記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

ペンローズの三角形

2008年09月24日 13時18分24秒 | Weblog
「ペンローズの三角形」を細切れにしてアニメを作りました。
「シェパードのコンピュータ合成音」を付け、「ペンローズの三角形」という題でYouTubeにアップロードしてあります。

「3本の積木」は閉じた三角形を作っているように見え、やがて矛盾があるように思えてくることから「不可能図形」と呼ばれたりします。
しかし、現に組み立てが可能であり、謎解きを求めています。
私の絵心が足りなくて写真に不用意な影が写り、ヒントになっています。

ペンローズは永久に同じ所を昇り降りする階段の絵を作り、三角形の絵と併せて「2つの新しい錯視図形」という論文を父親と連名で発表しました。


ペンローズの三角形

もし2次元の小人がいて、メービウスの輪の平面を蟻が這うのと同じような仕方で、この三角形の面の上を歩いたとしたら、逆進しないのに元に戻り、閉じた輪だと思って、矛盾も感じないでしょう。


ペンローズの無限階段

シェパードはこの階段の絵に対応する音をコンピュータで合成しました。
無限に下降する音は何故かB29の爆音を連想させます。
絵と音が通じ合うかどうか、聞いてみてください。

ペンローズは「皇帝の新しい心」「心の影」などで有名ですが、「ペンローズのタイル」というパズルもあります。
心(=意識)を物理学で説明することは、物理学が全てを説明する究極の理論に到達するまで出来ないと言っています。
一般には全てを説明する理論として「超ひも」が期待されていますが、彼はツイスターと呼ぶ数学的オブジェクトを創っており、「タイル」はその具象化かも知れません。

アニメのアドレスは
     http://jp.youtube.com/watch?v=NNNs3agFT7k
です。
Premiere Elementsで絵や音を配置し、flv(フラッシュ・ムービー)の形式で出力したら、今までになく短時間でアップロードできました。

音はピアースによる「音楽の科学(日経サイエンス社)」のCDから借用しました。
合成音の作り方など詳しいことが載っています。
写真の積木は木下冨雄他による「教材心理学(ナカニシヤ出版)」のための示範実験セットを組んで撮ったものです。

ブログの挿絵は安野光雅「ふしぎなえ(福音館書店)」から撮りました。
ペンローズの錯視に刺激されてエッシャーは「無限と有界の次元」を描き出すためにさまざまな工夫をしています。
その世界をメルヘンにしたのが安野光雅の絵本です。
無限階段については沢山のバージョンがあり、エルンスト「エッシャーの宇宙(朝日新聞社)」が最も詳しいようです。

ペンローズの三角形は2次元の空間の連続した要素からなるオブジェクトだと見ていたら不可能図形になるけれど、3次元空間の不連続な要素からなる図形だとすれば実現可能だという意味で空間の次元の問題です。
それは彼の一般化逆行列の考え方に繋がっており、因子分析などの多変量データ解析では大変助けられます。

アニメは、図形を更にバラバラな要素に分解すれば次元の矛盾は無くなるということを示しています。

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