「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

Biometric Residence Permit(生体認証付在留許可証)の受け取り

2016-09-14 | ベルファスト到着直後
以前に英国に研究滞在した時には存在しなかったのですが、2015年以降から在英国邦人は「Biometric Residence Permit(生体認証付在留許可証)」を受け取る必要があるとのことで、渡英2日後に街の中心部にある郵便局まで取りに行くことにしました。また、在留届についても在英国日本国大使館に電子提出しました。大学関連の手続きとは別に、この種の行政関連の手続きも留学には必要なのですね。


大学寮を出るとすぐに「Students' Union(日本で言えば生協でしょうか?)」があります。なかなか綺麗な建物で、いつも内部には沢山の留学生たちや学生たちがいます。


街の中心部まで数キロなので、歩いていくことにしました。大学のある文教エリアは景観も全体的に落ち着いていて、少し長閑な感じがあります。ゆったりとした時間が流れていました。


街の中心部に近づくと、とても有名なホテルが見えました。その名も「Europa(ヨーロッパホテル)」です。『地球の歩き方』によると「世界で最も爆破されたホテル」とのこと。IRAなどによるテロが盛んだった時代のことですね。
現在の街の様子からすると信じられませんが、今でも街の西部には当時の苛酷な抗争の後遺症が残っているそうです。研究所でお世話になっている研究者のKarlは、地元のBelfast出身ですが、「西部には人生で2回しか行ったことがない」と仰っていました。そして、「西には行かないようにね」と、私は注意されました。


ヨーロッパホテルのすぐ隣にあるのが「Grand Opera House(オペラハウス)」です。大英帝国最盛期を今に伝える壮麗な建物ですね。美しかったです。。


街の中心部に近づくと、歴史を感じさせる建物がずらっと並びます。「クイーン」や「ヴィクトリア」という名を冠した建物やお店が多いです。今もなおヴィクトリア女王はこの地では深く敬愛されています。ヴィクトリア朝の栄光を色濃く反映している地域なのだなと改めて感じました。




そして、街のシンボルである「City Hall(シティー・ホール)」です。とても綺麗な造りで、在りし日の大英帝国の威容を感じました。女王陛下の像がなにしろ格好良かった。次は内部も見学したいと思いました。


お洒落なショッピングセンターもありました。「Victoria Square(ヴィクトリア・スクエア)」です。街の中心部はとても賑わっていて、まさに都会という印象ですね。さすがは北アイルランドの首府です。何でも買えます。


そして、目的の郵便局に到着。無事にBiometric Residence Permitを取得しました。英国に入国後10日以内に郵便局に取りに行かないといけないので、うっかりしていると大変でした。
Visaが貼ってあるパスポートとVisa申請後に自宅に届いた書類を持って、あとは「BRP, please」(←幼稚園英語レベル)と言うだけの簡単なお仕事でした。

Belfastに来て、まだ数日ですが、地元の人たち(?)の発音がやはりよく判りません。
とくに早口で言われると全く聞き取れないことも多々あります。また、研究所内の留学生というか、EU諸国から来ている研究者たちもそれぞれのお国の言語風に訛っているように感じるので、改めて英語の多様性を感じています。そして、同時に自分の語学力の低さも……。

私は当然ですが、英国の医師免許を持っていませんから、この地ではただの留学生です。ただの「英語が出来ないアジア人の男」です。日本にいた頃は、医者ですし、研究も出来ましたから、それなりに自信をもって生きていました。いずれは世界とも戦えると思っていました。しかし、この国に来て、改めて「自分が独りでは何もできない」ということを突き付けられてみると、自分の中にあったくだらないプライドや虚栄心がどんどん溶けていくのを感じます。そして、「剥き出しの自分の弱さと未熟さ」を痛感します。
とはいえ、私には、もとから失うものなんて、何もありません。からっぽの自分ですが、心の中には一つの信念が残っています。私は何のために誰のためにここに来たのか、今、それだけはちゃんと判っていますから。何もできないけれど。無力だけれど。それでも、私の心はひどく穏やかなままです。恐れるものは何もありません。
為すべきことを為す―――ただ、その為だけに、全身全霊を賭けています。
他には、少なくとも今は、何も要りません。