響きあうA"LIFE & ~『ピッコロの冒険』~

ピッコロの自分探し、広大な内なる意識へと冒険の旅の物語
&つれづれの内なる対話、 A"LIFE&ONENESS

ピッコロの冒険12  此処とここ?

2008-03-08 10:59:29 | スピルチュアル 連載小説
今やその空間は明るくなって

全体の様子が浮かび上がってきた。初めに見えなかったことがうそみたいだ。

それはどこまでも拡がってる晴れた夜空のようだった。

今までに.ピッコロの気づきで灯った光がつながって.星座があちこちに浮かんでるようだった。

ピッコロはもう.手探りする必要はなかった。自分の居間みたいに自由に足を踏み入れて心がくつろ

げるほどだった。

見渡す限りのスペースはミッドナイトブルーに深まってはるかだったが.全然.寂しくなかった.

それどころか暖かく、ピッコロは此処に抱かれているような安らぎを感じた。

そう..ここでは.何も気をつけなきゃいけないとか..自分を変えなきゃ..許されないとか..みんなと

同じじゃないと生きられないんじゃないかとか..そんな思いの何ひとつ.余分なものはいらない...

そうなんだ..自分のありのまま..そのまま丸ごとオーケー...それで生きられる..そのままで融けあ

う..そういう所だったんだ。



しかし..此処と..ここ?


それが問題だ...。





ピッコロの冒険11 ミルク色の夢

2008-01-07 12:03:53 | スピルチュアル 連載小説

ピッコロはいつしか眠りの中にいた。

そこはミルク色の世界だった。

何かが充満しているようで、重さがなく、

そこで僕は揺りかごの中で包まれて、ぽっかり浮かんでいるようだった。

僕自身も雲で出来ているみたいだった。

よく見ると、あちこちに光の渦のようなものがたくさんいて.微笑んで歓迎しているようだ..。

そう、それはそれぞれが、慈愛に満ちた存在だという事がピッコロには理解できた。

くるくる回る事で存在としての波動を持っているらしい。

彼等の全てがまたたいていて、君をサポートしているよと言っているようだった。

ああ、此処って、僕のありのままをすっぽり受けいれている世界みたいだな...

心に何ひとつ衣を纏う必要がない...どこか知っていて.ずうとずうっと..慕い懐かしんでいた処...

それは僕の秘めていた正しさと寸分違わない真理で機能してるみたいだった...

自分を100%ゆだねられる処...

深く求めていた完全な幸福とは..解け合ってひとつの.この境地なんだね...


なるほど...それは心の中.意識のこの層に..ほんとはいつもあるんだね。


此処こそ、自分の生まれたところだった。僕のふるさとであり、僕と言う存在の土壌でもある。

いままでずっとそれは僕のベースとして、僕の中に在り続けていた事を知った。

誰であれ、ここ無しで存在するなんて事は有り得ないんだと、ピッコロは悟った。


誰もが何かを何処かを希求する思いを持っている。それというのは、自分の外ではなく、自分の内に在るところ、実に此処だったのだ。


そしてかつ、そのスペースそのものも自分と隔てはないのかもしれない..くるくる.回ることで


それが「私」という個になって.いるんだろうか...




『すべては一つ』 ひとつのところから分かち合って生まれしもの......

自分の中から..言葉が告げた.







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インナースペース ピッコロの冒険10

2007-12-27 19:56:56 | スピルチュアル 連載小説



”今までと違う選択って、意外に出来ないものだよね。やはり、そうは言っても、どういうわけか自由になれないよ。”


『いかにも、習慣から自由になるのは容易ではないことが解っただろう。

それは執着とか薫習とか言われていて.誰にとっても.なかなか厄介なものなんじゃ。

そうじゃな、まず、意図することじゃ。そのうちに無意識が導いてくれる。

じわじわと、無意識の自分に忍び寄るんじゃ。

こう在りたいと思う方向に、さりげなく意図する..。思いを投げかけるって感じかな。

余りに今までの自己イメージに反した選択には、意志力を働かせると、抵抗が起きる。

だから、さりげなくがコツなんじゃよ。そのうちに、いけるんじゃないかという気がしてくるものじゃ。』


”さりげなくか、、それなら出来そうだな”


時が経つに従って、見えなかった心のエリアが少しずつ拡がって見えてきた。

インナースペースの世界は見ようとすればどこまでも在るらしい。

世界そのものというのは、本当は自分の内にこそ存在するということがいよいよ、実感として解ってきたようにピッコロは思った。

”そうだ!多分宇宙はそこから広がっているんだ。”


