シリーズ平成の本音―違憲の区割り法案をゴリ押し、自・公両党に将来はない!?
与党自民、公明両党は、4月12日、衆議院選挙の定数「0増5減」に基づく区割り法案を決定し、国会審議に移った。
しかし、「0増5減」により有権者の「一票の格差」の是正を行っても、格差は最大で1.998倍にもなり、かろうじて2倍以内におさめているに過ぎない。票の重さが1対1.998で有権者が平等、対等と言えるのだろうか。
2009年8月の総選挙では「1票の格差」が2.3倍であったが、最高裁は2012年3月にこれを「違憲状態」とし、立法府に是正を促していた。高裁レベルではそれまでに違憲判決がいくつか出されており、最高裁では衆議院について1972年の選挙から、また参議院については1992年の選挙から、違憲又は違憲状態との判決が出されており、その都度選挙区の区割りの微調整が繰り返されていた。20年以上に亘り国会において抜本解決が先送りされて来たと言えよう。
このような最高裁の判決、及び国会に対する是正勧告を受けて、2012年12月に行われた衆議院選挙において、「1票の格差」が最大で2.43倍のまま実施されたので違憲であるとの弁護士グループの訴訟に対し、区割り規定を違憲としたのを始めとして、全国で16件の裁判において、3月27日までに14件は格差が是正されないままで行われた選挙は違憲とされ、他2件も違憲状態とされた。特に広島高裁では選挙自体を無効とし、11月26日をもって効力が発生するとし、立法府に是正の猶予を与えたが、岡山支部は猶予を与えることなく無効とした。
憲法は、すべての国民は「法の下に平等」であって、政治的、経済的、社会的において差別されないと規定している(14条)。民主主義のいわば原点の規定である。
法の下の平等に基づけば、有権者の「1票の重さ」は基本的に1対1の関係でなくてはならない。技術上の問題もあるので、厳密に1対1にすることは困難としても、1対2以上はもとよりのこと、1対1.5や1対1.998では「法の下に平等」とは決して言えない。
「1票の重さ」を出来る限り1対1に近付ける努力が不可欠である。もし政治が自主的に努力を行わず、多くの有権者の平等性を犠牲にするのであれば、裁判所が毅然として「1票の重さ」の基準を示すべきであろう。立法府には十分過ぎる程の時間が与えられて来た。司法も国民に対しきちんとした解釈を示すべき時期に来ている。
与党自民、公明両党は、現行の「小選挙区比例代表並立制」を維持することを前提として、「比例代表定数(180議席)を30削減し、残る150議席のうち60議席を比例の得票率2位以下の中小政党に振り分ける」ことで合意しているが、これと切り離して小選挙区の「0増5減」を先行させるとして小選挙区制の区割り法案を衆議院に提出した。
他方民主党は、定数を小選挙区で30議席、比例代表で50議席削減(合計80議席削減)すべしとしており、政府与党の「0増5減」の先行では不十分としている。
衆議院で十分審議を尽くし、有権者の1票の平等性につき明確な考えを示すべきであろう。政府与党の「0増5減」の区割り法案が採択されたとしても、1票の価値は最大で1.998倍の格差が残り、従来違憲基準として示されて来た2倍に限りなく近く、十分な是正ではないと判断され、違憲とされる可能性が強い。
与党側は、昨年11月に民主党は「0増5減」合意した、今になって区割り法案に反対するのは理解できないとしている。しかし「0増5減」が実現する前に実施された昨年12月の選挙について、高裁レベルで31もの選挙区で違憲或いは違憲状態と判断され、立法府には既に是正のための十分な時間が与えられており、「0増5減」でも違憲との判断も示されている。与党側は「0増5減」で一番影響を受けるのは与党だとしているが、それはそうだろう。違憲の選挙で当選しているのは与党議員が一番多いからに他ならない。少なくても31議席が違憲選挙で選ばれており、本来であれば国会に居るべき人ではないのであろう。
そもそも自・公両党も、比例代表で30議席削減することを表明しており、民主党も小選挙区で30議席、比例代表で50議席削減(合計80議席削減)すべしと言ってわけであるので、何故ほとんど意味のない「0増5減」を先行させるのだろうか。2度手間という以上に、与党が実質的な定数削減に熱心でないことは明らかであり、また先送る意向なのだろ。
