Minor Swing @Room

ジョニー・デップ他日常あれこれ

【ブロウ】

2006年09月06日 13時46分16秒 | ジョニー・デップ映画
『ブロウ』とはコカインのこと。

実在するアメリカの麻薬王ジョージ・ユングの栄華と没落の人生を描いた作品。

これは確か『パイレーツ・・』でハマった後、
ジョニー出演作品の中で一番最初にレンタルで観たもの。
ジョニーの成りきりがすごいな、という印象でした。
この人は根っからの役者なんだ、と感心したものです


幼いジョージ・ユングは、事業に失敗した父親と母親との不仲を見て、
貧しい暮らしはしたくないと心に誓う。

成長した彼は家を出て、カリフォルニアの地でマリファナと出会う。
小さな麻薬の売買が、裏社会の人間との出会いによって徐々に規模を増し、
ジョージの頭の良さとある種の才能によって、多額のドルが舞い込むようになる。

密輸が発覚して刑務所に入った同房で、さらなる麻薬業発展の鍵を握る人物と出会い、
さながらそこは『犯罪スクール』で、『マリファナの学士がコカインの博士』となる。


こういう話を聞くといつも思うのは、『出会い』の不思議
まるで望んだ人生に必要な人物との出会いを、自ら引き寄せているように見えます。
もしジョージが麻薬との決別を心から望むのなら、
きっと違う出会いがあったに違いないと思うのです。


ジョージはひたすら社会の秩序や掟に背をむけて、裏社会の人物との出会いを繰り返す。
その度に事業が発展し、部屋のいたる所にうず高く積まれたダンボールには、
数え切れないほどの、マネー、マネー、マネー。
見渡す限りの札入りダンボールの山。
重さで金額を推測するほど、儲かっていた。

そして一目惚れした幹部の婚約者(ペネロペ・クルス)を略奪し、妻に迎える。


人生の成功を掴んだジョージを演じるジョニーはすごく輝いてます
初々しい若者時代は金髪マッシュルーム・カットがすごくキュート。
サングラスをずらして口の片側でチラッと笑う顔なんて、
ほんとうにクールでカワイイ

だんだんリッチになるに従って、格調高い美男ぶり
長く伸ばした髪とモミアゲもハクがついて良い。ただしジョニー限定(笑)
柄の悪そうな話し方も板についてます。


愛する娘が誕生し、一旦は麻薬の世界から遠ざかるかに見えたジョージも、
自分の誕生日パーティーに呼び寄せた懐かしい仲間とともに、
網を張っていたFBIに逮捕される。
その時のパーティーの支給係りも捜査関係者だったことをジョージは笑う。

その後ジョージの人生は、元いた場所よりも遥かに真っ暗な暗闇へと転がり落ちる。
これ以上の自業自得もない。

銀行に預けたものすごい額の預金の没収。
仲間の裏切り。
妻からの罵声。そして離婚。
何よりも、愛する一人娘との別れ。


刑務所に面会に来た妻と会話をし、
その妻の後ろから現れた娘を見た時のジョニーの表情が胸を打つ。
哀しみと懺悔、後悔と絶望、懇願、そして愛。
様々な感情を、たったひとつの表情で全て浮き彫りにする。


落ちぶれていくあたりからジョニーの顔が変わるのですが、
鼻の形を変えていることを発見

横顔のシーンだとはっきり分かります。

普段のジョニーの、スッと真っ直ぐに伸びて完璧な美しさを誇る鼻の形。
超ド級に芸術的でそれはそれは美しい鼻。

これがですね、少々鷲鼻に造り変えられているのが見えます。
それだけで印象ががらりと変わり、なんとも落ちぶれて疲れきった顔に。


娘との暮らしを夢見て、最後と言い聞かせ又もや手を出した麻薬売買。
これが仲間の裏切りを伴った麻薬捜査の罠だった。
60年の懲役。最後の逮捕。
ジョージは全てを失った。


父親の迎えを信じて荷物と共に待つ幼い少女の哀しみの姿に、
ジョージと心を同じくして胸が締め付けられます。

自分で撒いた種で、本当は同情の余地などない人物なのに、
ジョニーが演じるとやっぱりどうしても魅力的な人物に見えてしまいます。
確かに裏の世界であっても、人を惹き付けるものがあってこその成功なのでしょう。
機転が利き、頭の回転も速く、人情も見せる。
どんな世界でものし上がって行くには、それなりの天賦の才能があったと思われます。


ラストシーン。
刑務所で娘との面会の白日夢を見る。
来る日も来る日も面会リストに娘の名前を探すジョージ。
娘は一度も面会には来ていない。



一度観て、後日に監督のコメント付きの映像を観ました。
これがすごく撮影の様子が面白く語られて興味深かったです。

●何度目かの逮捕の時、取調べ室に弁護士が接見に来るのですが、
この役が、この映画の監督本人。
ここでのシーンの監督のコメントが笑える。
『ジョニー、笑うなよ、ジョニー、笑うな、笑うな』

