どんな結末を迎えるのだろう・・・・
小さな地方都市で、世間から隠れ息を殺したようにひっそりと生きようとしている二人に、
どんな未来が待っているのだろう。
最後のページを先に読んでしまいたい気持ちを抑えながら、一気に読みました。
主な登場人物は4人だけ。
主人公の泉、鉄治、泉の雇い主の八重子さん、鉄治の雇い主のオカマのサクラさん。
ほとんどこの4人だけで話が進んでいきます。
物語の大部分は泉の部屋、八重子さんの部屋、鉄治の部屋。
少ない登場人物と限られた空間でのストーリーは、なかなかずしりと重かった^^;
泉と鉄治が愛という関係でつながったあたりから、雲間から少しずつ陽の光がさしてくるような感じを受けましたが、
それでも「逃亡者」という重い現実が、どんな時でも心の中に悲しみ苦しみを共存させていて。
救いは二人のお互いを思う気持ちがとても強かった、ということです。
信じるって、本当に生きる力を与えてくれるものですね。
それは泉と鉄治だけでなく、八重子さんであったりオカマのサクラさんであったり。
生きることに貪欲でありながら無欲で、ただただ必死に生きようとしている二人です。
二人が本当に心から笑えるのは、この結末のもっと先になるのでしょうけど。
無花果の花は外から見えないんだ。花が見えないのに実を結ぶ。どうしてか教えてあげようか。
無花果の花は隠れて咲いてんだよ。見えないところで。
あたしたちが食べることになる実が、まだ熟さないころ、内側にたくさんのちっちゃな花をつけるんだよ。
しかしねえ、そこまで隠れて花を咲かせなくたっていいだろうにね。
八重子さんが泉に、庭に植えられている無花果の花について話したものです。
まだ泉が鉄治と再会する前なんですけど、なんだか泉と鉄治のことを言っているようで、
とても切ない気持ちになりました。
最後まで読んで、泉に対しても鉄治に対しても言いたいことはたくさんありますが、
まだ読まれていらっしゃらない方には申し訳ないので、この辺で。
いやあそれにしても、まさかこのまま映画にはしませんよね。
読みながら、完全、鉄治がユナクさんになっていて、場面を想像してかなりドキドキでしたから^^;