いつしかピッコロそのものが移り変わって違う次元のピッコロになっていた。

自分というものがホログラフィーの連なりとして見えるようになってきた。

一瞬一瞬の自分が、眼には見えないぐらいのスピードで点滅している。それが’私’というものの有り様なんだなと。


『現実と思っている見えている世界と言うのは、自分とみんなで、創っている限定された構築物なんだ。』


体験するという事は、そういう事に於いてでしか成り立たないんだ。

...だとすると?ピッコロは考えた。


”だとすると、どう生きるべきなんだ?どう転んでも、絶対の世界なんて体験出来ないわけだし、

いやいや、絶対の世界なんて、そら恐ろしいことだ。そこはもう自分ではいられないに違いない。

そこは決して味わうべきところでは無いはずだ。そこはきっと、不可知なんだ。

だから僕達は、構築物の中でいろんな体験を味わう..?

そうだよ、自分という独自のエネルギーを生きることが自分を楽しませる事!なんだね?”


『そういうことじゃ、だからこそ自分を知る必要があるんじゃ。

自分のエネルギーの傾向を知らなければ、それを使う事で楽しむという事すら、行き当たりばったりになってしまうだろう?

あるときは上手くハマるが、ある時には的を外していたり、またそれを上手に使えば良いが、使い過ぎると反作用が起きる。

エネルギーとは力だから、知ってコントロールが出来なければ災いにもなる。

盲滅法に使えば.いずれは、流行りのストレス障害じゃ。

お前のエネルギーの元型が分かれば、それは自己への使命として使う程に、自分自身を喜ばせ、宇宙の役に立つんじゃ..歓びを伝えるだけでも奉仕が起こるんじゃから!そうだろう?』



お前はそのとき宇宙の一員として、大手を振って自分と言う存在に満足するだろう。

これでこの大宇宙のICカードが得られたと実感するはずだよ。』



”僕はどんなエネルギーなんだろう?どんな時に楽しいんだろう?”

ピッコロはそのヴィジョンを得た時、それがピッコロの飛翔の時となるだろうと思った。


ピッコロは何かが心の中で蠢き醸されつつあるのを感じていた。

その無意識的エネルギーは、今はまだ、言葉として浮上してはいないが、

大きくうねって今にも手に握れそうな予感にぶるっと身震いした。




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ピッコロの冒険9

2007-12-18 23:55:22 | スピルチュアル 連載小説



ピッコロは日頃の自分の反応や思考、行為を見守っていくことにした。

それまで、それらが自分の自由で選んでいると思っていた。

ところが、心の流れを追ってみていると、それは自分の習慣性であり、パターンだとという事に気がついた。

ひたすら自由を求めていたピッコロは、自分を束縛しているのは、自分のそれらの思いの癖、反応の癖、習慣性だったことに気づいた。

分かっていていいはずなのに、どうして今まで気がつかないでいたのだろうと驚いた。

自分の中には、そのように意識の光があてられていない闇のエリアがどれほど存在しているのだろう?

だからこそ、思い出し、探るということが大事な、プラクテスなんだ。


ピッコロがそのような心の仕掛けのひとつに気づいただけで、すでにそれ以前のピッコロとは違っていたのだった。

何故なら見わたすと、洞窟はかなり、明るくなっていたし、ピッコロの頭もすっきりしたように感じたから。


さあ、これからだ!ピッコロは思った。

しかし、相変わらず何を問ううべきか、望むべきか、見当がつかない。



『さてさて、心の掃除の仕方は分ったらしいな。おまえが自由を得る為には、それが実に重要じゃ。』



『それともう一つ、それは自分がどうあれば、楽しいかってことじゃ。それを見い出さねば片手落ちじゃからなあ。それを知る事は、お前の使命を知るということになる。

この宇宙でのお前の役割じゃ。それこそがこの宇宙でお前が唯一だという意義なんじゃからな。

まあ、宇宙のパスポートみたいなものかな。自分自身に与えるパスポートじゃよ。


何故ならお前がそれを知った時、どう在れば、自分を活かせるか、それを自ら使う事でお前をますます活力を得る。
それゆえに、自分に対しても他に対しても共にそれが奉仕となる。


つまりお前は自分という独自のエネルギーを知って、それを生きる。


こうなれば、生きる事のプロセスを楽しめるはずじゃないか?
よく考えて見なさい。


成功とは瞬間瞬間にいかに充実感を得るかの点取りのようなものじゃよ。

宇宙も人生もプロセスがすべてなんじゃ。』



’だとすると、一瞬一瞬が結果ってことにもなるよね?’


