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経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

瀕死の 原子力発電 (上)

2019-07-12 08:21:06 | エネルギー
◇ 新たに「未知の活断層」対策を追加 = 原子力規制委員会は原発の安全性をさらに高めるため、新たに「未知の活断層」対策を追加する方針。今月中にも正式決定し、各電力会社に通知する。これにより、いま稼働中の原発が停止を余儀なくされたり、安全審査に合格した原発の稼働が延期される可能性が出てきた。さらに原発の発電コストがいっそう上昇するなど、原発の将来性にも疑問を生じそうだ。

福島第1原発の事故を受けて、原子力規制委員会は12年の発足以来、原発の安全性を高めるため数々の対策を講じてきた。地震や津波に始まり、最近では火山やテロ対策。そしてまた地震に戻って、既知の活断層だけでなく、未知の活断層も対象とすることになったわけ。その背景には、最近数年間に全国で起きた地震データの集積がある。

東日本大震災の前、日本では54基の原発が稼働していた。それが事故や廃炉によって、現在では34基に減っている。しかも、そのうち規制委員会の安全審査に合格して、再稼働しているのはわずかに9基。このなかでは川内原発1-2号機と高浜原発3-4号機が、テロ対策のための工事が間に合わず、来年3月から10月にかけて次々と運転停止に追い込まれる見込み。

そのうえ「未知の活断層」対策が発動されると、停止を余儀なくされる原発はもっと増えるかもしれない。また、これまでの安全基準をクリアした女川原2号機や島根2号機などは、再審査となる可能性が高い。こうしてオリンピックのころになると、稼働している原発の数は片手で数えられる程度に減ってしまいそうだ。

                             (続きは明日)

       ≪11日の日経平均 =上げ +110.05円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

割れた 景気判断 : 日銀と街角

2019-07-11 07:55:50 | 景気
◇ 日銀は「拡大や回復」、街角は「悪化」 = 日銀は8日、7月の地域経済報告を発表した。全国9地域の景気動向についての判断を、すべて4月時点の判断のまま修正しなかったことが、今回の報告の特徴。その内容は、景気は拡大中あるいは回復中というもので、米中貿易戦争や消費増税などの不安要因はあるものの、全体としては楽観的な見方となっている。

日銀は3か月に1度、支店長会議を開いて各地域の経済情勢を報告させている。その結果をまとめたものが、地域経済報告だ。今回の内容をみると、東海地域が「拡大」で、北陸・関東甲信越・近畿・中国・九州沖縄が「緩やかに拡大」。また北海道・東北・四国が「緩やかな回復」という結論だった。

一方、内閣府は同じ8日、6月の景気ウオッチャー調査を発表した。それによると、全体の景気判断指数は44.0。前月に続いて低下しており、3年ぶりの低い水準に落ち込んだ。この調査はレストランの店長やタクシーの運転手など、景気に敏感な仕事についている人を対象に“体感”を聞いている。街角の景気指数とも呼ばれ、判断指数が50を切ると景気は悪化と認定される。

地域別にみると、最も判断指数が低かったのは甲信越地域で39.2と40を割り込んだ。次いで東北地域が40.7。高かったのは沖縄が49.0、北海道が47.9だが、いずれも50には達していない。こうして日銀と街角の景気判断は、完全に相違した。「景気は悪化」の結論を出すと、日銀はさらなる金融緩和を迫られる。それは困るというので、日銀の支店長は“忖度”したという見方もあるが、それはさすがにウガチすぎだろう。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -31.67円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

分水嶺に立った 景気 / アメリカ (下)

2019-07-10 07:20:53 | アメリカ
◇ 要注意なのは信用度の低い社債の溶解 = 分水嶺に達したアメリカ経済にあって、なお光り輝いているのが株価と雇用。この輝きのために、景気の判断は強くなりがちだ。このうちダウ平均は先週、史上最高値を9か月ぶりに更新した。米中貿易交渉の再開とFRBによる利下げ期待が原動力だが、基本的にはカネ余りがもたらす現象だろう。結局はリスクが下がれば、カネを株式市場に注ぎ込むしかない。

もう1つの雇用には、少々ナゾが多い。工業生産の水準が下がり気味なのに、6月の雇用統計では製造業や建設業の雇用者数が増えている。5月に減少したことの反動もあるだろうが、全体として人手不足感が解消しないのはなぜなのか。アメリカでも「団塊の世代が定年を迎えつつあるからだ」という説明もあるが、それだけではどうも納得できない。