自・公両党は、有権者の1票の重さが1対1.998でも平等、対等、即ち1対1であると言い張るのであろうか。黒を白と行っているに等しい。無論、それで政権が維持出来るとの党利党略からすると巧みであるが、多くの有権者を犠牲にする。それでも良いと言うのだろうか。
憲法は、国のあり方や政体を決める基礎となる法律であるので、その解釈は明確である必要がる。もし自・公両党が、1対1.998で有権者は平等、対等(1対1)であると言い張るのであれば、不正、不条理な憲法解釈をし、多くの有権者の票を犠牲にして政権にしがみついているだけであり、もはや政権についている資格はないと言えないだろうか。また正しい憲法解釈も出来ないのに、憲法を改正する資格は全くないし、教育改革などを託すことには疑問が残る。これからを担う若い世代に訳の分からない不正、不条理な憲法解釈を示すべきではない。従来の1票の格差が、平等性を歪め、政治を歪め、数字認識を歪めて来ている。
また審議振りについても、好き嫌いは別として、等しく国民の代表である主要な与野党で解決策を見出すべきであろう。与野党ともに、誰のための是正かを認識すべきだ。どの政党のためでもない。有権者の票の格差を是正し、民主主義の原点である国民間の平等性を確保するためである。政党であるから仕方がない面はあるが、どうも与党も野党も、それぞれの党利党略に走り、有権者の平等性のための是正であるという最も重要な点を忘れているのではなかろうか。
参議院についても、7月に半数改選が行われる。参院については「44減」で区割り調整が行われているが、1票の格差は4.786倍にも達しており、このままでは違憲判決が行われる可能性が強い。そうなれば参議院は“非常識の府”とのレッテルを貼られかねず、致命的な不要論が強くなる恐れがある。
どの政党であれ、有権者、国民を犠牲にすれば、その政党に将来はない。
(2013.4.17.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
与党自民、公明両党は、4月12日、衆議院選挙の定数「0増5減」に基づく区割り法案を決定し、国会審議に移った。
しかし、「0増5減」により有権者の「一票の格差」の是正を行っても、格差は最大で1.998倍にもなり、かろうじて2倍以内におさめているに過ぎない。票の重さが1対1.998で有権者が平等、対等と言えるのだろうか。
2009年8月の総選挙では「1票の格差」が2.3倍であったが、最高裁は2012年3月にこれを「違憲状態」とし、立法府に是正を促していた。高裁レベルではそれまでに違憲判決がいくつか出されており、最高裁では衆議院について1972年の選挙から、また参議院については1992年の選挙から、違憲又は違憲状態との判決が出されており、その都度選挙区の区割りの微調整が繰り返されていた。20年以上に亘り国会において抜本解決が先送りされて来たと言えよう。
このような最高裁の判決、及び国会に対する是正勧告を受けて、2012年12月に行われた衆議院選挙において、「1票の格差」が最大で2.43倍のまま実施されたので違憲であるとの弁護士グループの訴訟に対し、区割り規定を違憲としたのを始めとして、全国で16件の裁判において、3月27日までに14件は格差が是正されないままで行われた選挙は違憲とされ、他2件も違憲状態とされた。特に広島高裁では選挙自体を無効とし、11月26日をもって効力が発生するとし、立法府に是正の猶予を与えたが、岡山支部は猶予を与えることなく無効とした。
憲法は、すべての国民は「法の下に平等」であって、政治的、経済的、社会的において差別されないと規定している(14条)。民主主義のいわば原点の規定である。
法の下の平等に基づけば、有権者の「1票の重さ」は基本的に1対1の関係でなくてはならない。技術上の問題もあるので、厳密に1対1にすることは困難としても、1対2以上はもとよりのこと、1対1.5や1対1.998では「法の下に平等」とは決して言えない。
「1票の重さ」を出来る限り1対1に近付ける努力が不可欠である。もし政治が自主的に努力を行わず、多くの有権者の平等性を犠牲にするのであれば、裁判所が毅然として「1票の重さ」の基準を示すべきであろう。立法府には十分過ぎる程の時間が与えられて来た。司法も国民に対しきちんとした解釈を示すべき時期に来ている。
