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シリーズ平成の本音―「9増9減」の区割り案でお茶を濁すのか?

2015-02-25 | Weblog
シリーズ平成の本音―「9増9減」の区割り案でお茶を濁すのか?
 衆議院の選挙制度見直しについて、2月9日、有識者会議(衆議院議長の諮問機関、座長佐々木元東大総長)で検討を始めた。有権者の1票の格差是正のため、現在よりも人口比を反映した新方式を検討するとされている。
 具体的には、「アダムズ方式」とかで、人口の少ない県でも2つ以上の選挙区が割り振られ、‘最高平均方式’に基づき人口比を反映しつつ都道府県毎に選挙区数を割り振って行くようだ。伝えられるところによると、小選挙区数を現在の295とすると、青森、岩手、宮城、三重、滋賀、奈良、熊本、鹿児島、沖縄の9県で選挙区を1つ減とする一方、東京が3増の28選挙区、神奈川が2増の20選挙区とする他、埼玉、千葉、静岡、愛知各県でもそれぞれ1選挙区増とするようだ。佐々木座長は、この選挙区の「9減、9増」で、‘最高裁が合憲としている格差2倍以下になる’と共に、‘今後の人口変動にもある程度対応できる’としているようだ。
 何ともスケールの小さい、事務的で安易な意見ではないか。
「選挙制度見直し」ということであれば、2012年11月の党首討論で安倍自民党総裁(当時)は解散総選挙の前提として野田首相(当時)に対し「定数削減」を確約していた。従って、区割りを検討する以前に、抜本的な「定数削減」を提案すべきであろう。財源の逼迫と今後の人口減を考慮すると3割程度の削減をして置く必要があろう。
 また区割りについても、「9減、9増」程度の従来同様の最低限の小手先の調整で、最高裁が合憲ラインとしてきた格差2倍以下をぎりぎりクリアーするような案では、有権者の公平が保たれるとは言えない。有識者会議が、国権の最高機関としての立法府に代わって検討しているにも拘らず、独自性に欠け、司法の考えに従属しているようなものだ。
その司法の「格差2倍以下」との見解も、合憲か違憲かというギリギリの基準を示しているに過ぎず、健全な民主主義を構築する上で不可欠な有権者の1票の重さの平等性について、立法府としての姿勢を国民に示されなくてはならない。その姿勢が全く見られない。恐らく事務方が用意した数字を示しているに過ぎず、お粗末過ぎる。
2012年12月の選挙についても多くの違憲や違憲状態の判決が出されたが、2014年12月の衆院選挙についても、弁護士グループが、‘憲法が保障する法の下の平等に反するとして、すべての小選挙区の選挙無効を求めて全国で一斉提訴’している。今回は更に多くの違憲判決等が出される恐れがある。
 憲法は、すべての国民は「法の下に平等」であって、政治的、経済的、社会的において差別されないと規定している(14条)。民主主義のいわば原点の規定である。法の下の平等に基づけば、有権者の「1票の重さ」は基本的に1対1の関係でなくてはならない。技術上の問題があるので、1対1というわけには行かないだろうが、1対1.2か1.3以内にすることは容易であろう。「1票の重さ」を出来る限り1対1に近付ける努力が不可欠である。本来であれば、裁判所がそのような見解を示すべきであろう。
 また“人口の少ない県でも2つ以上の選挙区が割り振られる”との考え方のようだ。しかし、2040年には人口が1万人を割る自治体が523、全体の30%弱は「消滅の可能性が高い都市」になるとの調査結果もあるので、現行の都道府県ベースの選挙区割りでは、格差が解消するどころか、歪みを更に悪化させる可能性がある。だからこそ、道州制の検討が行われているのではないか。
 日本の民主主義の基礎となる1票の重みについて如何に平等性を保つか、そして人口減少を前にしてどのように公正な選挙区を決めるかという抜本的な選挙制度の見直し、議席削減が問われている。それに応えるべきであろう。(2015.2.21.)
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