あぁ、それはFさんからの贈り物かもしれないね。
Fさん、回りにとても気遣う方だったからね…』

と、言いました。

私は毎年冬になると手荒れがひどく、今使っているハンドクリームも残り僅かになっていたので、

主人のその言葉を聞いて、本当にあのハンドクリームが、Fさんからの贈り物のように感じました。


大切なご家族を遺して、旅立たれたFさん…

でも、Fさんのご家族への深い愛情は、いつまでも心に中に残っているし、それは次の世代へとずっと続いていくのだろうな…と、
Fさんのご主人、K君にお会いしたときにすごく感じました。

そして、私も生きているかぎり、精一杯の愛情を家族に注いでいきたいと思いました。

Fさん、本当にお疲れ様でした。
どうか天国で安らかにお過ごし下さい。


ハンドクリーム、大切に使わせて頂きます。