響きあうA"LIFE & ~『ピッコロの冒険』~

ピッコロの自分探し、広大な内なる意識へと冒険の旅の物語
&つれづれの内なる対話、 A"LIFE&ONENESS

アラビアの夜の種族

2010-10-18 16:34:07 | エクセレントなアーテストたちへのオマージ


アラビアンナイトをテーマにしたら、”アラビアンナイトメア”などもありますが、私の中で、どうしても
次にこの本が連なって出てくるんです。

それは『アラビアの夜の種族』
著者 ]古川日出男 デザイン:片岡忠彦

まさに和製のアラビアンナイトチック!
壮大なファンタジー!
そしてそれは、
読み手に巧妙に仕掛けられた”大かぶき”なのです。




私が 以前、mixiの中で、この本のレヴユーをアップした頃(2006年)は、まだ誰もレヴューを書いていなかった覚えがありますが、その後、文庫本が出てからなのでしょうか...多くの人がレヴューを書き連ねています。
その,ほとんどが、この本の面白さに脱帽!と。

そうなんです!
人を楽しませる、という点において、まさに大傑作!
それは素晴らしいことですよね。(アラビアンナイトもしかりですが、これは100%娯楽、悦楽という意味では、スピリチュアリテイとは対極かもしれませんが?!.......
一流の創造物には感動があり、神に通じますよね?!.)

このような密度で、このように長く(単行本は、かなり厚く、2段組なんです。)
一行も、疎む気にならず、読み進めるという本も珍しいかと思います。

それに、こんなに賞をもらっていたんですね。
日本推理作家協会賞&日本SF大賞受賞作


内容は....
まずは、作者が旅先で、アラブ首長国だったでしょうか?(けっこう忘れてるかも?)町の本屋で、店員に勧められて、購入した作者不詳の物語本、『The  Arabian Night breeds』読み始めたら...たちまち、引き込まれ...もう止まらない!
ええ、この作者がです!

帰りの飛行機の中で,自分が、つまり吉田日出夫が、日本語に翻訳することをひらめき、決意する。

誰もが思いますよね。この本の著者も?わたしたち読者も..!未だ知らなかった
『The Arabian Nightbreeds』の発見! 期待に胸躍り.....
そうして、この本の仕掛けられた罠の中に、はまり込んでいくのです..。


その背景、物語の骨子となる外枠のストーリは、あたかも歴史小説じみています。
時はマムルーク朝( 奴隷王朝)のエジプト。ナポレオンが攻めて来るという.. それは結果的にイスラムの爛熟した時代が通り過ぎようとしていた、1798年のことです。



この、たてまえのシチュエーションこそが,私など..歴史好きで、好奇心旺盛、かつアラビア好みの人間が絡めとられ、そして、作者に見事に騙されて、その結果、素晴らしい芳醇な一流の娯楽を堪能させたられたという次第なのです。



アラビアの物語風に、構成は入れ子式になっていて...、
ヴェールで顔を覆った妖しく魅力的な女の語り部に語らせる...粉飾された言葉の語り口,に .. また夜な夜なのあやしいお屋敷での会合という、ほの暗い風情にひきいれられて、 聞くものはうっとりと... 馥郁とした芳醇な薫りを味わうのですが.....。


そのように..入れ子の.箱の中の.物語は、語り部の語りによって、実は禁断の物語として、語られ、書き留められていきます。読書家のナポレオンへの唯一の対抗策として?


それは、『災厄の書』と言われ、一度読み出したら..もはや、物語の虜となり、二度と現実には戻れない...


アラビア系に特徴的なニ重三重の入れ子式の構成が、時空を超えて、摩訶不思議世界の、自遊、自在に交差し、絡まって、それはもう..壮大!愉快!! なのでした。



翻訳者であり?、作者でもある? 著者の敢えて粉飾した文章が、こ物語を見事に盛り上げています。


私は敢えて、細かな内容には、触れません..ですが..。


この物語りの発生や生い立ちが、
既にミステリーであることが最大の魅力なんですねえ。



面白いという意味では、アラビアンナイトにひけをとらないどころか...かなり、です!



下は文庫本、三部作になっています。



[ 内容 ]~1
聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫り来るナポレオン艦隊。対抗する術計、それは大いなる陰謀のはじまりだった......。





それから..、歴史好きの私はと言えば...
ナポレオンがエジプトから様々の遺跡と共に、ロジェッタストーンを持ち帰ったことは、有名な話ですが(このことによって、古代エジプトの絵文字、ヒエログリフがシャンポリオンによって解読されましたし)、ところがそれを迎え撃った、その当時のエジプトがどういう国だったのか、ほとんど認識していなかったことに、我ながら、ハタッと驚いたりして!
そして、それから、当時のマムルーク朝(奴隷王朝)というものにあらためて興味を持ったりしたのでした。







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