シリーズ平成の本音-介護保険料引き上げ、反福祉政策が国民生活を直撃! (その2)
安倍自・公連立政権は、2016年度の予算編成の基本的な方針である概算要求基準を閣議で了解し、2020年度での財政の黒字化を目途に歳出を抑制することとし、その中で社会保障費の削減を図るとしている。財政の黒字化方針は、遅きに失しているものの評価されるところであるが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な色彩が強い。
1、介護保険料再三の引き上げが年金受給者の生活を既に圧迫 (その1で掲載)
2、増税、福祉切りに終わろうとしている「社会保障と税制の一体改革」
自民・公明両党は、民主党政権時代に「社会保障と税制の一体改革」に同意し、また議員定数の実質的削減にも同意し、2011年12月の総選挙で勝利し政権の座に返り咲いた。しかしいずれについても進んでいないばかりか、社会保障については反福祉の福祉切りに向かっている。
そもそも社会保障の改善のために消費増税を実施したにもかかわらず、総合的な社会保障制度改革も行わず、個別に利用者、受給者の「負担増・給付縮小」を強いることは、国民を騙しているに等しいのではないか。議員定数の削減については、衆議院は議長の下での外部の有識者会合に丸投げし、自・公連立与党が十分な多数を占めていながら取り組んではいない。参議院に至っては、10増10減の区割りを採択し、削減については取り組もうともしていない。
年金受給者に更なる負担を強い、国民に更なる負担を強いる前に、両院の議員定数の大幅削減や議員歳費・諸手当の引き下げを実施して、国民に誠意を示すべきであろう。また独立行政法人や特殊法人を含む公務員・準公務員の新規採用の段階的な削減など定員の削減や給与の引き下げを実施すべきであろう。それが出来ないのであれば、3年間で総人件費の3割削減を実施することが望まれる。定員と給与のいずれを削減するかは各省庁に選択させればよい。人件費を除く管理費全般についても、公務員宿舎他国有財産の売却などにより、2020年度までに総額で3割から4割の程度を段階的に削減することをまず実施すべきではないのか。
この点は地方公共団体においても検討、実施されるべきであろう。2040年までに、全国1,748の市区町村の約3割が消滅するとの予測もあり、多くの地方の人口減は深刻で現実味がある。恐らく財政の節減が少子高齢化対策の上で不可欠な対策と言えよう。
自・公両党の上記の約束は主要公党間の約束であり、国会で表明された国民への約束であるので、実現しなければ非常に深刻な約束違反となる。それを議員や行政府・公務員が真剣に検討、実施しないのであれば、消費税の
10%への再増税は実施すべきではないのではなかろうか。
自・公政権の約束違反はこれらだけではない。環太平洋経済連携協定(TPP)について、民主党が消費増税同様危険を冒してTPPに賛成を表明したのに対し、自民党は‘反対’を掲げ、農業票、地方票を引き寄せた。しかし政権の座に就くと賛成に転じている。上記の社会保障と税制に一体改革にしても、議員の定員削減、歳出節減やTPPにしても、政策的には民主党政権時の方針の方が正しかったように見える。
更に現自・公連立政権は、2012年12月及び2014年12月の総選挙において、1票の格差について裁判所で‘違憲’、又は‘違憲状態’との判決を受け、是正勧告がなされているにも拘わらず、自民党政権において常態化した‘違憲状態’を解消する努力を行っていない。因みに‘違憲状態’も違憲であることに変わりがなく、自・公連立政権が憲法を軽視する姿勢が鮮明になっている。衆議院で強行採決された安保法制、特に集団的自衛権の行使に関しても、多数の憲法学者や国民が違憲と考えているにも拘わらず、このような世論にも耳を貸さず、憲法軽視の姿勢と受け止められている。政権側は、‘他国領土で戦うことはしない’、或いは‘徴兵制は行わない’などとしているが、憲法や世論を軽視する政権の言葉は空疎に聞こえる。少子化、人口減の中で、自衛隊への応募は停滞している上、集団的自衛権行使による戦闘や海外での武力行使などにより危険性が著しく高まるので応募が減少する可能性がある。従って将来兵員確保のため、何らかの形で自衛隊義務化や徴兵制度が導入される可能性は高いと言えないだろうか。更に集団的自衛権行使等により日本攻撃がより現実味を帯びて来るが、危機的状態になれば徴兵制度は実施せざるを得なくなるであろう。少なくてもその覚悟は必要であろう。
政権側が国民に対しこのような覚悟を求めるのではなく、只々‘最低限の自衛に徹する’、‘海外で戦闘は行わない’、‘海外での自衛隊員の安全は確保する’などの安心材料のみの説明に終始することは、原子力発電で‘安全神話’を作って推進したのと同様、集団的自衛権行使でも‘安全神話’を作ろうとしているようにも見える。国家の安全保障や国際的な平和貢献はそんなに甘いものではないことは、国民は何となく気付いており、違和感と不信感を呼んでいるようだ。太平洋戦争では、日本国民が200万人以上死亡し、多数の負傷者や多くの不孝や悲劇を生んでいる。
このように自・公連立政権は、公党や国会、国民との約束を守らず、また憲法を軽視している上、その結果でもあろうが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な政策を推し進めようとしていることがだんだんと明らかになっているように見える。
このような政策や将来を選択するか否かは、国民世論であり有権者であるので、賢明な選択が望まれる。
(2015.7.31.)(All Rights Reserved.)
