シリーズ平成の本音―2017年消費税再増税の国民投票となる総選挙! (その3)
11月18日、安倍首相は、7月―9月のGDP成長率の速報値が2期連続マイナスであったことを受けて、明年10月に予定されている消費税の10%への再引き上げを18ヶ月延期すると共に、21日に衆議院を解散し、12月2日公示、14日投・開票とすることを明らかにした。同首相は、国民の負担を強いる再増税に関しては民意を問いたいとした。
しかし消費税増税関連法には、増税実施については、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め措置を講ずる」(附則18条)と規定している。同首相が主張していた景気は7―9月期には回復するとの予想に反しマイナス(名目マイナス3.0%)となったことから、明年10月の再増税を停止等することは可能であるので、何故第2次安倍政権成立後2年も経たない内に解散・総選挙とするのか、与野党を含む各方面で疑問が渦巻いている。
1、今回の総選挙は2017年4月の10%への消費増税を強行するためだ! (その1で掲載)
2、批判をかわすための先制攻撃 (その2で掲載)
3、社会保障制度改革や身を切る改革や無駄の削減、予算の節減は放棄される!?
自・公連立政権が発足して2年弱、消費増税に関する民主党と自・公との3党合意は、
ほとんど取り組まれることはなかった。3党合意は、3つの公党の約束であり、国会でも明らかにされているので、国民への約束でもある。多くの国民は、消費増税にやみくもに反対している訳では無く、一方で予算の無駄が実質的に節減され、他方で年金を含む社会保障が充実し、税金が真に国民のために使われるのであれば理解するであろう。自・公連立政権はその約束を守っていない。
安倍政権側は、アベノミクスの継続、その道しかないとして国民の目を外らそうとしているが、そうではない。消費税増税と並行して約束した社会保障制度改革と身を切る改革や無駄の削減、予算の節減という2つの道が残っている。
(1) 国民への負担だけが強化される社会保障
消費税収入は福祉関連に充当するとした上で、社会福祉制度改革を行うことを、自・公両党は民主党政権(当時)と合意し、国会の場で約束したのではないか。国会の場での約束であり、国民への公的な約束と言える。
しかし、保険料を引き上げることを柱とする国民の負担増や医療費の抑制策などが自・公連立政権において厚労省で検討されている。公的年金についても、既に給付年齢が引き上げられ、介護保険料が天引きされているが、年金給付額の一層の引き下げなどの抑制策や年金保険料の引き上げなどの負担増が行われ、更なる改悪が検討されている。それは国民が期待している将来不安のない充実した社会保障改革に逆行するもので、人件費を含む管理・組織面での無駄の排除、節減が行われていない。
この年金を中心とする社会福祉サービスの後退が、多くの国民の将来不安を高め、それが消費節約、貯蓄志向を強めることになっている。
自・公政権は、福祉予算が不足するとして、一方で消費増税を推進するなど国民の負担を求めつつ、他方で年金支給額の削減や診療費の引き上げなどで更に国民負担を求めている。
(2) 議員定数の削減、予算の節減も先送りか?
‘議員定数削減’についても3党合意しているが、自・公両党は政権発足後2年間で衆院定数の‘0増5減’を実現した。これで定数は5議席減って475議席となる。しかしこれは2012年12月の衆院選挙に関し、選挙区による有権者の重み格差、いわゆる「1票の格差」の問題で全国で16件の裁判において、14件は格差が是正されないままで行われた選挙として“違憲”とされ、他2件も“違憲状態”とされた。これで全国31選挙区、2閣僚を含む31議員について憲法違反の選挙による選出となったので、違憲選挙区を回避するための措置であり、‘定数削減’からは程遠い。総定員の1%強の減にしか当たらない。
しかも、今回‘0増5減’の状況で選挙が行われることになるが、前回以上に厳しい違憲判決が出されることが予想される。既に14の選挙区で格差が2倍を越えると伝えられている。2倍以下でも平等性の上から十分ではない。国会には是正のための充分過ぎる程の時間が与えられているので、これまで司法は独立性を放棄し政治に擦り寄った形で政治的配慮を重ねて来たが、今回の選挙ではより強く司法の独立性を発揮することが求められている。これまで以上に多くの選挙区で憲法違反判決が出ることが懸念される。圧倒的多数を占めていた自・公両党にその責任が求められることになろう。司法の軽視、憲法の軽視は許されない。
議員報酬についても2年間13%程度削減されていたものを4月末で元に戻している上、着実な人口減が予想されているのに議員定数の削減については非常に不熱心だ。それどころか、政務調査費の不適正な使用やネギの購入なども政治資金として計上しているなど、政治資金の乱脈振りが報道されている。この点は参議院や地方議会についての同様だ。
議員が予算節減に模範を示さなければ、行政組織は無駄の節減などに応じないであろう。
今回自・公両党が過半数を維持する場合、‘議員定数削減’や行政経費の無駄の削減などについての3党合意は放棄され、今回の選挙結果が優先される可能性があるので、有権者が明確な意志を表明することが求められている。
4、隠された重大な問題―原発再稼働・最終処理場問題、集団的自衛権問題等 (その4に掲載)
(2014.11.21.)(All Rights Reserved.)
