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シリーズ平成の本音―都知事の道義的責任より政治資金の抜本改革が不可欠

2016-07-26 | Weblog
シリーズ平成の本音―都知事の道義的責任より政治資金の抜本改革が不可欠
 舛添要一都知事は、6月15日、公私混同を指摘されている政治資金の使途等を巡り
混迷を深めていた中、辞表を提出し、都議会はこれを受理する一方、同都知事を推薦・支持していた自民・公明両党を含む全政党による不信任決議は取り下げられた。これで同都知事は6月21日に辞職となり、新知事選挙が行われることとなった。
同都知事については、公用車の濫用の他、参議院議員時代の政治資金の使途につき公私混同などとの批判が強まり、2人の弁護士による‘第三者’調査が行われた。同調査結果では、一部‘不適正’な使用が認められたが、‘違法性はない’旨説明し、これを受けて同知事は、これを陳謝し、‘不適正’があったものについては返納等の措置をとるとしつつ、都政に専心したい旨表明した。
 7月10日の参議院選挙を前にして、本件は争点から消えることになるが、次の理由で本件をいわば‘トカゲのしっぽ切り’で終わらせることなく、政治資金問題のあり方についての再検討、抜本改革への契機とすべきではないだろうか。
 1、政治資金の使途は基準が曖昧で、全議員について調査、是正が必要
国民の税金で支給されている通信交通費、政務調査・活動費や政党助成金などの政治資金の使途については、嘗て松岡農水大臣(当時)の‘何とか還元水’事件や小渕経産相(当時)事務所の政治資金規正法違反、最近では兵庫県議であった野々村氏の架空交通費問題などなど、国会議員、地方議員を含め多くの事例が数え切れない程ある。これらの問題は、大臣や知事など注目される立場になると調べられ、問題となることが多い。しかし法令制度上、使途の基準が曖昧な上、監査制度もないことから、個々議員の監査を実施すれば、国会議員、地方議員を含めほとんどの議員が不適正な事例を抱えているのではないか。
今回の舛添都知事の参議院議員時代の政治資金の一部の公私混同問題は、あまりにも‘せこく’ひんしゅくを買うものではあるが、今回の問題を都知事の‘道義的責任問題’として処理してしまうと、多くの議員が抱えていると見られる同種の潜在的な不適正使用との問題で公平を欠く恐れがある上、参院選からの争点はずしに終わってしまい、法令制度上の不備が問われなくなる可能性が強い。
こ れら一連の政治資金については、‘選挙に金が掛かる’との認識から、歴代の自民党政権が中心になって作られて来たものであるが、政治活動を抑制しない等の理由で、議員がなるべく自由に使えるように、意識的に明確な基準も監査制度も明示しないように作られている。その上、‘選挙に金が掛かる’との本来の認識は‘政治に金が掛かる’という意識にすり替えられ、議員報酬とは別に、政党助成金、通信交通費、政務調査・活動費など、2重、3重に政治資金が給付される制度となっている。更に、本来企業等との癒着、不適正な関係を断つために税金による政治資金の補充が実施されたにも拘わらず、経団連等による企業献金は復活している。政治資金が潤沢になったからこそ、年中行事のように今回と同種の不適正使用問題が発生し、個々の議員の問題として‘しっぽ切り’で終わっている。
もし与野党が同都知事の辞任を求めるのであれば、明確な使用基準と公正厳格な監査制度を確立し、自らを正すべきであろう。
またもし‘道義的責任’で都知事の辞任を求めたのであれば、甘利前経済・TPP担当相の金銭受託問題についても、起訴はされなかったものの、現金を受け取ったことは同人側も認めているので、少なくても‘道義的責任’で議員辞職を求めなくては公平を失する。後者は、主要大臣による金銭受託ケースであるので、より深刻な問題とも言えよう。
 2、政党助成金の廃止と通信交通費、政務調査・活動費などの大幅削減
 このような不適正使用が可能なのは、そもそも日常的な‘政治活動’では使い切れないほどの高額の各種の政治資金が、選挙期間だけではなく、日常的に給付されているからに他ならない。
 政党助成金(2015年度総額320億円強)については、各政党が所属議員に配布しているが、配布基準や使用基準が不明朗且つ恣意的である。更に、国民の35%から40%内外が「無党派」であるので、党派別に税金から配賦するのはそもそも不適正であろう。また党が解散や分党した場合、選挙で認知された政党が消滅したり、変更されたりするので、本来であれば政党助成金は配賦されるべきではないのであろう。現在の取り扱いは、有権者、納税者の意志に反することが多いので、政党助成金は廃止されるべきであろう。
