響きあうA"LIFE & ~『ピッコロの冒険』~

ピッコロの自分探し、広大な内なる意識へと冒険の旅の物語
&つれづれの内なる対話、 A"LIFE&ONENESS

アントニオ.ロペスのアラビアンナイト

2010-10-27 01:39:33 | エクセレントなアーテストたちへのオマージ
アントニオ・ロペス(Antonio Lopez)1943-1987



上はアントニオのアラビアンナイトの本から、コラージュして,ご紹介!

たくさんの大判の挿絵は、どれも素晴らしく、もっとご紹介したいんですが、多分、本の中のイラストは著作権などあるだろうと思われますので、アントニオへのオマージュと、本の紹介ということで、ご了解願いましょう。

アントニオ.ロペスは60年代から80年代にかけて、ファッション界の寵児であり、押しも押されもしない希代のファッションイラストレーターです。

この,アラビアンナイトは彼の遺作だったのかもしれません。1985年に出版され、彼は1987年にエイズでなくなっていますから。

表紙                  Antonio   



Antonios Tales from the Thousand and One Nights(ハードカバー)
Antonio Lopez (著), Roy Finamore (編集)


不思議とこの本の存在を知ってる人は少ないのかなあ...、ネットでも表紙はポスターになったらしく,少しは検索に出ますが、本そのものの紹介は一件だけでしたから..。

私は以前に青山の嶋田洋書で見つけたんですが。(その頃、まだ私はファッションデザイナーで、あの界隈で仕事も、交遊も..暮らしも、お散歩もしていましたから)

多分,豪華で、美しく素晴らしい出来の本なんだけど、余りにもエロテックで、世間的には、おおっぴらに出来なかったのかしら?!その後の増刷も無かったようだし?

となれば、これって、貴重?!(実は、アラビアンナイトをアップし始めたときには、自分がこの”アントニオのアラビアンナイト”を所有していたことを、すっかり忘れていたのです!)

この本を見つけたとき、このような本の挿絵が,彼には100%ハマってるなあって思いました。それまでファッションの仕事が主でしたし、奇才でもあったから、靴のデザイン等も、アヴァンギャルドで,実に面白かったですが、
なるほど...これからこの方面でまた才能発揮かなあって...私は人知れず期待と祝福をしたものでした。しかし...その後で亡くなったんですね。44歳でした。


アントニオは原宿ラフォーレで展覧会を数回してますが、近所でもあったし、私も2回とも見に行きました。会場で立ち歩いている彼の姿を見かけたものです。

その頃、一流のファッション誌『Vogue』や『Elle』はもちろん、 W.W.D(ウイメンズ.ウエア.デイリー)、『New York Times』まで必ず彼のイラストや,彼自身のスナップやパーティシーンなど掲載されていたものです。

絵はごらんのように達筆、これは通常、字に対しての形容ですが、そう言いたくなるくらい、早くて確かな筆の運び..、凄いです!天才です。

たぶん過去から未来にわたっても、彼以上のファッションイラストレーターは出てこないかも..と思います。


下に,往年のアントニオのファッションイラストをいくつか、ピックアップして!
アラビアンナイトのシリーズは、これで終わりにいたしましょう。





















アラビアの夜の種族

2010-10-18 16:34:07 | エクセレントなアーテストたちへのオマージ


アラビアンナイトをテーマにしたら、”アラビアンナイトメア”などもありますが、私の中で、どうしても
次にこの本が連なって出てくるんです。

それは『アラビアの夜の種族』
著者 ]古川日出男 デザイン:片岡忠彦

まさに和製のアラビアンナイトチック!
壮大なファンタジー!
そしてそれは、
読み手に巧妙に仕掛けられた”大かぶき”なのです。




私が 以前、mixiの中で、この本のレヴユーをアップした頃(2006年)は、まだ誰もレヴューを書いていなかった覚えがありますが、その後、文庫本が出てからなのでしょうか...多くの人がレヴューを書き連ねています。
その,ほとんどが、この本の面白さに脱帽!と。

そうなんです!
人を楽しませる、という点において、まさに大傑作!
それは素晴らしいことですよね。(アラビアンナイトもしかりですが、これは100%娯楽、悦楽という意味では、スピリチュアリテイとは対極かもしれませんが?!.......
一流の創造物には感動があり、神に通じますよね?!.)