『今が永遠。時間というのは幻想なんじゃ。ずっと今なんじゃよ。

そうだろう?”今”意外の時にお前が存在することはありえない。

未来も過去も自分の内にあるんじゃ。記憶が時間として認識されるんじゃ。

これもお前の創造物だ。

だから、今、お前が変化すれば未来も過去も変化する仕掛けになっとるんじゃ。


過去と未来の記憶にはさまれて、自由になれないと思い込んでいるお前がいるんじゃ。

しかし、この瞬間に今までと違う何らかの選択をしたら、過去も未来も変わるだろう。

試してみるといい。


それこそが、生の創造の面白いところなんじゃから。』







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ピッコロの冒険8

2007-12-14 18:51:38 | スピルチュアル 連載小説
ピッコロは、もともと自分が由であるという、いわれをは本当だと悟った。

その瞬間、ピッコロは今までの自分という殻から、一瞬にして抜け出し、自分が天まで拡張したみたいだった。

宇宙と一つになった感じがした。

それは爽快で幸福そのものだった。

幸福感を味わうには、何のわけも必要が無いということ、

それは外界のものごととは一切関係なく、ひとりでに在るものだということを、ピッコロははじめて知った。


’そうか!自分がひとりでに幸福ある時、それは一人でいる時も、誰かといる時も、何をしていても楽しさに充ちているんだ。

反面自分の心が悲しみや、恐れや、怒りなど、のフィルターにおおわれていると...、

どんな状況でもその感情のフィルターに支配されているんだ。

この一瞬の体験からピッコロは学んだ。


’幸福感というのは、こだわりのない状態において味わうことが出来るみたいだ。

だって今の僕は何も思い煩わず、ただ僕で在ることに、

イエスであり、OKって気分だ’


ピッコロは、このような心の状態を、より多く持てるように願った。

それにはどんな努力をするべきか、それが問題だった。



『さまざまなや想念のその背後に曇り無き青空があるんじゃ。

そここそがお前の母体であるグラウンドなんじゃ。

こころという青空におまえは自分が選択した思いを映し出す。

そうすると、さまざまな色合いの雲が立ちあらわれては消えていく..。

そして、悲喜こもごもあらゆる感情がそこから立ちのぼって来る。

それは味わうのがお前に与えられた特権なんだ。

ほんとうは..どんな感情にしろ..味わい楽しむところでもあるだ。

それが心というものの機能なんじゃよ』


’だとしたら、自分を疎ましく思ったり、束縛したり、そんな選択より、良きことで充した方がいいに決まってるじゃないか!’


『その調子、その調子。元気というのは、まさにそういうこと、元の気というぐらいじゃからな。

元々は、誰でも完璧なんじゃ。そこには過不足のないそれぞれの存在が在る。

それは在ることで充分完璧だ。

そして、そこはパワフル。だから元気と言うんじゃから。

その上にのっかてるものを落とす、ただそれだけの事で、元の気になる。

大方の人間は、何かに成ろうとしているように見える。
つまり、自分が不完全であるという前提にたっておる。これが真っ赤な誤解なんじゃ。

今までに溜め込んだ価値観、思い込み、つまり観念というもの、これに気づくこと。ここが重要なんじゃ。

だから、対象物や、自分の判断ではなく、反応してる自分を見る、これがプラクテスの本筋なんじゃ。内を見るということとはそういうこと。』


ピッコロは、そのプロセスこそ自分の求めていた冒険だったんだと思った.

何故なら自分をさかのぼる、この道は、常に新たな自分に出会えるんだから。

たった今、ピッコロは自分自分に対して、無知である事を知った。それはうれしい発見だった。

ピッコロは感動と喜びでいっぱいになった。

それは至福の瞬間だった。

何一つ知らないということがこんなに素敵な気持ちになるなんて!

これから知って行くだろう、その膨大さを思うと、最大限のワクワク感に全身の細胞が打ち震えた。

これから先どんな冒険が待っているんだろう?

どれほどの冒険に僕は挑むんだろう?

沢山の神秘の門に出会い、それをくぐり抜けることが出来たら、きっと自分と宇宙に関する様々な知恵を得られるに違いない。


ピッコロは、今後一切、今までのような繰り返しの日々ではないだろうと思った。

これからの自分の生は一瞬一瞬常に新しいのだ。

’なんてスリリングなんだろう!’

ピッコロはぞくぞくした。

’気づくたびに真新しい僕と出会えるなんて!’












