経済なんでも研究会

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瀕死の 原子力発電 (下)

2019-07-13 07:13:15 | エネルギー
◇ エネルギー計画は崩壊した = 津波対策では防潮堤のカサ上げ、テロ対策では原子炉から100㍍以上離れて監視・冷却が可能な施設を造らなければならない。この結果、13年時点では9000億円と想定されていた電力各社の安全対策費は、現在4兆8000億円にまで跳ね上がっている。当然、この費用は発電コストに加算され、電気料金に上乗せされる。つまり「発電コストがいちばん安いのは原子力」という通説は、覆されることになるわけだ。

政府は「原子力を将来にわたる基幹電源」と位置づけている。しかし現状から判断する限り、その可能性はゼロに等しい。また政府が基幹電源と位置付けている、もう1つの再生可能エネルギーも、強制買い取り制度が完全に裏目に出て、ほとんど増加していない。政府のエネルギー基本計画によると、30年には電力の20-22%を原子力で、22-24%を再生可能エネルギーで発電することになっている。だが、この計画は“絵に描いた餅”になってしまった。

原子力発電が減少し、再生可能エネルギー発電が伸びないとすると、あとは火力発電への依存を高めるしか方法がない。そうすると、石炭・原油・LNG(液化天然ガス)の輸入がさらに増大する。その結果は、輸入代金の支払いが増えて、景気にとってのマイナス要因が拡大するばかり。CO₂の排出も増え続け、地球温暖化防止に逆行せざるをえない。

日本経済にとっては、エネルギーの確保が最重要課題であることは言うまでもない。だが達成が不可能になったエネルギー計画はそのまま。折しもホルムズ海峡では緊張が高まっているが、もう何十年も言い続けられている「中東原油への依存度を下げる」ことなどなど、すっかり忘れられているようだ。責任官庁の経済産業省は、いったい何を考えているのだろうか。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +42.37円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

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