(有)妄想心霊屋敷

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普通な非日常19 馬鹿Aと馬鹿B、どっちが好み?

2006-12-01 17:56:26 | 普通な非日常
「里美さん。水貰ってもいいかな」
「ああ、すいません気が利かなくて。冷蔵庫に麦茶が冷えてますけど、それでいいですか?」
「うん。ありがとう」
「霧原さんと深道さんもどうですか?」
「頂くわ」
「俺も頂きます」
返事の代わりに笑顔を返し、冷蔵庫を開ける里美さん。
「……あれ?」
何か異変を察知したようだ。麦茶が無かったとか? 俺は水でも全く構いませんが。
「お母さん。これ、今日買い物行かなくてもよかったんじゃない?」
開いた冷蔵庫を指差し、お袋さんに疑問の目を向ける。
座ったまま身体を傾け冷蔵庫を覗くと、まだまだ食材には余裕が有るように見えた。
「ぎっくーん!」
シャッターを押す手が止まる。それに合わせて一志も止まる。
そういうのは口に出す言葉じゃないですよお袋さん。マンガじゃないんですから。
「あ、あらあらそうだったの? ボケちゃってやーね。
 でもそのおかげでお財布忘れて買い物しなくて済んだんだしどっこいどっこい?」
……この人やっぱり買い物行く気なんて無かったな?
「お財布持ってたとしてもさ、何買うつもりだったの?」
「えーと……ボケてたから、解んなーい」
かなり無理矢理な逃げを見せるお袋さん。大変ですね母親って。
「まだボケるには早いよ? しっかりしてね、お母さん」
「気をつけます」
「母さんがボケても俺がいるから心配無用だ!」
お前は既にボケてんだよ。見ろ。里美さんも苦笑いじゃねえか。

冷たい麦茶を飲んで一息つく。さて、準備は整った。
「今から行きますか? 霧原さんの家」
「え? うーん……この時間なら皆揃ってると思うけど……」
少々、不安そうだ。
「また後日にしますか?」
「んん……でも、いつやっても一緒だし、
 またこんな時間まで待たせてもらうのも悪いし……やっちゃいましょうか!」
と言う訳で、
「お時間頂けますでしょうか」
お袋さんに尋ねる。
既に撮った写真より、その場で撮った写真の方が効果ありそうだからな。
となると、この人に来てもらわなければならない。
「え? 私? が霧原さんの家に?」
俺達はお袋さんに事情を説明した。

「そう……だから写真を……うちとは正反対なのね……」
とても、とても悲しそうにそう漏らす。やはり、想像してしまうのだろうか。
もし、自分と里美さんが一志に気がつけなかったら、と。
「……解りました。私にお手伝いができるのなら、是非そうさせてもらいます」
「よろしくお願いします」
霧原さんが、深々と頭を下げる。

マンションを出ると、霧原さんが立ち止まった。
「あ、あの……」
皆も、足を止める。
「あの……皆、本当に……」
「何か言うのは終わってからにしましょうよ。まだどうなるか解らないんですから」
お礼言われた挙句に失敗だったなんて洒落にならんからな。
「う、うん……」
霧原さんが集団の前に出る。誰も霧原さんの家を知らないからだ。
すると、他の四人に軽く肘打ちされる。
皆が皆同じような笑みを浮かべていた。お袋さんまで。
……お袋さん、肘がその、顔に当たってます。軽くでも痛いです。

暫らく歩いて、俺は里美さんをこっそりと少し集団から離れた所に呼んだ。
「里美さん。マンションに着く前に話してた事ですが」
「ああ、はい。忘れてました」
「教えてもらえませんかね?」
「うーん……じゃあ、ヒントだけ」
それでもないよりマシだ。感謝します。
「私は、咄嗟の時に嘘ついちゃう人よりは、咄嗟の時に嘘がつけない人の方が好きです」
……一志じゃないですか。これヒント?
得たヒントを基に、必死で答えを考える。
いや、答えなら既に……
なんて自問自答をしていると、目的地が見えてきた。


2 コメント

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はじめまして! (チャッキー)
2006-12-02 18:40:53
毎日楽しく読ませていただいています(^-^)

引き続き頑張ってください!!
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Unknown (主(名前思案中))
2006-12-02 19:49:22
コメントありがとうございます。
そしてごめんなさい。
コメント貰った傍から最終回です。

長々とお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

あ、書くのは止めませんからね。
よろしければこれからもどうぞよろしく。
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