このような密度で、このように長く(単行本は、かなり厚く、2段組なんです。)
一行も、疎む気にならず、読み進めるという本も珍しいかと思います。

それに、こんなに賞をもらっていたんですね。
日本推理作家協会賞&日本SF大賞受賞作


内容は....
まずは、作者が旅先で、アラブ首長国だったでしょうか?(けっこう忘れてるかも?)町の本屋で、店員に勧められて、購入した作者不詳の物語本、『The  Arabian Night breeds』読み始めたら...たちまち、引き込まれ...もう止まらない!
ええ、この作者がです!

帰りの飛行機の中で,自分が、つまり吉田日出夫が、日本語に翻訳することをひらめき、決意する。

誰もが思いますよね。この本の著者も?わたしたち読者も..!未だ知らなかった
『The Arabian Nightbreeds』の発見! 期待に胸躍り.....
そうして、この本の仕掛けられた罠の中に、はまり込んでいくのです..。


その背景、物語の骨子となる外枠のストーリは、あたかも歴史小説じみています。
時はマムルーク朝( 奴隷王朝)のエジプト。ナポレオンが攻めて来るという.. それは結果的にイスラムの爛熟した時代が通り過ぎようとしていた、1798年のことです。



この、たてまえのシチュエーションこそが,私など..歴史好きで、好奇心旺盛、かつアラビア好みの人間が絡めとられ、そして、作者に見事に騙されて、その結果、素晴らしい芳醇な一流の娯楽を堪能させたられたという次第なのです。



アラビアの物語風に、構成は入れ子式になっていて...、
ヴェールで顔を覆った妖しく魅力的な女の語り部に語らせる...粉飾された言葉の語り口,に .. また夜な夜なのあやしいお屋敷での会合という、ほの暗い風情にひきいれられて、 聞くものはうっとりと... 馥郁とした芳醇な薫りを味わうのですが.....。


そのように..入れ子の.箱の中の.物語は、語り部の語りによって、実は禁断の物語として、語られ、書き留められていきます。読書家のナポレオンへの唯一の対抗策として?


それは、『災厄の書』と言われ、一度読み出したら..もはや、物語の虜となり、二度と現実には戻れない...


アラビア系に特徴的なニ重三重の入れ子式の構成が、時空を超えて、摩訶不思議世界の、自遊、自在に交差し、絡まって、それはもう..壮大!愉快!! なのでした。



翻訳者であり?、作者でもある? 著者の敢えて粉飾した文章が、こ物語を見事に盛り上げています。


私は敢えて、細かな内容には、触れません..ですが..。


この物語りの発生や生い立ちが、
既にミステリーであることが最大の魅力なんですねえ。



面白いという意味では、アラビアンナイトにひけをとらないどころか...かなり、です!



下は文庫本、三部作になっています。



[ 内容 ]~1
聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫り来るナポレオン艦隊。対抗する術計、それは大いなる陰謀のはじまりだった......。





それから..、歴史好きの私はと言えば...
ナポレオンがエジプトから様々の遺跡と共に、ロジェッタストーンを持ち帰ったことは、有名な話ですが(このことによって、古代エジプトの絵文字、ヒエログリフがシャンポリオンによって解読されましたし)、ところがそれを迎え撃った、その当時のエジプトがどういう国だったのか、ほとんど認識していなかったことに、我ながら、ハタッと驚いたりして!
そして、それから、当時のマムルーク朝(奴隷王朝)というものにあらためて興味を持ったりしたのでした。






