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第26回下谷教会音楽賛美夕礼拝 ~東京藝大バッハカンタータクラブ

2023年11月01日 | pocknのコンサート感想録2023
10月29日(日)第26回下谷教会音楽賛美夕礼拝
日本基督教団 下谷教会

【音楽夕礼拝 次第】
♪ (前奏)バッハ/「われら悩みの極みにありて」BWV641
☆ 招きの言葉
♪ (賛美)148
☆ (祈祷)
♪ (演奏)バッハ/カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」BWV147
☆ (聖書)ルカによる福音書第1章39~56節
♪ (賛美)175
☆ (説教)「わがこころ主をあがめ」
♪ (賛美)469(1954)
♪ (献金)65-2
♪ (賛美)546(1954)
☆ (祝祷)
♪ (後奏)バッハ/カンタータ第43番~コラール「汝、生命の君、主イエス・キリストよ」

♪ カンタータクラブによる楽器紹介 ♪

司式・説教:藤田義哉/オルガン:清水奏花
【カンタータ演奏】
S:安部一花/A:伊原ももこ/T:半田悠河//B:青木大地、鈴木薫
小河佑樹 指揮 東京藝術大学バッハカンタータクラブ


4年ぶりに下谷教会の音楽礼拝に参列した。藝大バッハカンタータクラブを迎えて毎年行われるこの礼拝は2019年以来休止だった後、昨年再開された。行けなかった藝祭公演でカンタータクラブが演奏した147番を聴けるのも嬉しい。

礼拝の式次第に沿って祈祷のあと、バハカンによりカンタータ147番が全曲通しで演奏された。華やかなトランペットの響きと、快活な弦楽合奏に導かれて入った瑞々しく美しい合唱が堂内に響き、言葉がくっきりと浮かび上がった。2020年の定期演奏会以来に聴く本来のバハカンの合唱だ。去年の藝祭と今年の定期では合唱は全員マスクを着用していた。マスク無しだと声も言葉もよく通るのはもちろん、バハカンならではの豊かな顔の表情を見ることが出来て、それがまた演奏への好印象に繋がる。コラールのFreudeや Wonneといった喜ばしい言葉では満面の笑みを湛え、traurigやLeideといった辛さを表す言葉は痛みを噛み締める表情で歌われるのを目にすると、コラールがより心の奥まで入って来る。ただ、以前と比べて表情が少ないメンバーを少なからず見かけたのはコロナが残した影響だろうか。そんななか、ソロも受け持ったバスの青木大地さんは、レチタティーヴォでは豊かな表情でドラマチックな語りを聴かせ、コラールでも喜び一杯の表情で、イエスへの思いを歌う様子に好感が持てた。他のソリスト陣もそれぞれが、カンタータの各楽曲の場面の意味を汲み取った素敵な歌唱を聴かせてくれた。

続いて藤田牧師により、このカンタータで扱われている聖書の「マリアのエリザベト訪問の祝日」の箇所(ルカによる福音書1章39-56節)が朗読され、これにちなんだ説教があった。神の子イエスを身籠ったマリアが「身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださった」と語る部分について、「身分の低い」を旧来の文語訳では「卑しき」と訳された。「卑しさ」とは「他を顧みず、神に心を開くこともせず、自分の損得ばかりを考えてしまう心のこと」であり、他者を思う心の大切さが説かれた。配られた下谷教会の冊子に、藤田牧師は少年時代、牧師の息子であることが嫌で、家を出て非行に走ったというエピソードが書かれていたが、そんな人生を体験した牧師さんの話は説得力が増す。
こうしてカンタータの内容に沿った聖書の箇所にちなんだ説教を聴くことで、今から丁度300年前にバッハがカントルに就任したトーマス教会で演奏されたこのカンタータにバッハが託した思いを、より身近に感じることが出来た。

礼拝では5曲の讃美歌を皆で唱和した。繰り返しが多くてかなりのボリューム。着用を求められたマスクが邪魔ではあったが、バハカンのメンバーも一緒に参列者と共に声を合わせることで、礼拝の一体感があった。147番のコラールもバハカンの伴奏で歌えたら嬉しかったが、これは讃美歌集には入っていないのだろうか。

礼拝のあとはお馴染みの楽器紹介。今回は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、オーボエ(+イングリッシュホルン)が、和やかな雰囲気のなか、楽しい話と共に素敵な調べを奏で、少し遠い存在になってしまっていたバハカンが、また身近に感じられた。

鈴木雅明:音楽講演会「バッハとライプツィヒ」
バッハのカンタータ第147番「心と口と行いと生活」のコラール

トーマス教会でのオルガン礼拝コンサート(2023.9.16)

バッハカンタータクラブ 2023年定期演奏会
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