与党自民、公明両党は、現行の「小選挙区比例代表並立制」を維持することを前提として、「比例代表定数(180議席)を30削減し、残る150議席のうち60議席を比例の得票率2位以下の中小政党に振り分ける」ことで合意しているが、これと切り離して小選挙区の「0増5減」を先行させるとして小選挙区制の区割り法案を衆議院に提出した。
他方民主党は、定数を小選挙区で30議席、比例代表で50議席削減(合計80議席削減)すべしとしており、政府与党の「0増5減」の先行では不十分としている。
衆議院で十分審議を尽くし、有権者の1票の平等性につき明確な考えを示すべきであろう。政府与党の「0増5減」の区割り法案が採択されたとしても、1票の価値は最大で1.998倍の格差が残り、従来違憲基準として示されて来た2倍に限りなく近く、十分な是正ではないと判断され、違憲とされる可能性が強い。
与党側は、昨年11月に民主党は「0増5減」合意した、今になって区割り法案に反対するのは理解できないとしている。しかし「0増5減」が実現する前に実施された昨年12月の選挙について、高裁レベルで31もの選挙区で違憲或いは違憲状態と判断され、立法府には既に是正のための十分な時間が与えられており、「0増5減」でも違憲との判断も示されている。与党側は「0増5減」で一番影響を受けるのは与党だとしているが、それはそうだろう。違憲の選挙で当選しているのは与党議員が一番多いからに他ならない。少なくても31議席が違憲選挙で選ばれており、本来であれば国会に居るべき人ではないのであろう。
そもそも自・公両党も、比例代表で30議席削減することを表明しており、民主党も小選挙区で30議席、比例代表で50議席削減(合計80議席削減)すべしと言ってわけであるので、何故ほとんど意味のない「0増5減」を先行させるのだろうか。2度手間という以上に、与党が実質的な定数削減に熱心でないことは明らかであり、また先送る意向なのだろ。
自・公両党は、有権者の1票の重さが1対1.998でも平等、対等、即ち1対1であると言い張るのであろうか。黒を白と行っているに等しい。無論、それで政権が維持出来るとの党利党略からすると巧みであるが、多くの有権者を犠牲にする。それでも良いと言うのだろうか。
憲法は、国のあり方や政体を決める基礎となる法律であるので、その解釈は明確である必要がる。もし自・公両党が、1対1.998で有権者は平等、対等(1対1)であると言い張るのであれば、不正、不条理な憲法解釈をし、多くの有権者の票を犠牲にして政権にしがみついているだけであり、もはや政権についている資格はないと言えないだろうか。また正しい憲法解釈も出来ないのに、憲法を改正する資格は全くないし、教育改革などを託すことには疑問が残る。これからを担う若い世代に訳の分からない不正、不条理な憲法解釈を示すべきではない。従来の1票の格差が、平等性を歪め、政治を歪め、数字認識を歪めて来ている。
また審議振りについても、好き嫌いは別として、等しく国民の代表である主要な与野党で解決策を見出すべきであろう。与野党ともに、誰のための是正かを認識すべきだ。どの政党のためでもない。有権者の票の格差を是正し、民主主義の原点である国民間の平等性を確保するためである。政党であるから仕方がない面はあるが、どうも与党も野党も、それぞれの党利党略に走り、有権者の平等性のための是正であるという最も重要な点を忘れているのではなかろうか。
参議院についても、7月に半数改選が行われる。参院については「44減」で区割り調整が行われているが、1票の格差は4.786倍にも達しており、このままでは違憲判決が行われる可能性が強い。そうなれば参議院は“非常識の府”とのレッテルを貼られかねず、致命的な不要論が強くなる恐れがある。
どの政党であれ、有権者、国民を犠牲にすれば、その政党に将来はない。
(2013.4.17.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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