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ピッコロの冒険7

2007-12-10 02:38:53 | スピルチュアル 連載小説

『これが、今までのお前の世界を生み出している装置だよ。』声が言った。


『この回り灯ろうとなっている壁こそが君が世界を見るフィルターなんだ。

それは君自身の自己イメージにもつながっている。そして、きみはそのフィルターを通して世界を限定している。

本当の君というのは、それを創っている君なんだよ。君は、今、君の創造物を見た。

それを見た君、解るかな?それが本来の君だ。

それ以外は、すべて君の与えられた創る力が働いた結果なんだ。厳密に言うと、それはお前ではなく、お前と他のものとで創った、現象ってやつだ。』


’この僕は、僕が創った現象だと言うの?ほかのすべての物事も現象?’


『そうだよ。君の内なる思いや感情、思考、全てが、空の雲のようなもの。それは、ひたすら生まれては消える、そんなものなんだ。君そのものは、それを許している青空のようなもの。

だから、君がすべてと一つのときには、雲ひとつない青空なんだから、心持ちは晴朗そのものなんだよ。

その時、一切の迷いや、自己憐憫や、自己批判などに汚されてはいない。

それが本来の君なんだ。』


’じゃあ、考える僕、思う僕、そして怒る僕、悲しむ僕、ときには得意になっても良いかもと思う僕、そのすべてが僕だと思ったけど、本当は、僕がその考えを選択している、僕がその思いを選択している、僕がその感情を選択しているんであって、それそのものが自分ではない?
そういうことなのかなあ?’

『そのとおり!そのとおり!

まさに、そのすべてを君が選択している。解っただろう?

それ程、君が自由と、創る能力を持っているって事が。』


そこで声は急に調子を変えた。

『問題はそこなんじゃ。自分のその偉大な能力に気づかないでいること、これがやっかいなんじゃ。』

ピッコロのけげんな表情を見て、声は続けた。

『わかっとる、わかとっる。このあたりの話しをするには、この調子が一番具合がいいんじゃ。

肝心な知恵を伝えるには、多少カジュアルな語り口の方が伝わるんじゃから、そんな些細なことは..気にせんでええ』


『つまり、宇宙意識というのはじゃ、すべては平等、善し悪しや、才能が有るとか無いとか、美しいか醜いかとか、一切、何のひいきも区別もしないんじゃ。

だから、おまえが自分にとって、たとえ好ましくない考えであろうと、思いであろうと、お前の選択を、宇宙はお前の望みとして、直ちに受け取るんじゃ。

それをお前が味わいたいに違いないと思う親心なんだな。なぜなら、その親という宇宙意識がお前そのものなんじゃから、なんたってお前に慈愛をもって当然じゃろう。』


『そこで、重要なのは、お前が何を望むか、選択するかなんだ。

これ程の能力を持っているからこそ、心してかかることが大事なんじゃ。

自分を幸せに出来る者は、お前自身でしかいない、そうじゃないか?』


”じゃあ、簡単に言ったら、僕が自分をとるに足らないやつだなんて、思っていたら、それが自分の選択になっちゃうってこと?”


『選択どころか、そうでありますって事を世界にふれまわっとるようなもんじゃ。

そして、その想念や、思考を全宇宙に発信する。宇宙はそれを受信する。

まあ、たいていの場合、それは無意識にやりとりされておるんじゃが。

人々が自分をそう見てるに違い無い、だから自分を変な顔して見たんだなとかね。実はその人は朝から胃痛に悩まされていたのかも知れないし、ほかの心配事があるのかもしれない。しかし、お前は自分の選択した自己イメージに捕われておるものだから、相手を思いやれる余裕は全く無い。

自分がどう見られているかしか、心に無いんじゃから。

そうだろう?..によって、結果的にその状況に於いては、おまえは自分が気にいられない存在だという要素を引き出してしまったりするんじゃ。

によって、自分の選択した自己イメージを、またまた、確固とした事実にする訳だ。

そうやって、現実というもの、お前にとってのその都度の現実というものが自分によって創られるんじゃよ。』


’じゃあ、自分は価値があり、大切な存在だと自分自身で選択したら、そのように扱われ、それに見合う現実が生まれるって言うの?’


『まさにその通りじゃ。もし、おまえが認められたかったら、心の底から自分を認めればいい。

もし、愛されたかったら、心の底から自分を愛せばいい。ただそれだけのことなんじゃよ。

そうすれば、おまえは価値ある存在として、宇宙に発信し、自他共にそのように扱われることになる。

実に簡単な科学性じゃよ。しかし、問題がひとつある。

それは心の底からということじゃ。方法論として、それを選択してもダメなんじゃ。』


ひょっとして自分を決め込んでいるのは、ほかならぬ僕自身だったのか?

それによって、自分をそのように思われ、扱われていると思い込む?

それを僕は唯一の事実と思い込んでいた?そうだったのか?!


