記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

「ワープする宇宙」読書メモ

2012年10月05日 10時56分38秒 | Weblog
リサ・ランドール(著) 塩原通緒(訳)
「ワープする宇宙:5次元時空の謎を解く」 NHK出版 2007

SFなら「ワープ」といえば「宇宙旅行における瞬間移動」。物理なら「宇宙スケールでの質量による時空の歪み」。
ここでは幾何学的な意味で空間が平坦でないこと。

原タイトルをカナ混りで直訳すれば「ワープするパッセージ」。
「パッセージ」とは「タテ・ヨコ・タカサ」の次にある第4番目の空間次元。
常には「余剰次元」と言ってきたこと。
高次元時空の話では時間の次元は1つだけとされるから、宇宙空間を時空として捉えるなら第5番目あるいは5番目以上の次元。

読者が誤解したままになることを怖れないで、間違えを承知の上で販売を優先する編集者たちが敢えて誤訳を付けたと思われます。

従来、余剰次元は小さく巻き上げられているから見えないだけだと言われてきたが、ワープしているから見えないのであって、必ずしも小さくなく、もしかしたら無限大の可能性もある、と述べている。

ワープした幾何モデルなら、重力が他の力より極端に小さいことを説明できる、と。
さらに、超対称性の仮説なしにヒッグス粒子あるいは質量の起源についての理論が可能だ、とも考えているらしい。

訳書は平明な文体で書かれているので、つい流し読みし、気が付くと文と文の間の繋がりが読み取れなくなっていたりしました。
頻発する単語に「自然に」というのがあるが、どういう意味か皆目見当がつかなかったり、
訳者は”complex”を「複雑な」と訳し、監修者から「複素数」だと指摘された、と「あとがき」で述べていたが、「複素数」の語があったという記憶がなかったりしました。
そんなことから、読み始めて何度も途中放棄し、いまだに読み通していません。

一体どこまで理解できているか覚束ないが、スプリンクラーで庭に水撒きをする譬や、鳥好きが池でアヒルにエサやりする喩え話は分かり易く面白い。
そうした話しの背後に数学的モデルが有って、そのモデルで計算した結果として、「ワープしたパッセージ説」という予測が述べられているらしい。
その計算がどのようなものか、著者は説明する必要がないと考えているのかも知れない。
文と文の間の繋がりがブラックボックスになっているような気がするのは、そういうことかも知れません。

インターネットで検索すればフリーの原文をPDF形式でダウンロードできます。
丁寧に訳文との対応づけをすれば、もっと納得がゆくようになるかも知れないとも思っていますが、つい億劫でまだ果たしていません。



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1 コメント

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工藤タイキ (八神太一)
2013-12-10 17:23:05
当然ワープ技術とか超光速航法とかワームホールの使用方法が書かれた本ですか?
無論ワープ技術とか超光速航法とかワームホールの利用手段を紹介してる書籍ですか?
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