安倍自・公連立政権は、2016年度の予算編成の基本的な方針である概算要求基準を閣議で了解し、2020年度での財政の黒字化を目途に歳出を抑制することとし、その中で社会保障費の削減を図るとしている。財政の黒字化方針は、遅きに失しているものの評価されるところであるが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な色彩が強い。
1、介護保険料再三の引き上げが年金受給者の生活を既に圧迫 (その1で掲載)
2、増税、福祉切りに終わろうとしている「社会保障と税制の一体改革」
自民・公明両党は、民主党政権時代に「社会保障と税制の一体改革」に同意し、また議員定数の実質的削減にも同意し、2011年12月の総選挙で勝利し政権の座に返り咲いた。しかしいずれについても進んでいないばかりか、社会保障については反福祉の福祉切りに向かっている。
そもそも社会保障の改善のために消費増税を実施したにもかかわらず、総合的な社会保障制度改革も行わず、個別に利用者、受給者の「負担増・給付縮小」を強いることは、国民を騙しているに等しいのではないか。議員定数の削減については、衆議院は議長の下での外部の有識者会合に丸投げし、自・公連立与党が十分な多数を占めていながら取り組んではいない。参議院に至っては、10増10減の区割りを採択し、削減については取り組もうともしていない。
年金受給者に更なる負担を強い、国民に更なる負担を強いる前に、両院の議員定数の大幅削減や議員歳費・諸手当の引き下げを実施して、国民に誠意を示すべきであろう。また独立行政法人や特殊法人を含む公務員・準公務員の新規採用の段階的な削減など定員の削減や給与の引き下げを実施すべきであろう。それが出来ないのであれば、3年間で総人件費の3割削減を実施することが望まれる。定員と給与のいずれを削減するかは各省庁に選択させればよい。人件費を除く管理費全般についても、公務員宿舎他国有財産の売却などにより、2020年度までに総額で3割から4割の程度を段階的に削減することをまず実施すべきではないのか。
この点は地方公共団体においても検討、実施されるべきであろう。2040年までに、全国1,748の市区町村の約3割が消滅するとの予測もあり、多くの地方の人口減は深刻で現実味がある。恐らく財政の節減が少子高齢化対策の上で不可欠な対策と言えよう。
自・公両党の上記の約束は主要公党間の約束であり、国会で表明された国民への約束であるので、実現しなければ非常に深刻な約束違反となる。それを議員や行政府・公務員が真剣に検討、実施しないのであれば、消費税の
10%への再増税は実施すべきではないのではなかろうか。
自・公政権の約束違反はこれらだけではない。環太平洋経済連携協定(TPP)について、民主党が消費増税同様危険を冒してTPPに賛成を表明したのに対し、自民党は‘反対’を掲げ、農業票、地方票を引き寄せた。しかし政権の座に就くと賛成に転じている。上記の社会保障と税制に一体改革にしても、議員の定員削減、歳出節減やTPPにしても、政策的には民主党政権時の方針の方が正しかったように見える。
更に現自・公連立政権は、2012年12月及び2014年12月の総選挙において、1票の格差について裁判所で‘違憲’、又は‘違憲状態’との判決を受け、是正勧告がなされているにも拘わらず、自民党政権において常態化した‘違憲状態’を解消する努力を行っていない。因みに‘違憲状態’も違憲であることに変わりがなく、自・公連立政権が憲法を軽視する姿勢が鮮明になっている。衆議院で強行採決された安保法制、特に集団的自衛権の行使に関しても、多数の憲法学者や国民が違憲と考えているにも拘わらず、このような世論にも耳を貸さず、憲法軽視の姿勢と受け止められている。政権側は、‘他国領土で戦うことはしない’、或いは‘徴兵制は行わない’などとしているが、憲法や世論を軽視する政権の言葉は空疎に聞こえる。少子化、人口減の中で、自衛隊への応募は停滞している上、集団的自衛権行使による戦闘や海外での武力行使などにより危険性が著しく高まるので応募が減少する可能性がある。従って将来兵員確保のため、何らかの形で自衛隊義務化や徴兵制度が導入される可能性は高いと言えないだろうか。更に集団的自衛権行使等により日本攻撃がより現実味を帯びて来るが、危機的状態になれば徴兵制度は実施せざるを得なくなるであろう。少なくてもその覚悟は必要であろう。
政権側が国民に対しこのような覚悟を求めるのではなく、只々‘最低限の自衛に徹する’、‘海外で戦闘は行わない’、‘海外での自衛隊員の安全は確保する’などの安心材料のみの説明に終始することは、原子力発電で‘安全神話’を作って推進したのと同様、集団的自衛権行使でも‘安全神話’を作ろうとしているようにも見える。国家の安全保障や国際的な平和貢献はそんなに甘いものではないことは、国民は何となく気付いており、違和感と不信感を呼んでいるようだ。太平洋戦争では、日本国民が200万人以上死亡し、多数の負傷者や多くの不孝や悲劇を生んでいる。
このように自・公連立政権は、公党や国会、国民との約束を守らず、また憲法を軽視している上、その結果でもあろうが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な政策を推し進めようとしていることがだんだんと明らかになっているように見える。
このような政策や将来を選択するか否かは、国民世論であり有権者であるので、賢明な選択が望まれる。
(2015.7.31.)(All Rights Reserved.)