YUKON

無数に分岐しふたたびひとつに戻っていく、ユーコン川の流れのように…

見えないけどそこにあるもの

2007-10-23 | 日々のひとしずく
誰かの何気ない言葉に傷ついたり、ささいなことに心が波立ったり。
自分の感情を、持て余してしまう。

でも、そんな感情を感じることができてよかった。

傷ついたとき、同じように傷ついている人に一番近づけるような気がする。


今日は、十三夜です。
日本の何処にいても、空を見上げれば同じ月の美しさを共有できるって、いいですね。

「十三夜に曇り無し」というほど、十三夜は晴れることが多いそうです。

ですが、今日は曇りの日のことを考えていました。
曇りの夜も、その向こうに輝いている月があると感じることができたらいいな。

月だけじゃなくて、他のいろんなことも。
見えないけどそこにあるもの、意識していなくても確かにそこに存在する何か。
そういうものを感じながら日々を過ごしていけたら・・・。
きれいな月を見ながら、ふとそんなことを思いました。

変化するということ

2007-10-21 | 日々のひとしずく
今日は、美容院に行ってきた。
担当の美容師さんはとても面白い人で、いつもいろいろお話をする。
今年の夏には富士山に登ったそうで、今回はそのお話を聞かせてもらった。
登頂からは、素晴らしい御来光を眺めることができたそうだ。

「富士山に登って、自分の中で何かが変わると思ってたんですけど、変わりませんでしたね。」

と、その美容師さんは言っていた。
富士山に登って感動し自分が変化すると思っていたのに、実際は期待していた感動を味わえなかったそう。
それを聞いて、私もなんだか考えさせられてしまった。
感動と変化を求めても、その期待を裏切られること、私もよくある。


感動は、時に思いもかけず突然やってくる。
それは何か非日常的なひと時であったり、日々の何気ない一瞬であったりする。
ただ、ひとつの感動で人間が劇的に変化するということは、とても稀なことなのかもしれない。
日々のひとつひとつの体験や感動の積み重ねがその人の中で時間をかけて熟し、ある時“変化”としてその人の表面に現れてくるような気がしている。


星野道夫さんの「旅をする木」の中で、こんな問いかけがあった。
たとえば、泣けてくるような夕陽を見たとき。
愛する人にその美しさやその時の気持ちをどんな風に伝えるか?
写真に収めるか、絵に描くか、それとも言葉で伝えるか。

本の中では、次のように答えられていた。
“その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくこと”と。


私は感動することがあると、ブログに書いたり人に伝えたりする。
言葉にすると、体験のぼんやりとした輪郭が、はっきりするから。
そして、自分の中だけで終わらせてしまうのはなんだかもったいない気がする・・・あるいは、寂しいのかもしれない。

でも時に、言語化することを意識するあまり、知らず知らずのうちにそうでないものに無感覚になってしまう自分がいる。
人には、誰にも言えない秘めた出来事や、繊細でもろい感覚・・そんな言葉には表すことのできない体験がある。
そんな体験を、大切にしよう。
そしてその経験は、表そうとしなくても、きっと“変化”の一部として現われて、その人の大切な部分を形作っていくだろうから。

冬じたく

2007-10-20 | 日々のひとしずく
急に、冷え込みましたね。
季節が、あわてて冬支度をはじめたのかな?

それに合わせて、私も今日カーペットとこたつ、ストーブを出しました。
今年初めてつけた石油ストーブの匂いで、冬が現実味を帯びてきました。

今朝ふと家の前の草原に行ってみたら、秋の気配が深みを増していました。
最近はススキがきれいです。
つやつやとした穂に、見とれてしまいます。

そして、澄んだ空気の冷たさ。
その冷たい空気に漂う静けさ。
他の季節にはない静けさが、冬にはある気がします。

まだ季節は秋だけど、今日はそんな冬の気配を感じた一日でした

親身

2007-10-19 | 日々のひとしずく
風邪で寝込んでいて気持ちも少し弱っていたときに、ヨーガの先生から“助けがいるようならいつでも遠慮なく言ってね、お粥つくって持って行くから”とメールが来た。

先生からしたら、私は何十人もいる生徒の中の一人なのに、そんな私にまでそこまで親身になってくれたことが、とてもとても嬉しかった。
風邪の間ずっと、その先生の言葉を思い出すたび、心があったかくなった。
風邪が治った今も、心に残ってる。

家族やとても親しい人にだったらできるかもしれないけど、そうでない人にはなかなかできないことだと思う。

身の周りの人に対してとても深い愛情を持って、人のために自分の時間や労力を削ることをいとわない先生。
私も、そういう風になりたい。

食欲の秋

2007-10-18 | おいしいもの
大家さんからとってもおいしいいちじくをいただきました。
他にも、いちじくのジャムや、いちじくをまるまる煮た“ワイン煮”や、いろいろいただきました。
いちじく大好き
外見からは想像もつかない真っ赤な果肉と、他の何の食べ物にも似ても似つかない味で、私にとっていちじくってなんだか特別な食べ物です。

そして、小さい頃おじいちゃんの自転車の後ろに乗せてもらって畑にいって、いちじくを食べさせてもらったことを思い出します。

・・・実はしばらく風邪で高熱を出してダウンしていました。
一昨日の朝、熱がおさまりかけた時に無性に食べたくなって作った味噌おじやがとってもおいしくて、食べると体の芯から力が湧いてくるような感じがしました。
そして本当に、おじやを食べてからどんどん元気になりました。

食べ物って本当に人の心も体も元気にしてくれるんだなぁ。

今回の風邪で、あらためて元気であることのありがたさを感じました。
食べたいと思うこと、景色をきれいだと思うこと、何かをしたいと意欲がわくこと。
これって当たり前のことじゃなくて、健康だから感じられることなんだな。
さ、早く治してこの季節を楽しもう

旅をする木

2007-10-06 | 
この本はすごいです。

著者の星野道夫さんは、アラスカに住みついて自然や動物を撮り続けた写真家ですが、熊に襲われて亡くなりました。

「熊はすごいと思う。
 どこがすごいかというと、一撃で人を殺せるところ。
 人間が大きな破壊力と支配力を持つような今の時代においてもなお、
 その人間が一撃で殺されてしまうような自然の力が残っているということが、
 嬉しくも感じる。」

・・・というようなことを、星野さんは先日見たガイアシンフォニーのVTRで言っていて、動物の中でもとりわけ熊に対して尊敬の思いを持っているようでした。
VTRで、多くの人が星野さんの突然の死を悲しんでいましたが、その死が、命が廻っていく中でのごく自然な出来事というのなら、彼は納得して死んでいったのだろう、とも言っていました。

この本はそんな大自然アラスカの地での出来事を綴った短編集ですが、壮大な出来事を目の前にして感じる、星野さんの感性の細やかさと深さに、思わず感動のため息をついてしまいます。
そして言葉遣いが洗練されていて、表現も美しいです。

読みはじめに目に留まった、素敵な文章を少し紹介。

- 人間の気持ちとは可笑しいものですね。
  どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、
  風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。
  人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。
  きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。

・・・今読んでいる途中。
全神経を集中させて読みます