ピッコロは思った。なんとなく解って来たぞ。

事実というのは、人の数だけあるのかもしれない。

事実とは絶対的なものではないのかもしれない。


そうか..これまで僕は僕の事実を創って来たってんだ..。ピッコロにようやく理解できてきた。







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ピッコロの冒険6

2007-12-03 16:12:30 | スピルチュアル 連載小説






その時、声は聞こえた。

こんどの声は前の声とは微妙に違っていた。

その声は厳かで、あたりの空気が震えるように響いた。

『此処は、いつでもお前の中にあるんだよ。此処こそ、お前の生まれ出でたところ...ふるさとなの

だから。ずっとずっと求めていた、はるか彼方への望郷の思いは、ほんとうは、此処、私に向けら

れていたのだ。

それは距離によって隔てられていず、時間によっても隔てられてはいない。常におまえと一つ

だ。』


あなたは誰?’なんだか、このまえの声とは違うよね?

『そうだな、言うなれば、層が違うってところかな。だから、と言っては何だが、少々.喋り方を変

えてみたんじゃ。』

’この前は、僕のこと君って言ってたし、それにもっと友だちみたいな口のききかただったと思う

けど..。今度は何だか神様みたいに偉そうなしゃべり方だね’

ピッコロの言葉を聞く耳を持たないとばかりに、その声は続けた。

『人は意識している自分より、はるかに壮大な存在だ。お前の中の神と呼ばれるような意識層、そ

れが私だ。今のお前が馴染んでるお前との間に、お前のハイアーセルフとでも呼べる層がある。そ

れはお前にとって、より、近しい存在だ。それはお前と私の橋渡しをして、今のお前を導き、護る

役割をするのだ。』


’じゃあ、あなたの役割って何なのですか?’

『私は、すべてが一つのところ。知恵、慈愛、創造。遍く全てを観照する意識だ。ただ在るもので

あり、宇宙の土壌とでも言うかな。

宇宙そのものであるとともに、あらゆるものの生まれでる揺籃だ。つまり、私なしでは、

宇宙もお前も、動物も、鳥も、花も木も..それぞれの私として”私は在る”、という

根源の意識は持ち得なかったのだ。』


’それって、数学や物理の原則、原理みたいなもの?’


『この観照している意識、それをまた観照し得る意識はもはや存在しないのだから、おのずと.私が

最初に在る、となれば、そこに理由や、分析をするものは居ない。によって、それは原理なの

だ。』


’そうなのかもしれないけれど、あなたが僕だってことは、信じられないなあ。だとしたら、僕の

中のどこにいるっていうの?’


その声は、言いたいことはそれだけとでも思ったのか、ふと声の響きを残して消えた。

洞窟はまた静かになり、新たな光が増えていた。明るさが増してくると、ピッコロの気持ちも、明

るくなった。


ピッコロは、これまで聞いたことを、心に反すうしてみた。

’いったい、どういうことなのだろう?自分と言うのが、いままで思っていたようなものではない

らしい。どうやら、もっといろんな自分があるらしい。自分って、どんなもので成り立っているん

だろう?’


そうか!それを探すのが冒険なんだ。未知という自分に挑戦し、それを手に入れる..。

それこそが、自分が探していたもの、その旅こそが、目的であり、生きる喜びなんだ!’

そう思った瞬間、心の深いところでかちんと治まる音が聞こえたような気がした。

ピッコロはこれから先、この旅は終わりがないだろうこと、そして、あくことなく自分を楽しませ

るだろうと確信した。身体の内に、力がみなぎって、さざなみのような波動で充された。もはや、

これまでのうなだれたピッコロではなかった。

ピッコロは生まれて初めて..自分がやるべき価値あるものを見い出したと思った。




つづく







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ピッコロの冒険5

2007-12-02 17:41:07 | スピルチュアル 連載小説







「そうだな、まず、不思議だと感じる意識こそ、本来の君に属しているということだ。

これから頼りになるのは、その感じ、つまりフィーリングってやつだ。」



’何故、フィーリングが頼りになるわけ?’

「何故なら、それは、君の太古からの歴史をめくるめく体験して来た触覚(フィール)の

つぶやきだからだ。

それは君を護ったり、導いてくれるメッセージを発してくれる。その感じ...ってやつ、だ。



使い慣れた考え方ではなく、そのあいまいとも思えるつぶやきのような、フィーリングに

耳を傾けること。それが君を新しい、そして適切な体験に導く。使い慣れた思考や、感情は

声がでかいから、すぐにそれに捕われてしまう。

しかし、その思考は今までと同じところを廻っているだけに過ぎない。ほんとうは、そこに

は発見も自由も無い。

それ自体が自我なのだから。

そこからはずれて、その形を客観的に観ることを可能にするにはその中から聞こえる控えめな

声を聞きなさい。それを辿って行くプロセスが君の無意識のひとつひとつに灯りをともして

意識化していくことになる。つまり、それが掃除になるんだ。そうして、浄化が起こる。

浄化とは癒しだ。君が頼ることでフィーリングは、応える力を増すはずだ。」


’じゃあ、無意識というのが暗がりで、それを意識化すると光になるって事かなあ。

そして光になった時、癒しが起きる..?