 また比例代表制の選出方法についても、無党派層の有権者にとっては記載すべき政党が無く、有権者の35%~40%内外は死に票となるので、廃止されるべきであろう。投票所で、比例代表制の政党を選ぶことになるが、有権者の中には選択に困惑することがあるようだ。当選後離党した場合の取り扱いなども不明朗である。
 通信交通費(1議員年間1200万円)と立法事務費(年間780万円)、都道府県議員等レベルでの政務調査・活動費(年間720万円)についても、高額である上、活動しても活動していなくても、各議員に一律給付されるのは適性を欠く。特に国レベルでも地方レベルでも、与党となれば行政当局から可成り手厚く情報や資料、説明を受けられるので、それほど駆け回らなくても情報等は入手できる。国会議員についてはJRがフリーパスである。大臣となれば、公用車その他手厚く処遇されている。選挙期間中なら兎も角、会期中を始めとして、通常の年には中々使い切れない場合もあろう。要するに、多額に給付されているから無駄が出来る、というより年度内に使わなくては返納となるので、何が何でも使うことが常態化している。
従って、交通・通信費、立法事務費、政務調査・活動費など、名称を問わず全ての政治資金を平均50%削減することを検討すべきではなかろうか。個々の議員からいろいろな理屈が述べられるであろうが、国民の税金であるので削減すべきであろう。
都議会も、代表質問、一般質問を通じ、ほぼ論点は尽き、質問も‘せこく’なって来ており、更にこの件で時間を浪費する必要はあるのだろうか。それよりも、政務調査・活動費のあり方や緊要な課題を議論して欲しいものだ。
3、活動を委縮させる議論や不謹慎狩り的議論も有益ではない
都知事に就任してからの問題としては、1回5,000万円以上、‘年間の海外出張経費3億5000万円’にも及ぶ海外出張、湯河原の個人別荘への年間48回にも及ぶ公用車利用や頻繁な美術館・博物館の訪問などが指摘されている。
確かに度を越している面がある。しかし批判についても、活動を委縮させ、或いは不謹慎狩り的な過度な批判がありはしないだろうか。
同知事の海外出張については、20名以上の職員等を引き連れてた大名旅行であり、公費の無駄使い等として批判されても仕方がない。しかし都知事がファーストクラスを使用することについては、多くの企業、団体の代表クラスや多くの芸能人などもファーストクラスを使用しているので、例えば4時間以上の長距離については認めて良いであろう。また首相クラスの豪華なスイートルームは論外であるが、知事として来訪者や事務方との打ち合わせなどがあるので、ビジネスタイプのスイートルームは認めて良いのであろう。知事の活動を委縮させるような批判も適切ではない。
美術館や博物館巡り等も、少し多すぎる感はあるが、とかく政治で軽視される分野であり、政治家が視野や情操を広め、文化促進に資するのであれば、夜の料亭巡り等よりは奨励して良いのであろう。
湯河原の別荘で週末を過ごすことについては、公用車の使用は不適切ではあるが、都知事が4、6時中都内にいなくてはならないことはないし、休暇、休養を取ることは理解できるところだ。そのためもあり、副知事もいる。最近、‘不謹慎狩り’や過度な批判が横行しているようだが、神経過敏な魔女狩り的な批評、批判も過度に活動を委縮させだけで、好ましくないのではないだろうか。
また舛添都知事の記者会見において、記者より‘都知事にどう言ったら、辞任して頂けるのですか’との質問がなされていたが、好き嫌いはどうあれ、一記者としての質問としては思い上がった、行き過ぎた質問であり、新聞協会等然るべき組織が注意喚起するなり、質問におけるガイドラインなどを作り周知するべきではないだろうか。都知事は都民が選んだのであり、その在任の適否などは有権者が判断すべきことであるので、記者がその判断を公開の記者会見の場で行うことは世論誘導ともなる上、傲慢との印象を与える。取材においても一定のルールは必要なのだろう。
 いずれにしても、このような贅沢や無駄が可能となるのは、予算が各所に贅肉のごとくダブダブと付いているからに他ならない。民主党政権下で、‘事業仕分け’が行われ、無駄を省く努力がなされたが、急ぎ過ぎたことと既得権益保グループや官僚からの批判、これを支持する保守系紙などから批判され、失速した経緯がある。しかし地方、中央を問わず、行政の無駄の排除、節減努力は現在でも必要ということであろう。東京都は、地方自治体で独り勝ちの状態であるので、豪華な都庁舎や低廉、至便で立派な職員宿舎が象徴しているように、予算は潤沢(年間予算役13兆円、職員16万人)であるので、知事の‘せこい’公私混同問題を繰り返し議論するよりは、東京都の行政の無駄、贅沢や多数の基金、割高な地方税などについて時間を割いて議論して欲しいものだ。(2016.6、15.改訂)(All Rights Reserved.)

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