ジョニーは机の脇を通る弁護士役の監督にチラッと目をやって、
一瞬、笑いを浮かべる直前の顔になります。
笑いそうになる顔の筋肉を、軽い咳払いを一つすることによって、
強引に封じ込めているのが確かに見てとれます。

机の前に回って席についた弁護士役の監督が話し始めると、
ジョニーは一度顔を上げて監督の目を見るのですが、
またしても込み上げる笑いを煙草を吸う手によって隠します。
ところが目が。目元が。一瞬なんだけど絶対に笑ってる

コメント付き映像でなければ絶対に気付かないシーンです。
あまりに面白くて、何回もリピートしてはゲラゲラ笑いました

●麻薬売買が面白いように成功していく過程で流れる音楽がいいです。
明るくてノリの良い曲が続き、高揚感とパワーが溢れています。

●ジョージが落ちぶれるに従って、なじり続ける悪妻をペネロペが弾けて熱演。
手がつけられないほど派手で金の亡者と化したイヤな女。
金の切れ目が縁の切れ目は世界共通。

●凋落したジョージを演じる時のジョニーのイケてなさは圧巻。
最悪のファッションに身を包み、お腹には詰め物をしてベルトに乗る腹肉を再現。
艶を失った色あせた髪。張りが無くくすんだ顔。そして鷲鼻。

●特典のメイキング映像の、撮影日誌最終日。
これで撮影も終了と、監督がジョニーと並んで腰掛けてカメラに向かって話してる最中。
ジョニーがいたずらして、監督と自分の手を手錠でつなぐ。
その手錠の鍵を一旦監督に見せると、すぐに自分の口に放り込む。
すると次の瞬間、監督はジョニーの唇に襲いかかるのです

周りにいるおばちゃん達(お姉さんもいるでしょうが)の黄色い悲鳴が響き渡る。
ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~

ジョニーになんてことするの~~!!という意味なんでしょうね(笑)
うらやまし~~~~~!!とも聞こえます


監督のコメント付きで再度観た後に、
本編に戻ってじっくり見てみました。
あらゆる細かい解説を思い出しながら鑑賞すると、前よりずっと面白い

この監督、1年後に急死してます。享年38歳。
ジョニーと同じ年だったとか。

私はジョニーの演技については毎回★5つの気分なのですが、
お勧め度を考えると★★★かな?


★印訂正

やっぱり何度も見返してしまいます。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
出ッ腹ジョニーにガビーン∑(゜ロ゜;) (pingpong)
2006-09-07 09:47:27
>監督のコメント付き



おおう!そういう見方もありましたね!

『フロムヘル』にも解説付き版、入ってるけど見てなかったりして^^;



そんなおもしろネタが隠されているなら、『ブロウ』も再チェック☆ですね~www



亡くなった友人監督、とはこの作品の監督のことだったのですね・・・

一年後に急死とは・・・(/_;)



この作品を見て思わず出た感想・・・

「父親にここまで愛されたくないわぁ~」

ごめん、父ちゃん(笑)
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pingさん (Rei)
2006-09-07 17:28:28
音声解説、面白いですよ。

トリビアが満載で!!



撮影シーンの説明が詳しくて、

普通に見てたら絶対に解らないようなことがいっぱいです。



後ろにパトカーがいるのにペネロペが車の助手席で暴れて、

警察に連行されるシーンでは、おまわりさん笑ってます。

ペネロペ暴れ過ぎで(笑)



こういうのが色々あって、

場合によっては本編よりも面白いかも(爆)



最近は、こちらの方が楽しみだったりして。

裏話の方が興味あります☆



まだ見てない解説もあるので、

それをネタにもう一周できそうなくらいです(^^ゞ



>「父親にここまで愛されたくないわぁ~」

ごもっともです(笑)





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面白そう♪ (non)
2006-09-08 22:45:34
映画より、音声解説の方が見たいです(笑)

映画は、何て言うか『よくある話』

かなぁ~なんて(ゴメンナサイ



もう一周って事は、ほとんど見終わった

という事でしょうか?



まだまだブログは安泰ですね
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nonさん (Rei)
2006-09-09 08:22:18
そう、音声解説の方が面白いです。

ジョニーが必死に笑いを封じ込めるシーン、

ぜひ今度お見せしたいですね。



内容は、ある麻薬王の話なのでどうでもいいんですけど(笑)、

ジョニーが主演だということに意味が大あり(私は)

すごく、圧倒されます。

他の人がやったら絶対に観ることもなかったですね。



ジョニー出演の映画はまだまだあります。

楽しみは当分続きます♪
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