「必然的にそうなってる。そのプロセスが自我の掃除ってことだ。

そうして、君と私の通路にいろんな石ころや岩(ブロック)、ホコリを被ったがらくた類

(もろもろの幼い頃に味わった感情)、たくさんの思い込み(観念)などでふさいでいる

ものが、君のそういう気づきという体験によって取り除かれていくんだ。」



’それを体験するにはどうしたらいいんだろう?’

「そうだな、思い出す、想起するってことだな。

その心構えとしては大きな自分が、自分の心を覗き込む、そんな感じかな。決して判断

しないで、見ること。それがコツだ。そう、可愛い幼子に対する親のように。」


「今まで体験したもろもろの感情.それに君があらためて思いをやること(気づく)によって、

過去の感情は光となって浄化される。そのとき、君はもうそれ以前の君とは違っている。

真新しい君になっているんだよ。

ほんとうの君への道は、そうやって君自身が創って行く。見えない道をたどって行く。

そして、振り返ると来たぶんだけ、道が出来ているんだ。」





もう、外はすっかり夜なのだろうか。ピッコロは未知の世界での体験で、急に疲れと

眠気に襲われたて、いつしかその場に座り込んでいた。微睡むかとおもうと、深い眠

りに落ちていた。



再び気がついたとき、そこは門をくぐる以前の世界だった。

もう朝だった。朝日があたり一面に神々しく降り注いでいた。

振り返ると石の門だけが立っている。昨夜.そこから入って、あったはずの石の大広間は..

消えていた..。


遠くにヤシの木立と、その足下にランタナのブッシュのシルエットが朝日を受けて金色の

オーラをを発しているようだった。

見渡すかぎり、建物といえばこの石の門だけだ。

人影といえば、この石の門に彫り込まれた、黄金の光を受けて聳えたっている羽根を休め

た石の天女だけだった。

ピッコロは独り、茫漠とした静けさと一つだった。


ピッコロは悲しくなった。

あの門をくぐって遭遇したあの世界、あの声も又、はかない夢だったのだろうか?

あの懐かしさは何だったのだろう?

あの手応えは、歓びは、つかのまの幻だったのだろうか..また、あの何かが足りないような

思いを抱いて、さりげない振りをして日々を重ねて過ごすのだろうか。

ピッコロはあの声を求める切ない思いで胸が一杯になった。

と、思ったとたん、ピッコロは、一瞬のうちに.再び門の中にいた。びっくりして転びそうに

なった。








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ピッコロの冒険4

2007-12-01 13:09:33 | スピルチュアル 連載小説





’それってどうしたらいいの?’

「簡単に言うと心の掃除だ。」


「それは限りない宇宙そのものの君を小さな点ほどの円として限界を作っているんだ。

その円はいつもぐるぐる廻る事で、自らを護り、存続させているんだ。

そこには使い慣れた考え方や、思い込み、使い古した感情、おまけにそれが自分のも両親のも、社

会のも、昔のも今のもごちゃまぜになっている。そこから見る世界を唯ひとつの絶対的な世界だと

思い込ませているんだ。自我の働きとはそういうものだ。」


’つまり、僕と思っていた僕って..今までずっと、自我にハイジャックされてたってこと?’


「まあ、そんなところだ。しかし、誰でもうすうすは気づいているものだ。君と同じように。

だから私は地球のあちこちから立ちのぼる、こんなつぶやきをよく耳にする。

『私って何なのだろう?どこから来たんだろう?そしてどこに行くのだろう?』..と」


’ひょっとして、やっぱり、今まで僕と思っていた自分は、丸ごとの僕ではなかったってことなん

だね。

生きて感じることがこれだけじゃないはずだって思えてならなかったのはそのせいだったんだね?

ほんとうの自分というのは、まだまだ隠されているんだ!だとすると、どのくらいの大きさなのだ

ろう..?’


それには応答は無かった。しかし、ピッコロがさっき踏んだことで点滅していた光がその上方と奥

の方に海の中の珊瑚のように素早く伸びて輝いていた。


’なんとなく解って来たぞ。’今やピッコロは大きな自分の存在を窺い知る実感を得たように思っ

た。その瞬間に光は安定して輝き出したんだ。どうやら正しい答を自分が悟った時、闇が光になる

らしい。ピッコロは急に晴れやかな満ち足りた気分になっていた。そしてエネルギーが内から湧き

出てくるのを感じた。



「おう、おう。解って来たかな。君はたった今、ひとかけらの真実を実感した。自分の今までの思

い込みから抜け出たんだ。その体験を味わってどうかね?

