牡丹に蝶のブログ

政治・経営・宗教的な話に興味があります。過去から現在までの出来事とかを綴ってみたいなと思います。

窓口の対応に危機感を覚えます!!(その2)

2014-06-29 13:02:59 | 政治


 だが、生活保護に詳しい普門大輔弁護士は「市の対応は生活保護法に違反している恐れがある」と指摘する。生活保護法二七条では、自治体の就労指導は既に保護を受けている受給者を対象にしており、申請段階で指導することは認められていない。大阪市では、この男性以外にも、申請後に職探しを求められた事例が確認されている。
 男性は普門弁護士の支援を受け再申請した。同じように就労指導を受けて、ハローワークに通い仕事が見つからなかったが、今度は生活保護が開始された。「何が違うのか、よく分からない」と男性は困惑する。
 〇八年のリーマン・ショックを機に生活保護の受給者数が全国的に増加した。一二年にお笑い芸人の母親の受給が発覚すると受給者へのバッシングが拡大。当時は野党だった自民党は、保護費の一割削減を掲げて同年末の衆院選で勝利し、保護費抑制策を次々と打ち出した。
 全国の生活保護の受給世帯数は今年三月時点で約百六十万世帯、受給者も二百十七万人といずれも過去最多だ。保護費も増加傾向で一四年度当初予算ベースで三・八兆円。四分の一は地方自治体が負担している。
 自治体財政を圧迫しており、さいたま市や大阪府東大阪市など少なくとも全国の十二市が、不正受給者情報を市民から募る専用電話を設置している。
 七月に施行される改正生活保護法では、申請の際に収入などを記載した書類の提出を義務付けている。受給者の親族ら扶養義務者に、扶養できない理由の報告も求めたり、扶養義務者の収入や資産の報告を勤務先などに求めたりすることも可能になる。
 申請時に、書類を用意できない困窮者は少なくない。厚生労働省は「これまでも申請の際に書類の提出は求めており明文化しただけ。実態として対応はこれまでと変わらない。扶養義務者からの報告も限定的な場合だけ」と説明する。
 だが、変わらないなら法改正の必要はない。自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛さんは「法改正前ですら水際作戦が全国で問題となっている。法改正で申請の運用が全国で厳格化し、保護が認められないケースが増加する恐れがある」と指摘する。
 問題視されている大阪市の対応は、ガイドライン以外にもある。市民団体「大阪市生活保護行政問題全国調査団」によると、申請時に必要とされていない住宅の賃貸借契約書や預金通帳を提出させた事例が〇九年以降に複数件、確認されている。改正法でも求めていない内容だ。
 扶養義務者についても、厚労省の通知では「扶養義務が履行できない者については照会しなくて良い」としているが、大阪市は既に扶養義務者全員に照会を実施。「三十五年前にDVを受けた父親を扶養できないか」との照会を受けた女性は「嫌な過去を思い出させられた」とショックを受けたという。
 「大阪市生活保護行政問題全国調査団」団長の井上英夫・金沢大名誉教授は「改正法によって、ただちに全国の自治体が大阪を模倣するとは思わないが、保護費を削減したい自治体が大阪の手法をまねる恐れはある。大阪の男性のようなケースがほかの自治体でも起こり得る」と懸念する。
 大阪市の男性は現在、体調が回復し、以前働いていた建設会社に復職した。保護は今月から停止している。
 「病気の人に『働け』と言って保護を断れば、もっとひどい状況になってから再申請することになる。回復にも長い時間がかかるので、保護費はよけいに高くつく。保護を拒否することで、自治体は自分の首を絞めることになる」と男性は話す。
 井上教授は「法改正は保護費の抑制だけではなく、憲法で保障された生活保護を、『役所が与えてあげる物』へと変質させることになる。七月以降、自治体がおかしな対応をしないか注視していかなければならない」と話した。
 <デスクメモ> 大阪市は、逮捕された容疑者が生活保護を受給しているかどうかを、大阪府警からの通知で調べる制度を検討している。勾留中は食事などが提供され「二重支給」に当たるからだという。勾留段階で支給が停止されれば、犯罪者と断定されかねない。人権と保護費抑制のどちらを優先するのか。問われている。 (国)



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