(有)妄想心霊屋敷

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欲たすご縁は女の子63 正解の合図は背中越しに

2007-02-06 22:07:58 | 欲たすご縁は女の子   五日目
朝早くから制服を着た二人組が学校と反対方向に自転車二人乗りで走る、
という光景は他人から見てどう写るのだろうか?
まあ、他人なんか居ないんだが。よく潰れないなこのコンビニ。
というわけで、
「とうちゃーく!」
した。
「では入る前に消えていただいて」
「はい!」
いつものようにセンが姿を消し、
その様子を見届けたら何事もないように自動ドアをくぐる。
実際俺自身は何事もないし。
「いらっしゃいませー」
と声が聞こえたあと、ぺしぺしと手を何かではたかれた。
何事かある方も無事入店できたようだ。
何を買うかは決まっているので、いつもそうしているように弁当が置いてある棚へ一直線。
そしていつもそうしているようにからあげ弁当を手に取り、そのままレジへ。
他に客もなく暇そうな店員の前に置いてある受け皿に五百円玉を置き、
「暖めますか?」
「結構です」
といういつもと同じやり取りをしたらビニール袋に入れられた弁当を受け取る。その後、
「ありがとうございましたー」
といういつもと同じ声を背に受けながら、自動ドアを再びくぐった。
買い物終了。滞在時間一分くらい。
「またそのお弁当ですか? 前も確か同じやつでしたよね?」
退店するなり現れたセンが、俺の手からぶら下がったビニール袋を見ながら言う。
「好きだからな。というか他に弁当と呼べるものがないんだよこの店には」
あとはおにぎりとサンドイッチと菓子パン類ぐらいしか昼食になりそうなものはない。
しかし、どうもああいう単品ものは食った気にならないんだよな。
おやつ感覚と言うかなんというか。
「あれはどうですか? 前に買った野菜の詰め合わせ」
「俺は菜食主義者とかじゃないんだが……」
あれで腹いっぱい食おうと思ったら何パック買ったらいいんだよ。
もしかして、ダイエットしろって言いたいのか? 太ってるつもりはないのだが。
「そのお弁当とセットでってことですよ。
 あんまり野菜入ってないですよね? それ」
「……つまり野菜もしっかり摂れ、ということか?」
「その通りです! 野菜もちゃんと食べないと!」
お袋みたいなこと言うなこいつ。
「……なんて言ってみましたけど、どうですか?」
「何がだ?」
どうって言われても。栄養面のことならばっちりだぞ。
と思ったら、センが急にそわそわしだした。
「え、えっと……恋人っぽくできたかなって……」
恋人……まあそうなんだけど、言葉にすると照れ臭いな。
で、恋人っぽいかと言われると、
「母親っぽかったぞ」
「……あれ?」
照れた顔が、苦笑いに変わる。
「まあそこまで言うならあのサラダ買ってきますよ。母上様」
「ち、違います~! そんなつもりじゃあ……」
わめく母上はほっといて、もう一度店内へ。

また同じ動きで買い物を済ませ、退店。
「ほれ、買ってきたぞ」
「違います……お母さんじゃないです……」
予想以上にショックだったようで、半泣きだった。
「悪かった悪かった。ほらほら自転車乗ってくれ」
カバンにビニール袋を二つ入れ、自転車にまたがる。
続いて無言で荷台に座るセン。……えーと、とにかく出発!
「あのなあ、無理にそれっぽくしようとしなくても、
 ふつーにやりたいよーにやってりゃいいんだぞ。
 意識しなくても、その……恋人同士なんだし……」
これまた恥ずかしげな台詞をなんとか言い終えると、背中に何かがもたれかかった。
センの頭だろう。状況的に。
「…………今度は、正解だったみたいですね」
「なんでそう思う?」

「だって明さん、今凄くドキドキしてますから」


5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-02-06 23:47:23
幸せそうですな^^
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Unknown (Unknown)
2007-02-07 00:06:27
甘酸っぺぇぇぇ!
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Unknown (Unknown)
2007-02-07 00:13:56
セン可愛すぎ
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Unknown (Unknown)
2007-02-07 02:37:00
センが可愛い過ぎるよ!チクショウ(´A`)
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Unknown (代表取り締まられ役)
2007-02-07 21:59:15
コメントありがとうございます。

いや、ほっとしましたよ。
そういう感覚が他の人とずれてなかったようで。
まあ文章だけで想像の余地が多いのが救いですかねぇ。
容姿に関しては特に。
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