自分が限定されているという、無意識的な苦悩から解き放たれたとき、大いなる癒しが起こっただ

ろう?たしかにそれはカタルシスだ。これは体験によってしか味わえない。味わった者しか解り得

ない領域なんだよ。知る前に教えることは不可能なんだ。」



ピッコロは謎が、何故謎で在り続けるのか分ったような気がした。

いくら謎についての話しや、謎に対しての答を聞いたとしても、謎は謎として残るってこと。

それというのは自分の中の体験によらない限り、謎が解けて知恵となる事は無いということだった。

だからこそ、誰でも門を入るのは独りでしかない。それに謎を解いて進むプロセスなんて、まった

く個人的でしかないじゃないか。僕の心がどんないろんなもので出来てるかなんて誰も知りはしな

いんだから。だって僕自身でさえ知らないんだから!




つづく





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ピッコロの冒険3

2007-11-30 16:19:58 | スピルチュアル 連載小説





「そうだよ、ここは波動でできている。私は誰かと?まあ、誰でもなく、誰でもある。つまり、私

は君でもある、そういうところかな。だから、ここでは私が私だとということも、君が君というこ

とも、ほんとは成立ないんだ。ここには一人称は成立しないんだよ。」


’僕はあなたで、あなたは僕で、それに他のものでもある..?ってこと?’

「その通りだ。意外とわかりが早いじゃないか。まあ、それじゃあ、話はめんどうになるから、君

と私をひとつのつながりとして、始めるか。言うなれば、私は君の素なんだよ。」

’僕の素?’

君は此処からさいころのように振り出されたんだ。

’僕がさいころだって?!失礼じゃないか。

「まあまあ、聞きなさい。それだって、自分でそうしたくって、飛び出していったんだから。

ほら、君の持ち前の冒険心ってやつさ。今、ここにいることだって、その冒険心のせいだろう?

そういう意味では、魂は変わらないのさ。ここは折り返し地点だ。今まで君がいた世界は同族が

いっぱいいたし、みんながこうあるべきとか、教えてもくれたりしただろうが、しかし、今度は道

は用意されていないよ。それに道連れも無しだ。君は独りで発見することで道を作るんだ。」


’それってどういう事なの?’

「この見えない道は君が知ることでその瞬間に道となる。つまり、薄暗がりという未知の領域が、

知る事で照らされて道として見えてくるんだ。未知なる状態を無明と言うじゃないか。ここ全体が

ぼんやりとした暗がりなのは、自分自身にまだ知らししめていないからだ。」


’僕が踏み付けたところに光がついたけど?’

「そう、そう。そのせいで私は呼び出されたというわけだ。まあ、少々乱暴なノックだったがね。

別にあんなにがむしゃらに踏み付けたりする必要はないんだよ。軽くノックすれば私は応えるん

だ。しかし、確かにこの回路は随分長く使われていなかったから、あのぐらいの力は必要だったか

も知れないな。そのうちコツはつかめるさ。」


発見か!とりあえず何を発見すべきなのかピッコロはかいもく見当がつかなかった。

そうだ!ノックしたら応えるっていってったけ..。

ピッコロはさっき踏み付けてところから少し離れたところを足でポンポンと叩いてみた。と、そこ

からふっと光がまたたいた。

さあ、今の内に何を問えばいいのか、思いつかなくちゃ!焦って心の中でこう呟いていた。

’何かを知りたいんだけれど、いったい何から始めていいのか解らないよ。’