『アラビアン.ナイト』に寄せて 1

2010-09-28 14:24:55 | エクセレントなアーテストたちへのオマージ



『アラビアン.ナイト』は、千夜一夜物語とうたわれてるほどに数々のお話が綴られていて、それは、娯楽という期待、を裏切らない、出来映えの見事な物語集の集大成です。(アラビア語原題はアルフ.ライラ.ワ.ライラ)

誰でも、子供の頃に「シンドバットの冒険」と「アリババと40人の盗賊」は、なんらかの形で親しんだものです。ディズニー映画もありますしね。

でも、シェヘラザードが夫のペルシャ王シャハリヤールに夜ごと語るお話のほとんどは、子供向けではありませんが...。

(それに上の二話は、本来のアラビアン.ナイト全集の中には入っていないらしんですが、平凡社の東洋文庫のアラビアンナイト全訳には別巻として最後の19巻に配されています。)


前妻に裏切られ,傷ついた王は、、すっかり女性不信に落ち入りまして、毎日、新たに妻を娶っては、一夜を共にしたら、その新妻を殺すという決めごとをします。女性に対する復讐ですね。

かわいそう新妻が次々に犠牲になる。
そこで、それを阻止しようと,大臣の娘シェヘラザードが、自ら、名乗り出て、妃になるんですね。
殺されない為には,毎夜、面白い話を語って、そして、続きはまた明晩..ってことで...、

王は物語の先を知りたい一心で..それではと....夜を重ねて一夜のお伽の物語を千夜へとつなげ..そして命をつなげ....,

最後は、もちろん、王は彼女の賢さに感服し、その決めごとを撤回して、めでたしめでたしのカップルと相成るのでした。
これが一番外の枠物語の骨子となって、それぞれの物語が語られていくわけです。



あちらの(ペルシャやアラブ、それにインド)お話は、構成が入れ子式になっていて(枠物語と言うらしいんですが)ひとつの、ストーリーの登場人物たちが、それぞれに別の物語を語る..、ものによっては、またそこから派生して別の物語が入っていたりするんです。
ひとつの外枠の物語が、その中の小さな物語をたくさん含んでいて、一つのタイトルで、一冊をほとんどを占めている巻もあります。

それがまた、どのお話も勝るるに劣らない面白さで、見事な展開で読み手を引きつけて,ストーリー構成の、展開の巧みさに、感心します。さすがに語り継がれた、千夜一夜!のお伽話。
粒ぞろいに面白いんですね。


語り部文化ならではの、物語を楽しませる為の、娯楽性に対する、熟成された完璧主義みたなものを感じます。

印刷本も,映画もテレビも無い時代、”物語る”というのは、ほんとうに人々の楽しみだったんだなあと....
それゆえに、語り部の力量というのも、名人クラスになったら、王侯貴族からご祝儀などもはずまれたんでしょうね!..なんて想像するんです。町の庶民も、きっと拍手喝采で、楽しみにしていたんでしょうね。

お話の出来もさることながら、イスラム、ペルシャ界隈の、たとえば、ダマスカス,バクダッド、カイロなど..にぎわいの聞こえそうな、また、それぞれの町の個性豊かな素晴らしさ、王侯貴族や庶民の生活ぶりなどから、いかにも薫り高いイスラム文化の成熟度がしのばれるのです。
そのあたりも楽しめる千夜一夜物語なのです。

全集翻訳本は、もちろん、読んでこそ、千夜一夜の物語を味わい楽しめる訳ですが、

なんといっても、エドモンド.デュラックをはじめとして、20世紀初頭の、達者な挿絵画家が手がけたアラビアンナイトの魅力的な絵本は、大人も子供も読めて,特に、デュラックの美しい挿絵は、シェヘラザードの毎夜の語りのように、アラビアの奇想天外なお伽噺の世界に見るものを誘ってくれますね。



つづく~


ramni わくわくワールド<本.アート.冒険者たち>

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