シリーズ平成の本音-‘自衛隊員の安全を守る’は世界の笑いもの!?
安倍政権は、日本の‘存立危機事態’に際する集団的自衛権行使を含む安全保障関連法案を衆議院で採択し後、参議院の審議も終盤を迎えており、9月18日ころまでに成立を期している。
この安保関連法案の最大の焦点は、集団的自衛権行使に伴う武力行使が合憲か否かであり、多くの憲法学者等が違憲としている。
しかしもう一つの現実的な問題は、派遣され場所での自衛隊員の‘安全確保’が求められていることだ。国連の平和維持活動(PKO)や多国籍軍等の下での兵站支援や復興支援目的などでの自衛隊派遣に際し、自衛隊と同一行動を取っている諸国や同盟国の軍隊が反政府軍やテロ組織等により武力攻撃された場合、自衛隊は、駆けつけ援護を含めて敵対勢力に対し反撃をすることが可能になるが、戦闘に巻き込まれることになる。政府側は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、安全確保に努めるとしている。駆けつけ警護を含めて敵対勢力に対し反撃を可能にしておいて、安全確保もないものだ。安保関連法案は、戦闘の可能性を広げており、自衛隊員の安全が損なわれる可能性は高まる。
政府は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、努力するなどとしているが、何らかの形で敵対勢力から武力攻撃されることは排除されず、ましてや応援的反撃の場合には交戦となることは避けられず、それが任務であるので、現場での自衛隊員の‘安全確保’などは空ごとに過ぎない。危険な地域に派遣されるので、相応の武器を携行している。
安全の問題は、派遣される自衛隊員以上に、このような自衛隊の海外派遣、国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、敵対勢力から日本人や日本自体が敵視され、安全が損なわれる可能性も考慮されるべきであろう。2003年12月に、米国よりの強い要請で、イラクのサマアに‘人道復興支援’のため自衛隊が派遣されたが、2009年2月までの派遣期間に、死者は出なかったものの何回も施設周辺に砲撃等を受けている。しかしそれ以上に、自衛隊のイラク派遣に対し、モスレム過激派アルカイーダは、日本を敵対国に含め、世界のどこでも日本人を攻撃すると表明した。その警告は、2015年1月に日本人2人がイスラム国に処刑されたことに繋がっている。日本の国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、日本国民が世界でより大きな脅威にさらされることを認識し、そのための安全策を講じることの方が大切だ。
更に、同盟国米国や友邦国の軍隊と自衛隊が共同行動等を取っている際に、同盟国の艦船等が敵国より攻撃された場合、集団的自衛権行使の一環として、自衛隊が援護のため敵国を攻撃する場合が想定されている。この場合、敵国は日本を攻撃しているものではないのに攻撃してきたと捉え、自衛隊に反撃して来るであろうし、場合により、この敵国への日本の宣戦布告と解釈され、日本を武力攻撃の対象として来ることも有り得るので、自衛隊だけでなく、日本自体の安全に重大な影響を与える可能性がある。集団的自衛権の行使は、一定の抑止力となろうが、危険も広がる。
首相側は、日本人の生命と財産を守るためと説明しており、確かにその面はある。しかし集団的自衛権の行使については、米国の安全を守り、米国の世界戦略と世界の警察としての役割を自衛隊を派遣して協力する可能性を確保するためのものであり、日本は自衛隊員や日本人の命を掛けて双務的に同盟関係を促進することを第一義的な目的にしている。
新たな‘安全神話’を作り出すのではなく、集団的自衛権行使や国際的な平和・治安活動への参加拡大により、派遣された自衛隊の安全が損なわれる可能性は高くなると共に、日本人自体の安全にも重大な影響を与えることにつき、日本国民の理解と同意を得る必要であろう。その歯止めが憲法となっているのであろう。(2015.9.19.)(All Rights Reserved.)
安倍政権は、日本の‘存立危機事態’に際する集団的自衛権行使を含む安全保障関連法案を衆議院で採択し後、参議院の審議も終盤を迎えており、9月18日ころまでに成立を期している。
この安保関連法案の最大の焦点は、集団的自衛権行使に伴う武力行使が合憲か否かであり、多くの憲法学者等が違憲としている。
しかしもう一つの現実的な問題は、派遣され場所での自衛隊員の‘安全確保’が求められていることだ。国連の平和維持活動(PKO)や多国籍軍等の下での兵站支援や復興支援目的などでの自衛隊派遣に際し、自衛隊と同一行動を取っている諸国や同盟国の軍隊が反政府軍やテロ組織等により武力攻撃された場合、自衛隊は、駆けつけ援護を含めて敵対勢力に対し反撃をすることが可能になるが、戦闘に巻き込まれることになる。政府側は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、安全確保に努めるとしている。駆けつけ警護を含めて敵対勢力に対し反撃を可能にしておいて、安全確保もないものだ。安保関連法案は、戦闘の可能性を広げており、自衛隊員の安全が損なわれる可能性は高まる。
政府は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、努力するなどとしているが、何らかの形で敵対勢力から武力攻撃されることは排除されず、ましてや応援的反撃の場合には交戦となることは避けられず、それが任務であるので、現場での自衛隊員の‘安全確保’などは空ごとに過ぎない。危険な地域に派遣されるので、相応の武器を携行している。
安全の問題は、派遣される自衛隊員以上に、このような自衛隊の海外派遣、国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、敵対勢力から日本人や日本自体が敵視され、安全が損なわれる可能性も考慮されるべきであろう。2003年12月に、米国よりの強い要請で、イラクのサマアに‘人道復興支援’のため自衛隊が派遣されたが、2009年2月までの派遣期間に、死者は出なかったものの何回も施設周辺に砲撃等を受けている。しかしそれ以上に、自衛隊のイラク派遣に対し、モスレム過激派アルカイーダは、日本を敵対国に含め、世界のどこでも日本人を攻撃すると表明した。その警告は、2015年1月に日本人2人がイスラム国に処刑されたことに繋がっている。日本の国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、日本国民が世界でより大きな脅威にさらされることを認識し、そのための安全策を講じることの方が大切だ。
更に、同盟国米国や友邦国の軍隊と自衛隊が共同行動等を取っている際に、同盟国の艦船等が敵国より攻撃された場合、集団的自衛権行使の一環として、自衛隊が援護のため敵国を攻撃する場合が想定されている。この場合、敵国は日本を攻撃しているものではないのに攻撃してきたと捉え、自衛隊に反撃して来るであろうし、場合により、この敵国への日本の宣戦布告と解釈され、日本を武力攻撃の対象として来ることも有り得るので、自衛隊だけでなく、日本自体の安全に重大な影響を与える可能性がある。集団的自衛権の行使は、一定の抑止力となろうが、危険も広がる。
首相側は、日本人の生命と財産を守るためと説明しており、確かにその面はある。しかし集団的自衛権の行使については、米国の安全を守り、米国の世界戦略と世界の警察としての役割を自衛隊を派遣して協力する可能性を確保するためのものであり、日本は自衛隊員や日本人の命を掛けて双務的に同盟関係を促進することを第一義的な目的にしている。
新たな‘安全神話’を作り出すのではなく、集団的自衛権行使や国際的な平和・治安活動への参加拡大により、派遣された自衛隊の安全が損なわれる可能性は高くなると共に、日本人自体の安全にも重大な影響を与えることにつき、日本国民の理解と同意を得る必要であろう。その歯止めが憲法となっているのであろう。(2015.9.19.)(All Rights Reserved.)
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