そうすると出し抜けに声が応えた。

「私は、君が知りたい事は全て知ってるよ。だって私は君でもあるんだから。だけれど君と私を結

ぶ通路が詰まっているから、君は自分の問いそのものも発見しなければならないな。」










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ピッコロの冒険2

2007-11-30 15:58:23 | スピルチュアル 連載小説






薄暗がりの中は、とても広かった。壁際と思えるあたりを、恐る恐る手探りして歩き出した途端

に、足下に光が点滅して、ふっと消えた。何だろうと、又同じところに足を踏み出してみたら、又

点灯し、そこから光が点滅しながら壁の奥の方へと少しだけ伸びて、そして又ふうっと消えた。

でも、今度はピッコロの足下の光は消えないで点滅したままだった。

その瞬間、何かが聞こえたような気がした。ぞくぞくっと身震いがした。

知りたかった事へのきっかけが、そこに有るという確信...。

そして一瞬にして理解した。ピッコロは自分が何を求めていたのかを。それはひとつの道だったの

だ。幼い頃から星空を見ては、感じた憧憬の地。そこへと辿っていく道。今、彼は知った。ここが

その出発点だと。ピッコロは感動と喜びで一杯になった。


そう思った瞬間に、足下の光の点滅はさっき伸びたあたりまでくっきりと点滅を始めた。

まわりはそのおかげで、今までより、いくらか明るくなった。

ピッコロのそれまでの緊張がふとやわらいだ。どうやら正しい地点にいるらしい。

いよいよ、ピッコロはその謎を解く冒険へと踏み込む決意を新たにした。


とりあえず、ピッコロは、足下の光の点滅をなぞって、光が伸びていく方へと進む事にした。

そのうちに、何度か踏み慣らすと、光は点滅を止めて安定した光になった。

そのとき、くぐもったような音の断片が聞こえたような気がした。ピッコロは勢い込んでその先の

点滅を踏んでみた。


それは声のようだった。もう、ピッコロは、点滅の周りを夢中で踏んでいた。

光はアメーバーのように筋を複雑にしながら広がり、その先端の方は点滅を繰返している。

そして、その声は自分をとりまく全体から発されているようだった。

ピッコロはその響きにすっぽり包み込まれた感じがした。空洞はなにかで充ちていた。

’ひょっとしたらこの空間は、波動で出来ているのだろうか?’とピッコロは思った。そのうちに

響きが調整を終えたらしく、耳障りのいい、聞き取れる声となった。親しみと、懐かしさを感じさ

せる声は、ピッコロに語りかけ始めた。










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ピッコロの冒険 1

2007-11-30 12:19:56 | スピルチュアル 連載小説







黄金色に染まった空の下にたたずみながら、そろそろこの古びた石

の門をくぐらないととピッコロ思った。

夕暮に別れを告げて、土にまみれた石段を3段上がると、もう開い

た門に入るんだ..。

そこはもう、ただひたすら空間だった。

上も下も、左右にも全く区切りがない。

それに空洞なんだが、何かで充されているような感じもする。


そこは暖かかった。不思議と空気も新鮮だった。まったくのからの

空間でもないようだ。

本当は、入る前から、ピッコロはなんとなく分っていた。そこは今

までいた世界と違うって事が。

だからこそ、門を入る前に、少しばかり、気を落ち着け、あらため

て覚悟をが必要だったんだ。

(実は、そこには普通の眼には見えない、いろいろなもので満たさ

れているのだが、入った者が手探りで、そしてそれが何なのか、理

解した瞬間に立ち現れる...そういう世界だった。)

勇気ある者、本当の事を知りたいものだけがその門に入る決意を抱く。

まさにピッコロは本当の事を知りたかった。勇気が必要だと気づきす

らしなかった。既にピッコロは知る為には充分な勇気を持ち、それ以

上に知る事へのがあったから。



ピッコロは毎日、毎日空を見ながら、どうも何かが足りないと感じていた。


それが何なのかまったく見当もつかなかった。

空の星を見ては、そこに答があるような気がして、むしょうにそれとひとつ

になりたい気分に圧倒され、強い憧れと愛を感じた。

古い古い、遠い昔の物語や言い伝えを聞くと、なにやら心がうずいた。

何かわからないけれど、何かを知りたい!毎日過ごしているこの状態、楽しくても、忙しくても、

落ち込んでも、そういう日々がずっとずっと、もっとずっと繰返される。

そんな毎日は何となく腑におちない。上辺だけをぐるぐる生きているような気がしてならなかった。


何かが有るはず...。いつかこの謎めいた気持ちを解き明かせる時が来るの

だろうか?こうしてはいられないと、そこへと踏み込む時が来るるのだろうか...。

その思いに直面しなければ、本当に生きているという実感を味わえないんじゃないだろうか。

ピッコロは心に深く、独りその予感を抱いて、今日までみんなと同じ生活をしてきたのでした。







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はじめに

2007-11-30 01:55:39 | スピルチュアル 連載小説





さて、私はこれまでの内なる自己の学びのプロセスや、内的宇宙の様を語るにあたって、

とても一人称では表せないというジレンマを感じている。

そこで物語という形式にのっとる意外には手立てが無いだろうという事に至ったのだ。

そういうわけで、ここにピッコロを誕生させたという次第だ。

そういえば、可愛いものには旅をさせろと昔から言われてたのではなかったかな..。


私はピッコロに密かに息を吹きかけ、大いなる意識インナースペースへと冒険の旅路を促したの

である....。







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