記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

5年先を予見すると言うこと

2013年09月18日 17時20分26秒 | Weblog
2008年の金融不安と同じような金融危機が、今は5年の周期で生じるという記事を読んだことがある。
リーマン・ショックから5年経ち、関連する解説あるいは論説記事が沢山あって、その一つだった。
2008年の危機では影響が全世界に及んだが、今日のそれは中国とか、ある程度限られた範囲で生じているとのことだった。

その昔、資本主義経済では恐慌が10年周期で起きるという説があり、やがて30年経ち50年経っても起きなくなると資本主義が帝国主義に質的に変化したからであり、今度起きるときは更に大規模になると予言されたりしたように記憶している。
古典的な経済学では恐慌は生産力と生産関係とか、需要と供給とかのバランスの推移で説明されるとしていたが、確率過程の統計学が進歩してからは、線形回帰モデルが用いられるようになり、沢山のランダムな事象の重なり合いでシステムにフィルターのような回路が生じ、その出力として周期的成分が観測されるようになると説明されるようになった。

沢山の神経細胞がそれぞれに単純な活動波形を出力していて、その全体を頭皮から測定すれば10サイクルの周期を持つアルファ波が見られたりする。アルファ波を出すための構造があって閉じたり開いたりするという仮説が用いられたことも有ったが、脳波の統計解析でも線形モデルによってフィルタリングの効果だと解釈する方が理解しやすい。

地震や津波についても、その生起確率とか周期とかを言う場合、統計学的推論があってのことだとすれば、類似の事象を仮想し、それが無限にあるという暗黙の仮定が行われて線形モデルが用いられていると考えて良い。
その為には、仮想の事象のように無限ではないが、それに相応する現実の事象がなければならない。実際、例えば1000年に一度の貞観大地震であれば、それに相応する地震が地球規模であれば毎年数回の頻度で生じているし、東北地方に限定せず日本全体を見れば同じ規模の地震が過去数百年に数回生じている記録もある。近い将来に南海大地震が起きるという予測も理解できる。

このような予測を行う場合、数理的根拠はないが、もう一つ仮定を設けると都合が良い。
こうした確率過程の分布はサイコロを振ってピンが出る確率のような離散確率の分布と違って、いつどこで起きるか分からない事象の連続分布であって、今ここで直ぐ起きる公算もゼロでない。試みに、今か今かと精神を集中して地震の発生を待ち受けてみたりしたら自分が発狂するのではないかと思えてくるだろう。想うに物理学や数学の少なからぬ天才たちが発狂したのは、そうした精神力を発揮したりしたからではないだろうか。
数学的には連続確率だが、現実には連続しないという仮定があれば良い。
神経の活動に不応期があるという考え方が用いられたように、事象の間には微小な間がある、と。

余りにご都合主義の仮定で、怠慢の口実に使われるだけになるといけないが、大きな振動の後に沢山の微小な振動があって次の大きな振動が生じると考えれば良い。
金融不安もそのような確率過程だが、この場合は微小な事象が沢山あって、さあ5年だと言っているのかも知れない。
個々の微小事象そのものが重要であって、むしろ5年かどうかはどうでもいいのかも知れない。

ぼく個人だけのことであって、誰にでも通用することでないかも知れないが、自分のことを振り返ってみると5年先を予見できたことはないし、5年後を当てにして行動できた試しもない。
同じような性格の人々が日本経済の長期計画を建ててきたためかどうか、日本の国の借金は1,000兆円になっているとか。
これを早く何とかしないといけないと考える人が多いようだが、少なくとも今は問題にする必要ないと考える人も有る。
アメリカも長年の間、毎年赤字財政で、中国や日本に借金してやり繰りし、世界の警察の役割を果たしてきたようである。
多くの日本人は、まだ借りがあると考えても貸しがあるとは考えず、そうでなくても返せと主張するものはいない。
世界中に張り巡らしている軍事基地を引き払えということになると、賛否様々だが、その経済の仕組みを見習うべきとする人々の政治勢力の優勢は揺るぎそうにない。

レーガン、ブッシュ、オバマと政権は交代したが、軍事と金融を支配する勢力に変化はなかったらしい。
ようやくイラクから引き揚げた軍はアフガニスタンに持って行き、さらに当てもなくシリアに介入を拡大しようとし、今ようやく人々の厭戦気分に抑えられようとしているのだろうか。
庶民の楽観性を利用して、その借金生活を拡大し、金融緩和の弊害を世界中にばらまいて混乱を招きながら、なお金融規制に従わない勢力があり、その金融拡大の論理を主導してきたサマーズがFRB議長候補を辞退したという。今ようやく彼らは矛を収めようとしているのだろうか。


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