株価と雇用が絶好調なことから、アメリカの景気はまだ拡大を続けるという見方も強い。その可能性も小さくはないが、景気のピークが近づいていることも確かだろう。ただ拡大が緩やかだったために、次の後退は短くて浅いという観測も強い。しかし景気が下降を始めた場合、今回は特に注意すべきことがある。

それは長年のカネ余りで、信用度の低い企業の社債が急増していること。5%程度の金利につられて、大量の資金が集まっている。景気が好調なうちはいいが、いったん景気が下降に向かうと倒産が続出。これらの社債で組成したレバレッジ・ローン債などは紙くずに。規模の違いはあるかもしれないが、あのリーマン・ショック時と同じ金融不安を惹き起こす危険が、日に日に増大していることは確かである。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +30.80円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

分水嶺に立った 景気 / アメリカ (上)

2019-07-09 08:03:24 | アメリカ
◇ 7月で史上最長の景気拡大を記録 = アメリカの景気は、リーマン不況が底入れした09年7月から拡大を続けている。したがって、この7月で121か月目。91-01年に作った120か月の過去最長記録を破ることは確実になった。この間にダウ平均株価は約3倍に上昇、雇用情勢は劇的に改善して失業率は10%から3.6%にまで低下している。しかし米中貿易戦争の影響もあって、最近の景気には注意信号も。まだ拡大を続けるのか、それとも後退に向かうのか。分岐点にさしかかっている。

今回の景気拡大の特徴は、低成長という事実。たとえば91-01年のときは、年平均の成長率が3.6%だった。それが今回は、これまでの平均が2.3%でしかない。一部の経済学者は、この低成長率が景気を長期にわたって拡大させたと主張している。つまり景気の急ピッチな上昇がなく、その反動もなかったというわけだ。この論法は、いまの日本経済にも当てはまるかもしれない。                                                                                            

しかし10年もの拡大が続くと、さすがに疲れがみえてくる。たとえば工業生産指数は、ことしになってから前年比がマイナスになりがち。小売り売上高も前年比の伸びが縮小してきた。ISM(サプライ・マネジメント協会)の製造業景況指数も低下を続け、6月には51.7と、好不況を分ける50に急接近している。そして4-6月期の企業決算は、確実に減益となる。

これまで“一人勝ち”してきたアメリカの景気は、史上最長の拡大記録を作ったところでピークを迎えるのか。それとも、もうひとヤマ登るのか。もちろん米中貿易戦争が終結すれば、景気には活が入るだろう。だが半面、FRBによる政策金利の引き下げは遠のくかもしれない。確かなことは、アメリカの景気が微妙な段階にきているという事実である。

                                (続きは明日)

       ≪8日の日経平均 = 下げ -212.03円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-07-08 08:31:50 | 株価
◇ ダウは史上最高値を更新 = アメリカは先週4日が独立記念日。ダウ平均株価はその前日の3日、終り値が2万6966ドルに達し、9か月ぶりに史上最高値を更新した。米中貿易交渉の再開とFRBによる利下げ期待が、株価を押し上げた。この日はSP500とナスダックの株価も、そろって最高値を更新している。ところが休日明けの5日、朝方に6月の雇用統計が発表されると、株価は反落した。

雇用統計の内容は、非農業雇用者の増加数が22万4000人。予想を大きく上回る結果だった。景気がいいことを示す経済指標が発表されたのに、株価が下がる。FRBによる利下げが遠のくのではないかと、投資家が心配したからだ。カネ余りの金融相場ではもう慣れっこになった、一種の矛盾である。ダウ平均は週間322ドルの値上がり。

日経平均も先週は470円の値上がり。米中貿易交渉の再開は好材料だが、アメリカの利下げムードは円高につながるため悪材料。それにしても東京市場の株価は戻りが鈍い。ダウ平均が年初来3600ドル上げたのに対し、日経平均は1700円しか上昇していない。その原因は、もっと追究されていい。今週はダウが2万7000ドルに載せるかどうかがポイント。

今週は8日に、5月の国際収支、機械受注、6月の景気ウォッチャー調査。9日に、5月の毎月勤労統計。10日に、6月の企業物価。11日に、5月の第3次産業活動指数。アメリカでは11日に、6月の消費者物価。12日に、6月の生産者物価。また中国が10日に、6月の消費者物価と生産者物価。12日に、6月の貿易統計を発表する。

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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