11月18日、安倍首相は、7月―9月のGDP成長率の速報値が2期連続マイナスであったことを受けて、明年10月に予定されている消費税の10%への再引き上げを18ヶ月延期すると共に、21日に衆議院を解散し、12月2日公示、14日投・開票とすることを明らかにした。同首相は、国民の負担を強いる再増税に関しては民意を問いたいとした。
しかし消費税増税関連法には、増税実施については、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め措置を講ずる」(附則18条)と規定している。同首相が主張していた景気は7―9月期には回復するとの予想に反しマイナス(名目マイナス3.0%)となったことから、明年10月の再増税を停止等することは可能であるので、何故第2次安倍政権成立後2年も経たない内に解散・総選挙とするのか、与野党を含む各方面で疑問が渦巻いている。
1、今回の総選挙は2017年4月の10%への消費増税を強行するためだ! (その1で掲載)
2、批判をかわすための先制攻撃 (その2で掲載)
3、社会保障制度改革や身を切る改革や無駄の削減、予算の節減は放棄される!?
自・公連立政権が発足して2年弱、消費増税に関する民主党と自・公との3党合意は、
ほとんど取り組まれることはなかった。3党合意は、3つの公党の約束であり、国会でも明らかにされているので、国民への約束でもある。多くの国民は、消費増税にやみくもに反対している訳では無く、一方で予算の無駄が実質的に節減され、他方で年金を含む社会保障が充実し、税金が真に国民のために使われるのであれば理解するであろう。自・公連立政権はその約束を守っていない。
安倍政権側は、アベノミクスの継続、その道しかないとして国民の目を外らそうとしているが、そうではない。消費税増税と並行して約束した社会保障制度改革と身を切る改革や無駄の削減、予算の節減という2つの道が残っている。
(1) 国民への負担だけが強化される社会保障
消費税収入は福祉関連に充当するとした上で、社会福祉制度改革を行うことを、自・公両党は民主党政権(当時)と合意し、国会の場で約束したのではないか。国会の場での約束であり、国民への公的な約束と言える。
しかし、保険料を引き上げることを柱とする国民の負担増や医療費の抑制策などが自・公連立政権において厚労省で検討されている。公的年金についても、既に給付年齢が引き上げられ、介護保険料が天引きされているが、年金給付額の一層の引き下げなどの抑制策や年金保険料の引き上げなどの負担増が行われ、更なる改悪が検討されている。それは国民が期待している将来不安のない充実した社会保障改革に逆行するもので、人件費を含む管理・組織面での無駄の排除、節減が行われていない。
この年金を中心とする社会福祉サービスの後退が、多くの国民の将来不安を高め、それが消費節約、貯蓄志向を強めることになっている。
自・公政権は、福祉予算が不足するとして、一方で消費増税を推進するなど国民の負担を求めつつ、他方で年金支給額の削減や診療費の引き上げなどで更に国民負担を求めている。
(2) 議員定数の削減、予算の節減も先送りか?
‘議員定数削減’についても3党合意しているが、自・公両党は政権発足後2年間で衆院定数の‘0増5減’を実現した。これで定数は5議席減って475議席となる。しかしこれは2012年12月の衆院選挙に関し、選挙区による有権者の重み格差、いわゆる「1票の格差」の問題で全国で16件の裁判において、14件は格差が是正されないままで行われた選挙として“違憲”とされ、他2件も“違憲状態”とされた。これで全国31選挙区、2閣僚を含む31議員について憲法違反の選挙による選出となったので、違憲選挙区を回避するための措置であり、‘定数削減’からは程遠い。総定員の1%強の減にしか当たらない。
しかも、今回‘0増5減’の状況で選挙が行われることになるが、前回以上に厳しい違憲判決が出されることが予想される。既に14の選挙区で格差が2倍を越えると伝えられている。2倍以下でも平等性の上から十分ではない。国会には是正のための充分過ぎる程の時間が与えられているので、これまで司法は独立性を放棄し政治に擦り寄った形で政治的配慮を重ねて来たが、今回の選挙ではより強く司法の独立性を発揮することが求められている。これまで以上に多くの選挙区で憲法違反判決が出ることが懸念される。圧倒的多数を占めていた自・公両党にその責任が求められることになろう。司法の軽視、憲法の軽視は許されない。
議員報酬についても2年間13%程度削減されていたものを4月末で元に戻している上、着実な人口減が予想されているのに議員定数の削減については非常に不熱心だ。それどころか、政務調査費の不適正な使用やネギの購入なども政治資金として計上しているなど、政治資金の乱脈振りが報道されている。この点は参議院や地方議会についての同様だ。
議員が予算節減に模範を示さなければ、行政組織は無駄の節減などに応じないであろう。
今回自・公両党が過半数を維持する場合、‘議員定数削減’や行政経費の無駄の削減などについての3党合意は放棄され、今回の選挙結果が優先される可能性があるので、有権者が明確な意志を表明することが求められている。
4、隠された重大な問題―原発再稼働・最終処理場問題、集団的自衛権問題等 (その4に掲載)
(2014.11.21.)(All Rights Reserved.)
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